憲法改正は必要!(1) | 日本のお姉さん

憲法改正は必要!(1)

▼▽ 私見時事論談 ▽▼              by hideおじさん
☆ 憲法改正は必要!(1)

このメルマガをお読みのみなさんは「軍事学」という学問があるのをご存知で
しょうか?
日本の場合、小学校から大学まで、「軍事学」なる言葉すら目にすることはな
いでしょう。しかし諸外国を眺めると、ほとんどの「大学(University)」には
「軍事学」の講座があります。(またはそれに準ずる講座)

アメリカのスタンフォード大学でも「軍事学」の講座があり、特に政治・行政
に携わる人はに必修科目といっても過言ではありません。イギリスのロンドン
大学では、一時「戦争学部」というのがあったぐらいですから、重要な学問と
もいえるでしょう。

しかし悲しいことに日本では、防衛大学校か防衛医科大学校ぐらいでしかその
ような講座に接することができません。防衛大学校では、「軍事学」とは呼ば
ず「防衛学」と呼んでいます。ーーーその他の大学では「国際政治論」や「国
際関係論」はあっても「軍事論」はありません。

私は国際政治が専攻でしたが、卒論を書く際に、軍事に関する書物がなくて非
常に苦労した想い出があります。友人の協力を得て役に立った教科書というの
は、防衛大学校の「軍事学入門」だけでした。それほど日本では「軍事」に関
係する勉強がしにくい環境にあるのです。

「軍事」は、専門家に任せておけばよいだろうとおっしゃる方がおられるかも
しれませんが、先のアメリカの例が示すように、政治・行政に係わる人の必修
科目となっているということは、単に専門家のみの学問ではないのです。(日
本にはその専門家すら少ないようですが)

とにかく現代日本では、「軍隊」「軍事」「軍備」等々「軍」と名のつくもの
は、ネガティブイメージがあると思いますが、実際は非常に身近で重要な学問
のひとつなのです。

面白いことに、戦前においても「軍事学」専門にやっている人間は「右翼」と
思われる傾向にあったそうで、現在の進歩的文化人からすると「右翼の時代の
右翼」とでもなるのでしょうか?ーーー戦前も戦後も、色眼鏡で見られるのは
変わりないのかもしれません。

――― そもそも軍事とは何か、というと「旗振り役」なのです。

車の上に旗が乗っている様子を表したのが「軍」という漢字のそもそもの意味
だといわれています。三国志などの中国の物語に、馬車のような車の上にT字
型の旗がある挿絵を見た方がいらっしゃるかと思いますが、あれがそもそもの
「軍」を表しているのです。

「旗振り役」が転じて「リーダー=権力者」という解釈ができます。権力者と
いうのは当然「政[まつりごと]」に関わってくる訳ですから「軍」=「政治」
となります。ですから、軍事と政治は表裏一体のもの、というのが世界の一般
常識なのです。ーーー決して暗い意味でもなく、悪い意味でもないのです。

防大生なら必ずといってよいほど勉強する古典の、クライゼヴィッツの「戦争
論」の定義をみると、「戦争は、政治におけるとは異なる手段をもってする政
治の継続である」と述べています。

この場合の政治は、主として「外交」を意味しますが、軍事のない政治は真の
政治ではない、ということになってしまうのではないでしょうか。ところが、
日本では戦後、「羹[あつもの]に懲りて膾[なます]を吹く」ではありませんが
「軍」とついただけで拒否反応を起してしまいます。

平和憲法・国際平和等々、大変結構ではありますが、政治のもう一方である軍
事を疎かにしたままでは、国の根幹、方向性も揺らいでしまいます。

軍事というとすぐ、軍備増強・戦争を想像する向きもありますが、そうではあ
りません。力による外交に対応する方策の全てが軍事であって、すぐさま戦争
とか軍備増強を考えることではないのです。

また、軍事学そのものも、戦争の技術や知識を学ぶことだけではありません。

政治・外交・財政を含め、全ての事象(人文科学・自然科学・社会科学)につい
て学ぶ学問でもあるのです。だからこそ、幅広い知識が求められる政治・行政
に係わる人間の必修科目とされるわけです。

ところで、みなさんの普段の生活で「軍事」と全く係わりがないかというと、
そうではありません。大袈裟にいうと、ほぼ100%の日本人は、何かしらの
形で「軍」に触れています。

例えば、セーラー服は海軍水兵さんの制服だったということはみなさんご存知
だと思います。また、詰襟学生服も海軍の制服からきています。社会人の必需
品であるスーツにしても、もともとは軍隊の制服です。シングルスーツは陸軍
の、ダブルのスーツは海軍の制服です。

冬場見かけるトレンチコートもイギリス陸軍のコートです。英語で「Trench」
というのは「塹壕」という意味なのです。ネクタイも同様に軍隊の制服の一部
です。
私はレジメンタルネクタイが好きですが、このレジメンタル「Regimental」と
いうのは陸軍のネクタイで、もともとの意味は「連隊」とか「軍服」という意
味があります。ちなみに海軍は「水玉模様」のネクタイです。~~~辞書を調
べてみると面白いですよ。

「服だけのことじゃないか」と仰るかもしれませんが、例えば私たちが今使っ
ているパソコン、コンピューターは、大砲を発射する際、スピード・方向・風
等々の諸条件をインプットして、着弾位置を計算する為に発展していったもの
なのです。

コンピューターだけでなく、インターネット網にしても、元々軍事ネットワー
クからきています。まあ、そもそもは民間のプロジェクトから生れたものです
が、その元締めはアメリカ国防総省だったのです。

車で当たり前の装備になった「カーナビ」・「GPS」、飛行機・船舶につい
ている「自動航行システム」なども、軍隊のネットワークから民間に流用され
るようになった技術のひとつです。

ひところ、「戦争が科学を進歩させる」などという話がありましたが、まんざ
ら嘘でもありません。現代の豊かな暮らしは、「戦争」によってもたらされた
ものともいえるかもしれません。

今回の参議院選挙において「憲法改正」も論点にあげられるのかな?と期待し
ていましたが、結局「年金」と「政治家と金」論争ばかりで、少々拍子抜けし
てしまいました。

勿論、私のようなサラリーマンにとっても、年金問題は重大なことであります
が、秋の国会での憲法改正論議についても、各党とももっと突っ込んだ説明が
欲しかったなと思います。

――― 前置きが長くなってしまいましたが、

この重要な学問、「軍事学」の根本となるのが「憲法」です。

国の全ての法律が憲法を無視できないように、軍事においても憲法を抜きにし
ては成り立ちません。しかし、その憲法そのものがその時代にそぐわないもの
になっているとしたら、読者のみなさんはどう思われるでしょうか。

民主党から、テロ対策法案について独自の提案が出されましたが、これとて、
現憲法のそのままで解釈すると自己矛盾が出てきてしまいます。この矛盾があ
るからこそ、日本では軍事そのものも理解されないまま戦後を過ごしてきてし
まったのです。

日本国憲法の前文には「われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念し
て他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なもので
あり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とう
とする各国の責務であると信ずる。日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあ
げてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」

他国を無視してはならないといい、日本は国家の名誉にかけて目的を達成する
と誓いながら、一方では自衛力を限定的にしか使用できないようにしてしまっ
ているのでは、その目的の達成をどうやって実現させていくのでしょうか。

口先では理想的なことを言いながら、本音では自分だけ良い子でありたいとい
うことではないしょうか。これでは、グローバリゼーションとか、国際化など
と軽々しく口にすべきではありません。

この憲法を改正することについて、賛否両論がありますが、私は賛成派です。
これはなにも、アメリカから押し付けられた憲法だからという理由だけではあ
りません。よそ様からの憲法であっても、良いところは良いと思います。

しかし、今までの憲法論議をみると、「改正」という声が上がるだけで拒絶反
応を示し、検討さえも許さないという風潮は、真に日本の為になるのかと疑問
です。まして、憲法改正の為の手続きさえつい最近まで決まっていなかったと
いう状態は異常です。

憲法の為に日本国民があるのではなく、日本国民の為に憲法があってしかるべ
きなのに、我々は戦後60年、憲法について真面目に考えることさえしてこな
かったと思います。また、憲法というと、すぐ第9条が謂われますが、検討し
なければならないのは第9条だけではないはずです。

特に第12条には、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断
の努力によってこれを保持しなければならない。又、国民はこれを濫用しては
ならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う」と
定められていますが、ーーー我々の自由と権利を常に公共のために利用する、
と自覚している日本人がいったいどれだけいるのでしょう?

権利とか人権とかは大きく主張されていますが、それに伴う国民の義務につい
ては、非常にファジーに蔑[ないがし]ろにされているように感じます。悪くい
えば、国からしてもらうことは絶えず要求し続けているけれども、それに伴う
責任・義務、国民としてしなければならないことには目を背けていると感じま
す。

日本国民が日本国のために何を為すべきか、我々の故郷のためにどのような努
力が必要なのか、そういう基本的な思いがすっぽり抜け落ちているているよう
な日本人に、9条云々を語る資格などあるのか、非常に疑問です――――。

戦後最古の憲法とか、念仏憲法などと揶揄されない為にも、自ら考え直さなけ
ればならないのではないかと思います。日本国内では「先の大戦を総括してい
ない」ともいわれますが、そういう意味では、戦後すぐの現憲法も同じように
「総括」しなければ片手落ちになるでしょう。

「憲法改正」を持ち出すとキリがありませんので、特に第9条の改正について
だけ申しますと、短絡的に「9条改正は戦争に繋がる」という意見は、あまり
にも安直で無責任な意見だと思います。

反対派の方々は「子供を二度と戦場へ送らせない」といいます。それはそれで
結構でしょう。異を唱えるつもりはありません。しかし、9条を見直すことが
何故「子供を戦場に送る」ことに繋がるのでしょうか?----理解できません。

昔のような「軍国主義化」に繋がるなどというのは、時代錯誤も甚だしいので
はないでしょうか。交戦権・集団的自衛権を認めている国々が全て簡単に戦争
ができるのかというと、そうではありません。

お隣の韓国では、徴兵制があり軍隊もあります。台湾しかり、英米仏は当然。
同じ敗戦国のドイツやイタリアにも軍隊はあります。これらの国の全てが軍国
主義かというと、そうではありませんし、戦争大好き国家でもありません。

では何故日本だけが「軍」となると「軍国主義」になるといえるのでしょう?

日本だけが「戦争大好き国家」なのでしょうか?そうではないはずです。です
から、9条改正=軍国主義・戦争というのは、あまりにもコジツケのように思
えるのです。

同様に、自衛権・交戦権を認めているからといって、安易に戦争・紛争にでか
けて行けるものではありません。どの国も、戦争という事態にならないよう、
紛争に巻き込まれないよう検討し、尚且つ、イザというときでも慎重な手続き
を経なければならないのです。――――大日本帝国憲法でも同様でした。

憲法9条を改正すると、直ちに国民みんなが戦争や紛争に行かされるというの
は、そうならない手段の検討を飛び越えて、結果だけをデフォルメした論だと
思います。
同じように、改正を唱えただけで右翼だ好戦的だというレッテルを貼るのも、
最初から現実的な討議を無視した、聞く耳持たず、の姿勢のように思えます。

勿論、日本を取り巻く環境・諸問題は、単純に軍隊を持つことだけで解決でき
るものではありません。改正は、そのことも踏まえて「軍」ということだけに
囚われないで、日本独自の自立・自衛の方法も慎重に考えなければならないこ
とは当然でしょう。


                           = つづく =
●コメントボードに頂きました感想。

┌──────────「東間光英さん」

まったくもって、そのとうり、200%同感です。ODA、毒ガス爆弾処理な
どの援助を一時凍結し、交渉し直すべきです。(日本利益を優先して)

└──────────

┌──────────「hideおじさんから」

中国は隣国、これは物理的に変えられません。ですから、否が応でも付き合っ
ていかなければなりませんが、その付き合い方が問題です。相手に合わせるこ
と、それ自体は一見「友好」の最たるものと思えるでしょう。

しかし、それはビジネスでも外交でもありません。こんな仕事をしていたら、
会社から叱責されます。ーーーそれがまかり通っている現状は摩訶不思議とし
かいいようがありません。

ODAは来年終了しますが、別な名目で、且つ、アジア開発銀行を通じて中国
に莫大な日本の税金がつぎ込まれることになっています。

ODAの時、ある政府役人は「有償のODAはリスクの無い投資」と言いまし
たが、バカなことを言ってもらっては困ります。低金利で猶予期間があり、且
つ長期返済の有償ODAは、インフレ率や国内金利を無視したもので、返して
もらっても損することには変わりありません。

毒ガス処理しかり。日本の企業が潤うから中国の言うがままの金額を出そうと
している。1兆円もの我々の税金が、ほとんどノーチェックでつぎ込まれよう
としているのです。挙句に、不正に懐に入れる輩が出てくる。

ーーー「敵は本能寺にあり」ではなく、「敵は国内にあり」なのです。

いつまでも「友好」などという、小学生のクラス目標みないなことをやめて、
日本人は褌を締め直さなければなりません。

└──────────

┌──────────「wasabiさん」

私は、中国の公司にいます只一人の日本人です。周りは全て中国人、お客様は
全て日本人ですが、hideおじさんが言ってる事全てその通りです。ーー甘い、
勘違いの日本人、ーー毅然とした態度ができない日本人、ーー陰では中国人を
見下げてる日本人。

中国人はしたたかですよ、良しも悪しも。私は、極端かもしれませんが中国人
に対して疑いから入ります。ーーー悲しいことですが。

└──────────

┌──────────「hideおじさんから」

中国でのお仕事ご苦労さまです。昔の私もwasabiさんが仰っているような典型
的な日本人であったと思います。ーーー客先では良い顔をして、裏では四の五
の中国人の悪口を言う。

中国人は、そんなことも知っていて、且つ日本人を煽てすかして、自分の利益
を確保する。結局、日本人は後で手玉に取られていたことに気がつく。

私は、こんな中国人を批判したい気持ちもありますが、どこかで尊敬する部分
もあります。営業ビジネスマンの見本となるのではないかとさえ思ってしまい
ます。

日本では、国際化・グローバル化が叫ばれて何年も経ちますが、義理と人情、
フェイス・ツー・フェイスが「営業」という観念から抜けきれていないのかも
しれません。「急がば回れ、今は損しても、将来大きな利益を生む」未だにそ
れを信じて疑わない日本の企業。

反対に、「立っているものは親でも使え」「儲けるが勝ち」とする中国。彼ら
を見習わなければならないのかもしれませんね――――。

└──────────

┌──────────「Jan さん」

確かにその通りです。彼らは、海に囲まれている日本と違って常に異民族と国
境を接していて、交渉に失敗すれば民族そのものが滅亡しなければならない危
機に何度か遭遇しているのですね。そこが甘ちゃんの日本人と違うのです。

身ぐるみはがされてスゴスゴと撤退した会社を知っているだけに、現在中国で
ビジネスをしている方々の苦労を思うと、日本で仕事をしている我が身の幸せ
を思います。

└──────────

┌──────────「hideおじさんから」

中国など、やり方が汚いとかなんとか我々日本人は言いますけど、別な見方を
すれば、「たいしたものだ」と思います。海千山千幾つもの試練を乗り越えて
きた「国」ですから、一筋縄ではいかないでしょう。

他所からなんと言われようとも、自分の「利益」と「財産」を守るためにあら
ゆることをする。それが、国が「国」として存在する意義だと思います。

振り返って日本はというと、国が国民になすべきことを理解していないのでは
ないでしょうか?また、国民も国に対してなすべきことを理解しているとは思
えません。

形は違えども、目先の利益に振り回されて結局何兆円もふんだくられる日本。
自分の権利だけ主張して、自分が国にたいして何が出来るのか問わない国民。

ーーーこれだけみても勝負の行方は明らかです。

一時「Japan as NO.1 」と持てはやされましたが、中途半端な自信とプライド
の結果が今の日本です。本当の意味で「NO.1」を目指すなら、もっとしたたか
な日本に なってもらいたいです。

└──────────


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