ロシア人との交渉ー日本に中国の代わりは出来ない。
ようちゃん、おすすめ記事。↓
▼ロシア人との交渉 (外交と安全保障をクロフネが考えてみた。)
この記事は2006年12月16日にアップしたものです。
最近このブログの読者になったばかりという方のために、折を見て、過去にアクセスの多かった記事・重要と思われる記事をご紹介します。
前回のエントリー”麻生外相が最近ちょっとおかしい”でいくつかの反論を頂戴した。(ありがとうございます)
そこで予定していた記事を差し替えて、もう少しだけ北方領土問題にからむロシアとの付き合い方について話して一応の〆としたい。
反論の論点は、日本の今後の主敵は中国であり、ロシアを日本に引きつけ中露分断をはからなければならないというのが一点。
もう一点は、四島返還はロシアは絶対に乗ってこないし国民が許さない。だから北方領土が半分になっても現実的な解決策をとるべきだというものであった。
こうした考えを持っている方も結構いるのではないかと思うのだが、恐れながら申し上げるに、まず日本人の常識・価値観・行動様式で文化の全く異なるロシア人の行動予測をしてしまっているのではないか、そしてロシアの国家戦略について考慮せず、日本側の都合だけで未来を予測してしまっておられるのではないか。
まず中露分断論から見ていくが、私はたとえ日本が北方四島すべてを放棄してロシアと平和条約を結んでも、それだけでロシアと中国の手が切れることはないだろうと思う。
なぜなら、中国が世界の石油・天然ガスを買い占めてガブ飲みしてくれるおかげで原油相場は高止まりし、「ロシア唯一のメシのタネ」と言っても良いロスネフチやガスプロムなどの国有エネルギー産業は笑いが止まらない状況で、そのことがロシアの国際的な地位・影響力を高めているからである。 今のラーダやボルガ・モスクビッチではロシア経済を救えない。(いずれもロシア国産車ブランド) また、中国がイランやヒズボラ・北朝鮮・スーダンといった地政学的トラブルメーカーに武器をじゃんじゃん輸出してくれるおかげで、原油価格の高騰に火をつけて煽る結果となっているのである。
しかし、日本に中国の代わりは出来ない。
原油・ガスの販売先が増え日本への影響力が増すのはロシアとしても悪くない話だが、省エネの進んだ日本の原油・ガス消費は頭打ちだし、何しろ京都議定書の言いだしっぺ。 日本が石油をガブ飲みして世界の原油価格を高騰させることなんて今のところありえない。
さらに日本製兵器の輸出は禁止されている。たとえ解禁されたとしても、イランやヒズボラ・北朝鮮に兵器を売るような中国の汚い商売のマネが出来るはずが無い。
だから日本がそっくりロシアに北方四島をくれてやったとしても、それだけで日本とロシアが手を取り合って反中に向かうということにはならないだろう。 そもそも北方四島すべてがもとからロシアのものだと思っている。
日本の利用価値はせいぜい中国向け原油価格を少しつりあげるぐらいで、日本に中国の代わりは務まらない。
日本が北方領土問題で譲歩すれば、日本とロシアで反中同盟が組めると言うのは、今のところ絵に書いたモチに過ぎないと思う。
国内の一部でくすぶる反中感情を押さえつけてプーチン大統領が中国との関係を発展させているのはそういうことだ。
私が「日本は速やかに新エネルギー源(メタンハイドレートでも良いから)を開発しなさい」と言った意味には、こういうことが含まれている。 次に「四島返還はロシアは絶対に乗ってこないし国民が許さない」という部分だが、 エリツィン時代の民主化失敗で、ロシア指導層はおろか国民の多数も「ロシアには強いツアー(皇帝)の存在が必要悪だ。国民はしょせん”奴”でしかなく国家のことは任せられない」という考えを受け入れてしまったように思える。 だから、これから当分ロシアでは独裁的な政権が続くのではないかと思うし、 国民の意向など関係無く、ツアー(大統領)の一声で領土問題も解決されるのではないだろうか。
民主化されたらされたで、打つ手はあると思う)
だからロシアの指導者が北方四島と”交換”したくなるようなカードを日本が持てば、私はロシアが乗ってくる可能性は充分アリと見ている。
そのカードを持つために、日本自らが努力しなければならないし、カードを相手に持ちかけるための国際環境の構築も重要。
私が「日本は速やかに新エネルギー源(メタンハイドレートでも良いから)を開発しなさい」と言った意味には、こういうことがやっぱり含まれている。
そうした努力もせずに、またこれまでの努力も全然足りないのに、現実的という理由をつけて日本固有の領土をアッサリ諦めようという敗北主義を私は支持できない。
「日本は太平洋戦争に負けたんだからしょうがない、極東軍事裁判でソ連の対日参戦は正当化されたのだから、一度決まったことは受け入れなければならないし、それはもうひっくり返せない」と思う人もいるだろう。 しかしロシア人なら「一度決まったことは受け入れなければならないし、それはひっくり返せない」とは考えない。 現在サハリン2油田開発で日露間のトラブルになっているが、結局のところ「エリツィン時代の原油が安かったときに結んだサハリン2の契約条件ではロシアのもうけが少ない。だからサハリン2の油田開発を環境破壊だの何だのとインネンつけて遅らせ、契約をひっくり返そう」というのがロシアのホンネだろう。
現に、サハリン2の権益をロイヤルダッチシェルからロシア国営ガスプロムに売るなんて話が出ている。これがロシアの真の狙いじゃないだろうか。 ガスプロムがサハリン2にかめば、その油田からあがる収益はロシアの納得いくように転がり込むのだろう。
日本人の常識なら「契約のような一度決まったことは、たとえそのあとに気に入らなくなっても、当初の条件は守らなくちゃ」と考える。
しかしロシア人は「自分があとで嫌になったら、最初の契約をひっくりかえして、より良い条件で契約を結びなおしても良い。嫌ならロシアと契約しなければいいじゃないか」と考える。
私が前回、ロシアをバザール商人と言ったのはそういう意味だ。
契約とか法の遵守という日本や欧米のような高信頼社会とは全く異なる価値観が支配する国なのである。
逆にいえば、日本が一度”決まったこと”をひっくり返して北方四島あるいは千島列島全部の返還を求めたとする。 日本人的価値観からすれば、「そんなことはひきょうだ」とか「最初から不可能だ。相手が受け入れるはずが無い」と考えるだろう。 当然ロシアは日本に対して反発するけれども、バザール商人特有の「値段のふっかけ」を含めて、相手の言葉をいちいち額面どおりに受け取ってはいけない。
ロシア側は反発しながらも心の中では「自分だったら同じことをするだろうな」と考える。 もちろんそんなことはおくびにも出さないけれど、それがバザール商人同士の交渉術の常識の範囲内のことであって、ロシアにとって全然受け入れられないということではない。
もっとも、日本が強いカード、ロシアが欲しがるようなカードを持たなくては相手が交渉の乗ってこず、話にならない。
だからロシアの指導者に北方四島と”交換”したくなるようなカードを持つために、日本自らが努力しなければならないし、カードを相手に持ちかけるための国際環境の構築も重要だと言っているわけだ。 つづく
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この記事は2006年12月16日にアップしたものです。
最近このブログの読者になったばかりという方のために、折を見て、過去にアクセスの多かった記事・重要と思われる記事をご紹介します。
前回のエントリー”麻生外相が最近ちょっとおかしい”でいくつかの反論を頂戴した。(ありがとうございます)
そこで予定していた記事を差し替えて、もう少しだけ北方領土問題にからむロシアとの付き合い方について話して一応の〆としたい。
反論の論点は、日本の今後の主敵は中国であり、ロシアを日本に引きつけ中露分断をはからなければならないというのが一点。
もう一点は、四島返還はロシアは絶対に乗ってこないし国民が許さない。だから北方領土が半分になっても現実的な解決策をとるべきだというものであった。
こうした考えを持っている方も結構いるのではないかと思うのだが、恐れながら申し上げるに、まず日本人の常識・価値観・行動様式で文化の全く異なるロシア人の行動予測をしてしまっているのではないか、そしてロシアの国家戦略について考慮せず、日本側の都合だけで未来を予測してしまっておられるのではないか。
まず中露分断論から見ていくが、私はたとえ日本が北方四島すべてを放棄してロシアと平和条約を結んでも、それだけでロシアと中国の手が切れることはないだろうと思う。
なぜなら、中国が世界の石油・天然ガスを買い占めてガブ飲みしてくれるおかげで原油相場は高止まりし、「ロシア唯一のメシのタネ」と言っても良いロスネフチやガスプロムなどの国有エネルギー産業は笑いが止まらない状況で、そのことがロシアの国際的な地位・影響力を高めているからである。 今のラーダやボルガ・モスクビッチではロシア経済を救えない。(いずれもロシア国産車ブランド) また、中国がイランやヒズボラ・北朝鮮・スーダンといった地政学的トラブルメーカーに武器をじゃんじゃん輸出してくれるおかげで、原油価格の高騰に火をつけて煽る結果となっているのである。
しかし、日本に中国の代わりは出来ない。
原油・ガスの販売先が増え日本への影響力が増すのはロシアとしても悪くない話だが、省エネの進んだ日本の原油・ガス消費は頭打ちだし、何しろ京都議定書の言いだしっぺ。 日本が石油をガブ飲みして世界の原油価格を高騰させることなんて今のところありえない。
さらに日本製兵器の輸出は禁止されている。たとえ解禁されたとしても、イランやヒズボラ・北朝鮮に兵器を売るような中国の汚い商売のマネが出来るはずが無い。
だから日本がそっくりロシアに北方四島をくれてやったとしても、それだけで日本とロシアが手を取り合って反中に向かうということにはならないだろう。 そもそも北方四島すべてがもとからロシアのものだと思っている。
日本の利用価値はせいぜい中国向け原油価格を少しつりあげるぐらいで、日本に中国の代わりは務まらない。
日本が北方領土問題で譲歩すれば、日本とロシアで反中同盟が組めると言うのは、今のところ絵に書いたモチに過ぎないと思う。
国内の一部でくすぶる反中感情を押さえつけてプーチン大統領が中国との関係を発展させているのはそういうことだ。
私が「日本は速やかに新エネルギー源(メタンハイドレートでも良いから)を開発しなさい」と言った意味には、こういうことが含まれている。 次に「四島返還はロシアは絶対に乗ってこないし国民が許さない」という部分だが、 エリツィン時代の民主化失敗で、ロシア指導層はおろか国民の多数も「ロシアには強いツアー(皇帝)の存在が必要悪だ。国民はしょせん”奴”でしかなく国家のことは任せられない」という考えを受け入れてしまったように思える。 だから、これから当分ロシアでは独裁的な政権が続くのではないかと思うし、 国民の意向など関係無く、ツアー(大統領)の一声で領土問題も解決されるのではないだろうか。
民主化されたらされたで、打つ手はあると思う)
だからロシアの指導者が北方四島と”交換”したくなるようなカードを日本が持てば、私はロシアが乗ってくる可能性は充分アリと見ている。
そのカードを持つために、日本自らが努力しなければならないし、カードを相手に持ちかけるための国際環境の構築も重要。
私が「日本は速やかに新エネルギー源(メタンハイドレートでも良いから)を開発しなさい」と言った意味には、こういうことがやっぱり含まれている。
そうした努力もせずに、またこれまでの努力も全然足りないのに、現実的という理由をつけて日本固有の領土をアッサリ諦めようという敗北主義を私は支持できない。
「日本は太平洋戦争に負けたんだからしょうがない、極東軍事裁判でソ連の対日参戦は正当化されたのだから、一度決まったことは受け入れなければならないし、それはもうひっくり返せない」と思う人もいるだろう。 しかしロシア人なら「一度決まったことは受け入れなければならないし、それはひっくり返せない」とは考えない。 現在サハリン2油田開発で日露間のトラブルになっているが、結局のところ「エリツィン時代の原油が安かったときに結んだサハリン2の契約条件ではロシアのもうけが少ない。だからサハリン2の油田開発を環境破壊だの何だのとインネンつけて遅らせ、契約をひっくり返そう」というのがロシアのホンネだろう。
現に、サハリン2の権益をロイヤルダッチシェルからロシア国営ガスプロムに売るなんて話が出ている。これがロシアの真の狙いじゃないだろうか。 ガスプロムがサハリン2にかめば、その油田からあがる収益はロシアの納得いくように転がり込むのだろう。
日本人の常識なら「契約のような一度決まったことは、たとえそのあとに気に入らなくなっても、当初の条件は守らなくちゃ」と考える。
しかしロシア人は「自分があとで嫌になったら、最初の契約をひっくりかえして、より良い条件で契約を結びなおしても良い。嫌ならロシアと契約しなければいいじゃないか」と考える。
私が前回、ロシアをバザール商人と言ったのはそういう意味だ。
契約とか法の遵守という日本や欧米のような高信頼社会とは全く異なる価値観が支配する国なのである。
逆にいえば、日本が一度”決まったこと”をひっくり返して北方四島あるいは千島列島全部の返還を求めたとする。 日本人的価値観からすれば、「そんなことはひきょうだ」とか「最初から不可能だ。相手が受け入れるはずが無い」と考えるだろう。 当然ロシアは日本に対して反発するけれども、バザール商人特有の「値段のふっかけ」を含めて、相手の言葉をいちいち額面どおりに受け取ってはいけない。
ロシア側は反発しながらも心の中では「自分だったら同じことをするだろうな」と考える。 もちろんそんなことはおくびにも出さないけれど、それがバザール商人同士の交渉術の常識の範囲内のことであって、ロシアにとって全然受け入れられないということではない。
もっとも、日本が強いカード、ロシアが欲しがるようなカードを持たなくては相手が交渉の乗ってこず、話にならない。
だからロシアの指導者に北方四島と”交換”したくなるようなカードを持つために、日本自らが努力しなければならないし、カードを相手に持ちかけるための国際環境の構築も重要だと言っているわけだ。 つづく
~~~~~~
ロシアとチャイナは、ならずもの同士、気が合うのだ。
神を信じない共産主義だし。(ロシアの体質は、旧ソ連と一緒だ。)
今後も、双子のように手を組んでますます軍国主義を推し進めて
強くなるだろう。
日本は、何をしているかというと、
何にもカードを用意していないから、
交渉もできないでいる。北方領土を取り返してやる!!という強い決意が無い。
ソ連が崩壊したときに、さっさと武力で取り返すのが普通の国だろう。
でも、武力も無いし、エリツィンと話し合っただけで終わったね。
はっきり言って、ロシア人は、ウソつきなのです。
よく言えば「バザール商人」。日本人は、バザール商人と取引しないといけない。
価値のある現物を用意して、物々交換しないと、北方領土は、取り返せない。
by日本のお姉さん