ついにアフリカ大陸は“中国の裏庭”になるのか?
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 11月1日(木曜日) 貳
通巻 第1985号
ついにアフリカ大陸は“中国の裏庭”になるのか?
中国工商銀行が56億ドル(6200億円)の巨大投資を南ア「スタンダード銀行」へ。
*****************************
中国工商銀行は時価発行総額(3300億ドル)で、いまやシティグループを抜き去り世界最大級。
それが南ア最大の有力銀行「スタンダード銀行」の株式20%取得を決めた。
同行は南ア国内に713の支店網、アフリカ全土にもナイジェリア、ケニアなど十八カ国に支店もしくは現地法人。さらにアルゼンチン、台湾など海外21ヶ国に支店、現地法人、駐在員事務所がある。
アパルトヘイト政策を撤廃して(1994年)、欧米の経済制裁から解き放たれ、ようやく普通選挙が行われ、マンデラ→ムベキと黒人政権が統治する南アは、アフリカ最大の経済大国にして資源大国。
ボタ白人政権のときまで、南アは核武装もしていた。金鉱などにオランダと英国の利権が残り、化学産業から、兵器産業。金融も西側並みのサービスがあり、嘗てはインド商人が金融と商業を席巻、ここへ台湾華僑が雪崩をうって、商圏を拡大してきた。
中国工商銀行の56億ドルもの投資は、94年以来最大のものとなる。これは「アフリカへの中国の野心の劇的なシグナルである」(英紙フィナンシャルタイムズ、10月25日付け)。
中国がアフリカへ本格的に進出したのは資源絡みだ。
いまやアフリカ55ヶ国に、な、なんと200万人もの中国人が住み着き、また中国のアフリカへの投資は年間100-150億ドルに達している。アフリカの角といわれるソマリア、ジブチなどにも、今後五年間で250億ドル投資をぶち揚げている。
援助も天文学的で、スーダン、アンゴラ、ケニア、エチオピアなど資源リッチの国には集中的な資源関連インフラ建設のための援助がなされている。
中国がアフリカ全土に広げた大使館の数は46ヶ国(ちなみに日本は22ヶ国)。
▼エジプト、ナイジェリアとも巨大投資に合意
先月末には、エジプトとのあいだで、経済特区(五キロ平方)の建設に合意、中国はここに25億ドルの投資を決めている。エジプトにも最近海底油田が見つかっている。
また「中国開発銀行」は、ナイジェリアのUBA(アフリカ・ユナイテッド銀行)に触手をのばし、株式取得の話し合いが合意に達しつつある。
為替取引で世界的に遅れをとってきた中国の銀行が、いきなりビジネスネットワークを広げる手段は、てっとりばやく株式を取得し、取締役会に中国人を送り込むことである。
さて中国工商銀行である。
これは中国の国有銀行であり、南アの有力銀行への投資は、国家意思であり、基本的には中国の世界戦略から発想された投資行為だ。
「政治的意図に基づき、アフリカ全体の足がかりを得るために、出資するスタンダード銀行のアフリカ大陸全体での240のビジネス拠点を活用するのが戦略デザインであろう」(ウィリアム・ペサク氏、ブルームバーグニュース、11月1日付け)。
また明らかに国家投資機構の「中国投資公司」が出資した米国のヘッジファンド「ブラックストーン」への投資形態とは異なっている。SITIC(中国投資国際公司)の老舗「ベア・スターンズ」への出資条件とも基本的に異なる本格的拠点確保の戦略なのである。
□◎□◎□▽◎◎▽◎◎▽◎◎▽◎◎◎▽◎◎▽◎◎▽◎□◎□
村松英子さん主宰の「サロン劇場」
三島由紀夫原作『薔薇と海賊』
いよいよ明日が初日です
三島由紀夫原作 オリジナル演出
「薔薇と海賊」
主演 村松英子 出演 大出俊、伊藤高、若柳汎之丞、村松えり。他
新宿紀伊国屋ホール
11月2日から9日まで。(一般料金 6000円)
上演スケジュール
11月2日(金曜) 夜 1830-
3日(土曜) 昼 1400-
4日(日曜( 昼 1400-
5日(月曜) 夜 1830-
6日(火曜) 昼 1400-
7日(水曜) 昼 1400-
8日(木曜) 夜 1830-
9日(金曜) 昼 1400-
詳しくは下記
http://mishima.xii.jp/annai/index.html
で。
(劇団四季よりお知らせ)
♪
三島由紀夫の脚本では最高傑作といわれる『鹿鳴館』は日本の演劇世界に新時代を開いた
三島由紀夫原作、浅利慶太演出、自由劇場で「憂国忌」の日まで開演中!
♪
劇団四季の「鹿鳴館」は日本各地を巡業し、ロングランの記録を更新しつつ、東京の自由劇場へもどってきた
www.shiki.gr.jp
毎週土曜日曜は午後二時(およそ三時間、休憩20分を含む)
火曜日は午後六時半から。
11月2,3、4日と、11月8、10,11,14,17,18,21,そして23,24,25日も午後貳時。
途中休演日が7回あります。ご注意ください。「自由劇場」はJR浜松町北口から徒歩7分。
劇談四季予約センター(0120)489444
♪
宮崎正弘の最新刊
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
♪
『2008年 世界大動乱』(改訂最新版、1680円。並木書房)
好評を博した拙著『2008年 世界大動乱の予兆』を大幅に改訂増補。新データを満載。大増ページ普及版。
宮崎正弘のロングセラーズ
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/htm/%8B%7B%8D%E8%90%B3%8DO/list.html
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
♪
宮崎正弘の比較的入手しやすい本の一覧 ↓
http://miyazaki.xii.jp/saisinkan/index.html
宮崎正弘のホームページ http://miyazaki.xii.jp/
◎小誌の購読は下記サイトから。(過去4年分のバックナンバー閲覧も可能)。
http://www.melma.com/backnumber_45206/
(C)有限会社・宮崎正弘事務所 2007 ◎転送自由。ただし転載は出典明示のこと。
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通巻 第1985号
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ボタ白人政権のときまで、南アは核武装もしていた。金鉱などにオランダと英国の利権が残り、化学産業から、兵器産業。金融も西側並みのサービスがあり、嘗てはインド商人が金融と商業を席巻、ここへ台湾華僑が雪崩をうって、商圏を拡大してきた。
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これは中国の国有銀行であり、南アの有力銀行への投資は、国家意思であり、基本的には中国の世界戦略から発想された投資行為だ。
「政治的意図に基づき、アフリカ全体の足がかりを得るために、出資するスタンダード銀行のアフリカ大陸全体での240のビジネス拠点を活用するのが戦略デザインであろう」(ウィリアム・ペサク氏、ブルームバーグニュース、11月1日付け)。
また明らかに国家投資機構の「中国投資公司」が出資した米国のヘッジファンド「ブラックストーン」への投資形態とは異なっている。SITIC(中国投資国際公司)の老舗「ベア・スターンズ」への出資条件とも基本的に異なる本格的拠点確保の戦略なのである。
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村松英子さん主宰の「サロン劇場」
三島由紀夫原作『薔薇と海賊』
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「薔薇と海賊」
主演 村松英子 出演 大出俊、伊藤高、若柳汎之丞、村松えり。他
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11月2日から9日まで。(一般料金 6000円)
上演スケジュール
11月2日(金曜) 夜 1830-
3日(土曜) 昼 1400-
4日(日曜( 昼 1400-
5日(月曜) 夜 1830-
6日(火曜) 昼 1400-
7日(水曜) 昼 1400-
8日(木曜) 夜 1830-
9日(金曜) 昼 1400-
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で。
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三島由紀夫の脚本では最高傑作といわれる『鹿鳴館』は日本の演劇世界に新時代を開いた
三島由紀夫原作、浅利慶太演出、自由劇場で「憂国忌」の日まで開演中!
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劇団四季の「鹿鳴館」は日本各地を巡業し、ロングランの記録を更新しつつ、東京の自由劇場へもどってきた
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毎週土曜日曜は午後二時(およそ三時間、休憩20分を含む)
火曜日は午後六時半から。
11月2,3、4日と、11月8、10,11,14,17,18,21,そして23,24,25日も午後貳時。
途中休演日が7回あります。ご注意ください。「自由劇場」はJR浜松町北口から徒歩7分。
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宮崎正弘の最新刊
『中国は猛毒を撒きちらして自滅する』(徳間書店、1680円)
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『2008年 世界大動乱』(改訂最新版、1680円。並木書房)
好評を博した拙著『2008年 世界大動乱の予兆』を大幅に改訂増補。新データを満載。大増ページ普及版。
宮崎正弘のロングセラーズ
『世界“新”資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
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『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『三島由紀夫の現場』(並木書房)
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