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欧米市場でクレジットクランチ懸念=仏パリバのABSファンド凍結で

-米市場で9月利下げ観測が一気に台頭-

【2007年8月12日(日)】 - 先週の9日、欧州時間帯の午前中に、フランス最大
の銀行 でユーロ圏2位のBNPパリバが、同行子会社BNP
パリバ・インベストメント・パート ナーズ が運営する3つのファンドを一時的に
凍結すると発表したことが引き金となり、同 日の欧 州の株式市場と
クレジット市場では、クレジットクランチ(金融システムが麻痺 して極 端な
金融逼迫が起こること)懸念が広がった。

  この日、欧州の株価指数は1日だけで1.9%も急落するなど、なかば
パニック 状態と なり、その流れを引き継いだ9日の米国市場でも、ダウ平均
株価指数が1日だけで387 ドル (2.8%)も急落、また、質への逃避で安全資産
の米国債の価格が4日ぶりに急騰 (利回 りは急低下)、外為市場でもリスク
回避で円キャリー取引の巻き戻し(円買い) が起き て、円の独歩高となり、
ドルに対し1%以上、ユーロに対しても2%上昇。その関 係でド ルがユーロに
対し急伸するなど大混乱となった。

  こうした切迫した事態を受けて、ECB(欧州中央銀行)は9日、ユーロ圏での
金融逼 迫懸念を沈静化させようと、直ちに、4.0%のバーゲン金利で、
950億ユーロ(約15 兆3000億円)の流動性を金融システムに供給する一方、
カナダ中央銀行も声明を出 し、 日々の金融調節を通じて流動性供給を行う
用意があることを明らかにした。これ は、銀行が投資家からのファンドの
換金需要に対応できるよう資金を潤沢にさせる狙い だ。

  他方、米財務省は、「厳重に警戒している」としているが、FRB(米連邦
準備 制度理 事会)は9日、米国の銀行間で取引され、無担保コール翌日
物金利にあたるFF(フ ェデラ ル・ファンド)金利が朝方、5.375-5.5%にまで
上昇し、FRBの誘導目標である5.25 %を 超えたため、金融調節で、
2週間物120億ドルと翌日物120億ドルの合計240億ドル (約2兆 8000億円)の
レポ取引を相次いで実施し、通常より多目の資金供給を行った。

  しかし、翌10日になっても、朝方、FFレートが、一時、6%まで上昇し、誘導
目標の 5.25%を上回ったため、FRBはモーゲージ債券を担保にした
3日物レポ取引で190億 ドルの 資金を新たに供給、2日連続での市場介入
となった。
その後、FRBは声明を出し、 「9、10 日の2日間にわたり、金融市場の機能を
強化することを目的に流動性を供給してい る」と した上で、「FRBは、
FFレートが誘導目標の5.25%に近づくよう、必要があれば、
今後も 日々の金融調節を通じ、流動性を供給していく」と述べ、資金供給を
継続する意 向を明 らかにした。
さらに、FRBは、「銀行は今の状況では、通常ではない資金需要に直
面する可能性があるとし、資金の調達源として、ディスカウントウィンドウは
いつでも 利用で きるようにする」と、万全の体制を取る考えを強調している。

結局、FFレートは 低下に 向かったものの、FFレートは、まだ、ビッドベース
で5.25%、アスクベースで5.50 %と 誘導目標より高目で推移したため、
FRBは、この日だけで3回(合計で380億ドル= 約4兆 5000億円)も資金を
供給する羽目になった。

米サブプライムモーゲージ債市場の混乱、欧州に飛び火

  今回のパリバ銀行のファンド凍結は、米国で起きたサブプライム
(信用度の 低い顧 客への融資)住宅ローン債権を担保に証券化した
モーゲージ債の運用成績の急激 な悪化 の影響が、欧州に飛び火したという
ドミノ効果の現れだといわれている。9日のパ リバの声明では、
「米国の証券化市場の一部であるABS(資産担保証券)市場で、流動性
が全く なくなったため、質や格付けに関係なく、一部資産の価格算出が
できなくなった 」とい うもので、16億ユーロ(約2600億円)相当の3つの
ABSファンドを一時的に凍結し たの だ。

  ただ、同行が運用しているファンドは総額3260億ユーロ
(約52兆6100億円) なの で、わずか0.5%にすぎないのだが、市場は敏感に
反応し、一部のファンドの投資 家の間 には、米国のヘッジファンドは
運用損失を計上して、投資家からの換金の動きが 強まれ ば、ポート
フォリオを解消しなければならなくなり、その連鎖反応で、1997年の
アジア 通貨危機とロシアの通貨・金融危機をきっかけに、翌1998年に経営
破綻した1000 億ドル (約12兆円)の運用資産規模を誇ったLTCM
(ロングターム・キャピタル・マネジ メン ト)の再現もありうると見方がある
ほどだ。(了)

発 行 元  :「誰でも分かる!アメリカ経済情勢ファイル:ザ・裏読み」
発行責任者  :編集主筆 増谷栄一
ホームページ :http://www.asahi-net.or.jp/~fl7e-mstn/usfile.html