米価の予想以上の下落、飼料価格高騰によるコスト高 | 日本のお姉さん

米価の予想以上の下落、飼料価格高騰によるコスト高

わたなべりやうじらうのメイル・マガジン「頂門の一針」 1026号
平成19(2007)年12月13日(木)
第1026号  発行周期 不定期(原則日曜日発行)
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支那の胃袋を日本が支える
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           平井 修一

日本の農林水産業を「如何せん」と常日頃から憂慮している。だってお
いらは先祖をたどれば百姓だから、心配する。食糧安保のこともあるし、
地方の活性化をどうすべきかという命題もある。日本全国、みんながニ
コニコしている風景であってほしいというのは誰しもの願いだろう。

現場は本当に不安で悲惨だ。鈴木宣弘・東京大学教授がこうリポートし
ている(農業協同組合新聞)。

<いま、農村の現場におじゃますると、米価の予想以上の下落、飼料価
格高騰によるコスト高で
、稲作、酪農・畜産等、多くの農家が、大幅な
所得減少で、年末の種々の代金支払いにも苦労し、大規模な人も含めて、
経営が非常に苦しくなっている。「年が越せない」との声が多く、農家
の皆さんにお会いするのがつらい日々が続いている>

ため息ばかりなのだ。補償金、補助金のようなばらまきの弊害も大きい。

<消費者に喜んでもらえるものをつくるのが農業の楽しみなのに、一番
の喜びをとられてしまった感が強いとの嘆きである。余計なことはしな
いほうがよい、手を抜いたほうがよいという誘因が働いたのでは、意欲
を持ってやれるわけがなく、とても子供達に継いでもらう気持ちにもな
れない。

これでは、意欲ある担い手が、さらに規模拡大して経営が発展すること
を目指した政策の意図に逆行してしまうのではなかろうか。これが、最
も意欲的な大規模農家が直面している悩みなのである。我々は、この声
に、どう応えればよいのであろうか>

東大の先生が分からないのだもの、小生だって「どぎゃんしたらよかと」
と思い悩むのである。

農業の安定的発展は我が国の食糧安保にも密接に関わる。百姓が元気で
ないと国民の元気が保てない
。日本国際問題研究所(JIIA)のサイトが
こう伝えている。

<その国で必要な食料のうち、国内生産でまかなえる割合を「食料自給
率」と言います
。今、日本人は1日平均2619キロカロリーを消費しますが、
国内農畜産物でまかなっているのは、そのうち1047キロカロリーだけ。
つまり、40%が国内産で、残り60%は外国産でまかなわれているのです。
これは、主要先進諸国の中では最低です。

食卓の6割を占める輸入農畜産物。今でさえ、外国から洪水のように押し
寄せています。その最後の歯止めとなっているのが関税です。WTOの農業
交渉では多分野で協議していますが、その関税という垣根をどれだけ引
き下げるかを決めるのが大きなポイントです>

「自給率向上へ、努力を支える仕組みに」とJA(農協)帯広大正(北海
道)・梶伸二専務が言う(農業協同組合新聞)。

<「農政を改革する」ということに対しては、当然、良い方向に向かう
ものと理解し今回の経営所得安定対策についても生産者はなんとか所得
は確保できると考えていた。1年目にして期待はずれで残念という感はあ
る。

米でも同じような事態が起きていると思うが、畑作地帯でも面積が大き
ければ大きいほど所得が減っていくというのが現実
ではないか。そうな
ると経営面積を拡大しようという意欲も薄れてくる。

一方で自給率を上げるという政策目標があり、そこに向けて私たちも努
力して生産、供給するが、そう言いながらも生産意欲が失われるという
のでは矛盾した話になってしまう。>(談)

我が国はWTOの農業交渉で「防衛」ばかりのようだが、我が国の農業のレ
ベルは安全、品質のめんで世界のトップクラスだろう。輸出力=「攻撃
力」は充分あると思う。しかし現状は哀しいばかりだ。

全国農業協同組合連合会(JA全農)によると、国産農畜産物の輸出への取
り組みは、

<日本産米の中国輸出:第1便分24トン(新潟産コシヒカリ・宮城産
ひとめぼれ)について、中国国内では7月26日より販売開始~9月2
0日完売(販売価格:2,970円/2kg・2,820円/2kg)(※中国
産米の現地店頭価格水準:64~320円/2kg程度)>

中国産米の十倍の価格である。日本の市販価格と比べても三倍。小生は2
キロで1000円(1キロ500円)を愛用している。中国向けに、なぜこんな
に馬鹿げた価格になるのか、記者さんはきちんと追いかけるべきだ。

内需を維持・開拓するのはもちろんだが、支那を核とした外需に攻め込
むことが農林水産業成長のポイントではあるまいかと思う。「支那の胃
袋を日本が支える」という構図ができれば、お互いにハッピー。