NHK、“若者離れ”にメス | 日本のお姉さん

NHK、“若者離れ”にメス

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NHK、“若者離れ”にメス(NBニュース)

~受信料徴収へ、まずは「無料」で視聴者獲得
 NHKが中期計画で、若者向けの番組に力を入れる方針であることが明らかになった。5カ年の次期経営計画(2008~2012年度)は9月に公表する予定で、NHK執行部がこのほど経営委員会に示した案の中に、「20~30代をターゲットにした娯楽番組を充実させる」ことが重点項目に盛り込まれた。

 「大人向けのまじめな番組が多い」という印象の強いNHKが、なぜ急に「若者向けの娯楽番組」を強化するのだろうか。20~30歳代の若者がNHKを見る時間が、極めて短くなっているからだ。若者のNHK離れが、経営のネックになってきたのである。

 あるNHK職員は、「いまや高齢者しかNHKを見てない」と自嘲気味に明かす。NHKの番組を1人が1日平均どのぐらい見ているのかを調べた結果、高齢者では60代が1時間46分~1時間47分、70代では2時間16分~2時間18分にも達するという。

 一方、年齢が若くなるほどNHKの視聴時間は短くなる。30代で1日平均17~27分、20代になると1日平均11~17分まで低下してしまう。20代の視聴時間は、70代の8分の1以下だ。NHKは「みなさまのNHK」と喧伝するが、むしろ「高齢者のNHK」と言った方が正しい状況だ。

 より幅広い視聴者に支持されなければならないーー。そんな反省から、NHKは今回、経営計画案に年齢層の偏りをなくす方針を盛ったわけである。

 もっとも、そこには「年齢層の偏りを是正する」ことにとどまらない、経営戦略上の思惑が潜んでいる。受信料の徴収を強化するという狙いだ。


新規キャンペーンに近い感覚

 NHK職員による不祥事発覚をきっかけに、ここ数年、受信料の不払いが拡大。結果として、受信料の徴収率は8割から7割まで低下してしまった。現在NHKは徴収率の回復に向けて躍起になっている。

 本来ならNHKの番組を見ているかどうかにかかわらず、テレビ受像機を持つ世帯は受信料を払わなければならない。だが、最近は「受信料をサービスの対価だととらえる人が増えている」(NHK首脳)という。つまり、「NHKを見ていない人まで受信料を支払うのはおかしい」と、受信料制度の根本に疑問を持つ人が増えているというのである。 あるNHK職員は、「NHKの番組を見ていない人から受信料を徴収するのは本当に難しい。NHKを“タダ見”してくれていた方がまだやりやすい」とぼやく。NHKを見ていない人の主な年齢層は20~30代。20~30代をターゲットにした番組を増やせば、若者から受信料を集めやすくなるという期待がNHKにはある。

 まずは“タダ見”でいいからNHKの番組を視聴してもらう。そのうえで、営業攻勢をかけ、受信料を払ってもらうというシナリオだ。WOWOWなどの有料放送局が実施する、「新規加入時の無料キャンペーン」に近い感覚である。NHKが若者向けの番組を強化する狙いはここにある。

民放とのすみ分けが揺らぐ
 ところが、NHKが20~30歳代向けの番組に力を入れるといっても、簡単には視聴者を獲得できない。そこは民放の主戦場だからだ。

 民放は各局とも若者向けの番組をたくさん放送している。スポンサーの多くが20~34歳向けに商品を売り込みたいと考えており、20~34歳の視聴者をいかに多く獲得しているかが、民放のテレビ広告収入を大きく左右する。民放は若者をターゲットに、し烈な視聴率争いを繰り広げているのだ。

 ここにNHKが参戦することになる。「テレビ広告事業に影響が出かねない」(外資系証券会社のアナリスト)状況で、民放も視聴者をみすみすNHKに奪われることはしないはずだ。

  若者を取り込んで、受信料の徴収率を是が非でも回復させたいNHK。それをテレビ広告収入を死守したい民放が迎え撃つーー。そんな構図の激しい「若者争奪戦」が繰り広げられそうだ。