今こそ、国家基本問題に取り組む好機
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今こそ、国家基本問題に取り組む好機
No.300 平成19年 7月30日(月)
西 村 眞 悟
昨二十九日に投票の参議院選挙の結果はご承知の通り。
自民大敗・民主大勝。この事態を受けて、評論は評論家に任せて、以下の通り述べておきたい。
安倍総理が内閣を維持し続けるのは当たり前である。
その判断は極めて正しく妥当である。
参議院で法案を否決されたから衆議院を解散した前任者がいたが、これは両院制の本質・原則に反して疑義のあるところであった。
同様に、参議院の選挙結果で衆議院の土台を無視し放棄してはならないのだ。
では、その無視し放棄できない衆議院の土台とは何か。
これは、先月六月の通常国会会期末に野党が提出した、内閣不信任案がどうなったかを見れば明らかであろう。
この内閣不信任案は否決されている。即ち、つい一ヶ月前に、現内閣は衆議院で信任されているのだ。その衆議院の構成は、一ヶ月前と変わっていないではないか。
なるほど、近くに、橋本総理が参議院選挙の敗北を切っ掛けに辞任したことがある。ところが、これは、党内事情のなせる結果である、と本人も述懐している。曰く、辞めなければ党内がもたなかったと。
しかし、公的なプロセスを経て構成された内閣を党内事情で放棄することは、公的地位を私物化することであり妥当な判断ではなかった。
民意が乗り移ったかのような顔をして総理大臣に、「辞任するかしないか」を尋ねる解説者・評論家が昨夜からマスコミに登場しているが、安倍総理の辞任しないという発言は極めて正しく当たり前だ。
そもそも、参議院の選挙は、総理大臣が辞任するかどうかを決める選挙ではない。それを決める選挙は衆議院である。
政治体制が異なるとはいえ、
アメリカ大統領に中間選挙の敗北の結果を受けて辞任するかどうかを質問すること自体馬鹿げている。辞任しないに決まっているからだ。
なるほど、中間選挙の結果、大統領の議会運営に影響が出ることや、政策が変化する可能性があることなどは、質問され評論される。しかし、辞任するかどうかの質問はない。考慮の範囲外である。
我が国の参議院選挙は、このアメリカの中間選挙と同じである。
さて、この度、「国政選挙」が行われたのであるという当然のことを振り返ろうではないか。
そうすれば、選挙の最中には意識していなかったことが分かる(意識しなかったのは、情報操作の結果か)。
先ず、第一党になった民主党は、多くの新人を抱えることになった。そこで、この新人達を擁するところは、
拉致被害者救出問題に如何に取り組むのか、自衛隊を軍隊にするのか、国防に如何に取り組むのか、憲法を如何に考えているのか、靖国神社に参拝するのか、台湾は中国に併合されて良いのか、等々、統一見解を出せるのであろうか。
確かに彼らは、「年金への怒り」は共有したであろう。
しかし、年金への怒りだけで国防や教育の改革はできない。
結局、この度も、国政選挙に不可欠な国家的課題を回避した選挙の結果がでているにすぎないのだ。
振り返ってみれば、この度のような現象は初めてではなく、
繰り返されているのではないか。
平成に入ってすぐに、「山が動いた」という参議院選挙があった。消費税絶対反対選挙だ。
しかし、その選挙で通った議員も含めて、今や、野党から福祉のために消費税率を引き上げようとの意見が出る事態になっている。では、一体あの結果は何だったのか。
また、衆議院では、選挙の度に、七十名ほどの風のような新人議員がでる。前々回は民主党に七十名ほどの新人議員がいた。ワンダーランドだった。前回は自民党に七十名以上の新人が生まれた。これを確かキンダーガーデンと呼んだ。
そして、この参議院選挙では民主党に新人が大量発生した。何と呼ばれるようになるのだろう。
そこで、安倍内閣の使命は何か。
それは、今こそ、国家的課題・国家的懸案事項を掲げ貫くことである。その他の課題は、参議院第一党に任せるよ、という度量でよい。
しかし、発足以来掲げてきた国家的課題は、今こそ、初心に戻って掲げ続けることが安倍内閣の使命である。この度の参議院選挙の結果が、この使命を際だたせることになった。安倍さんには、この使命の為に内閣を力強く維持すると強調して欲しい。
ところで、こういうと、参議院では第一党は民主党だから、議会は通らないという意見が出る。
その意見に対して言う。
なるほど、「年金への怒り」では一致団結した第一党の固まりであるが、国家を如何に防衛するか、国民の命を如何に守るか、という国家基本問題に関しては、集団として何ら意見の表明の見えない塊ではないか。意見の見えない、または意見のない集団に関しては、数が多いとか少ないとか考えても意味がない。
仮に、国家基本問題が参議院で否決されたとしても、衆議院の三分の二で再議決されれば国会を通過する。些細な問題ではなく、国家基本問題を処理して緊急重大な課題を克服する為にこそ、この再議決制度がある。
従って、使命のために堂々とこの制度を使うことができるという歴史的な立場に、安倍内閣は立ったのである。何ら、怯むことも恐れることもない。
安楽な体制が与えられれば、馬鹿でも政治ができる。政治家はいらない。真の政治家とは、困難な体制の中で使命を果たす者のことである。これほど、我が国を取り巻く情勢は厳しさを増し続け、緊急事態が迫っている。
よって、以上の通り、今回の参議院選挙の結果が、かえって、
国家基本問題解決・戦後レジームからの脱却を掲げて発足した安倍内閣が、その使命を再度確認して力強く出発する切っ掛けになれと、国家のために念願する次第である。
なお、本日から、堺市役所一階ホールで、拉致被害者の救出を広く訴えるための写真展が開かれた。選挙投票日の翌日の正午から始まった写真展である。「国政選挙」において語られることの無かった拉致被害者救出を願う同志が、選挙の最中に汗を流してコツコツと呼びかけ準備してくれた写真展である。
国家的課題にあくまで取り組み続ける堺そして泉州・河内の同志を誇りに思う。
(了)
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