わずか10数年で、終戦時の中国大陸の重工業の約90%を占める高度産業国家を忽然と出現させた | 日本のお姉さん

わずか10数年で、終戦時の中国大陸の重工業の約90%を占める高度産業国家を忽然と出現させた

【李登輝氏】後藤新平が満鉄などに行かなければ

(JOG Wing ■ 国際派日本人の情報ファイル■)より転載


伊勢雅臣



 台湾の李登輝前台湾総統が以下のように言われたと、産経新
聞論説委員長・千野境子氏が紹介している。[1]

 後藤新平が満鉄などに行かないで、台湾にいて南進政策
をやっていたら、満州に手を出さないで日本は海洋国家と
して違う日本になったと思う。大陸へ行ったがゆえに大変
なことが起きた。日本は文化と海洋による国家を造らなく
ちゃいけないんだ・・・

 確かに、満洲へ向かう方向は、日本にとって鬼門だった。
本はこの地に膨大な投資を行い、多くの優れた人材を投じた。
わずか10数年で、終戦時の中国大陸の重工業の約90%を占
める高度産業国家を忽然と出現させたのである
[a]。後藤新平
[b]を含む我が先人の偉業を我々は大いに誇ってよいのである
が、「大陸へ行ったがゆえに大変なことが起きた」という李登
輝前総統の言葉も歴史的な事実である。

 中国大陸での共産革命を狙うソ連と毛沢東によって、日本は
蒋介石との戦いに引きずりこまれた
[c]。そして、それが原因
となって、中国市場を狙う米国とも対立することとなった。日
本が中国大陸に進出していなければ、毛沢東と戦う蒋介石を英
米と共に支援していただろう。

 歴史上のIFは繰り言にしかならないが、「日本は文化と海
洋による国家を造らなくちゃいけないんだ」という李登輝氏の
言葉は、今後の日本の進路を考える上で重要な示唆を含んでい
る。

 日本文化は自然と共生する。そしてわが国は世界第6位、
451万平方キロに及ぶ200海里排他的経済水域(EEZ)
を持つ海洋大国である。
美しく、豊かな、かつ自由な太平洋を、
台湾を含めた海洋アジア、オーストリア・ニュージーランド、
そしてアメリカと力を合わせて守っていくことが、わが国の国
家戦略であろう[d]。

■リンク■
a. JOG(239) 満洲 ~ 幻の先進工業国家
 傀儡国家、偽満洲国などと罵倒される満洲国に年間百万人以
上の中国人がなだれ込んだ理由は?
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h14/jog239.html
b. JOG(145) 台湾の「育ての親」、後藤新平
 医学者・後藤新平は「生物学の法則」によって台湾の健全な
成長を図った
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h12/jog145.html
c. JOG(446) スターリンと毛沢東が仕組んだ日中戦争
 スターリンはソ連防衛のために、毛沢東は政権奪取のために、
蒋介石と日本軍が戦うよう仕組んだ。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogdb_h18/jog446.html
d. JOG(314) ランドパワーとシーパワー
 日本の生きる道は、シーパワー(海洋国家)諸国との「環太
平洋連合」にある。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/jogbd_h15/jog314.html

■参考■
1. 産経新聞「【風を読む】論説委員長 千野境子」
H19.10.08、東京朝刊、8頁
台湾の声:
http://www.emaga.com/info/3407.html