銃撃・拿捕事件の復讐で、サムライがハラキリした | 日本のお姉さん

銃撃・拿捕事件の復讐で、サムライがハラキリした

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「銃撃・拿捕事件の復讐で、サムライがハラキリした」@ロシアの…

(Cool Cool Japan !!!)

もう少し、北方領土にまつわる話を続けたいと思います。

 昨年、北方領土海域で、カニかご漁船の漁師、盛田光広さんがロシア国境警備艇からの銃弾に倒れた当日の夜、神戸でこんな事件がありました。

 16日午後11時半ごろ、神戸市中央区下山手通のキャバレー「ナイトレストラン ACADEMY」の従業員から「女の子が刺された。刺した男も自分を刺した」と110番があり、生田署員が駆けつけたところ、従業員のダンサーでロシア国籍のシェリェパノヴァ・アナスタシーアさん(22)が首と胸を刺されて床に倒れていた。男も自分の腹と胸など3カ所を刺して倒れており、刃渡り約20センチのサバイバルナイフが近くにあった。シェリェパノヴァさんは病院に搬送されたが間もなく死亡した。男は重傷。

 調べでは、男は店のなじみ客で、同市内の47歳とみられる。何度かシェリェパノヴァさんを指名し、事件の直前にはシェリェパノヴァさんが「ごめんなさい」と繰り返し男に謝る姿が従業員に目撃されていた。同署は男の回復を待って殺人容疑で事情を聴く。

 この事件は、ロシアンキャバレーに通っていた男が、おつきあいしていたロシア人ダンサーに彼氏がいることがわかり、逆恨みして心中未遂を試みた出来事でした。

 昨年の今頃、日本のメディアでは、50年ぶりに北方領土海域で犠牲者が出た盛田さんの拿捕事件について、大きく取り上げ、この神戸事件については単純な構図でニュース性も薄く、ローカル扱いやベタ記事扱いにとどまっていました。

 ロシアの首都モスクワでは、北方領土の拿捕事件については、1万キロも遠くで起こった単なる「国境侵犯、密漁事件」としてしかとらえられておらず、これが日露で係争中の領土海域で起こった大事件として注目されてはいませんでした。
 多くの国々と国境を接しているロシアは、国境侵犯事件など頻繁に発生しているからです

 その代わり、各メディアで、この神戸の事件がおもしろおかしく、取り上げられていました。その様子を、1年前、大阪本社発行の社会面で書き記しました。
 ここに紹介したいと思います。

 神戸市内で8月16日、無職の男(47)が、ロシア人女性を刺し、自殺を図った事件が、同日に発生した北海道根室沖のカニ漁船銃撃・拿捕(だほ)事件とからめて、ロシア国内で大きく報道されている。
 拿捕事件については、いずれも小さな扱いにとどまる一方で、親政府系メディアを中心に、「(神戸事件は)拿捕事件の復讐」と報道するメディアがあるほか、男性がナイフで自分の腹を刺したことから、「サムライがハラキリした」との見出しも紙面に踊っている。

 神戸事件は、北方領土付近の海域で、ロシア国境警備隊が銃撃し、カニ漁船の乗組員が死亡した事件と同じ日に発生。三宮のキャバレーで働くロシア・サンクトペテルブルク出身のシェリパーナヴァ・アナスターシャさん(22)が、客の男性にサバイバルナイフで刺され死亡。男はその後、ナイフで腹を刺して、自殺を図ろうとした。生田署は、病院で治療を受けている男の回復を待ち、殺人容疑で逮捕する方針だ。

 日本国内では北方領土問題に影響を与えたとして、拿捕事件が注目されたが、ロシアでは、神戸の事件を拿捕事件後の「日本関連報道」として、クローズアップ。新聞、テレビ、ラジオとも連日、大きく取り上げた。
 日刊紙「ノーヴィエ・イズベスチャ」は「ロシア人女性殺害事件が、露日間の外交スキャンダルを刺激した」と報道。人気タブロイド誌「コムサモーリスカヤ・プラウダ」は発生翌日の続報で、「日本人は密猟者殺害でわれわれに復讐したのか?」の見出しで、「国際政治には、確かに『目には目を』の原則は存在する。スパイ疑惑の場合の外交官追放の応酬がそうだ。しかし、殺害するのは『国民的』復讐としても行きすぎだ」と記している。

 その後も、アナスターシャさんが、子供のころプロのバレリーナを目指し、日本で稼いだ金でダンススクールを開くのが夢だったことや実家に仕送りしていたこと、「日本は安全と聞かされていた」と泣き崩れる両親のインタビュー記事も大きく紹介されている。

 男性の自殺未遂の方法についても「サムライ」「ハラキリ」などの表現が並んでいる。事件発生一週間後のロシア有力紙「イズベスチャ」には、「殺害者はサムライではなかった」との説明記事があり、その中で、「当初は、ハラキリを試みたのだから、サムライだと見込まれていた。しかし、日本にはサムライは長く存在してない」と詳しく説明調で記されている。

 イタル・タス通信のワシーリー・ゴロブニン東京支局長は「神戸事件は、日本ではさほど話題にならなかったが、ショッキングな殺害方法で、ロシアでは非常に大きなニュースになっている。拿捕事件の影響もあるし、欧米には、日本人がサムライ、サムライなら切腹というステレオタイプ的なイメージも残っているからだと思う。露日関係にも心理的にネガティブな影響を及ぼしている」と話している。

 私は、この現象を目の当たりにしたとき、日本ブームとか、親日家がロシアには増えているなどと思っていましたが、まだまだ相互理解にはほど遠いと愕然としました。
 ロシアについては、ソ連時代から「遠い隣国」という枕詞があったのですが、いくらなんでも、ロシア人女性が、わけのわからない自己中心的な男の犠牲になったからといって、主要メディアに「拿捕事件の復讐」なんていう、妄想もはなはだしい記者が書いた記事が出るものか、と思いました。

 そして、神戸事件を北方領土の拿捕事件とからめて、報道したのは、ゴシップ紙だけではないのです。テレビ、主要紙もそうした論調をはっていたのです。
 
 サムライ?ハラキリ?時代錯誤もはなはだしい!
 拿捕事件の復讐ということを真剣に考えて、ロシア人を襲おうなんて思った人は、日本中を探してもいないでしょう。

 長年、ソ連、ロシアという国とつきあい、友人も増え、コミュニケーションもできつつあるなあなんていう自負がありましたが、
このエピソードは、「日露関係なんて所詮そんなものなんだ」と思わせるのに十分なほどの誤解。

 もちろん、ロシア人全員が神戸事件を「拿捕事件の復讐」と考えたわけではないことはわかっています。しかし、ロシア人の思考回路の一部をかいま見たようで、大いに思いを改めることになりました。

 私はどうしてこのような過激な報道がされるのか、佐藤優さんにもコメントをいただきながら、当時、次のような分析記事を書きました。

  ロシアの主要メディアでは、2008年春の大統領選挙に向け、カギを握るメディアへの統制強化が色濃く反映し、政権のメディア支配が進んでいる。
 今回の報道でも、17年6月に買収され、独立系メディアから政権傘下の国有メディアに変わったイズベスチヤ紙を始め、親政府系メディアを中心に、神戸事件をセンセーショナルに取り上げた。一方で、拿捕(だほ)事件の報道は、早々に沈静化していた。
 この状況について、ロシアのメディアの実態に詳しいロシア人専門家は「イズベスチヤ紙を含め、親政権派の経営者の手に渡った新聞はいずれも政権批判を抑えている。政府とは独立した視点で批判を展開するメディアは今では数えるほどだ」と指摘している。
 
  起訴休職中の外務事務官、佐藤優さんは、ロシアのメディア報道の傾向について、「ソ連時代から、メディアの方から政権に自発的に迎合してきた」として、今回の神戸事件報道も、「プーチン政権の意向を反映したものだ」と分析。
 「日本人とロシア人の顔がお互いに見えなくなっている」という昨今の状況も、こうした誤解を生む報道の背景にあるといい、「事実と違った報道がされた場合、モスクワの在日本大使館は、報道機関に対して、き然と抗議しなくてはならない」と指摘。
 「『拿捕(だほ)事件の報復』などという見出しが紙面に踊ること自体、この報道を許している日本外交の不作為を証明している。外交官は高いモラルと高い機動力を持って、こうした報道を抑えなくてはならない」と話した。

 どこかのテレビCMではないですが、「すべてのものには理由があります」
 プーチン政権下のロシアで、「拿捕事件の復讐で、サムライがハラキリした」との見出しがおどったのは、自国にとって国際的に非難を浴びるような報道が出にくくなっているロシアのメディア事情と、佐藤さんが言ったように、ロシアに対する日本の外交力が弱っていることの証左だったのです。

 佐藤優さんが、この件について分析記事を書いているので、あわせて見てみてください。

http://www.business-i.jp/news/sato-page/rasputin/200609210005o.nwc  

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ロシア人の女性が殺されたことすら、知らなかった。

そういうニュースは、全然、目立たなかった。

恋に狂った男が、無理心中しようとしただけでしょう?

外国人を殺すというのは、日本の恥だから、止めて欲しい。

しかし、ロシア人にとっては、国境侵犯事件で、人が殺されるのは

当たり前で、どうでもいいニュースで、

ロシア人女性を殺して、自分の腹を刺す日本人男性の方が、

面白いニュースだったわけだ。それが、日本人の復讐だったと

思うなんて、ロシア人って、理解しにくい民族だ。

ロシア人というのは、かなり、復讐心のある人々らしい。

日本には、カニかご漁船の漁師、盛田光広さんが

ロシア国境警備艇に、後ろから頭を撃ちぬかれて死んだからと

言って、ロシア人の女の子に復讐するヤツなんかいない。

ロシア人が、「復讐か?」と、思ったということは、

ロシア人は、そんな復讐をする民族なのだということだ。

by日本のお姉さん