平成18年に保護又は帰国支援した人身取引の被害者数について
【広報資料】
平成18年に保護又は帰国支援した人身取引の被害者数について
平成1 9 年2 月
法務省入国管理局
1 被害者について
(1) 法務省入国管理局が平成18年に保護(在留特別許可)
又は帰国を支援した人身取引の被害者(以下「被害者」という。)は,
47人(全員女性)で
前年(115人)に比べて減少(59.1パーセント減)した。
特に在留資格「興行」をもって在留していた被害者が18人
(前年68人),
同「興行」で上陸を許可された後に入管法違反となっていた
被害者が0人(前年6人)と大幅に減少した。
被害者の国籍別の内訳は,
フィリピン人29人(前年47人),
インドネシア人14人(前年41人)で,
この2か国で全体の91.5パーセントを占めたが,被害者数は
いずれも減少した。
(2) 一方,被害者の平均年齢(保護時)は,22.2歳(前年24.0歳)
で,そのうち18歳未満の者は9人(前年6人)と前年に比べて低年齢化
した。
特に,不法残留等入管法違反となっていた27人(前年47人)の被害
者全員について在留特別許可をしたところ,保護時の平均年齢が
20.4歳(前年23.8歳),本邦入国時の平均年齢が19.3歳
(前年23.3歳)と,同様に低年齢化の傾向が出ており,中には
14歳で本邦に不法入国し,ホステスや売春婦として稼働していた
被害者が3人いた。
なお,被害者のうち売春婦として稼働していた事実が確認できた者は,
47人中18人で,その他はホステスなどに従事していた。
(3) 被害者が減少した理由としては,平成16年12月の「人身取引
対策行動計画」策定以降,政府全体で人身取引対策に取り組んで
いることはもちろん,法務省入国管理局が人身取引対策として,
平成17年及び平成18年の2回にわたり在留資格「興行」に係る
基準省令の改正を実施したこと
法務省入国管理局が,平成18年に保護(在留特別許可)又は
帰国を支援した人身取引の被害者は47人(全員女性,前年比
59.1パーセント減)
で,そのうち不法残留等入管法違反となっていた27人
(前年比42.6パーセント減)全員について,在留特別許可した。
また,平成18年に人身取引の加害者であることを理由として4人の
外国人を退去強制した。
に伴い,同在留資格で入国する者が大幅に減少したことによるもの
と考えられる。
2 加害者について
平成17年の入管法改正により,「人身取引等を行い,唆し,又は
これを助けた者」が退去強制の対象(入管法第24条第4号ハ)と
なった。
法務省入国管理局が平成18年に同条項を適用して退去強制した
人身取引の加害者は,フィリピン人3名,タイ人1名の計4名で,
いずれも女性である。
なお,平成17年にはフィリピン人女性1名を退去強制している。
3 入国管理局が保護(在留特別許可)又は帰国支援した事例
(1) 被害者は本国で高校生であったが,叔母に日本で働くことに
なったと言われて学校を退学させられ,ブローカー側が用意した
母親役の同国人に付き添われて,身分事項を改ざんした旅券で
不法入国した。本邦入国後,ホステスとして夜8時から翌午前2時
まで稼働させられたが,休日は月2日で,賃金は月5万円であった。
また,外出は雇用主の許可がない限り禁止され,指示に従わないと
暴力団に売るなどと雇用主から脅されていた。
警察と入国管理局が稼働先を合同摘発した際に保護し,入国管理
局では,在留特別許可するとともに,関係各機関と連携して帰国を
支援した。
(2) 被害者5人は,在留資格「興行」で入国したが,出演先経営者に
旅券を取り上げられ,接客行為及び同伴出勤を強要された上に,
同伴出勤の際に暗に売春をするよう唆され,断ると物を投げつけら
れたり,怒鳴られたりした。
また,実際の賃金も月300~500米ドルであり,契約書上の賃
金(月約2千米ドル)はもらえなかった。
被害者のうち3人が出演先の状況を入国管理局に相談した後,
全員で入国管理局に駆け込んだ。
入国管理局では,関係各機関と連携して全員の帰国を支援した。
(3) 被害者3人は,本邦でホステスとして稼働するために,
ブローカーを介して,うち2人は身分事項を改ざんした旅券で
不法入国し,うち1人は在留資格「短期滞在」で入国した。
本邦入国後,雇用主から2年間無報酬で
売春婦として稼働するよう強要され,賃金は一切もらえなかった。
また,外出は雇用主の許可がない限り禁止され,逃げ出したら
罰金が2倍になるなどと脅された。
雇用主が他の不法就労助長事件で逮捕されたのを契機に稼働先
を逃げ出し,警察に保護された。入国管理局では,在留特別許可
するとともに,関係各機関と連携して帰国を支援した。
【広報資料】
平成18年に保護又は帰国支援した人身取引の被害者数
平成1 9 年2 月
法務省入国管理局
処理状況
国籍 正規在留 在留特別許可 合計
(人) (人) (人)
フィリピン 19 10 29
インドネシア 0 14 14
タイ 1 2 3
韓国 0 1 1
総数 20 27 47
(注) 正規在留20人の在留資格は,「興行」18人,「短期滞在」2人である。
また,在留特別許可27人の入国時の在留資格等は,不法入国20人,
「短期滞在」6人,「日本人の配偶者等」1人である。