100ドル時代が秒読み | 日本のお姉さん

100ドル時代が秒読み

ようちゃん、おすすめ記事。↓
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 10月29日(月曜日) 貳
通巻 第1979号 
 ついに原油は1バーレル=100ドル時代が秒読み
  OPEC増産に応ぜず、イラン核武装制裁が逆効果を産み、冬目前

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石油消費は冬に増えることは火を見るより明らか。ガソリンを大量に食
うのはアメリカの消費者である。

その米国はイラン制裁強化を主唱し、核武装阻止へ動いているが、イラ
ンからの原油輸出は、いまでは中国向けが筆頭で、日本より多い。

その中国は、明らかに米国主導の制裁には加わらないから、イラン経済
制裁強化には意味がない。

米国の自己満足で終わり、かえって原油価格を押し上げるから、逆効果
になるだろう。

こうした無気味な原油高騰の動きに、投機筋のカネが大量に入りこんだ
(フィナンシャルタイムズ、10月28日付け)。

それもアラブの投機資金が含まれており、しかもOPECは「11月か
ら50万バーレルだけ増産する」と言う。理由はドル安によって産油国の
実入りが減っており、値上げは、OPEC諸国にとっては好都合なのだ。

どのみち正価で買うのは日本くらい。アラブ産油国は、イスラム圏、と
くにパキスタンには「特別料金」を適用している。

さて原油が100ドルを突破するとなれば、日本のデフレ時代は完全に終息
するだろう。

また金価格は先週、28年ぶりの高値。さらに暴騰を続けており、1オン
ス=850ドル(1980年の記録)に迫る勢いを見せている。やっかいなこと
に、これも投機筋のカネである。

81年、レーガン政権発足と同時に「金委員会」がホワイトハウスに設置
されたことを御記憶だろうか? 

あのときリーガン首席補佐官を囲んで「金本位制」への復帰が真剣に論
じられた。

金の備蓄が世界先進国でもっとも少ない日本。対外債権が紙くずになる
懼れがある米ドル建ての公社債、それも殆どを、ドル安に揺れる米国の
国債で保有している。

原油100ドル突破の事態がくれば、深刻な経済的被害を受けるのは、

日本である。

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解散・総選挙とセット論
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           古澤 襄

大連立が急浮上して大騒ぎとなったのは、不意を突かれた与野党議員

とマスコミ。この話が壊れれば、解散・総選挙が早くなる可能性が

強まる。
自民党も民主党も来年春に照準を合わせて選挙準備をしてきている。

そして民主党の役員会で大連立に乗らないことが決まった。選挙準備を
急がねばならない。その事情は自民党も同じだが、話が急だっただけに、
まだ選挙モードに切り替わっていない。

解散権は首相の専権事項である。時の政権にとって、一番有利と判断

す る時期を狙って、解散に踏み切る。今国会は間もなく会期切れとなる

から、会期延長をせねばならない。その延長幅が大きければ、来年

一月総選挙が視野に入ってくる。

与野党の選挙対策関係者が一番注目しているのは、今度の大連立劇

が国民の目にどう映ったかであろう。世論調査がどう出るか?

不意を突かれたマスコミは、唐突だと批判的な紙面を作るであろう。

そのアナウンス効果がどう出るか。

私の予想では、自民党も民主党も支持率を下げて、無党派が増える

気がする。支持率の下げ方にもよるが、その状況下で選挙戦に

入るのは、一種の賭けになるかもしれない。

自民党の支持率が下がって、民主党の支持率が上がっていれば、

福田首相は軽々に解散権のダンピラを振りかざすわけにはいかない。

隠忍自重してやり過ごすこともあり得る。

会期延長幅も大幅延長とはいくまい。

解散・総選挙が必至となれば、噂が出ている新たな拉致被害者の

帰国問題が現実味を帯びて動き出すことも考えられる。

新テロ対策特別措置法案の扱いは、2つのケースが考えられる。

安倍前首相なら会期を大幅延長して、参院で否決されても、衆院の3分
の2で再議決する強行突破を目指すであろう。当然、解散・総選挙は早
まり年内にもあり得る。

福田首相はどうであろうか。党首会談では、小沢氏の年来の主張である
国際的な平和活動のために自衛隊海外派遣を随時可能にする「恒久法」
に耳を傾けている。会談の途中でわざわざ外部と連絡をとって「恒久法」
の内容が、受け入れ可能か模索したという。

「恒久法」と新テロ対策特別措置法案のセットで事態の打開を図ろうと
したのではないか。しかし与野党内には「恒久法」が現行憲法に抵触す
るという異論がある。セット論は党首会談だけで決められるものではな
い。

そう考えれば、セット論はむしろ通常国会に持ち越し、ガラス張りの国
会論議の中で打開を図る道を選ぶ気がする。インド洋における海上自衛
隊の任務は、すでに中断されている。慌てて拙速の道を選ぶ必要はない。
福田流なら、この可能性が高いとみるが、どうであろうか。

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地方はみんな民主党
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         山堂コラム189

わが故郷は戦後、佐藤栄作・岸信介の両総理を出した自民党の

「金城湯池」とも言える保守王国であった。

だがここのところ自民党は衰退の一途。多くが投票をしなくなった。

無残な凋落ぶり。シャッター街と化した駅前通りと同じ。

衆議院も参議院もみな民主。先の参院選は1人区で自民が辛勝した

数少ない県のひとつ。

その面目は保ったが、比例で民主が大幅に票を伸ばした。

吉川藩だけを地盤とする真宗の坊さんが民主党で楽々当選する始末。

そんなこと、佐藤・岸時代なら夢想だに出来なかったこと。しかしそうし
た事態が日本中の各地方で現実にそして確実に進行しつつある。

理由は明確。地方からみると自民党政権がまったく頼りにならなくなっ
たからだ。自民党を支持すればするほど地元は衰退するから・・・

自民党が裏切るなどということ―――、よもやあり得ないと信じていた
わが選挙区の草民。しかし何度も何度も期待を裏切られておかしいぞ。
そう疑心を抱くようになった。挙句の果てにきっちりと痛い目にも遇わ
された。もう騙されないのである。

郵政民営化・三位一体といった小泉政権の「猫だまし・催眠術」。国民
はこれに易々と引っかけられたが、醒めてしまうと反動はかえって大き
い。

自民党政治の地方切捨て・東京一極集中化への反発の旋風は

日本中に巻き起こり、参院選を通じての安倍内閣打倒

―――それは単なる始まりの一歩(でなければいいが)。

わが故郷が一番頭に来たのは米軍基地移転拡張にともなう国の

やり方である。防衛施設庁(今の防衛省)が主導した強引な談合、

地元の無視。

基地の移転・拡張では、危険や騒音その他、住民が耐え忍ばねば

ならぬ犠牲は多い―――、そんなこと、国はもとより分かっている。

だから住民が声を出さなくともその見返りというか、国からの手当て・

配慮が施されるは当然。それがフェアな行政というもので佐藤・岸

時代の自民党政治なら常識であった。

変貌したのはここ数年。

役人のエゴむき出し、地方の住民の要望など平気で踏みにじり、

自民党は見て見ぬふりの頬かぶり。基地拡張請負工事
の会社の談合を防衛施設庁みずからが主導し、防衛官僚天下り先の

中央ゼネコンだけが独占。地元の業者は鼻血も出ず。

もちろん地元経済への波及効果はゼロ。

危険・騒音を耐え忍ぶだけ。地元が反発するのは当然であろう。

さらにそのあと追い討ちである。文句を言って当然の地元に国がしたこ
と。逆捩じの懲罰施策―――基地移転の見返りとして要望した民間

空港の移設や地元経済振興策、国立病院の存続などをことごとく

拒否したのである。

さらに各種補助金の削除、10月31日に発表した(官報に掲載)

「基地再編交付金」の対象35市町村に沖縄県名護市と

山口県岩国市の2市だけを懲罰的にオミットしたのである。

戦前の海軍航空隊、戦後は朝鮮戦争の連合軍前線基地・・・と、一貫

して「お国のために」で基地の存在には寛容で協力的であった保守の

地元。
それをかくも露骨に踏みにじり、「アメはやらないムチばかり」という
のでは自民党政治から離れていくのも当然といえる。

故郷が民主党に宗旨替えしたというが、宗旨替えしたのは故郷ではなく
自民党政治の方なのだ。自民党の先生方はみんな世襲。東京生まれ

東京育ちの坊ちゃんばかり。地元の本当のことなど何も知らない。

自民党が国民政党でなくなったこと。六本木のサロンで「戦後レジーム
云々」と駄法螺を吹いて、それを祭り上げてやりたい放題の堕落をつづ
ける官僚行政―――、変わったのはそちらの方だ。

先の参院選で自民党は大敗した。おおかたの論調は選挙の顔こと

「アベ ・シンゾー」のせいにするのが大勢だった。

しかし現実はそんな単純で生易しいものではない。

根本には、自民党政治の変質があり、また地方(選挙区)を知らない

世襲議員ばかりになったという構造的欠陥が大き い。

戦後の自民党政治を支えた地方が、いまや大きく変わろうとしている。
公告屋の「宣伝」や純ちゃんの「猫だまし」といった姑息なやり方では
もう対応できない。

間近に迫った解散総選挙を控えて、これを克服できなければ、地方での
自民党の退潮を食い止めることはとうてい不可能であるように思う。
(了)