「キャリアアップをしたい」は“建前”社員が辞める本当の理由
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「キャリアアップをしたい」は“建前”社員が辞める本当の理由
*会社を辞めた人たちへのインタビューで分かること
(野々村 人事部長,永禮 弘之 )
多くの日本企業で退職者が増えるのは、賞与が支給される7月と12月だ。(3月決算の会社では3月が加わる。)この時期、送別会が開かれ、花束を持つビジネスパーソンの姿が電車の中で散見される。送別会の席上で、去る側はさっぱりした表情、残される側は割り切れない表情、という、まるで恋人同士の別れのような風景もよく見かける。実際、残される側にとって、本当の「別れ」の理由は謎のままだ。
優秀な人から辞める?
「いろいろとお世話になりました」。中堅流通チェーンのマルコーの人事部長、野々村さんの元に退職の挨拶に現れたのは、商品部の若手社員だ。彼は新卒で入社してから4年半、「頑張り屋で将来が期待できる若手」という評価を周りから受けていた。当然、人事考課も低くなく、同期の中では先頭グループに入っている。社員たちの間では、「ウチの会社は優秀な人から辞めていく」という噂があることが、野々村さんの頭をよぎる。
「ウチを辞めて、これからどうするの?」「はい、ずっと忙しくて自分を見つめ直す時間もとれませんでしたから、しばらくゆっくりと考えたいと思います」
商品部の若手は、つきものが落ちたようなサッパリとした表情で応えた。野々村さんは、「次も決めずに辞めるのか?」と、喉元まででかかった質問をグっと飲み込み、「そうか。元気で頑張ってな。長い間お疲れ様」とねぎらいの言葉をかけ、彼の背中を見送った。
マルコーも、流通業界の例に漏れず、社員の定着率が高いとはいえない。かつて、営業時間を延長した後に、立て続けに店長が退職した時期があった。それ以来、多数の退職者がでたことに危機感を感じた先代社長の指示で、退職者への聞き取りが実施されている。商品部の若手も例外ではなく、報告書があがってきている。彼のサッパリした顔が気になった野々村さんは、改めてその報告書に目を通してみることにした。
退職者たちへのインタビューをまとめた報告書
大手転職サイト「リクナビNEXT」編集部による「退職理由の『ホンネ』と『タテマエ』アンケート」(2005年4月実施)によると、「タテマエ」のダントツトップは「キャリアアップしたい」で、半数近くに達している。次いで「仕事が面白くない、変化がない」「会社の経営方針・経営状況の変化」と続く。 一方、本当の退職理由、「ホンネ」とは何なのだろうか?一位は「上司との人間関係」。二位、三位は「給与に不満足」、「仕事が面白くない、変化がない」となり、この3項目で3割強を占めている。多くの面接で、転職希望者は退職理由を尋ねられる。面接の場では、応募者は「タテマエ」に出てきた内容を口にすることが多い。ところが、「キャリアアップしたい」という応募者にその方向性を尋ねても、漠とした答えしかかえってこないことは少なくない。「仕事が面白くない、変化がない」という応募者に仕事観を尋ねた場合も同様だ。
「ホンネ」の結果を見れば、それは当然。面接という公式の場では、できる限り前向きな返答をしたい、というのも頷ける。
定着率は会社の通信簿?
採用面接で定着率や離職率に関して質問されることがある。どうやら、特に新卒は、定着率や離職率を会社の通信簿の項目ととらえているようだ。また、企業の月次決算報告の場で、人員の増減率が示されることは多く、それに対し苦言を呈する経営者もいる。経営者が若い頃、大企業では終身雇用が当然だったため、中途退職は「落ちこぼれ」という印象があるのかもしれない。オーナー企業やベンチャーでは、「ついてこられない」から退職したと考える人もいる。一方で、「ウチの会社は優秀な人材が少ない」と口にしながら、中途退職に全く無関心な経営者がいるのも事実だ。 知的資産が重視される昨今、人材の流出は、単なる労働力の減少だけではなく、知的資本の流出にもなる。実際に、人材の回転率の高い企業は、「積み上げ」による知見の厚みに欠けている。多くの場合、それを実感しているのは現場だ。
現場の上司は責任逃れ?
退職者が出て一番困るのは、現場の上司だ。退職の意向を口にした部下に対して、現場の上司はあの手この手で慰留する。しかし、慰留が成功することは多くない。なぜなら、退職を口にしたときには、すでに決心していることが多いからだ。公言するまでには、さまざまな葛藤や悩みもあり、第三者に相談したりしている。しかし、公式に上司に伝えるときには、すでに気持ちは決まっていて、揺るがしようがない。昨今は退職者が出たからといって、上司が管理責任を問われることは少なくなっている。退職には家庭の事情によるものなど、責任を問うことが不適当である場合もある。多くの退職者を出しても部門の業績が好調であれば、上司の評価にはあまり影響しない。そして、退職者が多い部門長ほど、なぜか人事に対して「退職者が出ないような全社的な人事施策を打ってほしい」と要求する。 ホンネの退職理由の多くは、「上司との人間関係」だ。本コラムでも何度か指摘してきた通り、部下のキャリアに上司が及ぼす影響は大きい。部下が「ウチの会社は・・・」という批判を口にしたときには、その主語は「上司」であることが多い。人事部に定着率向上の対策を求めておきながら、部下を退職に追い込む上司は、責任逃れとも言えるのではないか。
人事は社員を番号で管理しているだけ?
では、人事部はどうか。日々、社員の情報を扱っている人事は、一番社員の情報を持っているはずと思いきや、実は正反対。給与などを扱うという仕事上の性質もあって、個人情報にできる限り関心を持たないようにするのが、人事スタッフの性だ。それは悪いことではないが、退職の背景や理由に関心が低いのは問題だ。現場から上がってきた退職届を事務的に処理するだけが、人事の仕事ではないはずだ。
人材は、文字通り会社にとっての重要な資産。製品をつくるのも、サービスを提供するのも「人」。人という重要な資産が流出しても、人事は全体の数や率だけを問題にしていればいいのだろうか。退職の中身、本当の理由を追究する立場にいながら、人事は受け流していないだろうか。もちろん、個人としては何か釈然としないものを感じているだろう。しかし、それを正式なテーブルの上で議論し、本気で対策を打っている会社は、案外少ないのが実態だ。
退職以外に選択肢はないのか?
転職が一般化し、フリーターや業務委託など、さまざまな形の働き方が市民権を得た昨今、個人の選択肢は増えている。つまり、退職しても、必ずしも正社員として再び働くとは限らなくなっている。マルコー商品部の若手社員のように、退職後しばらく経ってから新天地を目指す人もいる。 転職希望者の面接や退職予定者と面談していると、「この人は、退職しなくてもいいのではないか?」と思うことは少なくない。部門を異動する、職種を変える、長期休暇を取る、など、退職せずに済むと思われるケースが散見される。しかし、実際にはそのような行動を取る人は多くない。なぜか?それは「上司が受け入れてくれると思わない」からだ。正直に自分の気持ちを上司に伝えたかといえば、そうではないことの方が多い。本コラムでも繰り返し伝えているが、転職にはリスクが伴う。会社にしがみつくことを薦めるわけではないが、転職のリスクを考えずに、今勤めている会社を飛び出してしまうのは危険だ。中途退職が招く結果は、あくまでも個人の責任であることを忘れてはならない。
不健全な新陳代謝
会社にとって、「中途退職者が一人もいない」ことが威張れるわけではない。組織も、健全な新陳代謝はあった方がいい。しかし、「不健全な新陳代謝」は問題だ。不健全な新陳代謝とは、辞めてほしい人が残り、辞めてほしくない人が去っていく状態をいう。前者への対応は、法的な制約などもあり難しいが、後者への対応にはいろいろなことが考えられる。 企業によって有効な施策は異なるが、どこの会社でも簡単に行えるのが「退職者インタビュー」だ。退職する「本当の理由」を知る効果的な方法であるだけでなく、社員のモチベーションを左右する要因を知ることができる。退職者インタビュー自体はめずらしいものではない。ここでは、そのやり方のポイントを3つ紹介しよう。
退職者インタビューのポイントは3つ
【1】誰がインタビューするか
【2】 いつインタビューするか
【3】 何を聞き出すか
である
誰がインタビューするか
退職者インタビューを行うのは、人事部長や課長か、現場の上司に二分される。上司が行う場合、人事部が用意したフォーマットに従って進めていく。しかし、ここで「ホンネ」を言ってくれる退職者は多くない。退職者は、すでに評価結果には関心が薄いが、上司が相手だから、当然なのかもしれない。比較的うまく本音を聞き出せるのは、インタビューに長けた人事部の役職者が行う場合だ。退職者にとって直接の当事者でないことが影響している。しかし、人事の人間であれば誰でもいいかといえば、そうではない。人事の担当者にインタビュースキルが欠けていると、上司が行った場合と変わらない結果になってしまう。 ある中堅商社では、退職者インタビューを第三者に委ねている。かつて、上司が行っていたそうだが、形式的になってしまったため、専門家に頼むことにしたそうだ。場所も、社内ではなくホテルのラウンジなどで、リラックスできる雰囲気をつくる。報告書は「誰が何を言ったか」分からないように加工されて上がってくる。結果として、社内インタビューでは得られなかった社員の「ホンネ」が聞き出せるようになったらしい。その企業では、報告書の内容を、管理職の教育や人事施策に反映させている。その結果、退職率が下がっただけでなく、人事部が自信をもって人事施策を展開できるようになったようだ。
いつインタビューするか
最近、退職予定者の有給消化をどこまで許容すべきかが話題になった。かつてと比べて積極的に有給を消化する退職予定者は増えている。退職が受け入れられてから実際の退職日まで、1カ月以上出社しない、というケースも珍しくない。退職日に退職者インタビューをする企業は多い。そのとき、すっかりリフレッシュして、晴れ晴れとした表情で退職者が登場、というケースが増えている。そんな退職者にインタビューしても、「ホンネ」を引き出すのはむずかしい。リフレッシュした退職者の関心は、すでに未来の自分に移っていて、退職が「過去のこと」になってしまっているからだ。 退職者インタビューの時期を一律に決めず、上司の申告に応じて調整している外資系メーカーがある。その会社で退職者インタビューをするのは人事の役職者だ。現場での慰留が難しいと判断された後であれば、上司の判断でインタビュー時期を決めている。最近は、上司が自分では慰留せずに人事に委ねるケースも出てきているようだ。人事によるインタビューの場面で、退職意向を撤回する社員もいるそうだ。
何を聞き出すか
社員が退職を決めるまでには、さまざまな経緯や葛藤がある。そのため、退職理由は一口では語れないことが多い。実は、「退職に至る複雑な事情」の中に、その会社が抱える組織上の問題が潜んでいる。しかし、退職者インタビューでは、「なぜ辞めるのか」「どうすれば辞めなかったのか」「何か言い残すことはあるか」という、お決まりのパターンで終始することが多い。退職に至るまでの経緯や心理的な変化などをきめ細かく聞き出していることは少ない。 前出の中堅商社では、退職予定者が入社してから現在に至るまでの経緯を聞いているそうだ。「どんな場面でモチベーションが上がったのか」「最初に感じた不満は何だったのか」「周囲の同僚や上司は日頃どんな不満を漏らしているか」など、かなり細かく具体的に聞き出している。そして、インタビュー内容は第三者がまとめ、役員に報告される「社内の見える化の一つです」と、その会社の人事部長は言っていた。
健全な新陳代謝は各社各様
「健全な新陳代謝とは」という基準は、一律にはない。業界平均や一般平均は参考にはなるが、自社の固有の事情を反映しているわけではない。組織の新陳代謝の基準を作るのも、会社の自己責任ではないか。 組織の新陳代謝を扱うときに、退職者をひと括りにすることは避けた方がいい。「辞めては困る人」「辞めても仕方のない人」「引き留める必要のない人」などを区別して、それぞれの退職率や退職理由をつかんでから、「自社の新陳代謝は健全か」について、議論すべきだろう。その中から、自社にふさわしい、定着や流動を高める施策が生まれてくるのではないか。 人の身体と同じように、適切な新陳代謝がなければ、会社も動脈硬化や肥満といった成人病を発症する。「なぜコレステロールが高いのか」「なぜ血圧が高くなってきたのか」といった新陳代謝の実態と原因を知ることから始めるのが良いのではないか。
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いつも退職者が出る部署の上司に問題があるのは明らか。
日本人は最後まで理由を言わずに辞めていく。
奥ゆかしいのかな。チュウゴク人は、日本企業を辞める場合、
本社に手紙を書いて、嫌いな日本人のあること、ないことを
暴露しまくって止めるらしい。聞いた話だから、ただのウワサとして
読んでくださいね。チュウゴク人は会社を止めても、契約期間は給料を
もらえるから気が楽だね。by日本のお姉さん