「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 平成20年(2008年) 1月18日(金曜日)
((((( 今週の書棚 )))))))
越前谷儀仁『デビルドッグ』(並木書房)
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日本人でありながら米国海兵隊の一員として、イラクへ行って実際にテロリストたちと戦った男がいる。
米軍最強軍団「海兵隊」の正式な戦闘員となって、著者は激戦のあったファルージャへ赴いた。死と隣り合わせの軍に、なぜ、この日本の若者があこがれたのか?
本書は米海兵隊日本人伍長が実体験を綴ったイラク戦記でもあり、思わず引き込まれて、一気に読んだ。
著者は千葉県の武骨な高校に通いながら、軍関係の雑誌を読んで、いつかフランス外人部隊に入ろうと考えていたという。漠然と、つまらない、平坦の人生より、そこに「何かがある」と直感的に行動をおこす性格のようだ。
母親が「高校だけは卒業しておくれ」と言った。高校を中退してまでのフランス外人部隊行きは見送った。
越前屋くんは高校を卒業後、まずは自衛隊へはいった。
もっとも激しい訓練をする空挺部隊を志願し、四年いた。除隊し、グリーンカードを取得して米国へ渡る。自衛隊をやめるとき、そのことはいえなかったと正直に書いている。
米国へ渡りアルバイトをしながらチャンスを待っているうちに、911テロに遭遇した。
「いまこそ、海兵隊へ」、躊躇なく入った。
一直線の人生だ。
過酷な入隊訓練を繰り返しながら、やがてアフガニスタン赴任と思いきや、所属部隊は急遽、イラク派遣となった。
アフガニスタンから、米国はイラクへと戦争を拡大させていた。イラクの戦闘現場に二回に亘って派遣され、合計一年近くを戦い、米国へ戻って除隊した。
だが、友人が歓迎パーティをしてくれても違和感を抱いた。「自分の居場所はなかった」。
嗚呼、このあたりの記述は「現代版ランボー」ですかね?
これから新しい人生、いかなる試練に遭遇しようとも、この著者なら危機を乗り切って、面白い人生を送るのではないか。日本にくすぶっているよりアメリカ軍には素敵な人生の鍛錬と修養の場でもあったようだ。
軟弱な徒、口舌の徒は、この本を読まない方が良い。
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
♪
(読者の声1)貴誌昨日付けのコメントで、 「日本の金融機関が旺盛だったおりに微罪で大和銀行を起訴し、ついに在米大和銀行の攻撃から、日本に金融恐慌を引き起こさせ、BIS規制を押しつけ、要するにライバルをけ落としたのがウォール街でした。
その前にもウォール街が中南米への焦げ付きで危なかった折にも、住友はゴールドマンサックスへ500億円を出資したりして、ライバルを救った。だが、バブル崩壊後の日本で倒産する山一証券を救出せず、底値を買いたたいたのがメリルリンチでしたね?
日本には「敵失」に立ち向かう、つまりライバルを蹴落とすというゲーム感覚がないのです」。
と書かれてゐました。
全くその通りで歯がゆいばかりです.「世界は悪意に満ちてゐる」とは高山正之氏の名言ですが,唯一の例外が日本なのかもしれません。
あと何十年かすればエゴイズムの衝突に疲れた世界がこの日本の美徳に気が付き,見習はうとするかもしれません。
しかしそれまでこの国が持つかどうか.
(NN生,横浜市)
(宮崎正弘のコメント) なんとか、持たせるよう皆で努力したいものです。高山さんの本は「世界は腹黒い」(高木書房)では?タイトルではなく、名言とすれば、まさしくそうですが。。。
♪
(読者の声2) 読者の声2の尼崎のKI生さんへの宮崎先生のコメントが無いのは、ここで、みんな一緒になって考えようといわれているのだと勝手に推測し、「7月末の日本の南部仏印進駐は、どのように解釈されていますか」という設問に対して回答したいと思います。
「KI生」さんは、その当時のアジアにおける植民地の状況をご存知だと思いますが、当時1940年の6月にはパリがドイツに占領され、ベトナムは、本国の支援の得られない不安定な状況にありました。
インドネシアや、香港、ミャンマー、インドも同じような状態で、アジアの諸国が独立運動をするには最高のタイミングだったと思います。
しかし長年の植民地政策(愚民化政策)のため、東南アジア各国の統治組織が有効ではなく、そのため、日本が台湾で成功したような政府組織を各アジアの国にも植えつけようとしたのだと思います。
もし日本が進駐しなければ、間違いなくアメリカがその跡目を狙って、アジアに対しての確固たるプレゼンスを築いた事だと思います。
そうすれば、フィリッピンの二の舞となり、アジアから白人を追い出すという一つの目的は達成できません。
(この考えは松岡洋右がアメリカ留学時に体験した人種差別や、樋口季一郎少将がヨーロッパにいた時にユダヤ人に対する差別。古くは高杉晋作が上海で見たイギリスの中国人に対する横暴さなどから当時の指導者層に根強くあったと思います)
もう一つの目的は、当然、天然資源の確保にあったと思います。
その頃の天皇陛下は何とかアメリカとの開戦を避けたいと心を砕いておられましたし、近衛・ルーズベルト会談を模索した時期でもあったようです。
アメリカがどうしても日本を戦争に引きずり込みたかったのは、これを機にアジアでの植民地を増やしたかったからで、地政学的に見ても、東南アジアを押さえるということは、中東の油田からのシーレーンの確保にもなり、アメリカのアジア経営がより一層やりやすくなるからです。
禁輸してABCD包囲陣なるものを形成したのは、資源さえ絶ってしまえば日本は干上がるし、暴発しても今ならとめられると思ったのでしょう。
世界各国を巻き込んでの大戦は、一つの利害だけで図ることはできませんが、児玉源太郎や伊藤博文のような大局を見通せる政治家がいたら、もっと違っていたのではないかと思います。
(MI生)
(宮崎正弘のコメント) すみません。代弁していただいたようで。。時間がないので、小生のコメントはいずれ。
♪
(読者の声3) 大東亜戦争の背景と共産主義勢力の浸透について:
『大東亜戦争とスターリンの謀略』(三田村武夫著)が紹介されていましたが、以下のブックレットも参考になります。
「歴史の書き換えが始まった」~コミンテルンと昭和史の真相~(中西輝政・小堀桂一郎)
購入申し込み先:日本会議事業センター(TEL03-5428-3723、FAX 03-5428-3724)
この本は、一般書店では購入できないかもしれません。
同書は、「大東亜戦争とスターリンの謀略」はもちろん、最近公開された米ソの機密資料などをもとにコミンテルンが如何に日本を開戦・敗戦に引き込んでいったかをあぶり出す良書だと思います。
朝日新聞が共産勢力に乗っ取られたのは、戦後の共産化ではなく、それ以前であり、大陸への侵攻、南進、対米開戦などをあおった世論形成は共産勢力による日本敗戦革命工作の一端であったとすれば合点がいきます。
民主主義勢力(日米)は全体主義国家(コミンテルン)の工作に如何に弱いかということ。歴史観の変わる1冊となると思います。
(H生、神戸)
♪
(読者の声4) いつも卓越した、本物のニュースの配信有難うございます。
先生の本はほとんどすべて、取り寄せて、勉強させていただいております。
ご紹介のありました御新刊「崩壊する中国逃げ遅れる日本」 アマゾンでは在庫切れになっていますが、未だ出版されていないのでしょうか?
貴誌2030で配信されました、華南地区軽工業工場の倒産、移転ですが、先日東莞の日系の雑貨の工場の方が来まして、その話になりました。
靴工場は原料供給の、皮屋(ほとんどが零細で、大手は数えるほどしかない)が、最近の環境問題に対処できず、廃業または中国内陸へ移転してしまったので、操業が出来なくなったそうです。
以前のお目こぼしも、今回は色々な毒産品の問題で、汚水処理施設など改善が出来ないところは、潰れても止む無しの姿勢になったようです。また新しい労働法により、1ヶ月(だと思いますが)でも働いた場合、今までのように、簡単に首に出来ず、以前は実質650元位だった工賃が、倍近くの負担になるので、採算が全く合わなくなったようです。
玩具工場も、同様でしょう。
また、伝聞として教えてくれましたが、日本の大手衣料向けの工場はベトナムへの生産移行を強く言われているようです。日本側の説明はアメリカの”チャイナフリー” と同じ理由だそうです。
ベトナムもすぐ同じようになると思いますが。
この日系の工場は、当初より高級品の製造に特化していますので、工賃など、諸条件も格段に良く、やめる者もほとんどなく、工賃も周囲が自分たちの水準に近くなってきただけで、何の影響もないようです。材料も輸入材が多く、熟練工を大事にして、いいものを生産しています。
こういう工場は雑貨の工場ではめずらしいと思いますが、安定、安心して使えるので、大事にしています。
(香港読者)
(宮崎正弘のコメント) ご指摘のようにベトナムは中国人で溢れ出しました。ラオス、ミャンマーは中国の経済植民地です。
ならば次は? バングラデシュとスリランカ、そしてパキスタンでしょう。中国人はどのような危険が待ち受けようともカネのためなら平気で進出します。いや、現に数万社が進出済みですが、日本企業はどうでしょうね?ところで拙著新刊は近日中に香港の書店にも出回ると存じます。
♪(読者の声5) 最近、物議を醸したG社が中国で製造した3万円近くもする高機能地球儀は、マーカーを当てると音声ガイダンスでその国のことをいろいろ教えてくれるスグレ物です。
地球儀というと思い出すのが、小学生低学年の時親に組み立て式の地球儀キットを買って貰ったことです。
コート紙に印刷された紡錘形の紙片を切り取って経線を合わせながら球形のプラスチックに、糊で貼り付けて作製するのです。手作りの地球儀ですから大切にし、机に置いて毎日眺めつつ擦っていました。
さてG社が醸した物議というのは、台湾国を「台湾島」と表記し、中国と同じ色で塗ったということです。これは“中国政府の指示に従った”結果だというのですからまことに分かり易い原因です。
これ以外にも帰属先が未定の無主地であるはずの樺太の南半分や北千島列島(北方領土より北)をロシアと同じ色分けにしているそうですから、面妖な会社ではあります。
いずれにしてもG社は“中国政府の指示に従った”と明言しているのですから、ウソではないでしょう。ならば、G社の顰に倣って中国批判を繰り広げている言論誌は、コストも安いし中国で編集作業をすればよいでしょう。
中国政府の癇に触れる内容について書き直しを命じられたら、その部分の字体をゴチックに換えて“中国政府の指示に従った”として書き直す前の部分と併記すればそれだけで話題になります。部数の落ちている雑誌は一度検討してみては如何でしょう。
(有楽生)
(宮崎正弘のコメント) そうそう。台湾で、この問題、「自由時報」だけが、カラー写真を大きく配して報道しました。
国民党系の「連合報」と「中国時報」には小さな記事をさえ発見できませんでした(すくなくとも小生の台湾滞在中は。。)。。。。
中華思想統一組から言えば、「なんで日本人がそんなことで騒ぐの?」という感じでしょうね。台湾を支配した外省人の地理感覚はまさに「台湾島」ですよ。この点で北京政府と通底するものがあります。
△ □ ◎ △ □ ◎
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年) 1月17日(木曜日)
通巻第2053号
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世紀の愚挙か、大冒険か。
中国がトルクメニスタンとの間にパイプライン敷設、190億ドル
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誰もやらないことを真っ先にやるのがチャレンジ精神とはいえ、この世紀のプロジェクトには地政学的な不安がつきまとう。
さきに中国は新彊ウィグル自治区に噴出する天然ガスを、えんえんと4200キロものパイプラインを敷設して上海に繋いだ。
つぎに新彊ウィグルの隣にひろがる資源大国=カザフスタンとのあいだに鉄道を繋ぎ(91年)、パイプラインを繋いで(05年)、石油とガスを輸入し始める。さらにカザフからウズベキスタンを超えて、砂漠の奥地、トルクメニスタンとの間に、ガス輸送の契約をなした。引退した呉儀前副総理が責任者だった。
このためのパイプラインは総延長6000キロ。
この世紀のプロジェクトにペトロチャイナは190億ドルの正式に出資を決めた(ヘラルドトリビューン、08年1月17日付け)。
1000立方メートルあたり195ドルという国際価格より高いガス代金となるが、これで2010年より、トルクメニスタンのガスは、中国を東西に横断し、上海の南、広東地区へと輸送されることになる。
ところで、ペトロチャイナの株価、昨年11月のピークから30%の値下がりを示している。
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♪
(読者の声1) 貴誌2052号、尼崎のKI生さんへ。
――数年来、「なぜ、日本は対米英蘭戦を決断実行したのか?」を自習しておりますが、 いまだに「明白な自衛戦争であった」という確信には達しおりません。
ご教示願えれば幸甚です」とありますが、小生も長年この課題を持ちながら本を読んでおりました。
そして、最近やはりこれは明白な自衛戦争だと確信しました。
その理由は、
1.1840年のアヘン戦争前後から活発化した東アジアへの欧米列強の植民地政策
2.ロシア帝国のヨーロッパでの行き詰まりと日露戦争
3.自分の利益しか考えない中国大陸における内戦の激化と日本の安全保障
4.ソ連の満州への進出意図
5.ソ連の赤化革命の中国への移入
6.宋美齢によるアメリカの世論操作(親中国派のルーズベルト)
7.大東亜共栄圏構想による植民地の独立の懸念
などがあげられます。
一つ一つ書くと長くなるので、割愛しますが、日本が戦争したのは、いやさせられたのは後ろで糸を引くソ連などの共産主義勢力のせいだと思っております。
(MI生、福岡)
(宮崎正弘のコメント) 三田村武夫氏の書いた『大東亜戦争とスターリンの謀略』という本も、良書です。思い出しました。これは復刻版が自由社からでています。
♪
(読者の声2) 昨日の設問に「(宮崎正弘のコメント) 大東亜戦争は自衛の戦争で、マッカーサーさえ戦後の米議会公聴会で、そう証言しています。「もし私が日本の立場に立てば、 間違いなく自衛のためにたちあがったでしょう」と元帥」とありました。
下記はネット検索からの貼り付けですが、[編集] マッカーサーのアメリカ議会証言録引退後の1951年5月3日、上院軍事外交共同委員会で朝鮮戦争における中華人民共和国へ対しての海上封鎖戦略についての証言の中で、 They feared that if those supplies were cut off, there would be 10 to 12million people unoccupied in Japan. Their purpose, therefore, in going towar was largely dictated by security.[4]と答弁した。
この発言に関して小堀桂一郎は「これらの原料の供給を断ち切られたら、一千万から一千二百万の失業者が発生するであらうことを彼ら(日本政府・軍部)は恐れてゐました。したがつて彼らが戦争に飛び込んでいつた動機は、大部分が安・u桿@・歉磴良・廚貿・蕕譴討里海箸世弔燭里任后廚般・靴討い・・!)皀拭.泪奪!)璽機爾蓮!)里!)法崙!)椶蓮!)臧!)!)◆兵!)駝韻痢烹咤釘達妝劭稗圍戮里燭瓩法∪鐐莵坩戮貌!)辰拭廚畔鴇絮^儖!)颪脳赦贈横暁!)望攜世靴討い泙后!)!)
これは、昨今公知の史実です。
私はここで、では、「米国は、いかなる理由で、対日戦争に入ったのか?」を考えざるをえません。
彼らの自国のSECURITYのために、対日戦争に即時に応じたのである、と判定します。
また私は、「日米は8月1日の米国による、「(全枢軸国への)全面的な石油類の禁輸発令」により、実質的には、米国による(対日)宣戦布告がなされている」と考える論者ですが、日本の対米英蘭への開戦は、「明白な自衛戦争であった」という論者には、「では、貴方は7月末の日本の南部仏印進駐は、どのように解釈されていますか?」という設問を呈さざるを得ないのであります。
(KI生、尼崎)
♪
(読者の声3) 日本国内の読者のみならず海外の貴誌読者からも、第2050号に掲載された「憂国の賦」に共鳴共感している聲が引きも切らず寄せられています。
いつもの淡々とした情報報道ではなく、宮崎さんのお気持ちを籠めたウェットなトーンが読者の心を揺さ振ったと忖度します。よい意味でドライな貴誌ではエポック・メイキングな内容でした。
その中の一節に「ベンツャー精神? 過去二十年間で、世界に名だたるベンチャーの日本での成功例はソフトバンクくらい」とありました。ソフトバンクは孫正義の企業で、彼の差配するヤフーの検索エンジンに「大東亜戦争」と入れると太平洋戦争のタイトル画面が現れ、在日朝鮮人のサイトに繋がります。
そんな在日外国人の実業家しか日本において世界に伸していないことに憾みを遺します。
宮崎さんの憂国の情が不束な私にも伝わります。日本のこの平和状態、実は混沌でありカオスなのですが、それが破られたときにようやく日本人は目覚めて起つのでしょう。それが遅いとは思いません。日本人の本性なのですから。
そんなよい国に生まれ育ったしあわせを感じております。
(HN生、品川)
(宮崎正弘のコメント) 「憂国の賦」ですか。どなたが名付けたのでしょうか、ね。ついでながら、この拙文を広げて30枚ほど、或る雑誌に書きます。
♪
(読者の声4) サブプライムローンの破綻が恐慌にまで発展するのか、宮崎正弘先生の見解を早急に伺いたいと思っております。
(HU生、大阪)
(宮崎正弘のコメント) 昨日も或るメーカーさんの新年会で講演に呼ばれ、この問題で、90分熱弁をふるって参りました。
近く、講演要旨を掲げるか、したいと思います。
台湾取材のまとめをしているため、ちょっと国内経済の現場ニュアンスがつかめずにいたのですが、昨日たまたま講演のかえりに出席した『全国竹村会』(竹村健一氏の勉強会)の懇親会で、来賓にきたのが安部前総理、塩崎前官房長官、町村現官房長官、渡辺喜美(金融担当)大臣。それに中川昭一氏ら。会場には経済評論家の三原淳雄氏も居合わせ、話題は当然、サブプライム一色です。
簡潔に言えば、世界のそうそうたる投資家、投資銀行がシティ、メリル、モルガンなどの「救済」に入りました。合計500億ドルがウォール街に注がれます。乗り遅れた日本も「みずほ銀行」が12億ドル強(1400億円)をメリルリンチに出資し、ようやく、ゲームに参加する意欲を見せました。邦銀は、このみずほの『決断』に追随するでしょう。
またバーナンキFRB議長は利上げを宣言しておりますので、あるいはこれでサブプライム問題は一段落へ向かうのではありませんか?
ただ個人的に残念なのは、日本の金融機関が旺盛だったおりに微罪で大和銀行を起訴し、ついに在米大和銀行の攻撃から、日本に金融恐慌を引き起こさせ、BIS規制を押しつけ、要するにライバルをけ落としたのがウォール街でした。
その前にもウォール街が中南米への焦げ付きで危なかった折にも、住友はゴールドマンサックスへ500億円を出資したりして、ライバルを救った。
だが、バブル崩壊後の日本で倒産する山一証券を救出せず、底値を買いたたいたのがメリルリンチでしたね?
日本には「敵失」に立ち向かう、つまりライバルを蹴落とすというゲーム感覚がないのです。
越前谷儀仁『デビルドッグ』(並木書房)
@@@@@@@@@@@@@@@@@@
日本人でありながら米国海兵隊の一員として、イラクへ行って実際にテロリストたちと戦った男がいる。
米軍最強軍団「海兵隊」の正式な戦闘員となって、著者は激戦のあったファルージャへ赴いた。死と隣り合わせの軍に、なぜ、この日本の若者があこがれたのか?
本書は米海兵隊日本人伍長が実体験を綴ったイラク戦記でもあり、思わず引き込まれて、一気に読んだ。
著者は千葉県の武骨な高校に通いながら、軍関係の雑誌を読んで、いつかフランス外人部隊に入ろうと考えていたという。漠然と、つまらない、平坦の人生より、そこに「何かがある」と直感的に行動をおこす性格のようだ。
母親が「高校だけは卒業しておくれ」と言った。高校を中退してまでのフランス外人部隊行きは見送った。
越前屋くんは高校を卒業後、まずは自衛隊へはいった。
もっとも激しい訓練をする空挺部隊を志願し、四年いた。除隊し、グリーンカードを取得して米国へ渡る。自衛隊をやめるとき、そのことはいえなかったと正直に書いている。
米国へ渡りアルバイトをしながらチャンスを待っているうちに、911テロに遭遇した。
「いまこそ、海兵隊へ」、躊躇なく入った。
一直線の人生だ。
過酷な入隊訓練を繰り返しながら、やがてアフガニスタン赴任と思いきや、所属部隊は急遽、イラク派遣となった。
アフガニスタンから、米国はイラクへと戦争を拡大させていた。イラクの戦闘現場に二回に亘って派遣され、合計一年近くを戦い、米国へ戻って除隊した。
だが、友人が歓迎パーティをしてくれても違和感を抱いた。「自分の居場所はなかった」。
嗚呼、このあたりの記述は「現代版ランボー」ですかね?
これから新しい人生、いかなる試練に遭遇しようとも、この著者なら危機を乗り切って、面白い人生を送るのではないか。日本にくすぶっているよりアメリカ軍には素敵な人生の鍛錬と修養の場でもあったようだ。
軟弱な徒、口舌の徒は、この本を読まない方が良い。
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△
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(読者の声1)貴誌昨日付けのコメントで、 「日本の金融機関が旺盛だったおりに微罪で大和銀行を起訴し、ついに在米大和銀行の攻撃から、日本に金融恐慌を引き起こさせ、BIS規制を押しつけ、要するにライバルをけ落としたのがウォール街でした。
その前にもウォール街が中南米への焦げ付きで危なかった折にも、住友はゴールドマンサックスへ500億円を出資したりして、ライバルを救った。だが、バブル崩壊後の日本で倒産する山一証券を救出せず、底値を買いたたいたのがメリルリンチでしたね?
日本には「敵失」に立ち向かう、つまりライバルを蹴落とすというゲーム感覚がないのです」。
と書かれてゐました。
全くその通りで歯がゆいばかりです.「世界は悪意に満ちてゐる」とは高山正之氏の名言ですが,唯一の例外が日本なのかもしれません。
あと何十年かすればエゴイズムの衝突に疲れた世界がこの日本の美徳に気が付き,見習はうとするかもしれません。
しかしそれまでこの国が持つかどうか.
(NN生,横浜市)
(宮崎正弘のコメント) なんとか、持たせるよう皆で努力したいものです。高山さんの本は「世界は腹黒い」(高木書房)では?タイトルではなく、名言とすれば、まさしくそうですが。。。
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(読者の声2) 読者の声2の尼崎のKI生さんへの宮崎先生のコメントが無いのは、ここで、みんな一緒になって考えようといわれているのだと勝手に推測し、「7月末の日本の南部仏印進駐は、どのように解釈されていますか」という設問に対して回答したいと思います。
「KI生」さんは、その当時のアジアにおける植民地の状況をご存知だと思いますが、当時1940年の6月にはパリがドイツに占領され、ベトナムは、本国の支援の得られない不安定な状況にありました。
インドネシアや、香港、ミャンマー、インドも同じような状態で、アジアの諸国が独立運動をするには最高のタイミングだったと思います。
しかし長年の植民地政策(愚民化政策)のため、東南アジア各国の統治組織が有効ではなく、そのため、日本が台湾で成功したような政府組織を各アジアの国にも植えつけようとしたのだと思います。
もし日本が進駐しなければ、間違いなくアメリカがその跡目を狙って、アジアに対しての確固たるプレゼンスを築いた事だと思います。
そうすれば、フィリッピンの二の舞となり、アジアから白人を追い出すという一つの目的は達成できません。
(この考えは松岡洋右がアメリカ留学時に体験した人種差別や、樋口季一郎少将がヨーロッパにいた時にユダヤ人に対する差別。古くは高杉晋作が上海で見たイギリスの中国人に対する横暴さなどから当時の指導者層に根強くあったと思います)
もう一つの目的は、当然、天然資源の確保にあったと思います。
その頃の天皇陛下は何とかアメリカとの開戦を避けたいと心を砕いておられましたし、近衛・ルーズベルト会談を模索した時期でもあったようです。
アメリカがどうしても日本を戦争に引きずり込みたかったのは、これを機にアジアでの植民地を増やしたかったからで、地政学的に見ても、東南アジアを押さえるということは、中東の油田からのシーレーンの確保にもなり、アメリカのアジア経営がより一層やりやすくなるからです。
禁輸してABCD包囲陣なるものを形成したのは、資源さえ絶ってしまえば日本は干上がるし、暴発しても今ならとめられると思ったのでしょう。
世界各国を巻き込んでの大戦は、一つの利害だけで図ることはできませんが、児玉源太郎や伊藤博文のような大局を見通せる政治家がいたら、もっと違っていたのではないかと思います。
(MI生)
(宮崎正弘のコメント) すみません。代弁していただいたようで。。時間がないので、小生のコメントはいずれ。
♪
(読者の声3) 大東亜戦争の背景と共産主義勢力の浸透について:
『大東亜戦争とスターリンの謀略』(三田村武夫著)が紹介されていましたが、以下のブックレットも参考になります。
「歴史の書き換えが始まった」~コミンテルンと昭和史の真相~(中西輝政・小堀桂一郎)
購入申し込み先:日本会議事業センター(TEL03-5428-3723、FAX 03-5428-3724)
この本は、一般書店では購入できないかもしれません。
同書は、「大東亜戦争とスターリンの謀略」はもちろん、最近公開された米ソの機密資料などをもとにコミンテルンが如何に日本を開戦・敗戦に引き込んでいったかをあぶり出す良書だと思います。
朝日新聞が共産勢力に乗っ取られたのは、戦後の共産化ではなく、それ以前であり、大陸への侵攻、南進、対米開戦などをあおった世論形成は共産勢力による日本敗戦革命工作の一端であったとすれば合点がいきます。
民主主義勢力(日米)は全体主義国家(コミンテルン)の工作に如何に弱いかということ。歴史観の変わる1冊となると思います。
(H生、神戸)
♪
(読者の声4) いつも卓越した、本物のニュースの配信有難うございます。
先生の本はほとんどすべて、取り寄せて、勉強させていただいております。
ご紹介のありました御新刊「崩壊する中国逃げ遅れる日本」 アマゾンでは在庫切れになっていますが、未だ出版されていないのでしょうか?
貴誌2030で配信されました、華南地区軽工業工場の倒産、移転ですが、先日東莞の日系の雑貨の工場の方が来まして、その話になりました。
靴工場は原料供給の、皮屋(ほとんどが零細で、大手は数えるほどしかない)が、最近の環境問題に対処できず、廃業または中国内陸へ移転してしまったので、操業が出来なくなったそうです。
以前のお目こぼしも、今回は色々な毒産品の問題で、汚水処理施設など改善が出来ないところは、潰れても止む無しの姿勢になったようです。また新しい労働法により、1ヶ月(だと思いますが)でも働いた場合、今までのように、簡単に首に出来ず、以前は実質650元位だった工賃が、倍近くの負担になるので、採算が全く合わなくなったようです。
玩具工場も、同様でしょう。
また、伝聞として教えてくれましたが、日本の大手衣料向けの工場はベトナムへの生産移行を強く言われているようです。日本側の説明はアメリカの”チャイナフリー” と同じ理由だそうです。
ベトナムもすぐ同じようになると思いますが。
この日系の工場は、当初より高級品の製造に特化していますので、工賃など、諸条件も格段に良く、やめる者もほとんどなく、工賃も周囲が自分たちの水準に近くなってきただけで、何の影響もないようです。材料も輸入材が多く、熟練工を大事にして、いいものを生産しています。
こういう工場は雑貨の工場ではめずらしいと思いますが、安定、安心して使えるので、大事にしています。
(香港読者)
(宮崎正弘のコメント) ご指摘のようにベトナムは中国人で溢れ出しました。ラオス、ミャンマーは中国の経済植民地です。
ならば次は? バングラデシュとスリランカ、そしてパキスタンでしょう。中国人はどのような危険が待ち受けようともカネのためなら平気で進出します。いや、現に数万社が進出済みですが、日本企業はどうでしょうね?ところで拙著新刊は近日中に香港の書店にも出回ると存じます。
♪(読者の声5) 最近、物議を醸したG社が中国で製造した3万円近くもする高機能地球儀は、マーカーを当てると音声ガイダンスでその国のことをいろいろ教えてくれるスグレ物です。
地球儀というと思い出すのが、小学生低学年の時親に組み立て式の地球儀キットを買って貰ったことです。
コート紙に印刷された紡錘形の紙片を切り取って経線を合わせながら球形のプラスチックに、糊で貼り付けて作製するのです。手作りの地球儀ですから大切にし、机に置いて毎日眺めつつ擦っていました。
さてG社が醸した物議というのは、台湾国を「台湾島」と表記し、中国と同じ色で塗ったということです。これは“中国政府の指示に従った”結果だというのですからまことに分かり易い原因です。
これ以外にも帰属先が未定の無主地であるはずの樺太の南半分や北千島列島(北方領土より北)をロシアと同じ色分けにしているそうですから、面妖な会社ではあります。
いずれにしてもG社は“中国政府の指示に従った”と明言しているのですから、ウソではないでしょう。ならば、G社の顰に倣って中国批判を繰り広げている言論誌は、コストも安いし中国で編集作業をすればよいでしょう。
中国政府の癇に触れる内容について書き直しを命じられたら、その部分の字体をゴチックに換えて“中国政府の指示に従った”として書き直す前の部分と併記すればそれだけで話題になります。部数の落ちている雑誌は一度検討してみては如何でしょう。
(有楽生)
(宮崎正弘のコメント) そうそう。台湾で、この問題、「自由時報」だけが、カラー写真を大きく配して報道しました。
国民党系の「連合報」と「中国時報」には小さな記事をさえ発見できませんでした(すくなくとも小生の台湾滞在中は。。)。。。。
中華思想統一組から言えば、「なんで日本人がそんなことで騒ぐの?」という感じでしょうね。台湾を支配した外省人の地理感覚はまさに「台湾島」ですよ。この点で北京政府と通底するものがあります。
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「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年) 1月17日(木曜日)
通巻第2053号
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世紀の愚挙か、大冒険か。
中国がトルクメニスタンとの間にパイプライン敷設、190億ドル
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誰もやらないことを真っ先にやるのがチャレンジ精神とはいえ、この世紀のプロジェクトには地政学的な不安がつきまとう。
さきに中国は新彊ウィグル自治区に噴出する天然ガスを、えんえんと4200キロものパイプラインを敷設して上海に繋いだ。
つぎに新彊ウィグルの隣にひろがる資源大国=カザフスタンとのあいだに鉄道を繋ぎ(91年)、パイプラインを繋いで(05年)、石油とガスを輸入し始める。さらにカザフからウズベキスタンを超えて、砂漠の奥地、トルクメニスタンとの間に、ガス輸送の契約をなした。引退した呉儀前副総理が責任者だった。
このためのパイプラインは総延長6000キロ。
この世紀のプロジェクトにペトロチャイナは190億ドルの正式に出資を決めた(ヘラルドトリビューン、08年1月17日付け)。
1000立方メートルあたり195ドルという国際価格より高いガス代金となるが、これで2010年より、トルクメニスタンのガスは、中国を東西に横断し、上海の南、広東地区へと輸送されることになる。
ところで、ペトロチャイナの株価、昨年11月のピークから30%の値下がりを示している。
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(読者の声1) 貴誌2052号、尼崎のKI生さんへ。
――数年来、「なぜ、日本は対米英蘭戦を決断実行したのか?」を自習しておりますが、 いまだに「明白な自衛戦争であった」という確信には達しおりません。
ご教示願えれば幸甚です」とありますが、小生も長年この課題を持ちながら本を読んでおりました。
そして、最近やはりこれは明白な自衛戦争だと確信しました。
その理由は、
1.1840年のアヘン戦争前後から活発化した東アジアへの欧米列強の植民地政策
2.ロシア帝国のヨーロッパでの行き詰まりと日露戦争
3.自分の利益しか考えない中国大陸における内戦の激化と日本の安全保障
4.ソ連の満州への進出意図
5.ソ連の赤化革命の中国への移入
6.宋美齢によるアメリカの世論操作(親中国派のルーズベルト)
7.大東亜共栄圏構想による植民地の独立の懸念
などがあげられます。
一つ一つ書くと長くなるので、割愛しますが、日本が戦争したのは、いやさせられたのは後ろで糸を引くソ連などの共産主義勢力のせいだと思っております。
(MI生、福岡)
(宮崎正弘のコメント) 三田村武夫氏の書いた『大東亜戦争とスターリンの謀略』という本も、良書です。思い出しました。これは復刻版が自由社からでています。
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(読者の声2) 昨日の設問に「(宮崎正弘のコメント) 大東亜戦争は自衛の戦争で、マッカーサーさえ戦後の米議会公聴会で、そう証言しています。「もし私が日本の立場に立てば、 間違いなく自衛のためにたちあがったでしょう」と元帥」とありました。
下記はネット検索からの貼り付けですが、[編集] マッカーサーのアメリカ議会証言録引退後の1951年5月3日、上院軍事外交共同委員会で朝鮮戦争における中華人民共和国へ対しての海上封鎖戦略についての証言の中で、 They feared that if those supplies were cut off, there would be 10 to 12million people unoccupied in Japan. Their purpose, therefore, in going towar was largely dictated by security.[4]と答弁した。
この発言に関して小堀桂一郎は「これらの原料の供給を断ち切られたら、一千万から一千二百万の失業者が発生するであらうことを彼ら(日本政府・軍部)は恐れてゐました。したがつて彼らが戦争に飛び込んでいつた動機は、大部分が安・u桿@・歉磴良・廚貿・蕕譴討里海箸世弔燭里任后廚般・靴討い・・!)皀拭.泪奪!)璽機爾蓮!)里!)法崙!)椶蓮!)臧!)!)◆兵!)駝韻痢烹咤釘達妝劭稗圍戮里燭瓩法∪鐐莵坩戮貌!)辰拭廚畔鴇絮^儖!)颪脳赦贈横暁!)望攜世靴討い泙后!)!)
これは、昨今公知の史実です。
私はここで、では、「米国は、いかなる理由で、対日戦争に入ったのか?」を考えざるをえません。
彼らの自国のSECURITYのために、対日戦争に即時に応じたのである、と判定します。
また私は、「日米は8月1日の米国による、「(全枢軸国への)全面的な石油類の禁輸発令」により、実質的には、米国による(対日)宣戦布告がなされている」と考える論者ですが、日本の対米英蘭への開戦は、「明白な自衛戦争であった」という論者には、「では、貴方は7月末の日本の南部仏印進駐は、どのように解釈されていますか?」という設問を呈さざるを得ないのであります。
(KI生、尼崎)
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(読者の声3) 日本国内の読者のみならず海外の貴誌読者からも、第2050号に掲載された「憂国の賦」に共鳴共感している聲が引きも切らず寄せられています。
いつもの淡々とした情報報道ではなく、宮崎さんのお気持ちを籠めたウェットなトーンが読者の心を揺さ振ったと忖度します。よい意味でドライな貴誌ではエポック・メイキングな内容でした。
その中の一節に「ベンツャー精神? 過去二十年間で、世界に名だたるベンチャーの日本での成功例はソフトバンクくらい」とありました。ソフトバンクは孫正義の企業で、彼の差配するヤフーの検索エンジンに「大東亜戦争」と入れると太平洋戦争のタイトル画面が現れ、在日朝鮮人のサイトに繋がります。
そんな在日外国人の実業家しか日本において世界に伸していないことに憾みを遺します。
宮崎さんの憂国の情が不束な私にも伝わります。日本のこの平和状態、実は混沌でありカオスなのですが、それが破られたときにようやく日本人は目覚めて起つのでしょう。それが遅いとは思いません。日本人の本性なのですから。
そんなよい国に生まれ育ったしあわせを感じております。
(HN生、品川)
(宮崎正弘のコメント) 「憂国の賦」ですか。どなたが名付けたのでしょうか、ね。ついでながら、この拙文を広げて30枚ほど、或る雑誌に書きます。
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(読者の声4) サブプライムローンの破綻が恐慌にまで発展するのか、宮崎正弘先生の見解を早急に伺いたいと思っております。
(HU生、大阪)
(宮崎正弘のコメント) 昨日も或るメーカーさんの新年会で講演に呼ばれ、この問題で、90分熱弁をふるって参りました。
近く、講演要旨を掲げるか、したいと思います。
台湾取材のまとめをしているため、ちょっと国内経済の現場ニュアンスがつかめずにいたのですが、昨日たまたま講演のかえりに出席した『全国竹村会』(竹村健一氏の勉強会)の懇親会で、来賓にきたのが安部前総理、塩崎前官房長官、町村現官房長官、渡辺喜美(金融担当)大臣。それに中川昭一氏ら。会場には経済評論家の三原淳雄氏も居合わせ、話題は当然、サブプライム一色です。
簡潔に言えば、世界のそうそうたる投資家、投資銀行がシティ、メリル、モルガンなどの「救済」に入りました。合計500億ドルがウォール街に注がれます。乗り遅れた日本も「みずほ銀行」が12億ドル強(1400億円)をメリルリンチに出資し、ようやく、ゲームに参加する意欲を見せました。邦銀は、このみずほの『決断』に追随するでしょう。
またバーナンキFRB議長は利上げを宣言しておりますので、あるいはこれでサブプライム問題は一段落へ向かうのではありませんか?
ただ個人的に残念なのは、日本の金融機関が旺盛だったおりに微罪で大和銀行を起訴し、ついに在米大和銀行の攻撃から、日本に金融恐慌を引き起こさせ、BIS規制を押しつけ、要するにライバルをけ落としたのがウォール街でした。
その前にもウォール街が中南米への焦げ付きで危なかった折にも、住友はゴールドマンサックスへ500億円を出資したりして、ライバルを救った。
だが、バブル崩壊後の日本で倒産する山一証券を救出せず、底値を買いたたいたのがメリルリンチでしたね?
日本には「敵失」に立ち向かう、つまりライバルを蹴落とすというゲーム感覚がないのです。