安倍首相続投と新聞各紙の世論調査と民意
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▼安倍首相続投と新聞各紙の世論調査と民意
(国を憂い、われとわが身を甘やかすの記)
いつの間にか8月になりました。梅雨が長引いたこともあって、季節感を感じず、それを楽しむ心の余裕もない日々を送ってきましたが、そろそろ心機一転したいと思っています。与党が大敗した参院選では、いろいろなことを考えさせられました。特に地方・1人区での大敗は、予想されていたとはいえ、衝撃でした。正直なところ、私は41~42議席はいくことだろうと予想していました。自らの未熟さと甘さをかみしめています、はい。
大敗の原因はいま、いろいろ言われているように、年金不祥事、政治とカネの問題の処理、赤城農水相の顔面ばんそう膏事件…といろいろあるでしょう。また、今回の選挙結果から見えてきたことの一つは、やっぱり候補者のタマが悪いとどうにもならず、テコ入れしても一歩及ばないということと、意外と陰のテーマは農政にあったのではないかということでした(民主党の農業政策が優れているという意味ではありません)。
知られているように、参院選挙区の自民党候補者は、年功序列と現職優先の論理で選ばれた比較的高齢の人物が多く、おおよそ清新さとは縁遠い感じがありました。さらに、6年前の参院選では小泉ブームに乗って楽に当選した経験があるので、「この6年間、一度も地元の建設会社に顔を出していない」(自民党選対関係者)、「選挙を衆院議員に頼りきっている」(政府関係者)というたぐいの甘い認識の人が多かったのも事実です。
だから、5月に年金問題がはじけて、与党に大逆風が吹き始める以前から、選挙に強い参院議員らは「今回は実は自民党は44,45議席ではないか」という声が出ていました。そこに年金、失言、ばんそう膏とマイナス要因が雪崩のように押し寄せたのですから、これはもうひとたまりもありません。また、疲弊していた地方・農村部の有権者が、農水相のばんそう膏顔と拙い話ぶりを見て、「こんな人に農政は任せられない」と強く感じたことが、意外と大きかったのではないかという気もします。
さて、今朝は例によって夕刊当番なので会社にいます。朝の最初の仕事として、朝刊各紙をチェックしたところ、読売、朝日、日経、東京の各紙に参院選の結果を受けた世論調査が早速載っていました(東京は1面トップ扱いですが、共同通信の調査)。やはり、おおむね安倍首相の続投の賛否がメインに扱われていますね。一昨日、昨日とテレビや新聞では、「参院選で民意ははっきり出たのだから、辞めないのはおかしい」という論調が多いようでしたが、世論調査ではどうかと見ると、新聞によって評価は割れていました。興味深いところです。
まず、読売の主見出しは「首相続投 賛否二分」とあり、続投を「評価しない」が45%、「評価する」が44%と確かに真っ二つになっています。そこで読売は「今回の選挙結果を首相に対する不信任とみなす声もあるが、首相の続投を支持する世論と退陣を求める世論は拮抗していることが明らかになった」「国民は必ずしも首相退陣まで明確に求めておらず、今後の首相の姿勢を見極めようとしていると見られる」と書いています。読売の調査では、首相の続投を「評価する」人は自民党支持層では74%、公明党支持層では約6割で、無党派層でも「評価する」(41%)と「評価しない」(44%)が拮抗しています。当然のことながら、民主党支持層では「評価しない」が71%に上っていますが。
内閣支持率は31.7%で、投票日直前の24~26日の支持率より4.8ポイント下がったものの、舛添要一参院政審会長が言っていたような「支持率は一ケタになる」という懸念は今のところ当たっていないようです。これはまあ、今後の安倍首相次第でしょうね。早期に人事を行い、その評判がよければ、支持率はむしろ参院選前より上がる可能性もあるようです。
ただ、いつものことですが、世論調査結果も、それに対する分析も社によって違います。次に東京(共同)をみると、主見出しは「辞任論が続投上回る」で、安倍首相は「辞めるべきだ」が49.5%で、「続けるべきだ」が43.7%と少しですが、開きがありました。ふむ。内閣支持率は29.0%で、記事によると「参院選公示後の7月14、15両日行った電話世論調査の28.1%を除けば、一連の世論調査で最も低くなった」そうです。まあしかし、これも想定内というか、そう極端な数字ではありませんね。
さあて、朝日はどうかな。見出し自体が「『首相は辞任を』47%」「『続けてほしい』40%」となっていて、見出しには特に評価ははさんでいません。支持率は26%で、発足以来最低でした。なるほど。ただ、この記事は1面トップの扱いなのですが、続投支持・不支持の政党支持層別分析などが載っていないのが残念です。むしろ、民主党に関する記述に興味が湧きました。
記事によると、民主が議席を増やした理由は「自民党に問題がある」が81%にも達し、民主党の「政策に期待できる」は9%、「小沢代表がよい」はわずか4%にすぎません。参院選後、メディアはやたらと小沢氏を持ち上げ始めましたが、国民は割と冷めた目で見ているのでしょうね。民主党に期待することでも、「政権交代を実現する」は25%にとどまり、「期待していない」は33%に上っていました。
最後に日経ですが、ここが一番、安倍首相には厳しい結果でした。続投に関しては「反対」が50%で、「賛成」は36%と、他の3紙に比べ続投批判の傾向が調査結果に明確に表れています。ただ、自民党支持層では「賛成」が73%で、「反対」の16%を大きく上回っていますが。この点は読売の調査でも74%ですから、だいたい自民党支持層の4分の3ぐらいは続投を肯定的に見ているのでしょう。
内閣支持率は28%で、これは前回7月19~21日の調査の27%から、逆に1ポイント上がっています。誤差の範囲でしょうが、少なくとも、続投で支持率が急降下という図式にはなっていないようです。ただ、日経の調査では「不支持」が63%と非常に高くなっています。過去に「不支持」が6割を超えたのは竹下、宮沢、森の3内閣しかないそうです。これは確かに厳しい数字ですね。
こうしてみると、安倍首相は、参院選でお灸は据えられたものの、まだ自民党支持層から見放されたわけではないように思えます。少なくとも、「民意=退陣」と明確に言えるほどの傾向は数字に表れていないようです。内閣支持率が特に大幅下落という傾向がないことからも、強固な一定の安倍支持層は選挙結果・続投表明によって心変わりはしていないことが分かると思います。一方で、もともと安倍首相を支持していなかった人は、よけいにアンチの度合いを増したのかも知れません。まあ、これだけの調査や記事だけではもちろん、はっきり言えるようなことではありませんが。
今回の選挙では、もともとの自民党支持層の票が何割か民主党に流れたといいます。広く無党派層にアピールすることも大事ですが、以前からの支持層も固められない状態では、なかなか勝てるわけがないのも道理でしょう。幸い、自民党支持層の多くは首相続投を支持しているのだから、まだ態勢建て直しは可能だと思います。これから安倍首相には、闇夜に重い荷を背負い、どこまで続くか分からないイバラの生い茂ったぬかるむ坂道をよじ登るような政権運営が求められるでしょうが、自ら続投を決意した以上、最後まで信念を貫いてほしいものだと思います。
大敗の原因はいま、いろいろ言われているように、年金不祥事、政治とカネの問題の処理、赤城農水相の顔面ばんそう膏事件…といろいろあるでしょう。また、今回の選挙結果から見えてきたことの一つは、やっぱり候補者のタマが悪いとどうにもならず、テコ入れしても一歩及ばないということと、意外と陰のテーマは農政にあったのではないかということでした(民主党の農業政策が優れているという意味ではありません)。
知られているように、参院選挙区の自民党候補者は、年功序列と現職優先の論理で選ばれた比較的高齢の人物が多く、おおよそ清新さとは縁遠い感じがありました。さらに、6年前の参院選では小泉ブームに乗って楽に当選した経験があるので、「この6年間、一度も地元の建設会社に顔を出していない」(自民党選対関係者)、「選挙を衆院議員に頼りきっている」(政府関係者)というたぐいの甘い認識の人が多かったのも事実です。
だから、5月に年金問題がはじけて、与党に大逆風が吹き始める以前から、選挙に強い参院議員らは「今回は実は自民党は44,45議席ではないか」という声が出ていました。そこに年金、失言、ばんそう膏とマイナス要因が雪崩のように押し寄せたのですから、これはもうひとたまりもありません。また、疲弊していた地方・農村部の有権者が、農水相のばんそう膏顔と拙い話ぶりを見て、「こんな人に農政は任せられない」と強く感じたことが、意外と大きかったのではないかという気もします。
さて、今朝は例によって夕刊当番なので会社にいます。朝の最初の仕事として、朝刊各紙をチェックしたところ、読売、朝日、日経、東京の各紙に参院選の結果を受けた世論調査が早速載っていました(東京は1面トップ扱いですが、共同通信の調査)。やはり、おおむね安倍首相の続投の賛否がメインに扱われていますね。一昨日、昨日とテレビや新聞では、「参院選で民意ははっきり出たのだから、辞めないのはおかしい」という論調が多いようでしたが、世論調査ではどうかと見ると、新聞によって評価は割れていました。興味深いところです。
まず、読売の主見出しは「首相続投 賛否二分」とあり、続投を「評価しない」が45%、「評価する」が44%と確かに真っ二つになっています。そこで読売は「今回の選挙結果を首相に対する不信任とみなす声もあるが、首相の続投を支持する世論と退陣を求める世論は拮抗していることが明らかになった」「国民は必ずしも首相退陣まで明確に求めておらず、今後の首相の姿勢を見極めようとしていると見られる」と書いています。読売の調査では、首相の続投を「評価する」人は自民党支持層では74%、公明党支持層では約6割で、無党派層でも「評価する」(41%)と「評価しない」(44%)が拮抗しています。当然のことながら、民主党支持層では「評価しない」が71%に上っていますが。
内閣支持率は31.7%で、投票日直前の24~26日の支持率より4.8ポイント下がったものの、舛添要一参院政審会長が言っていたような「支持率は一ケタになる」という懸念は今のところ当たっていないようです。これはまあ、今後の安倍首相次第でしょうね。早期に人事を行い、その評判がよければ、支持率はむしろ参院選前より上がる可能性もあるようです。
ただ、いつものことですが、世論調査結果も、それに対する分析も社によって違います。次に東京(共同)をみると、主見出しは「辞任論が続投上回る」で、安倍首相は「辞めるべきだ」が49.5%で、「続けるべきだ」が43.7%と少しですが、開きがありました。ふむ。内閣支持率は29.0%で、記事によると「参院選公示後の7月14、15両日行った電話世論調査の28.1%を除けば、一連の世論調査で最も低くなった」そうです。まあしかし、これも想定内というか、そう極端な数字ではありませんね。
さあて、朝日はどうかな。見出し自体が「『首相は辞任を』47%」「『続けてほしい』40%」となっていて、見出しには特に評価ははさんでいません。支持率は26%で、発足以来最低でした。なるほど。ただ、この記事は1面トップの扱いなのですが、続投支持・不支持の政党支持層別分析などが載っていないのが残念です。むしろ、民主党に関する記述に興味が湧きました。
記事によると、民主が議席を増やした理由は「自民党に問題がある」が81%にも達し、民主党の「政策に期待できる」は9%、「小沢代表がよい」はわずか4%にすぎません。参院選後、メディアはやたらと小沢氏を持ち上げ始めましたが、国民は割と冷めた目で見ているのでしょうね。民主党に期待することでも、「政権交代を実現する」は25%にとどまり、「期待していない」は33%に上っていました。
最後に日経ですが、ここが一番、安倍首相には厳しい結果でした。続投に関しては「反対」が50%で、「賛成」は36%と、他の3紙に比べ続投批判の傾向が調査結果に明確に表れています。ただ、自民党支持層では「賛成」が73%で、「反対」の16%を大きく上回っていますが。この点は読売の調査でも74%ですから、だいたい自民党支持層の4分の3ぐらいは続投を肯定的に見ているのでしょう。
内閣支持率は28%で、これは前回7月19~21日の調査の27%から、逆に1ポイント上がっています。誤差の範囲でしょうが、少なくとも、続投で支持率が急降下という図式にはなっていないようです。ただ、日経の調査では「不支持」が63%と非常に高くなっています。過去に「不支持」が6割を超えたのは竹下、宮沢、森の3内閣しかないそうです。これは確かに厳しい数字ですね。
こうしてみると、安倍首相は、参院選でお灸は据えられたものの、まだ自民党支持層から見放されたわけではないように思えます。少なくとも、「民意=退陣」と明確に言えるほどの傾向は数字に表れていないようです。内閣支持率が特に大幅下落という傾向がないことからも、強固な一定の安倍支持層は選挙結果・続投表明によって心変わりはしていないことが分かると思います。一方で、もともと安倍首相を支持していなかった人は、よけいにアンチの度合いを増したのかも知れません。まあ、これだけの調査や記事だけではもちろん、はっきり言えるようなことではありませんが。
今回の選挙では、もともとの自民党支持層の票が何割か民主党に流れたといいます。広く無党派層にアピールすることも大事ですが、以前からの支持層も固められない状態では、なかなか勝てるわけがないのも道理でしょう。幸い、自民党支持層の多くは首相続投を支持しているのだから、まだ態勢建て直しは可能だと思います。これから安倍首相には、闇夜に重い荷を背負い、どこまで続くか分からないイバラの生い茂ったぬかるむ坂道をよじ登るような政権運営が求められるでしょうが、自ら続投を決意した以上、最後まで信念を貫いてほしいものだと思います。