米国は長らく続いた栄華がいよいよ終わろうとしている | 日本のお姉さん

米国は長らく続いた栄華がいよいよ終わろうとしている

日経平均、1,500円以上の大暴落

サブプライムローン問題に端を発した信用リスクの収縮が世界の、そして日本の株式市場に大きな影響を与えています。8月17日には、日経平均株価が前日比874円安の1万5,273円と大幅安となりました。14日は1万6,844円でしたから、たった3日で1,500円以上の大暴落です。


為替市場も影響を受け急激な円高が進行、それまで117円前後で推移していた対ドル円が113円台に突入しました。これにより、円安を背景に上昇を続けてきた電機や自動車株も大きく下げました。


これだけの下落を目の当たりにすると呆然としてしまうかもしれません。しかし、考えることを放棄してはいけません。大暴落の背景に何があるのか、そして今後、投資家はどのような行動をとるべきか。ここで脳に汗をかき考えることことが非常に大切です。【ポイント1】


そこで、今回は前々回にもお伝えしたサブプライムローン問題と日米株価の今後について、再度詳細にお伝えしようと思います。


※バックナンバー『サブプライムローン問題再燃で急落の日米株の今後は?』 もご参照ください。


ここでキーワードとなるのが、「過剰流動性」です。過剰流動性とは、簡単にいえば金余りの状態です。日本の場合、長らく続いたゼロ金利がその端緒であるといえます。近年の世界の株高傾向は、この金余りが要因の1つでした。そして、2月末の上海総合株価指数の急落は、その過剰流動性が剥げ落ちる予兆だったといえます。


私は、平日毎日更新している無料メールマガジン『投資脳のつくり方』で、以下のようにお伝えしていました。



『投資脳の作り方』2007年3月20日号


2月末から始まった世界同時株安も小康状態を保っている。その大きな理由は、(株安の)キッカケとなった中国上海総合株価指数の回復だろう。


たしかに、一部識者の意見には、(世界同時株安は)一過性であったという意見も強い。しかし、私は過剰流動性の変調をなめてはいけない、と考える。


(中略)


小康状態を保ち、やや反発局面を迎えている日本。しかし、嵐の前という可能性が高い。市場が楽観に振れている今、相場に自信がある投資家、もしくは、これだ!という個別銘柄以外には投資資金を出動させないことが賢明ではない
だろうか。

「過剰流動性の剥落」の影響

当時から過剰流動性が剥げ落ちる危険性を示唆してきましたが、今回はまさに過剰流動性に支えられていた資本市場が逆回転を起こしたことを実感したことになります。


そうなると、BRICsなどの新興国株価、そして、原油を始めとした市況関連も、過剰流動性の剥落により、大きく下落する可能性が出てきたと考えるべきです。


もちろん、現時点では、原油市況などは中国やインドはじめとする新興国の人口増などによる実需が下支えすることで下落しないという説が有力です。【ポイント2】


しかし、すでに原子力発電用の希少原料であるウランは高値から大きく下落していますし、ウラン価格に連動して動いていた、シガーレイク鉱山を持つ最大手のカナダのカメコは、直近ピークから35%もの株価下落に見舞われています。


この動きが原油などにも飛び火する可能性は十分あります。私は現在1バレル70ドル近辺で高値を維持しているWTI(ウェストテキサスインターミディエイト)価格が、原油生産の最低コストといわれる1バレル55ドル程度にまで下落するのではないか、と予想しています。


もしこの仮説が正しいとすれば新興国でも、例えばブラジルボベスパ指数は、ペトロブラスといったエネルギー関連の時価総額が指数を左右している現状にあり、市況関連が逆回転を始めると、連動して下落する可能性もあります。


実需ではなく、過剰流動性が市況の高騰を支えていた、ということを確認する時期が今後やってくるのではないでしょうか。そして、サブプライムローン関連も、過剰流動性のマネーの投資対象のひとつだったと考えれば、この問題は根が深いと気付くことができます。


米公定歩合引き上げは、ダウ下落の号砲?


現時点では、サブプライムローン問題は金融の問題であるため、実体経済には大きく影響しない、という識者の声が優勢のようです。しかし、前々回お伝えしましたので詳細は省きますが、私はサブプライムローン問題に端を発した不動産バブルの崩壊が、最終的に米国の景気悪化を引き起こし、実体経済が悪化すると予想しています。


そう考えると、今回FRBから発表のあった公定歩合の引き下げは、21日時点で1万3,000ドル台の高値を維持しているNYダウが下落に転じる号砲に聞こえてならないのです。


一般的には金利の引き下げは株価を上昇させるといわれていますが、必ずしもそうではありません。例えば、日本ではゼロ金利を導入してから、日経平均株価はつるべ落としのように下落していきました。実体経済が悪化していく過程では、金利の引き下げだけで株価下落を食い止めることは難しいと考えるべきでしょう。


では、こうした状況の中で、日本株はどうなってしまうのか。「心配いらない。短期的には米国株に翻弄されることもあるだろう。しかし、いずれ米国株の下落を乗り越え、逆行高していくのではないか」と私は考えています。


ここで思い出したいのが2005年です。日経平均株価は2004年末の1万1,488円から1万6,111円へと40%上昇しました。一方NYダウは、同期間に1万783ドルから1万717ドルとほぼ横ばい。このように、日本だけが反発することは過去にも例があるのです。


ただ、日本株の中で物色される対象は、今までとは異なってくるでしょう。今まで株価上昇を支えてきた、商社、非鉄、鉄鋼などのエネルギー関連は、原油市況などとの関連性が高いため、株高をけん引しないのではないかと考えられます。また、電機や自動車など、為替に影響を受けやすい業種が株価をけん引するのは少し先になると考えています。


代わって注目されるのが、内需。例えば、小売です。なかでも、地域別価格導入という実質的な値上げを発表した日本マクドナルドホールディングス(2702)など、外食産業はこれから注目を集めてくることが予想されます。


世界の投資資金は流れが大きく変わりました。しかし、日本株に関しては決して恐れるタイミングではないと思います。タイミングを見計らい、勇気を持って一歩踏み出した投資家には、数年後には大きなリターンが待っているのではないでしょうか。【ポイント3】

相場が分かる!今日のポイント

【ポイント1】
株価が下がるのは誰にとってもいやなことです。ましてや暴落に見舞われると、戦闘意欲さえ失ってしまうかもしれません。しかし、考えることだけは放棄してはいけないと思います。1回目の失敗で脳に汗をかいておけば、次のチャンスで取り返すことができることが往々にしてあります。来たるチャンスのために、今は我慢のしどころです。
【ポイント2】
例えば8月21日付けの日経金融新聞1面でも、「機械、資源株に割安感」として、まだ大丈夫といったトーンの記事が見られました。セリングクライマックスは「どこまで下がるのか」という恐怖を投資家が襲うときです。それは、日経平均株価でいえば、1万5,000円の大台を割り込む水準かもしれません。
【ポイント3】
何度か当コラムでもお伝えしているように、私は2015年までには消費人口の増大により日経平均株価は3万円になってもおかしくはないと考えています。直近のようにあまりにも大きな問題が起こると、ついあわててしまいます。でも、3万円という数値から逆算すれば、1万8,000円台で投資をしていたとしてもリターンは得られるし、仮に1万5,000円台で投資をすれば、さらに高いリターンが得られると考えることができます。必ずエグジット(出口=売却タイミング)を考えてから投資をする。これが投資の基本ではないかと思います。

米国の不動産バブル崩壊、とみるならば、投資テクニックは一旦頭の中から除外する必要性が出てきます。バブルが崩壊するときは、小手先では対応できません。私なりの大局観では、米国は長らく続いた栄華がいよいよ終わろうとしている、と考えています。その前提にたって本日はお伝えさせていただきました。読者のみなさまも、ぜひ自分なりの仮説を持って投資に臨んでいただきたいと思います。ここで脳にどれだけ汗をかいたかが勝負を決めると思います。(木下)

http://money.mag2.com/invest/soubanote/


「私なりの大局観では、米国は長らく続いた栄華がいよいよ終わろうとしている、と考えています。」

という部分に納得した。by日本のお姉さん