チュウゴクは、日本との戦略的互恵関係は、双方とも後戻りできないという。 | 日本のお姉さん

チュウゴクは、日本との戦略的互恵関係は、双方とも後戻りできないという。

【北京=伊藤正】中国は参院選での与党惨敗について、安倍晋三首相の指導力が著しく低下、政権の不安定化は必至とみているが、安倍政権と推進してきた「戦略的互恵関係」への影響は基本的にはないとみているようだ。ただ、安倍政権が延命のために内向きになり、対中関係でより慎重になる可能性があるとの見方もあり、中国側は今秋の安倍首相の訪中計画実現を含め、対日外交をさらに活発化する見通しだ。

 中国の公式メディアや専門家は、参院選での与党の敗因を、年金や政治資金など国内問題における政府の不手際から国民の支持を失ったことに求め、安倍首相の今後は極めて厳しい政治運営を強いられるとみている。

 中国外務省直属機関である中国国際問題研究所の晋林波研究員は、安倍首相の当初の「人気」には「拉致問題解決への期待があったが、複雑な要素がからむこの問題で進展が得られなかったことも、国民の支持を失った一因」と、指摘した。

 しかし、今回の参院選では、対中関係を含め外交・安保問題は争点にならなかったこともあって、日中関係に直接の影響はないとの見方が大勢だ。

 晋研究員は「現在の良好な日中関係は、反日世論の抑制など、中国側の努力に負うところが大きく、その努力を続ける限り、関係発展の基調は変わらない」とみる。

 中国の胡錦濤政権は、安倍首相が昨年10月、就任直後に訪中し、小泉純一郎前政権時代に悪化した政治関係を修復、「戦略的互恵関係」を提起したことを高く評価。今春の温家宝首相の訪日で、多面的な協力関係発展で一致した。

 日中関係に「戦略的」という表現が加わった意味について、ある戦略問題の専門家は「北朝鮮の核問題はじめ東アジアの戦略構造に表れた変化を受け、東アジア地域の平和と安定に日中が協力するという意味がある」と述べている。

 中国が対日政策を積極化させた理由には、通商拡大のほかに省エネや環境問題での協力もあるが、中国の曾慶紅国家副主席は先の河野洋平衆院議長との会談で、日中関係の三課題の第一に台湾問題を挙げた。

 それと同様に、北朝鮮の核問題を解決するための6カ国協議の過程で、中国は北東アジアに新たな戦略関係が形成されつつあると分析、その対応の一つが、対日関係の強化というわけだ。

 このため、中国は昨年の安倍首相の訪中以降、国内で対日関係促進の大きな障害になっている反日ネット世論の規制を強化、日中戦争の発火点になった盧溝橋事件70周年(7月7日)記念行事も反日色が大きく薄められた。南京「大虐殺」についても見直しが進んでいる。

 中国が安倍政権の安定継続を望んできたのは明らかだが、安倍氏がこの苦境を乗り切ることの難しさも知っている。既に30日の国営新華社通信電子版は、麻生太郎外相、谷垣禎一前財務相らポスト安倍候補6人の紹介までしている。

 その最後の一人は小泉前首相だが、晋林波氏は、「仮に小泉再登板になっても、日中双方ともお互いに苦い経験から教訓を学んでおり、心配はしていない」と、述べた。日本との戦略的互恵関係は、双方とも後戻りできないという理由だ。

(2007/07/31 07:47)

http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070731/chn070731000.htm


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