金正日メッセージ | 日本のお姉さん

金正日メッセージ

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渡部亮次郎のメイル・マガジン 頂門の一針  第894号

金正日メッセージ
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        古澤 襄

伊藤正氏(産経新聞中国総局長)の金正日総書記メッセージ情報は国際
的なスクープであろう。北京の外国特派員を含めて他社が裏付けを取ろ
うと走り回っても、まず確証はとれまい。

ブッシュ米大統領やライス国務長官も影響の大きさから口を閉ざすので
はないか。

金正日総書記は昨年10月の核実験後、ブッシュ米大統領にメッセージ
を送り「朝米関係を正常化し韓国以上に親密なパートナーになる」と伝
えた。この情報は北京の中国戦略関係筋の高位の人物からもたらされて
いる。

中国が何故、このような高度の極秘情報を洩らしたのか?そこには急接
近する米朝関係で中国が米国に対して強い警戒心を抱いていることが背
景にある。

安倍内閣になって中国が日本との戦略的互恵関係を築く方向に転じた理
由も、ここにある。そこには米朝、日中という複雑な力関係が新たに生
まれたといえよう。

先が見えないイラク情勢でブッシュ政権が内外の批判を浴びているが
「イラクが駄目だから北朝鮮と和解」という簡単な図式ではあるまい。
これまでは北朝鮮問題は、北京の6か国協議に依存して、いうなら北京
に丸投げというのが、米国の姿勢とみられていた。

しかし最近の米朝和解の動きは、北京依存からダイレクトな米朝直接交
渉に転じている。確実な保証がなくして米国が北朝鮮に歩み寄る筈がな
い。

金正日メッセージは、どのようなルートでブッシュ米大統領に伝えられ
たか定かでないが、今年1月にベルリンで行われた米朝協議の段階では、
米国は劇的な米朝和解に踏み出している。

すでに六カ国協議は、北京主導から米朝主導に変化している。これに伴
って中国の強力な持ち札だった北朝鮮カードが、米国に手に移りつつあ
る。

しかも米国は、昨年来、国務省内の対北朝鮮強硬派を次々と排除してき
た。この急激な動きに日本の外務省は鈍感だったといえる。中国の対日
態度の変化についても、その原因が定かでなかった。

アジアにおける戦略的な力のバランスを保とうとする中国にとって、急
激な米朝和解は好ましくない。韓国の盧武鉉大統領の訪朝による南北首
脳会談に金正日総書記が即決で応じた裏には米国があると中国はみてい
る。

下手をすると米朝韓3国と中国という関係になるから、ヒル米国務次官
補で提唱した日ロ両国を除く米中朝韓4カ国会合による朝鮮半島の平和
協議には懐疑的だという。

とはいうものの中国は米国と対立することや孤立化することも望んでい
まい。熾烈な国際政治のゲームの中でカード捌きをいろいろと考えてい
るに違いない。

金正日メッセージが中国側から暴露されたのも、カード捌きの一手かも
しれない。複雑な国際政治のゲームの中で日本も米国一辺倒、媚中一本
槍では遅れをとる。

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原発危険報道のからくり
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          渡部亮次郎

2007年7月16日(国民の休日=海の日)に起きた中越沖地震の東京電力柏崎
刈羽原子力発電所の被害をめぐる報道を見るにつけ、つくづく思う。
「駄目だこりゃ」。

東京電力の広報が間違っている。被害をなるべく小さく見せて、運転再
開を出来るだけ早くしようと考えるものだから、結果、被害を小出しに
する。

「想像を絶する被害が出ているはずだ。調べが進むにつれて予想を超え
る被害が出てくるだろう。しかし、仮令、放射能が漏洩していたとして
も、人体や環境には影響の出るはずは無い」と冒頭に社長が啖呵を切れ
ばよかった。あれほど安全をPRしてきたのだから。

それを運転再開の遅ればかりを案ずるものだから、被害の発表を「小出
し」にする結果となった。わからないでもないが、小出しにされれば
「もっと隠しているに違い無い」となる。世論が疑心暗鬼となったら手が
つけられない。

元々人々は原子力発電と原子爆弾の正確な区別を知らないから、マスコ
ミも原発=悪と決め付けて、隙あらば煽り、攻撃し、この地上から消した
いと考えている。日本みたいに狭い国土では原子力発電は必要不可欠な
んて考えない。

同じ社会部記者でも環境省担当記者は内心、Co2を削減して京都議定書を
遵守するには原子力発電は認めざるを得ないと考えている。だが、今回
の地震被害に対して「安全は確保されている」とは絶対書かない。『社
是』が「原発反対」だからである。

新潟県中越沖地震を報ずる第1報(朝日新聞 7月17日)を見ると、『新潟・
長野 震度6強 M6・8 300棟全壊、1万人非難』に続いて「柏崎刈羽原
発 放射能含む水漏れ 海に流出 揺れは国内最大」と出ている。

その後27日になって放射能に汚染された水が海に流出したり、空中に放
射能が漏れたなどが「次々に」分かって報道された。

たとえば隣県で同じように原発を抱える福井県の福井新聞は特別取材班
を現地に派遣し「原発の街恐怖連鎖 放射性物質流出に怒り」という恐
怖を「煽る」様な記事を大々的に掲載した。

また8月7日付の朝日新聞は「複数の作業員が放射能水を被る」と4段見出
しで報じたが、ウソだった。
入院した職員は地震で倒れたキャビネット
の下敷きになって怪我したためだった


更に漏れた放射能についても政府の原子力安全・保安院が7月27日に都内
の日本外国特派員協会で説明したところでは「東京―ニューヨークを飛
行機で往復する間に宇宙から浴びる放射線の1,000万~100万分の1の量」
と説明した。

東京―NY往復で宇宙から浴びる放射能は0・2ミリシーベルト。今回漏れ出
したのは、海水に10億分の2ミリシーベルト、大気に1,000万分の2ミリシ
ーベルトだと原子力安全・保安院は説明。要するに桁違いに低い値で、人
や環境には影響が全く無いのだ。

それなのに外務省国際原子力協力室が把握しているところでは、アフリ
カや南米はいざ知らず欧州でも「チェルノブイリみたいな事が日本で起
きている」とか「日本政府は隠している」といった報道が流れた。

7月28日の朝日の記事によればロイター・ジャパンの女性記者は「欧州で
は地震が無いため、イメージしにくい。チェルノブイリ事故で神経質に
なった国もある」という。要するに地震の被害という事自体が理解でき
なく、原子力発電後進国とでも思っているのだろう。

それが日本自身、相当悪どい流言飛語が週刊誌(週刊新潮8月2日号)の
特集となって出るくらいに飛んだ。

「柏崎沖で獲れた魚はしばらく食べない方がいい」
「本当は漏れた放射能はもっと多くて、それが風向きの関係で9月ごに
は長岡市あたりが汚染されるらしい」
「今後5年は海水浴ができない」。

品格を疑いたくなる話もあった。

「刈羽村の配給食が豪華なのは、東電に予てから協力的だからだ。これ
は差別だ」。弁当の内容に違いは無かったガ、ハラが減ったら誰かを怨
まないではいられない。

「ボランティアを装った空き巣集団が入ってている」警察には被害届は
無いのに・・・ここらで止めよう。

日本に原子の火の点った50年前を紐解くまでも無く、電力会社は政府の
厳しい監督の下、「神話」といわれるまで「安全」に心血を注いできた
はずだ。

しかも地震国の上に原子力発電所を運転するのだから、周辺住民はもち
ろん国民にも莫大な宣伝費を使って安全をPRしてきた。

しかし、原子爆弾と原子力発電の違いを説明できる人は民間にいるだろ
うか。デシベルだのシーベルトの話なんか分からない。だからいくら安
全を訴えても、もうもうと上がる黒煙を見れば不安に震えるのは当然だ。

しかも、如何に安全だとPRしても1999年にはちゃんと東海村で臨海事故
を起こし犠牲者も出たのだから、「神話化」するほどの安全も実は発電
会社は何かを隠している、と勘繰りたくなるのは当然だ。

加えて新聞、テレビ、雑誌のいわゆるマスコミは原発を悪者と決め付け
て報道する。その方が売れると判断している事もあるらしい。無知でも
無恥でも、世論に迎合しなければ喰っていけないのがマスコミだから、
電力会社が束になっても勝てない。

そうした事を弁えて今回、東電はことの対処に当っているだろうか。

小出し=疑心暗鬼の方程式を飲み込んで当っているとは思えない。広報
部は能力を発揮していない。運転再開遅延の責任回避だけを考えている。
記者の心理に通じた広報を研究すべきだ。問題点はIAEA(国際原子力
機関)からの調査団を断ろうとした政府の態度など数々あるが、今回はこ
れでひとまず。(未完)2007・08・09



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死人に口あり
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          馬場 伯明

8月31日、ある代議士の朝食会で、日本大学医学部押田茂実(おしだしげ
み)教授の講演があった。「死人に口あり」という。

死体の解剖などの暗く湿っぽい話を何で朝っぱらからと思ったが、ひょ
っとして、自民党が敗北した参議院選挙の完璧な解剖所見をご披露なさ
るのかとも期待した。選挙の話は、なかった。

ところが、講演は面白かった。話し手も中味も。講師の押田教授は話が
うまい。これなら、大学でも、居眠りし、私語を交わし、携帯のゲーム
に熱中する受講学生はいないだろう。もっとも、教授に逆らった学生は
解剖実験の「試料」に供される恐れがあるからね・・・。

教授の略歴を「講演案内」などから紹介する。(私は、初受講)

S42東北大(医)卒業/S53東北大(医)助教授(法医学)/S60日本大
学(医)教授(法医学)。主な研究領域は、医療事故の現状分析と予防
対策/DNA型による親子鑑定/中毒の代謝と分析、とある。

だが、というより、数多くの事件で鑑定人として活躍中。東京電力OL
殺人事件の鑑定をはじめ、死亡時刻の推定、自殺・他殺判定、DNA鑑
定などで大忙しの、法医学の第一人者の方らしい。

講演の話を紹介する。断片的なメモだけど・・・。教授の言葉は『  』
でくくっている。(少しの聞き違いは、ご容赦を)

『目撃者の証言は信用できない』教授はトランプのA12枚(3枚×4枚)
を画像で15秒見せた後『スペードのAは何枚あったか』と訊ねた。赤色
のスペード、逆向きのスペードなどは「ない」という先入観があるため
私も(当然)ダメ。聴衆100人で「5枚」と言い当てたのはたった一人。

『世界には自分とそっくりな人間が10人いる』教授が提出したダイアナ
妃とそっくり嬢の写真はまったく見分けがつかなかった。

『(取り調べの警察官など)強い者に影響される』『何だとてめぇは!』
と、突如、教授のドスのきいた大声。一瞬、聴衆は驚く。こんな威嚇で
証言を変える被疑者も多いという。

新聞だって「ウソ」をいう。うるさい新聞記者を黙らせるには次の言葉
を発するのが有効だという。

『朝日には「珊瑚礁のKYとは何か?」、毎日には「グリコ森永の犯人
は誰だ?」、読売には「Qチャンは五輪代表なのか?」』いずれも誤報
(訂正記事はほんの数行!)だ。大新聞でもうっかり信用はできない。

教授は、私たち聴衆に何を言いたかったのだろうか。それは、見聞や体
験といっても「真実」とは限らない。だから、教授の商売である『法医
学はモノ(死体等)を正確に見抜かねばならない』という本質を、であ
る。

『死人(の口)をして語らせなければならない。法医学にとって必要な
ことは『知識、教育、(実地)訓練である。とくに(実地)訓練が大事
である』と強調する。

教授は、毛沢東ともう1人が記念植樹している写真を映した。並べて2枚。
ところが、片方の写真からは1人が消えている。元北京市長である。
値がなくなれば、その存在まで消してしまうのが「権力」なのだ。

そういえば、かつて「某宗門の長(坊さん)が夜の女性らに囲まれた写
真」で、(放蕩を)より深く印象付ける意図で、他の同席者(男性)を
消した「証拠写真」を見た。『この頃のデジタルカメラの写真はさらに
要注意』と教授。
修正は意のままなのだから。

『昭和60(1985)年はDNA鑑定のあけぼの年である』という。8/13日
本航空のジャンボ機が御巣鷹山に墜落520人が死亡。若き押田教授は死亡
者鑑定の責任者を委嘱された。専門のDNA鑑定が脚光を浴びる。

じつは、搭乗したカップルの20数組の片方または両名が偽名であったと
いう。『困るんです。(事情があっても)本名で搭乗してください。落
ちても探しやすい(笑)』(でも、落ちた後じゃ、本人はしょうがない
:私)

また、『足の裏だけでは(誰だか)わからない。だから、出かけるとき
は「タンスにゴン」を』つまり、『裸足の裏をタンスにペタン(ゴン)
と押し付ける。これで「足」だけでもわかる』と真顔の教授。おもしろ
か。(笑)

『9.11テロでは、当初死者6,000人と報道された。調べが進むにつれて
だんだん減っていった。最終的には2,750人となった』パニックに陥った
被害妄想や群集心理は怖い。

教授は事例を示しウソとホントに厳しい目を向ける。『法医学鑑定には
大切な原則がある。鑑定者は4つの評価項目で「良心」が問われる。試料
の採取、検査の方法、結果の(○○:聞き逃す)、再鑑定の保証である』

注目の「保土ヶ谷事件(1997/7)(*1)」で、教授は、監察医の保存臓
器は「久保さんのDNA型と矛盾する」という最終報告書を横浜地裁に
提出した。(*1)事件内容は省略します。お調べください。

ところが、横浜地裁は「採用できない」とし「司法解剖は行われた」と
判断した。『(DNA鑑定の権威である)押田鑑定、敗れたり』となっ
た。東京高裁での鑑定人尋問はすでに終ったという。2007/9/6の判決の
行方が注目される。

現実の警察や監察医ら(さらに裁判官も)馴れ合い・ことなかれ役人に、
強い使命感とすご腕のケイ・スカーペッタ検屍局長(*2)のような「理
想形」を望むのは、やはり無理か。押田教授、頑張ってください。

(*2)米国の女流作家パトリシア・コーンウェルの小説の女主人公。ケ
イが法医学やDNA鑑定など最先端技術を駆使し難事件を解決。逆に悩
みの私生活は同情を誘う。一連の「検屍官シリーズ」は一読に値する。

講演の終わりに、教授は自著を紹介した。「死人に口あり」という推理
小説のような題名である。現在品切れ。それじゃ、「死人に口なし。品
切れに売上なし」だけど、大丈夫かな。

ところが、近く重版される(かも)とおっしゃる。私は教授の口車に乗
せられ「死人に口あり-現場の法医学・法医解剖室より」(実業之日本
社\1,600)を知り合いの書店に注文したが・・。(2007/8/8千葉市在住)