渡部亮次郎のメイル・マガジン 頂門の一針 第883号
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渡部亮次郎のメイル・マガジン 頂門の一針 第883号
安倍で大丈夫だろうか
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渡部亮次郎
<京都府福知山市大江町の農業河合勇さん(76)は「年金問題が影響
した と思う。
憲法改正や農業など国の根幹にかかわる議論を期待する。
中山 間地域は後継者が育たず土地がどんどん荒れていく。
まずは現状を知り、 対応策を講じてほしい」と話した。
滋賀県大津市の主婦大塚永子さん(68)は「年金や医療・福祉政策へ
の国 民の意識が影響したと思う。
主婦や高齢者は収入が少なく、その多くが
医療費や介護費、生活を維持するための費用に消えてしまう。
余裕と生 きがいを持って生きられる社会にしてほしい」と願いを込めた>
京都新 聞 2007・07・30
<河北新報社(仙台市)が公示前に青森県内の農家を対象に行った
アンケ ートでは、回答者の3割が自民支持から別の政党または
「支持政党なし」 に移った。
青森県むつ市の自民関係者は「最近の農政への不満に加えて年金
問題も あり、農家を昔のようにまとめきれない」と嘆いた>河北新報
2007・07・30
私の身辺にいる無党派層(71歳 女性)は「政権交代には繋がらない
かもしれないが、今回だけは自民党に入れない」と断言していた。
民主党は 自民党と違って正しい事をやれる態勢に無いから今回
支持しても無駄で す、と言っても聞かなかった。
こと程左様に、国民の大半が「自民党と公明党にお灸を据える」心算で
投票しただけだったが、お灸は大炎上となり、自民公明は大火傷という
ことになった。予想通りであり、敗因を今更列挙しても始まらない。
<自民「安倍続投」を確認 内閣改造で責任論封印
自民党は30日午前、参院選惨敗を受けて党本部で役員会を開き、
安倍晋 三首相(党総裁)の続投を確認した。
首相は8月下旬にも内閣改造、党 役員人事を断行、人事権を盾に
党内の首相責任論を「封印」したい考えだ。
「政治とカネ」問題が惨敗に直結したことから、政治資金規正法再改正
も視野に透明化策の与野党協議を呼び掛ける。
ただ民意の厳しい審判が下ったことで首相の求心力低下は免れない。
党 内では「謙虚に反省すれば軽々に続投とは言えないはずだ」
(舛添要一 参院政審会長)との責任論がくすぶっているほか、人事
刷新を急ぐよう 求める声も上がっている。
首相は役員会で「改革を続行する。選挙結果を真摯に受け止め何ができ
るかを考えながら今後も責任を果たしたい」と強調。>
2007/07/30 13:10 【共同通信】
「改革を続行する」とは言うのはそのとおりだろうがが、安倍態勢の欠
点の最大のものを排除してからでなければならない。
今回、年金問題が最大の敗因となったというが、この問題の存在は安倍
政権の遥か以前であり、それが選挙前になって急浮上し、あたかも安倍
政権の失策のように位置づけられたのはなぜか。火消し係は厚生労働
相 ではなく、情報管理に当るべき官房長官の罪であり、落ち度であった。
こんな英語自慢しかできない男をここに据えたのは小泉然総理といわれ
ている。日本の内閣を纏め、野党と対決して行く官房長官に英語は要ら
ない。総理を守る不退転の決意と政界の隅々に気を配れる老練さが無く
てはならない。それなのに英語自慢を推挙したとすれば小泉は無責任だ。
英語自慢は更に罪が重い。安倍を守ろうとしてなんかいない。早く自分
が政権を担当したいだけだ。それでかどうか不明だが、首相補佐官が首
相に単独面会する事を悉く妨害していると言われる。
事実とすれば総理 の手足をもぐことに女房役が専念していたわけで、
これは犯罪だ。
安倍が考えていた幹事長は麻生太郎だった。そこに中川秀直を強引に押
し込んだのは例によって蜃気楼元首相である。中川の事は親父(義父)の
代から知っているが、新聞記者(日経)から代議士になるため、敢えて婿
養子に入った男である。
当然のようにいろいろな女に手を出し、とうとうヤクザに尻尾を掴まれ
て大騒ぎになった。閣僚には入れられないからと幹事長という森。
この森は安倍の祖父岸信介のお陰で無所属ながら初陣で当選。
その恩義 があるからと孫の晋三を押し立てる風を装うが、ゴマスリ
とすけこまし にしか能力の無い男を幹事長に押しこんだのは、
晋三を助けるフリをし て足を引っ張ったのだ。犯罪である。
内閣総理大臣首席秘書官(井上義行)も更迭しなくてはならない。元国鉄
職員。整理されて政府が引き取り、どこかで安倍と出合って気に入られ
首席秘書官に抜擢されたが、政治的能力はゼロというよりマイナスだ。
松岡勝利が自殺した時、後任に擬せられた赤城徳彦の身辺調査を任され
たのが井上。問題点を発見できなかった。女の有無、借金の有無ぐらい
は当然だが、肝腎の政治資金の収支報告を調べなかった。
総務省に手蔓が無かったためだ。キャリア不足の成せる業。身辺の官邸
記者をえこひいきばかりするから応援団が出来ていない。
例の地方税の驚くべき増額。真実は国税の所得税を減らして、その分を
地方税にしただけだが、その事を予め有権者にくだくだしいほどの説明
をしないと大変な事になるのに元大蔵官僚上がりの官房副長官
(的場順三) は何も指示しなかった。
だから選挙直前になって有権者の大半が年金問題とあわせて地方税の
大 増税、年寄りを困らすのは安倍内閣となってしまった。
実に悪いタイミ ングの政局運営をするから「参議院選挙で負ける
模範演技」みたいな無 様な事になってしまったのだ。
官房副長官(事務)も断固更迭だ。
田原総一朗が日経BPネットに記事を書いている。いいことも書くようだ。
ひと口で言えば、「官僚・公務員(虎)の尾を踏んで逆襲される安倍政権」
という内容だ。
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「安倍政権の倒閣を企てた官僚たちの二重クーデター」と題する記事の
最終章は以下の如し。
<安倍政権逆風の背景にあるもの。小泉前首相は公務員制度改革は
よほ ど準備をして根回ししてやらないと難しいと言っていたが、安倍
首相は そこが足りなかった。
甘く考えていたと言えるかもしれない。そのために官僚のクーデターに
遭って苦しんでいる。
社会保険庁の解体・民営化も、新・人材バンクも、今度の選挙で安倍内
閣が負けて安倍首相が退陣したらご破算になる可能性がある。だから、
官僚たちは何としても安倍内閣を潰さなくてはならないとその機会を狙
っている。
このように、社会保険庁解体と公務員制度改革は、自民党内外からの安
倍政権への逆風となっているといえるだろう。だが、この安倍政権への
逆風を仕掛けたのはとりも直さず官僚であり、自民党内の反安倍勢力で
ある。そしてそれを煽っているのがマスメディアだ。
その壮絶な反撃に安倍政権が苦境に立たされているというのが今の状況
なのだ。>
元大蔵省出身の官房副長官の言う事なんか内務官僚が聞くもんか。内務
官僚とは厚生労働はじめ総務、国土交通、環境、国家公安の各省だ。安
倍は官界を知ら無すぎる。
事情通は8月末か9月早々まで内閣改造、党人事を延ばすのは閣僚候補
の身辺調査に、念をいれて1ヶ月近くかけるつもりだからという。しか
し、これで果たして大丈夫だろうか。安倍続投でどこまで凌げるか、前
途多難なのである。文中敬称略。2007・07・30
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「官僚内閣制」打破こそ
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屋山 太郎
≪何が惨敗した原因か≫
参院選の惨敗は安倍晋三首相にとって全く不本意な結果だったろう。自
らが目指した政治とまるで内容の違う基準で評価されたのは心外極まり
なかったに違いない。安倍政治の真価を問うため続投の意志を表明した
が、再出発に当たって敗因を分析、認識しておく必要がある。
今回の敗因は安倍氏の掲げる「戦後レジームからの脱却」が否定された
結果ではないと思う。憲法や教育を含め戦後レジームを守りたい一部の
マスコミのバッシングに敗れたといっていい。
「年金の記録洩れ」と「政治とカネ」は本来、政治の主要なテーマでは
ない。年金の本来の議論はいくら貰(もら)えていくら税金を調達しな
ければならないかだが、この点でいえば自民党も曖昧(あいまい)なら
民主党もより雑駁(ざっぱく)だった。
記録洩れは行政のトップとして安倍氏の責任に帰せられるが、実のとこ
ろ責任はない。社会保険庁の内部が怠業、ねこばばし放題という腐った
職場になった責任の大半は自治労、つまりその組合を母体とした民主党
の責任にも帰せられる。
政治とカネは重要問題には違いないが、小沢一郎氏にそれを語る資格が
あるのか。小沢氏は政治資金で個人名義の10億円余の不動産を買った
が、そのさい贈与税は払ったのか。
また自由党時代の25億円の政党助成金の使途について必要な領収書は
示されていない。赤城徳彦農水相の領収書二重添付やその言動は政治家
失格だが、それを嗤(わら)って巨悪が不問にされていいのか。
≪官僚内閣制改革への挑戦≫
安倍氏がやった国民投票法の制定、教育基本法改正、防衛省昇格問題は
歴代内閣が何十年も先延ばししてきた問題だ。社保庁の解体もまさに妥
当な解決だ。国会を延長してまで断行した公務員法の改正こそ、安倍氏
がやりたかった本命の政治課題だろう。
安倍氏は明治以来の「官僚内閣制」が依然として続いていると認識して
いる。これを憲法に盛られた「議院内閣制」にしてこそ、政治が国民の
ものになると考えている。その改革への突破口が「官僚の天下り根絶」
ということになる。
松岡前農水相の絡んだ「緑資源機構」は天下り官僚の巣窟(そうくつ)
のような存在だった。
社保庁も天下りポストの一つに過ぎなかったから
こそ、無責任体制がはびこったのである。
衆院調査局の調査によると、4600法人に2万8000人が天下っており、そ
こに流れる資金は5兆9000億円にのぼるという。これはまさに官僚が産
業界をも支配するの図である。特殊法人、公益法人、独立行政法人はい
ずれも法律上の根拠をもって設立されている。これは官僚が立法府をも
操っている証拠だ。
≪格差問題軽視してきた罪≫
国民は官僚主導の体制に反感を募らせてきた。安倍氏はこの体制を清算
するため参院選の候補選びに口を挟もうとしたが、青木幹雄参院議員会
長らは聞く耳を持たなかった。
片山虎之助参院議員幹事長の落選は国民の反発を象徴する出来事
だった。
閣内にも伊吹文明文科相や尾身幸次財務相ら官僚出身の古手は
「官僚内 閣制」の清算の必要性を全く理解していない。
現職で敗れた面々は敗れ るべくして敗れたと自覚すべきだろう。
安倍政治は基本的に正しい方向を向いていると思うが「格差」問題を軽
視してきた罪は大きい。保守王国といわれた四国、九州、中国地方の惨
敗を見ると地方の不満の大きさがわかる。
競争政策は必要だが、そこからこぼれた人たちをどう助けるか。大規模
農家を育てる政策は正しいが、細る小規模農家をどう自立させるかも併
せて考えなければ、細民の切り捨てと受け取られるだろう。
首都圏に3500万人もの人口が集中しているのは異様な姿である。地
方の富が首都に吸い上げられている図だ。財源の再配分というカネの問
題の他に、仕組みの再構築が急務だ。三百諸侯の時代でさえ、地方は
自 立していたことを想起すべきだ。
国会は衆院で与党が3分の2、参院で野党が過半数という事態になった。
野党は参院で何でも否決でき、また参院が審議しないでつるしておいて
も60日たてば衆院で3分の2で可決できる。
これまでの国会は政府提出法案は一字一句変えず、野党案は良い点が
あ っても全部否決された。この悪慣行を清算するチャンスだ。
与野党が議 論して政策を調整してこそ国会が「国権の最高機関」になる。
官僚内閣制を終焉(しゅうえん)させることや地方分権に、民主党も異
論はあるまい。首相は重要法案を片づけた強引手法を今度は対話による
手法に切り替えて貰いたい。(ややま たろう政治評論家)産経新聞
【正論】7月31日付け転載 (2007/07/31 05:29)
小沢一郎と毛沢東
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男になるための国共合作、自・民合作
平井 修一
民主党の小沢代表は、田舎とい言うか地方の1人区をこまめに行脚して
いたというニュースを見た。これが07参院選の勝利を導いたという話だ
が、「どこかで聞いたことがあるなあ」と記憶を辿ったら、毛沢東に至
った。毛曰く「農村から都市に攻めあがれ」。
1939年12月の毛の言葉である(毛沢東選集第2巻)。
「地主階級の農民に対する残酷な経済的搾取と政治的抑圧のために、農
民は地主階級の支配に反抗して、何度となく蜂起をおこなわざるをえな
かった。中国の封建社会では、このような農民の階級闘争、農民の蜂起、
農民戦争だけが、歴史を発展させる真の原動力であった」
農民を味方にして戦後の日本を支配したのは自民党で、80年代にサラリ
ーマンが「1億中流だあ」と自信を持ち出したら「票田は企業だ、会社
員だ」と、たぶん農民を捨てて企業経営者とサラリーマンに擦り寄った
のだろう。
農村、農業は多くの利権を失った。
毛沢東は、農民の力を得て天下を取った。「その結果、共産党という、
唯一の大地主が誕生したのだ。農民はその大地主から、それまで以上の
搾取を受けるのだ」と、「中共批判の九の評論」(いわゆる九評)にあ
る。
甘い言葉にご用心。小沢は50万円だすからとたぶらかして農民の票を買
った。毛沢東も「地主を亡ぼして農民に土地を与える」とたぶらかした。
結果は農業、農村、農民の「三農問題」を引き起こし、食えない農民が
農民工として都市へ出稼ぎをせざるを得ないようにした。
小沢は、多分、政治感が毛沢東のように鋭いのだろう。小沢に比べれば
鳩や菅、岡田や前原はガキだろう。この「天下を論ずる」に足る政治家
が、勝つためには「国民の生活が第一」と台所をテーマに置いた。せっ
ぱつまって置いてしまった。
「そうでしょ、皆さん。憲法や国防なんて後回しでしょ、今日のメシ、
明日のメシ、将来の年金がまず大事でしょう、それをやるのが政治なん
です。それをやらんで何が政治ですか、ね、皆さん。
民主党が政権を握らなければ増税、福祉切り捨て、市場原理で格差は広
がるばかりです」と田中角栄のように言って、参院を制した。
毛沢東は政敵を打倒して再び君臨するために、「革命を純粋にする、走
資派、修正主義を打倒する。
造反有理、未来は君たちのものだ」と高邁な嘘を掲げ、ガキをあおって
文化大革命と自称する内乱を起こし、支那の人民を圧迫した。小沢は何
が目的かはまったく分からないが、天下を取るために庶民の米びつレベ
ルの不安をあおった。小沢と毛のレベルの格差はすさまじい。
毛沢東は1000年後でも悪党として名を残すが、小沢は10年後のアーカイ
ブにはほとんど残っていない。60年を経てマック憲法を駆逐したいとい
う安倍が、その想いを実現すれば、100年、200年後でも「占領期から日
本を回復した政治家」として名を残す。
政権を握りたいから、なにがなんでも、ネガティブキャンペーンさえ利
用して票を得たい。「政権党にならなければ、なにを言っても絵に書い
た餅。どうか民主党を第一党にしてくれ」と言う。
政権党にそれほどなりたいのなら、M&AやらTOBで自民党と一緒に
なったらいい。もともと自民党なんだから。それに踏み切れば、小沢さ
ん、あんた、NHKアーカイブに長く残るよ。