チュウゴク人によれば、“中国富裕論”は、有害です。なぜなら、、、。 | 日本のお姉さん

チュウゴク人によれば、“中国富裕論”は、有害です。なぜなら、、、。

▼中国識者討論「“中国富裕論”は有害か」を読み解く (大島 信三)
最近の各紙の経済ニュースは、どこも中国経済の好調を伝えています。ご存じのように1月11日、中国税関総署は、中国の2007年の貿易黒字額が2622億ドルで、前年比で47・7%増だったと発表しました。輸出入をあわせた貿易総額は、2兆1738億ドル(前年比23・5%増)で、これはアメリカ、ドイツにつぐ第3位だそうです。



また、2007年の世界主要企業の株式時価総額ランキングでは、上位500位までの企業数で、中国勢が、日本勢を追い越したとか。前年、8位だったトヨタが、今回は21位になったので、日本企業は、トップ10位から姿を消し、逆に中国は、1位・中国石油天然気(ペトロチャイナ)、4位・中国移動(チャイナモバイル)、5位・中国工商銀行、8位・中国建設銀行、10位・中国石油加工(シノペック)と、5社も顔をそろえ、アメリカの4社を上回ったそうです(日本経済新聞1月13日付朝刊)。



もうひとつ、注目すべきニュースがあります。サブプライムローンの損失で体力を失った米大手銀シティグループに、サウジアラビアの著名な大富豪、アルワリード・ビンタラル王子らとともに、中国国家開発銀行が約20億ドルほど出資するというのです(日経1月12日付夕刊)。中国国家開発銀行は、すなわち中国という国家そのものであり、それがアメリカの民間企業に救済の手を差し伸べるなど、これまでは想像もつかないことでした。



こういうニュースが伝わる直前の1月10日夕刻、NHKのBS7「アジア・クロスロード」で、香港PHXの時事討論会が放映されましたが、偶然にも、今回のテーマは、<“中国富裕論”は中国にとって有害か>というものでした。もっとも、中国が豊かになったという事実は、冒頭のような景気のいい数字が公表されなくとも、すでにだれの目にも明らかです。ただ、こういうテーマが選ばれたのは、なかなか意味深いものが感じられます。



このテーマから、いろいろな見方ができると思います。中国は豊かになっていない、という意識が、中国人に根強くあるのではないか、という視点もありましょう。あるいは、中国政府もまた、国民の間に金持ち気分が蔓延するのを警戒しているのではないか、とみることもできます。なぜなら、改革開放で、いちばん恩恵をうけたのは、中国という国家そのものともいえるからです。果たして、そういう意見が登場するかどうかに、耳をそばだててみたいと思います。いずれにしても、討論の端々(はしばし)から、中国の官と民の微妙なズレのようなものを察知してみましょう。



自分の国は、こんなに豊かになった、というのは、洋の東西を問わず、誇りでこそあれ、すこしも卑下することではありません。しかしながら、全土をあげて声高らかに富裕宣言をできないところに、中国の悩みがあります。鄧小平は、「先富論」という看板をかかげて、改革へと突入しました。かんたんにいえば、まず、富めるものから、金持ちになろうという作戦です。これは成功し、どんどん富豪が誕生したのですが、いまだに富者どころか、満足に生活もできない貧者がたくさん残ってしまいました。これからは、「先富論」ではなく、みんなが金持ちになる「共同富裕論」が、中国政府の目標です。しかし、これは容易なことではありません。



こういう中国のジレンマは、すでに十分に知られていることですが、中国の識者は、それをどう乗り越えようとしているのか。そういった点にも留意しながら、議論に耳を傾けてみたいと思います。今回の出席者は、博士の王奔氏、大学教授の何舟氏、記者の紀碩鳴氏です。いずれもどこの大学、どこのメディアに所属しているかはわかりません(司会は、程鶴麟氏)。また、今回は、識者の言い分もさることながら、中国の視聴者がどう反応するのか、これまで以上に関心があります。



司 会 時事討論の時間です。きょうのテーマは、<“中国富裕論”は中国にとって有害か>です。最初に視聴者のメールを紹介します。タイトルは、<金持ちはすばらしい>です。

「金持ちになれば、いつでも台湾を統合できるし、いつでも日本をバッシングできる。ヨーロッパにも、アメリカにも好きなときに行けるし、往復の飛行機もチャーターすることができる。ベンツとBMWを買い、2台つらねて走らせることもできる。ブッシュやブラウンを好きな時間に訪問し、チャベスとビーンラディンをお供につけることもできる」

では、討論をはじめて下さい。



王 奔 “中国富裕論”は、いまになって出てきた話ではありません。90年代の半ば、世界銀行が、中国の経済力を調査しました。その結果、中国の経済規模は、世界第3位、ないし第4位のレベルに近づいているとの結論が出されました。しかし、これから2月もすると、こうした評価の声は、まったく聞かれなくなりました。なぜなら、実際の中国の経済力は、世界銀行の調査にはるかに及ばないレベルにあったからです。

今回、アジア銀行がふたたび同じような調査をおこない、1日の消費額が1ドルに満たない人を貧困層とすれば、中国にはその貧困層が3億人もいることになります。世界銀行の調査では、数千万人ということでした。つまり、同じ方法で調査したにもかかわらず、まったくちがう結果が出た、ということです。国内の世論調査では、中国が、ドイツと日本を抜き、世界で2番目の経済大国と考えている人がふえていますが、わたしは、そのような考え方は、中国にとって有害だと思います。

理由は、3つあります。

第1に、こうした考え方は、GDP(国内総生産)至上主義を助長します。GDPが伸びること、イコール経済が強くなること、という誤解を招きかねません。GDPの重要性をことさら強調している人たちは、中国がGDPを引き上げるために大きな代償を払っていることを完全に無視しています。

第2に、現在の“中国富裕論”は、1950年代末に中国全土に広がっていた大躍進と呼ばれる産業推進キャンペーンと、どことなく似ています。当時は、アメリカとイギリスを追い越せという、国のスローガンが至るところで聞かれました。いまは、ドイツや日本を追い越せというムードが高まっています。こうした考え方は、左寄りの経済理論から大きな影響をうけたものです。中国の経済発展にとっては、きわめてマイナスだと思います。

第3に、“中国富裕論”が出てきた背景を考える必要があります。発展途上国のリストから中国をはずすことで、中国に経済的な義務と、大国としての責任を負わせようとする国際社会の動きがあることは、否定できません。これも中国の発展には、マイナスだとわたしは、思います。



何 舟 王さんに反論します。まず、王さんは、いくつかの概念をごちゃまぜにしています。“中国富裕論”について議論すべきなのに、終始、中国は世界第2位の経済大国になったかどうかについて話をしています。また、経済規模について、一人あたりの収入や消費を基準にしているのも適切ではありません。中国が豊かになったかどうかは、国民全体の経済力で判断すべきです。GDPは、国の経済力を評価するための唯一の基準ではありませんが、重要な基準であることにはちがいありません。実際、中国の経済力はかなり伸びており、経済規模では、世界第3位、ないし第4位です。王さんは現在の状況は、大躍進の時代のように左寄りの経済理論が台頭しているとおっしゃいましたが、それはちがうと思います。数十年にわたる努力が、飛躍的な発展につながったのです。

ここ20年間、中国は、ほぼ2桁の経済成長を維持しています。これは、大躍進の時代のように、人為的につくられたデータではなく、確実な成長がつづいた結果です。中国政府は、「安定的な経済成長が望ましい」と再三強調しており、過熱気味ともいえる経済成長を冷静に抑制しようとしています。わたしは、“中国富裕論”が、中国の発展に有害だとは思っていません。経済力があるわけですから、大国としての責任を果たすのも当たり前のことです。

中国は、経済発展のために大量の資源を使っています。世界の経済や環境にも多大な影響をあたえる国になりました。しかるべき役割を果たすのは、当然のことだと思います。



紀碩鳴 わたしは、3つのレベルから、この問題をみるべきだと思います。まず中国が豊かになることは、中国にとって無害であり、つぎに世界にとっても無害であること。そして、ここにいる皆さんにとっても、無害であること。この考えに賛同できるなら、中国は、世界の脅威だといわれようと、相手にしなければいいのです。

王さんは、中国には、問題が山積し、一人あたりのGDPもまだ低いとおっしゃいましたが、それはべつの問題です。たとえば、アメリカのような超大国であっても、サブプライムローンやドル安といったさまざまな問題を抱えています。それでも、アメリカの超大国としての地位は、揺るぎません。

何さんのおっしゃったように、中国は、経済大国として台頭しつつあります。これは、まぎれもない事実です。

また、さきほどの世論調査は、中国は、経済大国なのか、だけを聞いたわけではありません。ヨーロッパの市民のなかには、アメリカを軽視し、これからは、ますます中国が大きな力をもつようになると考える人たちも多いのです。

このような流れから、3つのことが、読み取れます。

第1に、中国の総合力が見直されている。

第2に、中国に対する期待が高まっている。さらに、大きな役割を担ってほしいという期待感があります。

第3に、国際社会における中国の存在感は、さらに高まっている、ということです。

つまり中国は、単に経済的に豊かになっただけではなく、総合的な国力が高まり、大国としての責任を果たさなければならない。それが、一般的な見方になっているのです。



司 会 中国は、一目おかれていますね。



王 奔 一目おかれているかどうかは、関係ありません。紀さんは、さきほど、どういわれようと、自分の道を歩めばいいと、おっしゃいましたね。その考えには、賛成ですが、いま議論しているのは、“中国富裕論”です。中国は、ほんとうに豊かになったのか。強くなっているのか。もっと責任を担うべきなのか。これがポイントです。中国は、世界で2番目の強国になったのでしょうか。それはそれで議論すべきことでしょう。でも、問題は、中国は、まだ、それほど強くはなっていないということなのです。



司 会 ここで、視聴者の投票結果をみてみます。

<“中国富裕論”は、中国にとって有害か>

有害である………89%

有害でない………11%

視聴者からは、つぎのようなメールも届いています。

「きょうは、意見がわかれすぎて、議論にならない」

たしかに、偏っていますね。つぎは、福建省の方からのショートメールです。

「中国は、豊かになっていない!」

つづいて、浙江省の方からです。

「金持ちは、自分で金持ちだとはいわないし、人からもいわれたくない。うぬぼれやすい人だけが、真に受けてしまう」

もうひとり、こんどは北京の方からです。

「貧乏だといわれると、見下されたとひがみ、豊かになった、といわれたら、貧乏だと反発する。中国人の度量は、ほんとうに狭い」

それでは、皆さん、議論をつづけて下さい。



王 奔 中国にとって、“中国富裕論”は、有害です。中国の実情と合致して、はじめて無害といえるのです。そう考えている人は、外国にもいます。西に1000キロ行けば、真の中国がわかります。北京や上海、広州、深圳(しんせん)だけをみてはいけません。

たとえば世界的にも有名な三峡ダムに行って、ダム建設のために移住を余儀なくされた人たちの生活をみるべきです。中国が、第2位の経済大国でないことは、多くの例が証明しています。



紀碩鳴 もちろん、中国には、ほかにも多くの問題があります。ひとつ、例をあげて説明します。中国最大の鉄鋼グループである上海宝鋼集団の総資産を従業員数で割ると、一人あたりの資産額は、王さんの資産額より下回ります。また、リストラや賃上げ、住宅など多くの問題をかかえています。それでも、この鉄鋼グループが、世界ベスト500に入る企業という事実に変わりはないのです。



王 奔 企業と国を一緒に論じるべきではありません。



紀碩鳴 そんなことはありません。わたしは、いま、まぎれもなく国の問題について議論しています。有害か、無害かは、中国が、自分のことをどうみているかで、ちがってくるのです。豊かになったから、尊大に振舞ってもいいと考えるのか、それとも大国としての責任を自覚し、努力するのか。それが重要です。 



何 舟 20~30年前にくらべれば、中国が豊かになったことは、まちがいありません。



司 会 たしかに、そのとおりです。



何 舟 数千年の歴史のなかでも、いまがもっとも豊かな時期だといっても過言ではありません。



司 会 昔との比較は、やめましょう。



何 舟 他の国とくらべても、中国のGDPは、かなり上位に位置しています。中国の人口は多く、その市場は巨大ですから、経済のみならず、文化面での発展においても恵まれた環境にあります。かつては、人口の多さを負担とみなしていましたが、いまや経済発展の原動力と認識されています。中国の経済は、小さな国をはるかに上回るスピードで伸びています。国際社会における影響力も大きくなっています。各国が、人民元の引き上げを強く求めていることも、中国の通貨の強さを物語っています。多少、インフレの要素があったとしても、人民元の強さは、ほんものだと、わたしは思います。

さきほど、1日1ドルの消費額という基準が話に出ましたが、中国でも、1ドルではたいしたものは買えません。また、西へ1000キロ行けば、貧困に苦しんでいる人がたくさんいるとおっしゃいましたが、貧富の差は中国本土だけの問題ではありません。香港にも、まずしい人はいます。



王 奔 GDPについて、すこし説明させて下さい。ここ10数年で中国は発展し、GDPも急速に伸びました。しかし、その裏には、いくつかの問題点があります。

まず、政府による投資額が、大きすぎます。政府の投資額の伸びは、毎年、10%を超えていますが、これは正常ではありません。20%の消費増加とひきかえに、10%に満たないGDP成長率を手に入れるなんて、問題です。

つぎの問題点は、省エネルギー政策です。2001年、政府は、第10次5か年計画で、一人あたりGDPに対するエネルギー消費を20%削減という目標をかかげました。しかし、達成できたのは、中国全体で北京だけです。中国のエネルギー消費の削減目標は、日本のおよそ半分、アメリカのおよそ3分の1にあたります。それは、同じ量の石油で、ある人は、1ドル稼ぐのに、われわれは50セントしか稼げないのと同じことです。つまり多くのエネルギーを消費して、ようやく高いGDPを記録しているのです。

3つめの問題は、環境問題です。首都の北京を移転するという噂が流れています。黄砂(こうさ)がひどいからです。もちろん、これは単なる噂ですが、中国の環境破壊は深刻です。上海や江蘇省など、経済が発展した地域では、同時に深刻な公害問題も起きているのです。江蘇省の当局は、湖の水質をよくするためには、GDPが15ポイントさがっても仕方がないと話していました。つまり、GDPの成長と環境保護は、両立しないということです。



紀碩鳴 「GDPの成長と引き換えに汚染対策をやる」といえるのも、豊かになった証(あか)しです。豊かでなければ、ここまで言い切れません。



王 奔 ちがいます。汚染対策は、将来への投資なのです。



識者討論で、いちばん驚いたのは、<“中国富裕論”は、中国にとって有害か>というアンケートに、「有害である」と答えた視聴者が、89%にものぼったことです。これについて、討論に参加した識者の感想を聞きたかったのですが、だれからもコメントがなかったのは、残念でした。この数字をどう解釈したら、よいのでしょうか。中国の一般庶民の多くは、まだ、貧しいのだ、という見方もあるでしょう。ただ、こういうテレビのオピニオン番組の視聴者は、生活レベルも高く、とても「未富者」とは、思えません。むしろ、多くは、「先富者」であり、「未富者」を意識した結果が、こういう数字になったのではないでしょうか。言い換えれば、そこには、中国格差社会の、途方もない隔たりが暗示されていると、読み解くことができると思います。
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ようちゃんの意見。↓
★貪欲な中国は、国全体のレベルでは今や、世界一位の金持ち国とは認めたくないのです。日本が世界第二位の経済国と言われた10数年前のバブル崩壊直前の時にも、 国民の中の貧しい層は、やはり多数抱えたままで、その底辺にまで、恩恵は行き渡りませんでした。経済一位と なったら、其れ相応の責任の負担を世界から求めれるのが 嫌だと思ってる事は明白だし、日本から金を引き出せなくなる事は、一番困ると、はっきりしてる。まだまだ、足りないモノだらけと、一層世界から資源争奪を図るでしょう。