「もし私が日本の立場に立てば、 間違いなく自衛のためにたちあがったでしょう」マッカーサー元師
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成20年(2008年) 1月16日(水曜日)
通巻第2052号
宮崎正弘 新刊 『崩壊する中国、逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ)
定価1600円プラス税
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4584130485/ref=pe_2102_6899252_pe_snp_485
(上記のサイトから注文できます ↑)
♪
(読者の声1) 貴誌15日付けの読者「MC生」さんに、質問があります。
――「大東亜戦争は明白な自衛戦争であり大義名分は既に明らかである。
「明白な自衛戦争であった」、という点を、簡略にご説明お願いします。
数年来、「なぜ、日本は対米英蘭戦を決断実行したのか?」を自習しておりますが、 いまだに「明白な自衛戦争であった」という確信には達しおりません。ご教示願えれば幸甚です。
(KI生、尼崎)
(宮崎正弘のコメント) 大東亜戦争は自衛の戦争で、マッカーサーさえ戦後の米議会公聴会で、そう証言しています。「もし私が日本の立場に立てば、 間違いなく自衛のためにたちあがったでしょう」と元帥。
♪
(読者の声2) 貴誌2050号に今村大将のことが出ていました。
今村閣下が終戦記念の日、ラバウルの丘にて読まれた詩があります。
夕陽の海に沈むを眺めつつ
しみじみ悼む 殉国の士を
今村 均
(FF子、小平)
(宮崎正弘) 何一つ技巧のない、実直な人柄の詩ですね。うまいとか下手とか、そんなレベルではなく、ひたすら人の心を打ちますね。
♪
(読者の声3) 12日に、台湾では立法委員選挙が行なわれました。台湾の人々は過去8年間の民進党政権へ冷たい鉄槌をガツンと撃ち下ろしました。台湾の民意は、選挙において日本の民意の表れと似たところがあります。
三月の総統選挙では立法委員選挙の結果からの揺り戻しがあると予想されますが、どのくらいリバウンドするかは民進党が今回の惨敗をどう受け止めこれからの台湾をどう導きたいのか説得力を以て台湾人に闡明できるかに懸かっています。
他国のことなので見守るしかありませんが、揺り戻しに期待ばかりはしていられません。最悪の事態を想定して進めるのが外交と政治です。
天照らす神々に守られた日本人は台湾人とどう連携してゆくか。一層真剣に模索しなければならない秋(とき)が訪れていると感じます。
(HN生、品川)
(宮崎正弘のコメント) おそらく今週末、桜チャンネル恒例の三時間スペシャルは「台湾の行方」です。小生も出演予定。
放映日が確定したら、この欄でもお知らせします。
ところで、国民党勝利の夜は、小生は高雄におりました。暑い日で、28度ほど。午後八時に国民党圧勝が伝わり、その夜から台湾も寒気団におそわれました。翌日、午後に台北に入るや、冷たい雨でいまの日本のように寒かった。
♪
(読者の声4) 毎回毎回 誠に興味深く拝読且つ勉強させて頂いている遠地駐在の者です。
台湾選挙に関連してですが、当地、馬来西亞華語新聞に約1面を割いて、台湾総選挙、並びに統独問題が論評されておりました。その中に、カラー写真も日本より転送掲載されて、日本から見る台湾像の一面として報道されております。
怒髪天を突く「学研」の如き売国奴MASSゴミ会社は自社の役割もさることながら、全世界における華人人脈網の大きさ、そしてその影響度合いなど全く考慮できぬものと判断しおります。このようなMASSゴミ会社など、不買運動で、潰してしまえば、いいのでないでしょうか。
折しも昨年国連への完全独立国としての申請を行い、国としての全機能はありながら、今だ承認されぬまま、越年してしまった民族集団地域を学研はどのように考えているのか、社長自らを記者会見などに引張り出し、コメントさせたいものです。
この選挙を通じて、台湾の今後が計られる時期に、支那人5000年の饒舌に乗って、前後不覚にも、政治背景を蔑ろにして、商い優先とは、日出国 日本から本社並びに関係者全部永久退去してもらいたい気持です。
(AM生、在マレーシア)
(宮崎正弘のコメント) 与党は「国連に『台湾』名義で加盟を」と訴えています。今回は党資産問題などの住民投票でしたが、27%の台湾人有権者の賛同しか得られませんでした。台湾多数の「奴隷根性」の恐ろしさを垣間見た感じでした。台湾の各駅では「台湾の国連加盟を」の横断幕が大きく翻っておりましたが。。。。
ところで「台湾報告はまだか・」と読者からの御要望が強いのですが、先に契約したメディアの仕事を済ませなければいけませんので、いましばしお待ちください。
♪
(読者の声5) 先日、都内であった映画『明日への遺言』のプレヴューに出掛けました。
以前機上で観た『博士の愛した数式』と同じ小泉堯史監督の作品だというので期待して内容を知らずに試写会場に足を運びました。
話は戦後B級戦犯として米軍に裁かれ処刑された岡田資(たすく)中将の法廷闘争(パンフレットには「法戦」とあります)です。
裁判の模様を坦々と緻密に力強く堅牢に展開するのですが、リリカルな情感も湛えたすばらしい作品でした。
二時間近い上映時間(110分)が一時間くらいにしか感じられない牽引力を備えた作品でした。岡田東海軍司令官役の藤田まことの演技力が冴えていました。これを引き出した小泉監督の演出力も見事です。
終戦の年の五月、名古屋市街の民間人を狙い空爆した米軍機の搭乗員を捕らえた岡田中将は、戦時中の切迫した状況の中で略式手続きで彼らを、POW(戦時捕虜)ではなく無辜の非戦闘員の市民を繰り返し空爆した戦争犯罪人として、処罰し処刑した罪を問われたのです。
被告人の岡田中将・処罰に関与した将校・処刑を実行した下士官たち、数名の証人(蒼井優、田中好子、西村雅彦)、弁護士、検察官、裁判官が交互に映し出されそれぞれの主張、存念を陳べて行きます。
地味と云える展開です。しかし緊密度の高いそれぞれの発言とそれを支える役者たちの演技がスクリーンの前の観客の眼を画面に釘づけにし、時に涙を滴らせます。
上映後の会見で小泉監督は、原作の大岡昇平著『ながい旅』と当時の資料を忠実に追って作り上げただけと控えめな発言でした。
大岡氏が時代に寄り添って書いた精神に忠実に映画化しようと小泉監督が構想したのはもう十五年前だったということです。
助監督として仕えた黒澤明監督から常々「監督は前線指揮官だ」と云われていたことがこれを映画化する力になったと語っていました。
資金集めに尽力した76才のプロデューサーの方は、このままで日本はどうなってしまうのだろうという不安、心配がある。だから日本人の持っていた威厳DIGNITYを描きたかった、それは今しかないと思ったと制作意図を述べていました。
確かに反米、戦争賛美、歴史の見直しがテーマではなく、映画人にありがちな反戦平和がテーマでもありません。かつての日本人が持っていた威厳、それを支える潔さ、自己の責任を他人へ転嫁せず、部下の責任は勿論上級者の責めまで一身で負って横浜拘置所の処刑台の露となった岡田中将の姿にはかつての日本軍人の洌洌とした生きざまと日本人のすがすがしさを感じました。
会場にいたフランス人記者から、この映画を一番先に観なければならないのは威厳や責任を忘れた日本の政治家たちではないかと質問が飛んだ時には拍手が起こりました。
脚本を小泉監督と共同執筆したロジャー・パルバース氏は脚本家として二つのことを意図したと語りました。
一つは日米両国とも責められるべき戦争犯罪を行なったことだということ。
岡田中将のカウンター・パートになる米軍将校はルメイです。しかしこの戦争犯罪人は戦後日本の航空自衛隊の創設に貢献した功で勲一等に叙せられていますから、米人すら呆れています。
もう一つは連合国からの減刑の要請やGHQ内からの名誉ある銃殺刑への変更を拒絶して当初の判決の通り「死に至るまで首を吊す」処刑を断行したマッカーサー大将の思慮のなさと公平性の欠如していたことです。
岡田中将は法廷で繰り返し米軍捕虜を斬首処刑したのはリベンジ(私怨復讐)ではなく国際法を破ったことへのパニッシュメント(法的処罰)であり、斬首は名誉を留めた賜死なのだと主張して情状酌量を願い出ませんでした。
熱心に岡田中将を擁護する弁舌を奮った米人弁護士の努力は判決に結び付きませんでした。
岡田中将が唯一非難したのは連座を逃れようとした日本の司法官僚たちが、米軍搭乗員を処刑した東海軍の行為は殺人に当たるという調書を敗戦前に残しアリバイ工作をしていたことです。役人たちの性根は戦中から腐っていたことを思い知らされます。
映画『明日への遺言』はかつての日本人が持っていた威厳と潔さを今の日本人に思い起こさせ、世界の人々にも伝える、リリシズム溢れる作品です。大岡昇平氏の小説と共に後世に残る映画となるでしょう。
(有楽生)
(宮崎正弘のコメント) 当該映画、いつか観たいと思いつつ。。。。
♪
(読者の声6) 以下の投稿がありましたので意見を記します。
>(読者の声1) 貴誌第2050号に[李鵬が「やがて日本は消えてなくなる」と豪首相に放言したという逸話<
この意味は本当の戦闘を体験した日本人が死に絶えるという意味と思います。
戦争は人間の集団闘争本能を使うものなので、机上では伝承が難しいのです。そのため国軍の実戦体験は不可欠です。米国が絶えず戦争をしているのは、米軍の精強さを維持するために実戦訓練を欠かさないように配慮しているのではないか、と思います。
その意味で日本社会は自衛隊の戦死者を受け入れる精神と社会体制が必要です。
戦後、記憶喪失してエセ平和にひたってきた怠惰な日本人には驚くべきことですがそれが人間の文化なのではないでしょうか。
(MC生)
(宮崎正弘のコメント) 中国もベトナムとの戦争以来、実際の戦争をしていませんね。
あの官僚臭が強く、個人の利益を求める人たちが形成する組織(人民解放軍)ゆえに、軍隊が腐敗の固まりになって、士気が弛みきっているのも、おっしゃるような文脈では宜なるかな! です。
◎◎
宮崎正弘の新刊
『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』(KKベストセラーズ、1680円)
発売!
♪
((( 宮崎正弘のロングセラーズ )))
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
『2008年 世界大動乱』(改訂最新版、1680円。並木書房)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
◎◎ ◎◎ ◎◎
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
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(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2008 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
平成20年(2008年) 1月16日(水曜日)
通巻第2052号
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今村 均
(FF子、小平)
(宮崎正弘) 何一つ技巧のない、実直な人柄の詩ですね。うまいとか下手とか、そんなレベルではなく、ひたすら人の心を打ちますね。
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三月の総統選挙では立法委員選挙の結果からの揺り戻しがあると予想されますが、どのくらいリバウンドするかは民進党が今回の惨敗をどう受け止めこれからの台湾をどう導きたいのか説得力を以て台湾人に闡明できるかに懸かっています。
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ところで、国民党勝利の夜は、小生は高雄におりました。暑い日で、28度ほど。午後八時に国民党圧勝が伝わり、その夜から台湾も寒気団におそわれました。翌日、午後に台北に入るや、冷たい雨でいまの日本のように寒かった。
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台湾選挙に関連してですが、当地、馬来西亞華語新聞に約1面を割いて、台湾総選挙、並びに統独問題が論評されておりました。その中に、カラー写真も日本より転送掲載されて、日本から見る台湾像の一面として報道されております。
怒髪天を突く「学研」の如き売国奴MASSゴミ会社は自社の役割もさることながら、全世界における華人人脈網の大きさ、そしてその影響度合いなど全く考慮できぬものと判断しおります。このようなMASSゴミ会社など、不買運動で、潰してしまえば、いいのでないでしょうか。
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この選挙を通じて、台湾の今後が計られる時期に、支那人5000年の饒舌に乗って、前後不覚にも、政治背景を蔑ろにして、商い優先とは、日出国 日本から本社並びに関係者全部永久退去してもらいたい気持です。
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(宮崎正弘のコメント) 与党は「国連に『台湾』名義で加盟を」と訴えています。今回は党資産問題などの住民投票でしたが、27%の台湾人有権者の賛同しか得られませんでした。台湾多数の「奴隷根性」の恐ろしさを垣間見た感じでした。台湾の各駅では「台湾の国連加盟を」の横断幕が大きく翻っておりましたが。。。。
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以前機上で観た『博士の愛した数式』と同じ小泉堯史監督の作品だというので期待して内容を知らずに試写会場に足を運びました。
話は戦後B級戦犯として米軍に裁かれ処刑された岡田資(たすく)中将の法廷闘争(パンフレットには「法戦」とあります)です。
裁判の模様を坦々と緻密に力強く堅牢に展開するのですが、リリカルな情感も湛えたすばらしい作品でした。
二時間近い上映時間(110分)が一時間くらいにしか感じられない牽引力を備えた作品でした。岡田東海軍司令官役の藤田まことの演技力が冴えていました。これを引き出した小泉監督の演出力も見事です。
終戦の年の五月、名古屋市街の民間人を狙い空爆した米軍機の搭乗員を捕らえた岡田中将は、戦時中の切迫した状況の中で略式手続きで彼らを、POW(戦時捕虜)ではなく無辜の非戦闘員の市民を繰り返し空爆した戦争犯罪人として、処罰し処刑した罪を問われたのです。
被告人の岡田中将・処罰に関与した将校・処刑を実行した下士官たち、数名の証人(蒼井優、田中好子、西村雅彦)、弁護士、検察官、裁判官が交互に映し出されそれぞれの主張、存念を陳べて行きます。
地味と云える展開です。しかし緊密度の高いそれぞれの発言とそれを支える役者たちの演技がスクリーンの前の観客の眼を画面に釘づけにし、時に涙を滴らせます。
上映後の会見で小泉監督は、原作の大岡昇平著『ながい旅』と当時の資料を忠実に追って作り上げただけと控えめな発言でした。
大岡氏が時代に寄り添って書いた精神に忠実に映画化しようと小泉監督が構想したのはもう十五年前だったということです。
助監督として仕えた黒澤明監督から常々「監督は前線指揮官だ」と云われていたことがこれを映画化する力になったと語っていました。
資金集めに尽力した76才のプロデューサーの方は、このままで日本はどうなってしまうのだろうという不安、心配がある。だから日本人の持っていた威厳DIGNITYを描きたかった、それは今しかないと思ったと制作意図を述べていました。
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会場にいたフランス人記者から、この映画を一番先に観なければならないのは威厳や責任を忘れた日本の政治家たちではないかと質問が飛んだ時には拍手が起こりました。
脚本を小泉監督と共同執筆したロジャー・パルバース氏は脚本家として二つのことを意図したと語りました。
一つは日米両国とも責められるべき戦争犯罪を行なったことだということ。
岡田中将のカウンター・パートになる米軍将校はルメイです。しかしこの戦争犯罪人は戦後日本の航空自衛隊の創設に貢献した功で勲一等に叙せられていますから、米人すら呆れています。
もう一つは連合国からの減刑の要請やGHQ内からの名誉ある銃殺刑への変更を拒絶して当初の判決の通り「死に至るまで首を吊す」処刑を断行したマッカーサー大将の思慮のなさと公平性の欠如していたことです。
岡田中将は法廷で繰り返し米軍捕虜を斬首処刑したのはリベンジ(私怨復讐)ではなく国際法を破ったことへのパニッシュメント(法的処罰)であり、斬首は名誉を留めた賜死なのだと主張して情状酌量を願い出ませんでした。
熱心に岡田中将を擁護する弁舌を奮った米人弁護士の努力は判決に結び付きませんでした。
岡田中将が唯一非難したのは連座を逃れようとした日本の司法官僚たちが、米軍搭乗員を処刑した東海軍の行為は殺人に当たるという調書を敗戦前に残しアリバイ工作をしていたことです。役人たちの性根は戦中から腐っていたことを思い知らされます。
映画『明日への遺言』はかつての日本人が持っていた威厳と潔さを今の日本人に思い起こさせ、世界の人々にも伝える、リリシズム溢れる作品です。大岡昇平氏の小説と共に後世に残る映画となるでしょう。
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(宮崎正弘のコメント) 当該映画、いつか観たいと思いつつ。。。。
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この意味は本当の戦闘を体験した日本人が死に絶えるという意味と思います。
戦争は人間の集団闘争本能を使うものなので、机上では伝承が難しいのです。そのため国軍の実戦体験は不可欠です。米国が絶えず戦争をしているのは、米軍の精強さを維持するために実戦訓練を欠かさないように配慮しているのではないか、と思います。
その意味で日本社会は自衛隊の戦死者を受け入れる精神と社会体制が必要です。
戦後、記憶喪失してエセ平和にひたってきた怠惰な日本人には驚くべきことですがそれが人間の文化なのではないでしょうか。
(MC生)
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『2008年 世界大動乱』(改訂最新版、1680円。並木書房)
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊、1680円)。
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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