もちろん、米国は日本の金融機関にも出資の要請をしている。 | 日本のお姉さん

もちろん、米国は日本の金融機関にも出資の要請をしている。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 12月13日(木曜日) 
通巻第2027号 
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 レイムダックのブッシュ政権からポールソン財務長官が五回目の訪中
  これもレイムダックの呉儀副首相と何を話し合うのか?
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 「米中戦略経済対話」が北京で開催されている。おそらく今日(13日)、共同声明が発表されるだろう。
 就任以来僅か2年間で、五回目の訪中をはたしたポールソン財務長官は、いったい何を考えて日本の頭越しに北京に通うのか?
 小沢一郎訪中団と同様に北京に媚びる必要は、なにが原因か。

 米国がかかえる経済危機は、いうまでもなくサブプライム問題である。
錚々たる金融機関の債権の破綻、紙くずか現象は、シティ、メリル、モルガン、UBS、バンカメを揺らし、邦貨換算で8兆円が消えた。FRBは利下げを敢行し、ついで欧州へ膨大なドル融資を行った。

 シティ・グループの危機は、こんどもまたペトロダラーで救われた。
80年代の危機はサウジの王子様が、緊急の増資に応じた。今回はアブダビ投資庁が74億ドル強もの増資がなされ、シティは、ルービン元財務長官を緊急に次期CEOに指名し、破産回避を計った。

 ポールソン財務長官は、ブッシュ政権の終わりの日々の財務金融政策を司るが、有終の美を飾れそうになく、政治的にはイラク問題の手詰まり、経済的には猛烈インフレ、原油高、株価暴落、景気の失速を闘う。

 サブプライム問題と原油高がセットとなったドル安が第一の問題である。
 中国はありあまる外貨から2000億ドルを当面の原資として「ソブレインファンド」を設立し、まずはブラックストンに出資したが、これが失敗。33%の損出を出して、米国への投資を控え、ユーロ高の欧州への投資に目を向けた。投資ポートフォリオをドル集中路線から、大幅に軌道修正しているのだ。
 ポールソン財務長官は、これを「中国の脅威」を受け止めた。


 ▼人民元の切り上げ要求は北京から軽く蹴られるだろう


 第二は懸案の人民元切り上げだが、この要求の喫緊度は低くなった。相手も呉儀副首相、引退してゆくオバサン相手に効果的取引は出来ないだろう。
 06年以来、中国は人民元を徐々に切り上げてきたが、にも関わらず中国の対米輸出はとまらない。両国の貿易不均衡は拡大の一途だ。
 
 第三は中国の姿勢の変化である。
北京はすでにブッシュの次の政権を見極めようとしており、民主党への膨大な献金、とくにクリントン陣営への不正献金が暴露されたが、陰に陽に次期政権への食い込みを見せており、ポールソン財務長官がどれほど吠えようと、軽くあしらおうという姿勢がみえみえになる。
 「だから米中戦略対話で驚くほどの成果は期待できないだろう」(ウィリアム・ペサク、ブルームバーグニュース、12日付け)。

 筆者の見るところ、レイムダック入りした米国のポールソン財務長官訪中の意図は、人民元切り上げ要求よりも、じつは中国の外貨ファンドから、米国の金融機関への出資要請にあるのではないか。それこそが米中経済同盟下の「ステークホルダー関係」の実践ということになるのだから。(もちろん、米国は日本の金融機関にも出資の要請をしている)。

 85年プラザ合意前から、93年のバブル破綻へと向かった波乱の過程のなかで、日本の金融業界の再編がなされ、日本は国際金融のキィプレイヤーだった位置を滑り落ちた。
その地位は、911テロ以後の米国の中国重視、ステークホルダー視、戦略的パートナーシップという大転換以後、中国にとって替わられた。
 つまり、中国が、世界金融のキープレイヤーとして、登場している!

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(サイト情報) 米国連邦準備制度理事会(FRB)は12月11日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、フェデラルファンド(FF)金利を前回より0.25%引き下げ、4.25%とした。これは住宅市場の低迷などによる経済への衝撃を軽減することが目的。
連邦公開市場委員会のプレスリリース
http://www.federalreserve.gov/newsevents/press/monetary/20071211a.htm

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