ラビア・カーディルさん東京講演参加リポート
ラビア・カーディルさん東京講演参加リポート
宮本将英
打倒中国共産党
http://dadao.kt.fc2.com/
世界ウイグル会議の主席を務め、「ウイグルの母」とも呼ばれているラビア・カーディ
ルさんの待ちに待った初来日がついに実現、11月10日東京新宿でアムネスティ・インタ
ーナショナル日本の主催で講演会が開催された(ラビア・カーディルさんについて詳し
くは以下をご覧ください http://dadao.kt.fc2.com/turuk17rabiya.htm
)。
場所は関交協ビル地下1階にあるハーモニックホール。受付開始は15時からで、私は15時数分前に到着。すでに受付を待つ行列が階段にまで続いていた。会場は映画館のよう
なところで、150人収容といったところ。ノーベル平和賞候補でマスコミからの注目度も
高い(あの朝日新聞でさえラビアさんに好意的な特集記事を組んでいる。
http://www.asahi.com/international/shien/TKY200710310119.html
)ラビアさんの講演
会がこんな狭い場所で大丈夫だろうかと少し心配になってしまう。実際に開会時刻にな
ると、立見や中央の通路に座り込む人であふれかえっていた。
15時半に開会し、司会を務めたアムネスティの時田氏が、今回の講演会開催の経緯を
説明、続いて東トルキスタンについての著書がある水谷尚子氏が、東トルキスタンの現
状と配布資料について簡単に説明を行った。15時50分からラビア・カーディルさんの講
演が通訳つきで始まった。以下に内容を要約しよう。
ラビアさんは来日の目的として、ウイグル人の声にならない声を伝えるために来たと
語った。そして私の国は中央アジアにあり、国名は東トルキスタンであり、新疆ウイグ
ル自治区というのは中国共産党の支配によって名づけられた、とはっきり述べたのには
感動させられた。ラビアさんは東トルキスタンと国境を接する国を紹介したが、その中
にチベットも含まれていた。
さらにラビアさんは自分の生い立ちについて説明。ラビアさんの生い立ちについては
この文章の最後にリンクを掲載するのでここでは省略させていただきたい。
さらにラビアさんは中国共産党支配化の東トルキスタンの現状について詳しく説明し
た。中国共産党による侵略語、東トルキスタンの発展が阻害され、子供の出産も言論の
自由も出版の自由も移動の自由も宗教の自由もウイグル語さえも制限された。世界の多
くの民族が発展し続けていく中で、ウイグル人のみが後退させられた。1954年には富裕
層数万人が処刑され、1957年には知識人が多数処刑され、1967年にウイグル人の役人が
多数処刑された。1978年には宗教指導者が弾圧された。東トルキスタンの豊かな天然資
源は大量に中国に運搬されてしまった。
1997年には東トルキスタン北部のグルジャで1万5千人がデモ行進を行った。これに対
。当時全国人民政治協商会議の委員を務めていたラビアさんに対し、中国政府から「こ
いつらは犯罪者だと批判するように」という圧力がかけられた。それに対しラビアさん
は北京に赴き、「あななたちはウイグル人から自由を奪った」と中国政府に公式に抗議
した。ウルムチに戻ってからラビアさんは全国人民政治協商会議委員などの全ての役職
を解かれてしまった。
それ以来ウイグル人への弾圧はますます強まり、歴史や文学の研究者まで逮捕され、
老人たちの間では「おはよう」や「こんにちは」の代わりに、「お宅の息子さんは大丈
夫か、まだ捕まっていないか」が挨拶として使われるようになったという。
ラビアさん自身も1999年に逮捕された。拷問こそ受けなかったが、最初の2年間は真っ
暗な部屋で本を読むことも文章を書くことも声を出すことも許されず、ほとんど体を動
かすことも許されなかったという。
国際人権団体やアメリカ政府の尽力により、ラビアさんは2005年3月に釈放され、アメ
リカに出国した。2006年11月には世界ウイグル会議の議長に就任した。しかし出国後の
ラビアさんにも大きな試練が待っていた。ラビアさんには計11人の子供がおり、そのう
ち5人が中国共産党支配領域内にいるのだが、2人の息子が国家転覆罪で不当に逮捕さ
れ、一人は懲役7年、一人は懲役9年の刑に処せられている。
だがラビアさんは今の政治活動をやめるつもりはないという。世界の人権侵害に苦し
んでいる人を救いたい、世界中の政治犯を救いたいからだ。そしてラビアさんは、日本
(ヤポニア)はアジア屈指の民主国家であり、ぜひ彼らを支援してほしいと述べて、講
演を締めくくった。
休憩時間をはさんだ後、午後17時からラビア・カーディルさんと、寺中誠アムネステ
ィ・インターナショナル日本事務局長との対談が質問形式で行われた。
まずは寺中氏がウイグルの人権問題に関するアムネスティの取り組みについて紹介。東
京大学大学院生だったトフティ・トゥニヤス氏が帰国中に不当に逮捕され懲役11年の刑
に処され現在も服役中であることに対し、アムネスティは釈放のために尽力しているという。このようにウイグルの問題は日本にも関わりを持っている。
続いてラビアさんにいくつかの質問が寄せられた。
ウイグル人女性の強制移住について、ラビアさんは、民族絶滅政策であるとして中国政
府を非難した。アメリカ国会もこの問題で公聴会を行っていることを明らかにした。
各分野においてウイグル人に具体的にどのような弾圧が行われているのか問われると、
ラビアさんは具体的事例を説明。2003年から教育現場では小学校1年から大学におけるま
でウイグル語での授業は全て禁止され、ウイグル語で教えてきた教師は失業状態に陥っ
たこと、ウイグル人はかつて独自の文化、文学、歴史、国家を作った民族であるにも拘
らず、あらゆる文化が消滅の危機に陥っていること、宗教についても、18歳以下の子供
はモスクへの礼拝が禁止され、ラマダン(断食)のときに無理やり食事をさせるなどの
迫害を受けているという説明を行った。
世界ウイグル会議という組織については、ウイグル民族が団結し、ウイグルの自由、人
権のために、様々な問題を世界に伝えるための政治団体であり、それまでバラバラだっ
た各組織が集まり、現在49の組織が加盟しているという。活動は全て平和的なもので、
武装闘争などは行っていない。本部はドイツのミュンヘンにある、と説明した。
さらに米国政府の態度について質問を受け、ラビアさんが次のように答えた。刑務所を
出て以来、欧米諸国の支援を受けて政治活動を行っているし、アメリカの国会ではウイ
グルの人権問題についての公聴会が行われ、ラビアさんの子息を無条件で釈放するよう
決議案が提出されたという。またEU議会でもウイグル問題を積極的にサポートしている
という。また、ラビアさんは日本への期待についても述べられた。日本(ヤポニア)は
世界でも非常に強力な民主国家であり、日本政府と国会は国策としてウイグルの人権問
題に取り組むべきだと主張した。さらに中央アジアの独裁国家に、ウイグルへの人権弾圧をしないよう働きかけることを望んでいると述べた。
午後18時、2時間半に及んだ講演会が終了した。今回は写真撮影、ビデオ撮影が一切禁
止なのが非常に残念であったが、ラビアさんの日本初講演という貴重な機会に参加でき
たのは光栄である。私はウイグル語はわからないので、当然ながら全て隣にいる通訳を
とおして内容を理解したわけだが、それでもラビアさんの迫力ある演説からは熱意と
我々日本に対する期待が伝わってきた。
自由の国への出国を果たしてから2年半、すでにウイグル人社会におけるラビア・カー
ディルさんの名声は飛躍的に高まり、チベットにおけるダライラマのようなカリスマ的
指導者になっている。いまだ自由・民主・独立を果たしていない民族は団結が重要であ
り、共通の敵と戦う以前に内部で争うような時間の浪費は避けるべきだ。日本国内にお
いてまだまだ貧弱な東トルキスタンの運動に関わる団体・人物については①東トルキス
タンに興味がある人、②あらゆる人権問題に取り組んでいる人、③中国共産党による残
虐行為が許せない人、④日本の国益にどのように反映できるかを考えている人など様々
な立場があるであろう。それぞれの思想的背景はともかく、今現在東トルキスタンが中
国共産党という悪逆非道の凶悪独裁政権の弾圧を受けていることは紛れもない事実であ
り、あらゆる立場の人たちが東トルキスタンの人権問題に取り組むことは、ウイグル人
にとって大きな励みとなるはずだ。ラビア・カーディルさんというカリスマ的指導者の
初来日を機に、日本における東トルキスタン人権運動も団結の方向に進めればと思う。
ラビア・カーディルさんについて紹介したページ
http://dadao.kt.fc2.com/turuk17rabiya.htm
http://www.asahi.com/international/shien/TKY200711020300.html
http://kok2.no-blog.jp/tengri/2007/index.html
http://www.amnesty.or.jp/modules/wfsection/article.php?articleid=1472
世界ウイグル会議ホームページ(日本語)
http://www.uyghurcongress.org/jp/home.asp