外貨準備が増えると日本の借金も増えるというナゾ | 日本のお姉さん

外貨準備が増えると日本の借金も増えるというナゾ

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▼外貨準備が増えると日本の借金も増えるというナゾ

(外交と安全保障をクロフネ)
この記事は2007年5月26日にアップしたものです。最近このブログの読者になったばかりという方のために、折を見て、過去にアクセスの多かった記事・重要と思われる記事をご紹介します。
日本が2004年3月いらい、外為市場へ介入していないにもかかわらず、外貨準備が増え続けている。なぜ増加したかと言えば、外貨で運用している債券や預金から得られる利息収入があるからである。最後にドル買い介入を行った04年3月からの三年間で、円に換算して10兆7700億円増加したというこのこと自体は大変結構なことなのであるが、外貨準備の増加と比例して国の”借金”も増えてしまったという。

どういうことかというと、政府が外為市場でドル買い介入する場合、外国為替資金証券(いわゆる為券<ためけん>)を発行して円で介入資金を調達し、それでドルを買う。
政府はそのドルでアメリカ国債などを買って運用するので、外貨準備が増えれば、為券のような政府短期証券(FB)もそれだけ増える。複式簿記で考えれば、政府の資産項目に外貨準備(外国債券など)があり、負債項目にはそれに対応する額のFBがあるということである。だから外貨買い介入のために発行されたFBは、純粋な国の借金とは言えない。しかも日本よりアメリカの方が金利がだいぶ高いので、FBの金利を円で払っても、高利回りのドル建て債券などから得られる金利収入で、充分おつりが来る。(三ヶ月もの政府短期証券の金利が0.5%前後、二年ものアメリカ財務省証券が4.8%前後)

ところが、”財政法”では国の歳入と歳出を日本円の現金で計上することを定めているので、外貨準備を使って外債などに投資して得た利息収入を外貨のままで計上できないことになっており、外貨で得た金利収入で円を買うと外為市場に影響を与えてしまうのでそれも避け、結局、利息で増えた分の外貨に見合う額のFBを発行して円を調達し、それによって歳入を計上している。だからドル買い介入せずとも外貨準備が増えると、国の”借金”も増えてしまうというのである。

日本の外貨準備高が4月末で9156億2300万ドルで、為券残高が100兆円にせまりそうだと言っているので、為券残高と外貨準備がほぼ対応していることがわかる。これについては以前のエントリーで触れた。さらに、この3年間で為券残高が約10兆1000億円増えているのに対し、外貨準備も同様に、1ドル=121円換算で10兆7700億円増えている。
ここで問題なのは、外貨準備から得た外貨の金利収入を、FBを発行して円に換えて特別会計に計上しなきゃいけないという”財政法”が定めたシステムである。私はこのような非合理的な決まりがあるとは全く知らなかった。あるはずが無いと思っていた。現役の財務官僚なら当然知っているのだろうが、今までおかしいとは思わなかったのだろうか。財務省にとって”前例”は神聖不可侵の領域なのだろうか?

たとえば、外貨で得た金利収入を外為市場が円安に振れている時に、少しづつ円にかえれば、わざわざFBを発行して国の”借金”を増やさずとも済む。 (ドル・ユーロに対し円が非常に安くなっている今がちょうどチャンス)別に国債を発行しなくても良いのに、財務省はわざわざ国債を発行しているように思えて仕方がない。
これで「国債発行残高がウン百兆円になった! 消費税を15%いや20%にあげなきゃ財政破綻だ! 将来の福祉財源がぜんぜん足りない!」というのは、消費税率を初めからあげたくて仕方ない連中の陰謀なのではないかと疑われても当然ではないだろうか。

外貨準備を3年間運用した金利収入がおよそ10兆円あったのだから、外貨準備から得られた金利収入を少しづつ円転し、将来のために福祉財源基金をつくって外為特別会計からそこにプールしておけば、もしかしたら消費税率をアップして福祉目的の財源なんかにしなくても済むのではないか。しかも、しばらくは日本と欧米の大きな金利格差は縮まらないだろう。少子高齢化でこれからいくら財源が不足するのか正確な数字は知らないが、平成17年度の社会保障歳出が20兆円強だから、もし10兆円の基金をつくってプールしておけば足りそうな気もするのだが。あるいは外貨準備の運用益を円転し、それで財務省が国債を買うなり新規国債の発行高を抑えるなりすれば、国の借金も減るだろう。なぜそうしないのか。

本当に財政が厳しい、将来の福祉財源が出ないというのなら、消費税アップもやむを得ないと思うが、国民の知らないところで、非合理的なルールの存在を知ってか知らずか、財務省がわざわざ発行しなくとも良い国債を発行し、国のみかけの借金残高を増やし続けるのであれば、消費税率を上げなくてはいけないという財務省の主張の根拠がゆらぐ。消費税は国民から漏れなく取りやすいから税率をアップすると言いたいのだとしたら、国民をナメているとしか思えない。しかも消費税は逆累進性があるので、収入の安定した”勝ち組”の高級官僚より、庶民の方が負担が重くなる。ここまで財政状態が悪化したのは、財務省や日銀の政策の結果である。
それを高級官僚ではなく庶民の負担で尻拭いしろということなのか。国民はもっと怒ったほうが良い

ついでに、消費税率アップと法人税減税を主張する財界について言っておきたいが、結局日本で儲かっている人って誰だろうか?ビル・ゲイツみたいなケタ違いの億万長者は案外少ないから、世界的に見て日本企業の経営陣がそんなに儲かっているとは思えない。日本企業株の時価総額は、世界的に見てもその資産価値に比べても低いから、配当を出しているとは言えない。だから株主が儲かっているとも思えない。バブル崩壊以後、正社員を切ってパートタイマーを雇用して人件費を削ってきたから、労働者が儲かっているとも思えない。消去法でいくと、本当に儲かっているのは法人という”人”、つまり人間ではなくて会社そのものではないのか?
以前から日本企業は内部留保が多いと言われているのは良く知られている。財界は「国際競争力アップのために法人税減税を」とも主張しているが、日本企業は国内の雇用を減らしてでも、生産拠点を人件費の安い外国に移しており、さらに内部留保があってもなお法人税減税・消費税率アップを訴えるというのは、社会に甘えすぎではないだろうか。法人という非人間にそんなに儲けさせる、経営者の目的というのはいったい何なのだろうか。

日本型リーダーの悪しき伝統は、兵隊への補給をケチることである。あるいは補給そのものを全く考えないということである。企業にとっての兵隊とは、実際に現場で働いている人達だ。それに、たとえ法人税が多少高くても、治安の良さなど日本に会社を置いておくメリットはあると思う。欧米ではテロの危険が増大しているし、ロシアや中国は独裁政権の気分しだいで、資産を身包みはがされかねない。財界が自分達さえ良ければという論理で、法人税減税・消費税率アップを訴えるのであれば、日本全体が衰退することで自分達の首もしめることになると思う。「日本社会に会社を置いて儲けさせてもらっているのだから、日本社会にいくらか恩返ししたい」というノブレス・オブリージュの精神を持った財界人というのは、もういないのだろうか
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▼日教組VSプリンスホテル 読売社説が偉そうにプリンスホテルを叱る・・・だけどねぇ (清谷信一)
ホテル使用拒否 司法をないがしろにする行為だ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20080202-OYT1T00729.htm
まあ、お説ごもっともなんですが、我が国では司法の命令や裁判の判決ってケツ拭き紙ほどの役にも立たないわけです。それが放置されているのはマスメディアの責任が大きいんですなあ。プリンスホテルが裁判所の命令を無視しても実害はないわけです。ひろゆきだってあれほど敗訴してもびた一文はらっていない。
前からぼくが言っているように我が国では数百万円ぐらいまでの詐欺(特に振り込み詐欺)はやり放題です。金を払うつもりがあるといえば、警察は民事不介入と逃げを打つってまともに取りあわないし、民事訴訟で勝っても裁判所が命令をしても無視していれば一文も取られない。強制執行するにしても銀行口座がわからないと出来ない。現物を抑えるための執行も費用は原告持ちです。訴訟の費用と強制執行のコストを払うと大抵の赤字です。

また店舗などの賃貸のトラブルで家賃を払わない不良テナントを追い出すにも多額の費用と時間がかかります。故にテナントは10ヶ月とか20ヶ月という法外な保証料を要求されるわけです。これも司法が機能していないからです。しかも民事では(どこかの出版社社長一家のように)嘘をつきまくっても罪に問われません。むしろ弁護士が唆して嘘をつかせ、相手や裁判官を攪乱するという法廷戦術が一般化しています。数百万円ぐらいの被害だったら泣き寝入りをした方が被害が少ない。それが実情です。

つまり司法の判断が強制力を持たず、判決や命令が実行されない。法治国家とは言い難い現状があるわけです。このようなことはぼくのような一部の人間は書いて来ましたが、大新聞やテレビなどのメディアは無視してきたわけです。あんたらの社会部、特に司法記者たちはいままで何してきたんでしょうか。政治部、経済部も同罪です。社会の木鐸が怠慢こいているから法治国家として異常な状態が恒常化しているわけでしょうが。高いところから説教垂れる前に反省することがあるんじゃないですか。

こんなことだから外国からの投資も増えないわけです。