痴漢の発生は込んでいて駅間が長い路線で多く特に埼京線(上り)では後ろから3両目での被害が多い
■「女性専用車両効果」? 検挙は2年連続減
東京都内の電車内の痴漢検挙は2年連続で減っているが、JR中央線や埼京線の痴漢は相変わらず多い-。こんな傾向が警視庁の調べで分かった。検挙減少の理由ははっきりしないが、痴漢の発生は混雑する駅間の長い路線で多く、特に埼京線(上り)では後ろから3両目での被害が多いという。連日の猛暑で薄着になりがちだが、警視庁は「泣き寝入りしている人もいて、実際に痴漢被害が減っているとはかぎらない」と注意を呼びかけている。 警視庁によると、都迷惑防止条例違反で検挙した電車内の痴漢や盗撮の件数は平成16年に1897件と記録が残る8年以降で最多を記録。しかし、17年に1853件と44件の減少に転じ、18年にはさらに43件減って1810件。今年は6月末まででは、813件だった。 JR東日本などは、都内の12社36路線で運行している「女性専用車両の効果ではないか」。ある警視庁幹部は、元早稲田大学大学院教授、植草一秀被告(46)が痴漢で繰り返し逮捕されたことなどから「違法行為だという認識が浸透し、抑止効果になった」。別の幹部は「なぜ減ったのか分からない。もっと長期的な視野で分析しなければいけない」と慎重な姿勢だ。 一方で、痴漢が多い路線に大きな変化はない。 警視庁生活安全部のまとめでは、17年の検挙は多い順に中央線(217件)、埼京線(164件)、京王線(146件)。18年の集計はないが、同庁鉄道警察隊の18年の扱い件数は中央線(33件)、埼京線(28件)、私鉄全線(18件)と1位、2位は同じ顔ぶれとなった。 「込んでいて駅間が長い路線が狙われやすい。同じ体勢で長い時間、体を密着させることになるからだ」と警視庁幹部は言う。中央、埼京線とも朝の混雑率は約200%になる。新宿~御茶ノ水駅間の場合、総武線の各駅停車は9駅に停車するが、中央線快速は3駅しか停車しない。 また、各警察署によると、中央線(10両編成)ではどの車両でも痴漢が出るが、埼京線上り(同)は後ろから3両目で比較的多いという。新宿署幹部は「埼京線の3両目は新宿駅で主要乗り換え口が近く、特に混雑するからではないか」と分析している。 被害者は8割以上が10~20代。警視庁は、対策として(1)逃げ場のないドア付近は避け、車両中央のシート前に立つ(2)バッグを胸の前で抱えるなど荷物で体を隠す(3)防犯ブザーを利用する-などを意識してほしいと訴えている。 8月20日10時21分配信 産経新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070820-00000901-san-soci&kz=soci |