チュウゴクバブルは、まもなく崩壊する。「第1次崩壊」 | 日本のお姉さん

チュウゴクバブルは、まもなく崩壊する。「第1次崩壊」

元外交官・原田武夫の「国際政治経済塾」↓2009年1月22日の記事

http://money.mag2.com/invest/kokusai/2008/01/post_48.html

「偽米ドル」をめぐる騒動に急展開

以前もこのコラムで、精巧な偽米ドル、いわゆる「スーパーノート」について、北朝鮮が製造しているという議論に重大な疑義があることを指摘した。そしてまた、どうやらこの騒動の影に、米国の通貨当局が仕掛けようとしている「通貨戦争」がちらつくことにも触れた。


※参照
『経済戦争のターゲットにされた日本円』
『「偽米ドル北朝鮮犯人説」を米国が撤回する?』


「そんなはずはない。偽米ドルをつくっているのは北朝鮮だ。日本は拉致問題という深刻な問題を抱えているのに、なぜ北朝鮮をかばうのか」と怒りを覚えた読者もいらっしゃったかもしれない。


しかし、私は何も、この場でどこかの国をかばったり、批判しようとしているのではない。個人投資家が生き残るために必要な「金融インテリジェンス」を磨くためには、あくまでも事態を客観的に見渡すことが必要だということなのだ。そして、客観的になればなるほど「北朝鮮犯人説」を唱える米国の議論の方がどうしても怪しく見えてくるということを説明したかったのである。


実はその後、事態に急展開があった。米国を代表する新聞「マクラッチー(McClatchy)」(ニューヨーク・タイムズ系列)が、1面トップで「偽米ドル北朝鮮犯人説は根拠に乏しい」と報じたのである(2008年1月10日)。


それによれば、同紙は過去10ヶ月間にわたる調査を実施。なんとブッシュ大統領にまで「直アテ」(=直接取材を行うこと)して、偽米ドル北朝鮮犯人説に公表できるほどの確証を米国政府として持ち合わせていないとの結論に達したのだという。


これは重大な事態の転換だ。なぜなら、これまで「北朝鮮犯人説」を唱える者たち(特に日本の「インテリジェンスのプロ」たち)は、米国以外の新聞(ドイツやスイス)においてだけこうした批判が出てきたことについて、「所詮、欧州のローカルな新聞に北朝鮮が仕掛けて、ウソをかかせたのだろう」ととりあわなかったからだ。しかし、マクラッチー紙は米国を代表する国内紙である。これで、この議論については「勝負アリ」と言わざるを得ない。


まもなく中国バブルは「第1次崩壊」の山場を迎える

日本の「インテリジェンスのプロ」たちはこれであわてふためいていることだろう。しかし、そんなことは私たち=日本の個人投資家にとっては、ある意味、どうでも良いことである。むしろ重要なのは、米国でなぜ、ブッシュ政権にビンタを食らわせるような報道が出たのか、その背後にある意図を考えることである。


世界中の経済・政治ニュースを選りすぐり、公式ブログでIISIAデイリー・ブリーフィング(無料)をお送りしている私の目からすると、この関連で急に気になってきたことがある。それは、どうもここにきて急激に米国以外の地域、とりわけ中国について、「バブル崩壊」を懸念する声が欧州の金融メディアの中であがってきたことである。


2008年1月15日付「フランクフルター・アルゲマイネ・ツァィトゥング」(ドイツ)は、「中国は日本の後を追うのか」と題する短い記事を掲載。それによれば、1983年からバブル絶頂期の1989年までに日本の東証株価指数が見せた「上げ幅」と、2001年から昨年10月の頂点に至るまでの中国・上海A株指数の「上げ幅」とを比較すると、相似形であることが分かるのだという。


「何だ、単なる偶然じゃないのか?」そう思われるかもしれない。しかし、この2か月ほど、欧州のメディアでは「中国バブル崩壊」といった論調は陰を潜めていたのである。それがここに来て突然出てきたことに、奇異な印象をぬぐえないのだ。


北京オリンピックに向けて過熱する中国経済が「バブル」であり、これが崩れるという意味での「崩壊」は、やがて2010年の上海万博に向けた次の「バブル」に消されることであろう。そのため、今回の事態は「中国バブル第1次崩壊」と呼ぶべきものである。そしてこれは、昨年10月末からすでに始まっている。ということは、今後、そう遠くない将来に、ついには「第1次崩壊」の決定打がくるということなのだろうか。


なぜ今、「朝鮮半島」を米国は狙うのか?

米国内で「偽米ドル北朝鮮犯人説」を否定する報道が出て米朝関係が急展開したことと、「中国バブル第1次崩壊」は無関係ではない。そして、その背後では欧米の東アジア、とりわけ朝鮮半島で経済利権抗争が激しくなっているのである。


1月8日に刊行した新著『北朝鮮VS.アメリカ 「偽米ドル」事件と大国のパワーゲーム』(ちくま新書)

においても、そうした観点から東アジア、とりわけ北朝鮮において欧米が繰り広げる経済利権抗争を描いてみた。また、2月9日に東京で開催する無料学習セミナーではこの問題についても触れる予定である。


中国バブル第1次崩壊が済んだ後、いわばアク抜きされた後の中国、そして東アジアのけん引役として、これまで未開発で残されてきた「最後のエマージング・マーケット」としての北朝鮮がかねてより狙われてきた気配があった。


そして、さらにいえば、2010年以降に予想される「中国バブル第2次崩壊」の後、中国の沿岸部を中心に崩壊したバブルの結果、国外に流出する富を海の向こうにまで「飛ばす」(オンラインで、あるいは「実物」を輸出する)拠点として、手頃な場所が朝鮮半島に求められているという情報も、2005年頃より金融マーケットの深いところでは流布されている話なのだ。


したがって、「中国バブル崩壊」が進み、時計の針が進めば進むほど、米国は北朝鮮、そして韓国もあわせたKOREA(朝鮮)に接近していくことであろう。私たち=日本の個人投資家にはそうした現実を直視する勇気こそが求められていることを、これまで翻弄する議論だけが日本では流布されてきた「偽米ドル事件」は教えてくれるのである。

詳しくは、こちらで。↓

元外交官・原田武夫の「国際政治経済塾」

http://money.mag2.com/invest/kokusai/2008/01/post_48.html