石破大臣着任会見概要 | 日本のお姉さん

石破大臣着任会見概要

軍事情報 (石破大臣着任会見概要)             9,381部
                      平成19年(2007年)9月27日
┏【目次】──────────────────────────☆
┃  ☆【石破大臣着任会見概要】
┃  ☆【高村大臣離任会見概要】

┃  ☆発行:おきらく軍事研究会
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こんにちは。おき軍事のエンリケです。

二十六日に発足した福田内閣の防衛大臣に、石破茂代議士が着任しました。
前大臣の離任会見とあわせ、着任会見全文をお届けします。

今回の課題は、話だけで見ると

・在日米軍再編の推進(普天間飛行場の移設など)
・海自インド洋派遣の継続
・参事官制度の見直し
・情報管理体制の構築

みたいです。

インド洋関連では、新法を一刻も早く立てることが必要でしょうね。
これについては、明日紹介予定の佐藤参議院議員(退役一佐)のインタビュー
(月刊『WiLL』十月号)でも、「帰ってきたと思ったらまたきびすを返してイ
ンド洋に戻る。こんな無様な真似をするのは国家の恥さらしである」という
趣旨の言葉があります。

世界の舞台で動いているわが軍に、国内事情によって支離滅裂な行動を

とらせることは、ご指摘の通り国辱以外のなにものでもありません。
世界に「やっぱり日本はアホだ」と後ろ指を差される原因となります。
こんな醜態を世界にさらすことは、一国民として申し訳ない限りです。

石破さんは現行法の中で自衛隊に何が出来るか、何が出来ないかをよく

ご存知の方なので、上手な結論を導き出すことと期待します。


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◎◎◎ 石破大臣会見概要 [ http://ishiba.okigunnji.com/ ] ◎◎◎
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■【9月26日防衛省発表 石破大臣着任会見概要 (15時43分~16時26分)】

大臣会見概要

1 発表事項

 皆さんどうもお集まり頂きましてありがとうございます。
この度防衛大臣を拝命いたしました衆議院の石破です。
これから皆様方と色々な議論をしながら、防衛行政の適切な遂行に努力して

参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

昨日の就任会見で申し上げたことと重複して恐縮ですが、もう一度申し上げ

ます。昨日、福田総理から出されました指示は二点でございます。

一点は在日米軍再編の着実な推進など、日米安全保障体制の一層の強化を

図ること、
二点は、テロ特措法に基づくインド洋における海上自衛隊の活動の継続に

ついて、関係大臣と連携して取組む、また国際平和協力活動など、国際

貢献などに積極的に取組む、

この二点のご指示を頂いております。この二点を着実に実現すべく、全身全霊
尽くして参る所存であります。

2 質疑応答

Q: 久々の閣議だったと思われますが、全体的に総理から改めてどういう発
言があったのかお聞かせ下さい。

A: そのまま原文に忠実ではありませんので、ニュアンス的な扱いになって
恐縮ですが、総理からは、「非常に時局困難厳しい折り、その自覚を持って取
組むように。政治に対する信頼というものを取り戻すべく、閣僚は皆自覚を持
って取組むように。」と。これは政治と金もそうでしょうけれども、「いささ
かたりとも疑惑の持たれることのないよう、閣僚たるものその自覚を政治家の
中でも強く持たねばならない。」というお話がございました。「今私どもの政
府が、あるいは政府与党が置かれている立場というものを、本当に十分に自覚
をして、事の重大性を認識し、責任を持って閣僚としての任務を果たすように。」
と、大意そのようなニュアンスであったと承知しております。

Q: 防衛省トップとして再登板という形になりますが、一夜明けての改めて
の感想、抱負などありましたら聞かせて下さい。

A: 今回、なぜ私が防衛大臣という職を拝命したかということは、極めて
明白なことであって、総理のご指示の言葉どおりに言えば、テロ特措法に基づ
くインド洋における海上自衛隊の活動の継続ということでありますが、参議院
において与野党の勢力比が逆転している状況を踏まえた上で、わが国の国益

にとっても、そしてわが国が果たすべき国際社会に対する責任という面からも、
この活動を継続しなければならない。法の期限が11月1日に迫っているわけ
で、この課題を乗り切るようにというのが、私に与えられた責務で、横文字で
言えばミッションになるのかなと思っております。

私はこのことについての必要性を、ある意味誰よりも認識しているつもりです。
この夏も昨年もインド洋に参りました、あるいはこのテロ特措法の成立の時から、
係わってきている人間でもあります。そうであるだけに、これを継続するとい
うことの重要性も、困難性もよく認識をしているつもりであって、そのことに
対して全力で取組みたいということであります。もう一点は、前回務めました
時は防衛庁長官でありました。今回は防衛大臣という立場であります。

それは防衛庁が防衛省に変わったということであり、このことの意味をどのよ
うに認識するか。前回の在任中に、防衛力の在り方検討という会議を、それぞ
れの現場における会議も含めれば何百回、大臣室だけでも何十回といたし

ました。

在り方検討、それは大野大臣の下で、新しい大綱として結実しているわけでご
ざいますけれども、その時から、実効性のある防衛力とは何だということが私
の念頭にはございました。実効性、つまりその根幹は維持するにしても、いわ
ゆる基盤的防衛力構想を一部転換した形になっているわけで、さすれば多機能
で、実効性があって、弾力性と、キャッチフレーズ的に言えばこの三つになる
のですが、キャッチフレーズだけ言っていてもしょうがないので、本当に実効
性のある防衛力、言葉を変えれば、実効性のある抑止力の中身について、それ
は法制度もそうです、装備もそうです、運用もそうです、そのことについて、
防衛の任を預かる防衛省として、きちんとしたものをお示ししていかなければ
ならないのではないか、きちんとした情報公開の下で、それをお示ししていか
なければならないのではないか、というふうに考えております。

退任しました3年前からずっとそのことを考えて参りましたし、自民党内にお
きましても、あるいは国会におきましても、そのような議論をして参りました。
私は防衛力の本質は抑止力であるという考えを、一貫して持っている人間であ
ります。ただ、抑止力ということは、その中身は何なのかということをきちん
と把握をしなければなりません。私ども防衛省・自衛隊に何が出来て何が出来
ないのか、それは法制上も、装備上も、運用上もそうであり、日米同盟につい
てもそうなのです。何が出来て、何が出来ないのかということを、正確に政治
が認識しなければ、結果は必ず誤りを引き起こすものだと、私は承知をしてい
るところであります。

鉤括弧付きで申し上げれば「戦争」あるいは国際紛争と言い換えてもいいかと
思います。それを如何に起こさないかということが、防衛省・自衛隊の使命で
あり、それが国の独立を守り、平和を守るということだと考えています。その
実効性というものについて、きちんとした答えを出すために努力をしたい。

感想は以上の点であります。

Q: テロ特措法の新法の件で、国会提出に関して昨日の就任会見を聞いてる
限り、総理、前高村大臣に比べて慎重にも聞こえるのですけれども、成立の見
通しは如何でしょうか、それから今回の臨時国会での成立を図るべきか、とい
うことについてお聞かせ下さい。

A: これは継続を図るために、何が最もベストな道なのか、ということだと
思っております。私の言い方が、あるいはそういうような受け取られ方をした
のかもしれませんが、要は一点、この継続ということのために何がよいのか、
そのためにあらゆる可能性は排除されるものではない、ということであります。

継続を図るためにベストのやり方を考えていくということであって、総理のご
発言、よく承知いたしております、それからまた三大臣の間で、話合いがなさ
れ、一定の方向性が確認されたというのでしょうか、示されたというのでしょ
うか、そのこともよく承知いたしております。今後政府として、どのような方
針で臨むかということは、総理のご意志もよく承りながら決定していくことで
あって、活動の継続の為にあらゆる可能性は排除されない、という認識でいる
ところでございます。

Q: 新法の制定の話なのですけれども、あらゆる可能性という段階はもうだ
いぶ過ぎ去っている、残された時間がもうわずかしかない、総理ももう新法前
提の議論をしていると思うのですけれども、継続するためにどうするべきか、
大臣自身の考えというものをお聞かせ頂けますか。

A: それはまだ、これから国会において現行法の附則の改正という形の継続
であれ、あるいは新法というものであれ、国会において全く議論されていない
段階であります。同時に11月1日というのはどんどん近づいているわけであ
って、事実認識としては非常に厳しい状況だということは、認識しております。
ただ、国会の審議が全く行われていない状況にあって、この段階で「これ」と
いうふうに、決め打ちというのか、そういうことを防衛大臣の立場で申し上げ
ることは必ずしも適切ではないということでございます。

Q: 国会審議が始まる前に、いわれている閣議決定なり、ある程度方針を示
さないといけないと思うのですが、この段階で1ヶ月少ししか残されていない
状況で、国会日程も考えてもそろそろ福田首相は新法前提の話をされています
が、そういう意味で考えても議論していく時期だという気がするのですが。

A: 今、前提という言葉をお使いになりました。総理の会見の中では、
「そうなりつつあるのかな。」というご発言であって、私は、前提ということ
では必ずしも認識していなところでございます。総理がそのようなご発言をし
ておられることをよく承知の上で、総理から確定した方針を示された訳ではご
ざいませんので、防衛大臣として、確定的なことを申しあげることは、必ずし
も適切ではないと申し上げたのでございます。

また、仮に新法という形になった時に、私はこういう言葉はあまり好きではな
いのですが、「頭の体操」という言葉は、私は必ずしも好きではないというこ
とを繰り返して申しあげますが、どういう法律になるのか、そういうことをき
ちんと詰めて行かなければいけないものだと思っております。「新法にすれば
いいではないか。」とおっしゃいますが、これが法律的にどうなのか、条文に
どんなふうに書き込むのか、きちんと詰めた段階で確定的なことが申し上げら
れることだと思っております。

Q: これは、だいたい時期として11月1日が迫っていますが、いつぐらい
が目途というのは。

A: 継続するためにそれしかないとなるならば、それは、早ければ早い方が
よいということだと思います。今の時点で何時ということを、断定的に申し上
げることは出来ません。

Q: 新法にせよ、改正案にせよ今国会で通せるか、或いは継続審議になるか
で派遣の中断期間が大きく変わってくる訳ですが、やはり臨時国会で成立まで
する決意があるのか、お聞かせください。

A: これも総理のご判断であって、防衛大臣がここで断定的なことを申し上
げることではありませんが、私は中断ということがあってはならないと思って
おりますが、仮に中断ということがあるとしても、その時期は短かければ、短
いほどよいというか、短くなければならないという確信を私は持っております。
それが、日本の国益のために、そして国際社会の日本国の責任の中でやらなけ
ればならないことだと確信したことは、先程申し上げたとおりであります。
そうであれば継続する、仮に万が一中断ということになってもその期間は短か
ければ、短い程よいというか、そうであらねばならない。国会の会期をどうす
るかについて一閣僚が申し上げる立場ではありませんが、そのために色々な手
法が尽くされるべきだと私個人的には思っております。

Q: 与党内では、活動の継続のために新法を補給に限っての形の新法を研究
されていますが、大臣自身、新法の場合どのような形がベストですか。

A: 私は、昨日まで自民党の安全保障調査会長でございましたので、与党内
の正式な機関において、新法の中身について細かい議論をされたという認識を
持っておりません。少なくとも安保調査会で、まだ私が就任して一回しか開い
ていません。

私は、この活動について、総理がよくおっしゃいますように、野党のご理解を
得ることが必要であると思っております。そしてまた、国民の皆様方のご理解
を得るということが同時に非常に必要なことだと思っております。
やはり、自民党の安保調査会、国防部会というオープンな場でそのような給油
新法について突っ込んだ議論があったと認識していないのであって、今後どな
たが安保調査会長になるか存じませんが、その下において、広く議員の意見を
聞いた上で、濃密に加速度的に議論が煮詰められるべきだと思っています。
給油新法という具体的な議論が交わされたという認識を、私は持っておりません。

Q: 給油活動に関しては、民主党は反対姿勢を崩してはいないですが、どう
理解を求めていくのか。理解を得られない場合は、どのように継続の道を探っ
ていくのか。例えば、三分の二の衆議院で採決することが視野に出てくるのか、
如何ですか。

A: よくそういうご質問を頂くのですが、民主党として反対というのはよく
わかっているのですが、赫々然々かくなる理由で反対であることを、体系立て
て民主党としておまとめになり、対外的に打ち出されたというふうには、私は
認識しておりません。それぞれの立場の方がそれぞれの場所において、色々な
ご発言をなさっておられますが、党としてこのような考えなので反対であると
か、あるいは変わってこのような法律を出すべきであるとか、そういう姿勢、
方針が固まってから申し上げるべきものだと思っております。仮に理解が得ら
れなければというご指摘ですが、私は、誠心誠意ご説明をして、理解を得ると
いう努力をしていかなければならないという段階であって、仮に理解が得られ
なければという前提でものをおっしゃるということを私自身あまり好みません。

Q: 安倍首相が交代したことによって、安保法制懇による集団的自衛権の事
例研究がだいぶ遅れると思うのですが、公明党も反対していますが、この扱い
についてどう思われますか。

A: これは、総理の下で作られた懇談会について、防衛大臣が言及すること
はそれこそ必ずしも適切ではないどころか不適切だと思います。ただ、その場
においてなされた議論というものがどういう形で纏められていくのかというこ
とは、一人の政治家として関心を持っております。つまり、四類型となって、
それぞれについてどうなのだということについて、色々な角度から議論が交わ
されたという認識をしているところでございまして、そこにおいてどんな議論
がなされ、懇談会としてどんな方向性が出されるのかについて、防衛大臣とし
てというよりは、この問題にずっと関心を持ち続けてきた一政治家として、
関心は持っておりますが、そのことがどうなるかについて、大臣としては申し
上げる立場にございません。

Q: 一政治家として、なるべく早くある程度形を取っていくということですか。

A: それは、集団的自衛権という場合に、まず定義を何にするのかというと
ころから話しをしなければ、議論は議論として成り立たない話です。国民の皆
様百人に聞きました、「あなた集団的自衛権って何だか知っていますか。」と
いう質問をしたとして、百人の答えがそれぞれ違うのだろうと思います。

私は、こういう国家の根幹に関る事項において、基本的認識を統一した上でな
ければ、議論が先走ることがあってはならないと思っておりまして、まだその
段階ではないと思っております。安保法制懇において、集団的自衛権とは何で
あるのか、ミサイル或いは米艦防護というのか、その言葉は色々あるのですが、
或いは海外において、これも事例が二つに分かれますが、その場合に集団的自
衛権の定義とは何であり、これは当てはまるのか当てはまらないのかというよ
うな、そういう議論を一回整理した上で、更に次のステップに進むものだと思
っておりまして、これは前も大臣として答弁したことがあるかもしれません。

集団的自衛権は、内閣としてこれは使えないということは、閣僚の一員である
以上、その立場を遵守するのは当然のことであります。その上で集団的自衛権
というのは、「それは何なのだろう。」ということについての議論をする際、
その認識に齟齬があれば、私は集団的自衛権が使えないから何にも出来ないの
だとか、逆に言えば集団的自衛権が使えるということは、かつて来た道なのだ
とか、そういう話をしているとどこまで行っても交わらないわけなのです。

それはお互いの立場の違いこそあれ、認識においての齟齬があれば、それはい
つまでたっても、そういう議論が深まらない。私はまず、そこからやるべきで
あって、一定の価値観を持って、話を進めていくという手法には、違和感は感
じております。

Q: 先程、民主党のテロ特の反対理由について説明がないという認識でいら
っしゃいましたが、これは民主党が反対理由を十分に説明していないというこ
とでよいのかということと、きちんと反対理由や対案を出すべきだというふう
にお考えなのでしょうか。

A: そういう非難めかした、そういう失礼なことを申し上げるつもりは全く
ありません。民主党も参議院において、あれだけの議席を取られた政党であり
ます。そうであれば、なぜ反対なのか、そして単なる反対ではなくて、このよ
うな対応を日本国としてすべきである、そのために必要な法制は、このような
ものである、ということを必ず近い将来においてお示し頂けると確信しており
ます。

そうでない段階で、民主党のAという人についてどう思いますかとか、Bとい
う人についてどう思いますかということを問われれば、それを申し上げること
は可能ですけれども、民主党としてどうですかということについてお答えをす
る状況に今はない、ということを申し上げているわけでございます。

Q: テロ特措法の関係で、2003年に海自の補給艦からキティーホークへ
の間接給油の問題ですが、キティーホークはその後イラクの監視作戦に従事し
ているという指摘もあり、テロ特措法の趣旨に反した給油ではないかという
意見もありますけれども、当時防衛庁長官であったという事もありますが、
この問題への見解と今後の対応についてはどのようにお考えでしょうか。

A: これは当時もお答えして議事録にも残っておりますから、繰り返しにな
ったら申し訳ないのですが、日米間において、勿論これは米国だけではありま
せん、補給をする国全てに対してでございますが、交換公文を結んで目的外使
用はなされないということを政府間でやっているわけでございますし、それは
交換公文を取り交わしたからそれでいいというものではなくて、補給を受ける、
仮に受給艦という耳慣れない言葉を使うとすれば、受給艦がどのような行動を
するのか、そのために必要な油はどのくらいなのか、そういうことを確認して
補給しているという事でございます。

ですから、法の目的外に使用されないということ、そのことは米側からも確認
を得ているところであります。我が国の補給活動というものが、仮に補給艦か
ら補給艦、そこから戦闘艦というように補給されたとしても、それが目的外に
使用されていないというように私は確信しておりますが、そのことがきちんと
御納得頂けるように説明をするということが政府の責務であるというように
考え、その作業を更に緻密にかつ加速度的にやって参りたいと思っております。

Q: 市民団体の記録を見ると、補給艦が真っ直ぐ空母へ向かっていて、空母
はその後すぐペルシャ湾の入口から中へ進んでいっています。アフガン作戦だ
と不自然にしか見えないのですが、その辺りの事実関係の確認とあらためて
目的等の確認もされるのでしょうか。

A: おっしゃるとおりです。その認識を私も共有するということでございます。

Q: それは米軍に確認するという作業をするのですか。

A: そうですね。ただ、軍事機密というものは当然あるわけで、その前提で
出来る限りの確認というものはしていかなければならない。あれもこれも
「軍事機密ですから駄目ですよ。」、「あ、そうですか。」ということではな
くて、ピース・デポさんがその様な会見をされているということも良く承知し
ております。それがその様なことではないということを、私どもとしては明ら
かにしたいと考えておりまして、そのための確認作業も、私は今日着任したば
かりでまだ着任式もやっておりませんが、そのことの指示はしたいと思います。

Q: 普天間飛行場の移設問題で、沖縄県と名護市は、V字型滑走路を生活
環境等の影響が少なくなるように、沖の方に少し修正して欲しいということ
を要望していますが、この件に関連して本年4月の自民党の日米安保合同調査
会で出来るだけ沖合に出した方が事故・騒音の可能性が少ないという発言をさ
れていますが、今後、県等の要望に対して応じていく御意向はございますか。

A: これも昨日の会見で申し上げましたが、今の形が理想的なものであり、
合理的な理由がない以上これを変更することは困難であるという立場が防衛省
の立場でございます。しかしながら、他方で一切聞く耳を持たないというつも
りはございません。議員の立場として、今ご指摘のような発言も間違いない事
実でございます。それから、沖縄もそうですし他の在日米軍基地もそうなので
すが、地元の理解無くして、ご協力無くして、基地の存続はあり得ないと思っ
ております。

日米同盟の存続のためにも、地元の理解というものが最も重要であり、そのた
めに、これは数年前での議論で申し上げた事ですが、「政府は誠心誠意やって
いないではないか。」というように地元の方に受け取られるようなことは、
絶対にあってはならない事だと考えております。

政府の立場として、現行の案が理想的なものであり、合理的な理由がなければ
変更する事は困難という点に何ら変わりはございませんが、本当に地元の方が
どうおっしゃっているのか、実際にどのように飛ぶのか、そういう事について
私自身大臣としてきちんとした認識を持ちたいと思っております。

Q: 今日、岸田沖縄担当相が出来るだけ早期に移設措置の協議会を開きたい
という意欲を示しておられますが、この件について大臣はどのように考えてお
られますか。

A: 出来るだけ早期に開かれるべきだと思います。それから開かれるような
環境をきちんと整えていく事が政府の責任であり、岸田大臣と共に私の責任で
もあるという認識を持っております。

Q: 集団的自衛権の話に戻るのですが、政治家の方には個別と集団を分ける
こと自体がおかしいのではないかという考えを示す方もいらっしゃいますが、
その点についてはどのようにお考えなのかということと、この問題について
福田総理から指示等は今のところないのでしょうか。

A: 総理からの御指示はございません。個別的・集団的に分けることがどう
なのだという事について、これは政府として申し上げる事ではなくて、個人と
して申し上げるとするならば、国連憲章51条において、個別的自衛権・集団
的自衛権というのは認められているわけでございます。

しかし、歴史的な沿革から申し上げれば、集団的自衛権が固有の権利であると
いう形で、憲章制定時に、私の認識では確認された、私は創設されたとは思っ
ていませんので、確認されたのだという認識を持っております。

そうしますと、集団的自衛権と個別的自衛権は、その成り立ちがかなり違うも
のではないだろうか。

ですから、大国の横暴に資するものという考え方もありましょうが、チャプル
テペック協定の成り立ち等々から考えれば、むしろ弱小な国々が拒否権を持っ
た国が背後にいる国から急迫不正の武力攻撃を受けた場合にどうなるのかとい
うことが、そもそもの議論の原点であったということは、学術的な評価として
定着しているところでございます。

そうしますと、個別的・集団的と分ける必要がないということは、私個人から
申し上げればそれは違うのではないか、同じ51条に並列に書いているが、そ
れは違うものではないのかという認識を私自身は持っております。

ただ、現在のところ集団的自衛権は、日本国憲法上行使出来ないとする政府

の立場を閣僚として維持することに何ら変わりはございません。

Q: 分ける必要がないということは、分けるべきだということですか。

A: 分ける必要がないという議論には違和感を持つということを申し上げて
いるのです。

Q: そもそも成り立ちが違うということですか。

A: はい。

Q: 長官時代に立ち上がって、見直しが進んだ参事官制度ですが、

その後に成案を受けて今の形になっているのですが、これについての

評価と、更に見直すお考えがあるかについてお願いします。

A: 私は3年間外におりましたので、どのように改革が進んだのかというの
を見ておりません。3年ぶりに戻ってきて、どのように変わったのかという事
をきちんと見たいと思っています。

私は、参事官制度というのは、如何に文民統制の実を上げるかということを中
核とする概念だというように認識しております。

つまり、シビリアン、民主主義政体において選挙において責任をとる、誤った
政策をとれば、それは有権者によって審判を受けるという立場の政治家が、私
は民主主義政体における文民統制の主体だというように考えております。

それは、政治家が知識があるとかあるいは軍務の経験が豊富であるとか、そう
いうことに影響するものではございません。それは主権者たる国民によって審
判を受けるということにおいての意味を持つものであって、他方、その政治家
が、この巨大な厖大かつ複雑な実力組織である防衛省・自衛隊を統制していく
上において、どのような補佐が一番望ましいのかという観点だと私は思ってお
ります。

その様な観点で、私は参事官制度の改革を指示し、それが実ったと聞いており
ますが、それが文民統制の実を上げるために本当によくなったのかどうなのか
という検証はきちんと行います。

Q: 政策から離れるのですけれども、実は第4代の防衛大臣就任でして、
短く終わった方も結構いらっしゃったんですが、大臣は長くやるおつもりはあ
りますか。

A: それはわかりません。私は前回2年務めましたが、2年務めると思って
防衛庁長官になったわけではありません。私も政治家になって22年になりま
すが、本当に短くて終わった大臣も大勢見てきました。それは自分の努力とか、
そういうこととは関係なく決まることがあるのだと思います。だとすれば、当
たり前のことですが、私は政治家であることも、閣僚であることも、それはあ
くまで手段であって目的だとは思っていません。その日一日何が出来たのか、
その日一日全身全霊で働き、少しでも国の独立と平和、国際の平和と安全、
それを実効あらしめるために、一日どれだけ進んだのかということを毎日検証
していきたいと思っております。結果として、長いか短いかということは、
あまり議論の意味がないと思っております。

Q: 福田官房長官の下で働かれたことがあったと思うのですが、なかなか
情報管理等厳しい長官だったと思うのですが、上司としてまた改めて働くこと
の感想といいますか、石破大臣からご覧になってどのようなご感想をお持ちで
すか。

A: 仕事においては、極めて厳しい方だという認識を持っております。
そのことと人間的に信頼でき温かい方ということは、決して相対するものでは
ありません。私は2年間、官房長官と防衛庁長官という立場で仕事をさせて頂
き、有事法制、あるいは国民保護法制、あるいはイラク派遣、あるいはテロ特
措法の延長等々、一緒にやらせて頂いて、福田長官というのは、温かくて信頼
が持てて、しかし仕事には厳しい方だという認識を持っておりました。

それは今も変わるものではありません。特にイラク派遣を巡って、何月何日派
遣ということが、新聞紙上あるいは電波によって表に出ることがありました。
福田長官は、絶対にそういうふうに表に出た日にちには派遣をしないというこ
とをおっしゃいました。

それが当たっていたか、外れていたかは別として、当たっていたのかもしれな
い、だとすればそれに向けて着々と準備を進めていて、それは支障をきたすこ
とがあったのかもしれない、しかし福田長官はよく考えろと、このイラク特措
法に基づく派遣というのがどういうものなのか、イラク特措法の9条であった
かと思いますが、防衛大臣の安全遵守義務でしたか、そんな言葉がござい

ました。

それは今までの法律ではなかったものです。裏返せば、それは危険な地域、
非戦闘地域であるが危険な地域というカテゴリーは当然あるのであって、そこ
へ自衛隊を初めて出すということが、どういうことなのか、そしてこれが国家
にとって、どういうものなのか、隊員の安全を図らねばならないという政府の
立場はどうなのか、そういうような重大な派遣にもかかわらず、この日にちが
出るというのはどういうことだ、そういうような防衛庁・自衛隊にこういうこ
とを担う資格はあるのか、それは本当に厳しいご叱責でありました。

それは、このイラク派遣というのがどれだけ国家にとって主要なものであり、
人の生命、あるいは身体というものに係わるどれほど重大な問題であるかとい
うことを、誰よりもよく福田長官はご認識していたと思っております。

国家の在り方とか政府の在り方とか、それに携わる者の当然の心構え、私はそ
の時福田長官に本当に改めて教えられたという認識を強く持っております。

その福田長官がこの度内閣総理大臣にご就任されまして、その下で仕事が

出来るということは、個人としてとても幸せなことだと思いますし、同じ思い

で総理の国家国民に対する真摯な思い、国際社会に対する真摯な思い、

これが実現出来るように自分として出来る限りの努力をしたいと思って

おります。

Q: 今の件で、福田長官の時にやはりその防衛省における情報管理といい
ますか、幕僚長の会見に対しても、物言いといいますか、色々あったやに聞い
てます。特に、久間大臣の時から海上自衛隊におけるイージス艦の

情報漏洩の決着もまだついておりません。

秘密保護法制の整備について、厳罰化という事も含めどのようにお考え

でしょうか。

A: それは、防衛に係わるそのような秘密、防衛秘密をはじめとするという
ことだと思いますが、こういうものが守られなければ何が起こるのかというこ
と。それは、本当に国の独立と平和が侵される事になるという認識を、皆がど
れだけちゃんと持つかということだと思います。ある意味、服務に対する心構
えなのだろうと思います。そのための法整備というものが、ものが重大である
だけに各国とも厳しい罰則を設けているわけであります。

わが国においても、どうすればその機密が保たれ、それが同時に、私が何かの
シンポジウムで申し上げた事ですが、出来るだけ情報を公開するということも
合わせて重要だろうと思っております。あれも隠し、これも隠しということが、
民主主義的文民統制にとってプラスだとは全く思っておりません。

その両点をどのように一致させていくかという認識の下で、この問題にはきち
んとした方針を示していきたいと思います。合わせて、厳罰化さえすればそれ
で良いのかといえば、そんなものではありません。それは省内あるいは自衛隊
内において、その実効性、どんなに厳罰を設けても、それがちゃんと摘発され、
きちんとそれに則った措置がなされなければ、何の意味もないことでございま
す。

厳罰化も、それは今でも自衛隊法ではそういうことになっているわけです。
その量刑がどうのこうのという議論だと思いますが、同時にそれには一定の結
論が出ていると私は認識しておりますが、今回監察についての組織を改めたと
いうことも、それについてのきちんとした実効性がなければならないというこ
とだと思います。それは表現の自由、報道の自由というものとどのようにして
調和していくのか、その点は永遠の課題なのかも知れませんが、私の前回

の在任中にもそういう議論はありました。

皆様方と真摯な議論をして参りたいと思います。


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◎◎◎ 高村大臣会見概要 [ http://kohmura.okigunnji.com/ ] ◎◎◎
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■【9月25日防衛省発表 高村大臣離任会見概要 (10時05分~10時17分)】

大臣会見概要

1 発表事項

 長い間でもありませんでしたけれども、大変お世話になりました。ありがとう
ございました。心から御礼申し上げます。どうなるかわかりませんが、また

臆面もなく戻ってくる可能性もないとは言えませんので、その時はまた

よろしくお願い申し上げたいと思います。

とりあえず、私からは防衛記者会の皆さんに

御礼の挨拶をさせて頂きたいと思います。

2 質疑応答

Q: 安倍内閣が一応辞任したということで、防衛大臣としての総括と、再任
される可能性もあると思いますが、次の防衛大臣に何を期待しますか。特に最
大懸案のテロ特の延長について、どういった対応を期待するかお聞かせ下さい。

A: 防衛大臣に就任したときに、安倍総理から特に言われたのは、このテロ
特の件と沖縄の普天間移設の件だったと思いますが、いかんせんショートリリ
ーフでありましたので、勝利投手にも敗戦投手にもなっていないと思いますが、
短い期間ではありましたが、私なりに全力を尽くしたつもりであります。
このテロ特の問題については内閣官房が主管になっているわけでありますが、
防衛省としても大きな責任を持っているわけでありまして、現実の問題として
11月1日以降切れ目無く続けるということは、民主党が急転直下、意見を豹
変して頂けない限り無理だということになっているわけで、出来るだけ中断期間
を短くするように、内閣全体として考えていかなければならないわけであります
が、次の防衛大臣におかれましても、そのために全力を尽くして頂きたいと思
います。

Q: 昨日、自民党4役の人事がありまして、福田流の初めての人事がありま
した。民主党などから、派閥の長を起用したことから、派閥政治の復活ではな
いかとの批判もありますけれども、大臣はどのようにこの4役人事を評価され
ますか。

A: 自民党は万年与党だと思っていられるような時は、当面一番いい人を置
くということとともに、若い人を育てるということも考えながら、人事をして
いるわけでありますが、崖っぷちにきた時はそういう余裕もないから、正に後
先考えずにエースを投入したということだと思っております。

Q: 組閣では麻生太郎さんの処遇が焦点になりますけれども、大臣はどのよ
うにお考えでしょうか。

A: 今、内閣総辞職してきた、今まで防衛大臣を務めてきた人間が、これか
ら福田さんが総理になって組閣する時に、どう考えるなどということ自体が僭
越至極ですから、そういうことは申し上げないということです。

Q: 他人のことは言いづらいと思うので大臣のことなんですけれども、
「臆面もなく戻ってくる可能性もないとは言えませんので。」とおっしゃいま
したけれども、帰ってくる可能性はどのくらいあるとお考えですか。
それと帰ってきたいですか。

A: 可能性が何%かという事もこれも全て福田さんの頭の中にあることで、
福田さんが総理になってから考えるべきことだと思っています。その結果
100%か0%かどちらかになるわけで、それは今日中にわかることで、
現時点では私も全くわかりません。就任記者会見の時に皆さんから、
「前の大臣とその前の大臣が途中でお辞めになったのをどう考えるか。」
と問われて、それに対しては直接答えないで「私は長くやりたい。」と答えた
ことを覚えております。

Q: 今日の閣議、現内閣では最後の閣議だったと思うのですが、実際に安倍
さんは病院から出られたと思うのですが、総理からはどのような労いの言葉が
各閣僚へあったのでしょうか。また、それに対して大臣からはどうお答えにな
ったのか、それと安倍さんの様子はどうであったのかを教えて下さい。

A: やはりお体が悪いのだなと感じましたし、総理からは「病気のために総
辞職する。」と、「申し訳ない。ありがとうございました。」と、そういう言
葉がありました。それに対して最年長の冬柴大臣から「この1年の間に憲法の
改正規定を作り、教育基本法を作り、そして防衛庁の省移行を成し遂げた。」
と、「立派な業績を上げた。」と、「まだ若いのだから、体を治してしっかり
頑張って欲しい。」という挨拶がありました。それから伊吹大臣からもほとん
ど涙声で、同主旨の発言があったと思います。

Q: 大臣からは。

A: 私からは、特に閣僚懇では申しませんでした。

Q: テロ特の関係なのですが、03年に海自の「ときわ」からキティーホー
クへの間接給油の問題で、キティーホークが、その後イラクの作戦に

従事しているということで、法的な問題がなかったのかということと、

米国へ現在照会中ということですが、その回答状況を含めて今後の

対応についてお聞かせ下さい。

A: 日本政府としては、当時、既にOEFの活動に従事中の艦船に給油した
ということ。そして給油を受けた米艦船は、その油をOEFの活動に使ったと
いう回答を米側から得ておりますので、そういうことだと思っております。
ただ、ご指摘がありましたので、改めて米側へ問い合わせている段階で

ありますが、その回答は現時点で来ていませんが、我々は当時確認した

ことを今でも「そうだ。」と思っているわけであります。

Q: テロ特に変わる新法についてなのですが、これは臨時国会に提出されて、
臨時国会で成立まで目指すのかということと、その場合に2/3の憲法の条項
を使う決意はあるのかという二点について、お聞かせ下さい。

A: 今国会で出すか、出さないかということであれば、出した方がいいと
思います。今国会で成立した方がいいか、しない方がいいかと言えば、成立し
た方がいいと思います。2/3条項を使って成立するのがいいのか、使わない
で成立した方がいいのかと言えば、使わないで成立した方がいいと。
そういうことです。

Q: 成立を目指すということですか。

A: 成立は、出して目指さないということはないのだろうと思います。

☆ 配信元:おきらく軍事研究会
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