ペルシャ湾が戦場になったら、湾内奧深くまでタンカーの護衛に行かねばならぬかも
軍事情報(インド洋給油問題の本質とイラン情勢) 9,413部
平成19年(2007年)10月2日
┏【目次】───────────────────────☆
┃ ☆【インド洋給油問題の本質とイラン情勢】
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┃ ☆発行:おきらく軍事研究会
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■中東情勢の緊迫化
中東の情勢はイスラエルのシリア空爆以来、緊迫の度が一段と
増してきましたね。
アメリカはイラク情勢の負い目をイランで取り返そうとしているの
でしょうか?
ブッシュはハッタリだけだと思いますが、もしかしたら
民主党大統領の下でこそ何かやらかすかも知れない、という
気がします。
ペルシャ湾が戦場になったら、海上自衛隊はそれこそ
湾内奧深くまでタンカーの
護衛に行かねばならぬかも知れません。
■なぜ海自がペルシャ湾内まで?
というのは、米国、イスラエルの何れにせよ、もしイランを空爆すれば、
領空通過など攻撃に暗黙の了解を与えた周辺アラブ諸国が
イランの報復攻撃の対象になるおそれがあるからです。
かつてのイラクや先日のシリアのように報復は自制するとしても、
ペルシャ湾の自由航行の確保は相当に難しくなるでしょう。
ペルシャ湾を挟んで両岸が緊張状態となれば、
日本に原油を運んでいる1日300隻以上のタンカーが航行するには
大きなリスクを伴います。
直接的な攻撃は無くても、かつて米駆逐艦コールがイエメン沖で
受けたような自爆攻撃もあるかも知れませんし、
誤射、誤爆も起きないとは言えません。
湾の入口であるホルムズ海峡の機雷による封鎖もあり得るでしょう。
イラン・イラク戦争や湾岸戦争当時、ホルムズ海峡の通過は
たいへんでした。
イランとは対岸になるアラブ首長国連邦側の狭い水路を、
夜間に燈火管制(見付からぬよう燈火を消すこと)をしながら
通峡していたのです。
湾岸戦争のあとで、日本は戦場だった湾奧のクウェート沖に
掃海部隊を派遣しました。
国際社会と協調できる最低限の負担でした。
もし今度、海上自衛隊がインド洋給油から撤退した後に
ペルシャ湾が熱くなった場合、我が国の生命線である石油大動脈の
リスクは誰が守るのでしょう?
今度は、あと添えの掃海部隊程度で済まないであろうことは明白です。
そんななか、インド洋派遣程度で反対している民主党は一体何を
考えているんでしょう?
多分、何も考えていないんでしょうね。
給油問題は11月が近づいたら「ボキッ」と折れるように妥協するの
ではないでしょうか。
■いつまで甘ったれるのか?
今までの政府は、戦闘が起こりそうな危険なところには自衛隊を
送らない、集団自衛権は憲法に抵触するから仲間でも助けない、
シーレーン(海上輸送路)を護るのは我が国までの千浬だけ、等々の
及び腰でした。
例えば、核爆弾の原料であるプルトニウムを日本に持ち帰る輸送船の
護衛にすら海上自衛隊を使わず、世界中を呆れさせ困惑させました。
でもこれは、政府だけを責められません。
日本国民の多数世論でもありました。
でも、現在世界中が欲しているインド洋の燃料補給をさえ中断する
ような義理欠けをした場合、今後のペルシャ湾からの
シーレーンの安全確保において各国の協力は格段に得難くなり、
最早日本が自分でやらざるを得なくなるでしょう。
これが国際社会の常識的な心情でないでしょうか。
つまり、インド洋給油問題は日本国民の「自国安保ただ乗り」
「甘えの構造」意識
の延長線上にあります。
「日本はいつまで甘ったれているんだ!?」が問われるこ
とになるのです。
そして、イラン空爆はその「引き金」になる可能性が大きいと思います。
(ヨーソロ)
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