【台湾人のことば】リーホー(こんにちは) | 日本のお姉さん

【台湾人のことば】リーホー(こんにちは)

【台湾人のことば】リーホー(こんにちは)

今度8/26に来日講演される台湾独立聯盟 黄昭堂主席が
正論7月号に「台湾人のことば」として、日本人にかたこと
でも台湾語を覚えて欲しい、とお願いされています。

是非、読者の皆様に紹介いたしたく、よろしくお願いします。
来日のおりには黄主席に「リーホー(こんにちは)」と挨拶いたしましょう。

参照:正論7月号

入力:台湾出身戦没者慰霊の会 高山登

以下本文


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台湾人のことば

    こう しょうどう
    黄  昭堂

(台湾独立建国聯盟主席)

 数人の年老いた台湾人同士の会話を、ひとりの日本人の友人が、真剣
な眼差しで聞いている。その顔がいつしか笑いをかみ殺したようにゆが
み、そして突然の高笑い。日本人が同席しているので、会話は日本語が
使われていたが、別におもしろい内容ではないのにである。こんどは台
湾人側がきょとんとした表情になる。「いやー、これは失礼。話し方が
おもしろくてね」

 台湾人同士の日本語による会話で、徹頭徹尾、完全な日本語が使われ
ことは、皆無でないにせよ。非常に少ない。ほとんどの場合、漢字で表
現できる部分の一部が台湾語で発音される。これが「台湾式日本語」で
あり、戦前に日本語教育を受けた台湾人の話し方である。本人にすれば
実に自然な対話方式であり、日本人が相手の場合、そうならないように
気を付けるが、やはり地が出る。日本語ではあるが、この「台湾式日本
語」は日本人には異様に映るのだ。しかし、このような台湾式日本語が、
戦後の「日本語族」を形成し、良好な台日関係の構築に貢献したことは
間違いない。

 自然に日本語をあやつる日本人にはわからないだろうが、日本語は実
にむつかしい言語である。ことばが通じれば、心も通う。これはあたり
まえである。日本との外交、日本人との交際をさらに深めるため、台湾
人はもっと日本語を勉強せねばならないと台湾の識者はさかんに主張す
る。日本文化を一掃して中国民族意識の導入を図ろうとした中国国民党
政権の教育政策によって、世代的に、構造的に、日本語の穴がぽかりと
空いた。

 三十年ほどの月日を経過して、驚くべきことに、日本では顰蹙を買っ
たあの原宿の「竹の子族」にあこがれた台湾の少年少女たちが「哈日族
」(ハーズ族、日本大好き世代)に発展する。テレビチャンネルの増加
にともなって、日本の番組が頻繁に放映され、アニメは幼児の目を釘付
けにする。日本語が流れていないので、日本語の学習にはつながらない
とはいえ、日本文化に親しむ機会を提供しているといえる。

 現在、台湾国内で日本語学科が設けられているのは十大学、ほかに九
大学の外国語学科に日本語の科目がおかれている。高校の場合、第二外
国語の選択では、日本語がトップを占め、二万六千二百八十九人中、二
万五百二十三人が日本語を選択、クラス数は六百三にのぼる。ビザなし
で旅行できる日本、第二の貿易相手国日本、「もっとも好きな国」の世
論調査で、米国を抑え、一位を確保している日本だから当然だろう。こ
とばの面で日本人にも台湾語学習を要望したいが、これは酷かもしれな
い。

 現在、台湾で使われていることばは大きく分けて、北京語と台湾語と
がある。中国国民党政権による中国教育は、北京語を唯一の「国語」と
位置付けた結果、北京語がもっとも普及したことばになっている。北京
語は、中華人民共和国では「普通話」とされ、「国語」ではないにして
も、実質的には国語として機能している。

 中華人民共和国に併合されるのを断固拒否している台湾が、その国と
同じ「国語」を共有するのは、強まっている台湾人意識(全体の六五パーセント)
にそぐわない。事実、台湾民主化が始まった一九九○年代以降、日常会話や
正式会合の場で台湾語が頻繁に使われるようになった。

 台湾では北京語で充分事足りると思ってやってきた日本人は当惑した
に違いない。「以前と同じく北京語を使ってくれ」と要求するわけにい
かないから、通訳を連れ歩くしかない。台湾人に敬意を表すべく台湾語
を習おうと思っても、台湾語は日本語以上にむつかしく、教科書も不備
だ。ここのところは、台湾人意識の高揚に敬意を表しつつ、不便をかこ
つしかないだろう。

 それでも台湾人である私はお願いしたい。「片言だけでもよいから、
台湾語を勉強しましょう」

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【無料講演会】8月26日(日)、「台湾の総統選挙について」

(((((((((( 黄昭堂氏が来日、講演会 ))))))))))

【参加費無料】8月26日(日)、黄昭堂氏が「台湾の総統選挙について」講演

 来春3月22日に行われる台湾の総統選挙は、民主進歩党(政府与党)の謝長廷候
補と「統一派」中国国民党の馬英九候補の一騎打ちになります。どちらが勝つか
によって、台湾の命運が決せられる可能性があり、台湾と運命共同体の日本の将
来が左右されるかもしれないのです。

 手護台湾大聯盟(総召集人は李登輝)の執行召集人として、あの人間の鎖デモ
を成功させた黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席を招いて、選挙の見通しやその結果
で台湾はどうなるか、などについてお聞きします。
参加者との意見交換も行います。
友人知己をお誘いの上、御参加下さい。

■演 題 台湾の総統選挙について
■講 師 黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席

■日 時 2007年8月26日(日)午後2時~4時30分(1時30分開場)

■場 所 文京区民センター 3階 3A
     東京都文京区本郷4-15-14(TEL:03‐3814‐6731)
     *文京シビックセンター斜向かい
     都営地下鉄:三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
     東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩4分
     JR「水道橋駅」徒歩10分

■参加費 無料
■主 催 アジア安保フォーラム(幹事=宗像隆幸)
     財団法人台湾安保協会(台北、理事長=鄭欽仁)

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参考


【新刊紹介】近藤綾・温浩邦『すぐ使える!トラベル台湾語』

美しく、正確な台湾語テキスト
近藤綾・温浩邦『すぐ使える!トラベル台湾語』(CD付き)

      評者:多田恵(台湾語メーリングリスト幹事、台湾語教師)

戦後日本で出版された台湾語テキストの原点は、王育徳先生の『台湾語入
門』、『台湾語初級』である。両書を出した日中出版が四半世紀ぶりに、こ
の7月20日付けで台湾語テキスト『すぐ使える!トラベル台湾語』を刊行
した。

本書の特徴は、正確さと、よく練られた企画による総合的な美しさだ。語学
テキストに求められる正しさと親しみやすさを兼ね備えている。

これまで研究者の手によるものだけが、この正しさという基準をクリアして
いた。一方、親しみやすさを同時に実現することが課題であった。本書では
この点が克服されており、多くの学習者にとって福音となるであろう。

美しいというのは、まず目に飛び込んでくる軽快でトロピカルなカバーデザ
インである。マンゴー、スターフルーツ、レンブー、椰子の木などが描かれ
た中を、女性旅行者がパールミルクティーを手に歩いている。これを見るだ
けで心地よいではないか!本文は、台湾のシンボルカラーであり、目にも優
しいグリーンを基調としている。

そして、簡潔にして最小限の文法説明。くどくどした説明がないのだ。台湾
語学習者にとって「転調」のルールが難関であったが、本書では「近藤式矢
印声調記号」により、その難関を飛び越えて、美しい発音を身につけること
が出来る。

台湾滞在中に出会うさまざまな場面で用いる自然なフレーズが、女性の細や
かな心遣いと、ネイティブの語感で精選してあるという点にも美学が感じら
れる。移動・宿泊など旅行のシーン、グルメ、ショッピング、リラクゼー
ション、緊急事態、台湾人との付き合いなど、台湾旅行を楽しむというコン
セプトに貫かれた33課からなっている。各課は6フレーズからなる本文に
くわえ、関連表現として10フレーズ程度が紹介される。読者はまた「コラ
ム」、「ひとくちメモ」、「ポイント」によって台湾へ誘われ、現地の人々
とのコミュニケーションの手ほどきを受ける。

各フレーズは、白話字(教会ローマ字)、漢字ローマ字交じり、カタカナ、
矢印成長記号で示され、本文であれば日本語訳だけでなく、台湾で使われて
いる中国語による訳もついている。つまり台湾人が台湾語の表記を学ぶテキ
ストとしても使えるようになっている。

185ページもの情報があるのに、A5に収まり、約1センチという薄くて
柔らかい本体は、鞄のポケットやハンドバッグに入れて持ち歩けるコンパク
トさ。これらが、一体となって美しいと感じさせるのだ。

この本が、正確さと美しさを兼ね備えることが出来た秘密は、2人の著者の
絶妙なコンビネーションにある。代表著者である近藤綾氏は台湾原住民族研
究者であり、本書の企画はもちろんデザインにも積極的にかかわっている。
イラストレーターとも密接に連絡を取って全体の完成度を高めた。1979
年生まれという彼女のセンスと繊細さが本書の美しさに貢献している。

共著者の温浩邦氏も台湾原住民族研究者で、台湾語文献収集家の兄を持ち、
日台交流を積極的に進めている。CD吹き込みをしたネイティブも白話字使
用者であり、著者の意図を十分に汲み取ることが出来た。台湾語テキスト出
版経験のある日中出版との連携もうまくいったと見える。

本書を手に取ったら、29ページの「アコン(おじいさん)」、「アマー
(おばあさん)」という単語のイラストをぜひ眺めてほしい。このイラスト
は実在の人物をモデルにしている。

近藤氏の母方の祖父は、文学博士にして台湾独立運動のリーダーであった王
育徳先生なのだ。その静かに燃えつづける台湾への愛を孫娘が引き継いでい
る。そしてアマーが彼女の台湾語学習を励まし、助けてきた。20歳から台
湾語を学び始めたという近藤氏は同時に日本人の視点から見た台湾の魅力を
良く知っている。この背景と台湾人の思いが、本書を美しい作品にまとめあ
げた。

近藤氏の現在の勤務先の長でもある許世楷駐日大使も、「今までになく分か
りやすく使いやすい台湾語学習書。ぜひ本書を持って台湾に行き、台湾語を
使ってみてください。きっと台湾人との心の距離がぐっと近くなるはずです」
と推薦の辞を寄せている。


『すぐ使える! トラベル台湾語』
近藤綾・温浩邦著
日中出版 2007年7月20日発行
ISBN 978-4-8175-1269-7
46判変形 200頁・CD付
定価=本体2,200円+税
http://www.nicchu-shuppan.jp/2007_07_01.html

 
『台湾の声』  http://www.emaga.com/info/3407.html
『日本之声』 http://groups.yahoo.com/group/nihonnokoe (Big5漢文)