アフガニスタンの罌粟畑は、183000ヘクタール国連の推計で2005年から80%も増加していた | 日本のお姉さん

アフガニスタンの罌粟畑は、183000ヘクタール国連の推計で2005年から80%も増加していた

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成19年(2007年) 7月30日(月曜日) 
通巻第1869号  
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アフガニスタンは、いまや「タリバニスタン」と呼ばれる。
 空爆で消滅したはずのタリバンが、アフガン南西部で急速に息を吹き返したからだ。アルカィーダの残党もすこしはいるかも。

 パキスタンは、米国の手前、テロリスト撲滅に協力してきたが、内務省と軍はタリバンに同情的で、アフガン空爆のおりはタリバン兵士の多くが、パキスタン領内へ逃げ込んだ。
 パキスタン軍はかれらが同じパシュトーン族であり、密かに或いは堂々とタリバンを庇い続けた。
 ムシャラフ大統領はパンジャブ族出身のため、かれのもとに治安情報が完全に入っていたとは言い難いだろう。

 英米の空爆と特殊部隊のアフガニスタン派遣によって、タリバンは壊滅したと考えられたが、それは西側の淡い幻想であった。

 カルザイ政権は英米の傀儡であり、首都のカブールとその周辺を治めているに過ぎない。
北部は北部同盟の残滓であるタジク人とウズベク軍閥のドスタム将軍が治め、独自の通貨を発行しているという。
またイラン寄りの地域はヘクマチアール派と、タリバンが夜の世界を統治している。
 南西部に拡がるのが罌粟畑だ。

 アフガニスタン全土の罌粟畑は、2005年に101600ヘクタールと確認されていたが、昨年は、国連推計によって183000ヘクタールに拡がっていた。
 麻薬ルートは、イラン国境へ流れるものとタジキスタンからウズベキスタンを経由してEU諸国へ流れるルートがあると推定されている。

 麻薬のあがりはタリバンの軍資金と地方軍閥の首長が管理しており、世界からの援助でなりたつ「カブール政権」に武力攻撃をしかける軍資金と化けている。
 英米の援助は、学校と建物の建設、政府と軍の訓練ならびに道路整備などに当てられている。
 庶民は産業がないために雇用の機会もなく、つまりは、罌粟栽培に走るしか生きる道がない。

 米軍高官は、「空中散布による罌粟畑撲滅作戦はNATOが、無差別的だとして反対しており、また現地政府も地上作戦による罌粟畑消滅を徐々に行う方針である。つまり当面、徹底した麻薬撲滅は採れないだろう」と絶望的であるという。「(ウォール・ストリート・ジャーナル)、7月27日付け)。

 タリバンの罌粟栽培による所得は2億7000万ドル。

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読者の声1) 貴誌通巻第1868号に「後藤新平」に関して「また晩年は、政治活動のほか、青少年の育成にも尽力し、ボーイスカウト日本連盟の初代総長を務めたことでも知られています」とあります。
ボーイスカウトの創始者であるパウエル卿は、日本に平安時代にあった健児(こんでい)からヒントを得てボーイスカウトを思いついたといわれています。
通常は武器を携帯せず、警察官の役割を果たしながら、庶民の喧嘩の仲裁にもあたったであろう健児はまさにpolicemanではなくconstableあるいはBobbieの愛称でよばれるイギリスの警察官にも似た存在でした。
桓武天皇の詔によって、相手(犯罪者を含む)に対する拝と奉仕の精神に基づき、治安の維持を超え庶民の安寧と福祉のために働きました。その制度が実施された約三百年の間は、平安時代の死刑が廃止されていた三百年とも重なります。
また現在の形の相撲の起源は健児が心身を鍛えるために行ったものが元になっているといわれています。
占領中、米国人が日本人を見下げ、教導してやるといった態度で日本人に接した場合が多かったあのとき、昭和21年に来日したイェール大学神学部教授ハール・S・ビース博士は、健児を絶賛した後、
「こんな高い精神(健児の敵をも拝する心のこと)が日本にあることを知って、私はもう一度、日本を見直さなければならないと思っている」
と述べています。
私は、現在の日本の公務員、否全ての日本人はこの健児の精神を見直し実践せねばならないと信じます。
後藤新平氏に関してあまり知られていない重大な業績があります。
台湾総統府民政長官をされていたとき、日露戦争が始まりました。後藤氏は、台湾に駐留していた日本軍に対して、台湾の防備が危険になるにも関わらず、ここは私たちが自分で守るといって前線に赴かせ、莫大な費用をかけ官民一致の努力で海防を固めロシア艦隊の来襲にそなえました。
この強力な沿岸防衛力があったため、バルティック艦隊は、日本に近づいてから、大陸の港に寄って将兵を休め、補給を行い、艦船を整備・補修することができませんでした。
そんなことをしている最中に台湾から攻撃をされたらあまりにも危険だったからです。
したがって、将兵は疲れ、不平だらけで、船底には貝や海草がこびり付いて水の抵抗が増え船速があがらないまま日本海軍と戦わねばならなかったのでした。
これが日本海海戦大勝利の一大要因でした。
         (ST生、神奈川)


(宮崎正弘のコメント) 歴史の影の部分ですね。参考になりました。
 それにしても、日本は愚民政治の典型。貝殻追放の愚をまたやらかしました。参議院選挙の話。国民の愚かさは、ますますひどくなっているようですね。



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(読者の声2) カザフスタンなどへお出かけの由でした。中央アジアは、砂と岩ばかりで、我ら学校で習った地理教科書など、ほとんど役に立ちません。
最新の世界地図帳でも通り一遍。資源と歴史に特化した専門的な地図が出ているようなので買い求めます。
さて旧聞ですが、17日夜の桜チャンネルで「良書紹介」を見ました。
予告があった宮崎さんの新著『世界新資源戦争』(阪急コミュニケーションズ)をめぐって、司会の水島総氏との掛け合いでしたが、
水島氏が「読んでいくと暗澹たる気持ちになるが、宮崎さんが飄々と笑顔で解説されるから、それが救い」 と言っていたのに同感です。
        (HS生、豊橋)


(宮崎正弘のコメント) まさしくご指摘の「中央アジアは、砂と岩ばかりで、我ら学校で習った地理教科書など、ほとんど役に立ちません」というのは本当でしょう。
 ですから拙著は、「最新の世界地図を資源と歴史に特化し」ようとしてのが、本書の最初の出発の動機だったのですが。。



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(読者の声3) 留守中の『週刊現代』(8月4日付け)で、
「中国は毒食品の満漢全席」-死者、病人、失明者続出、「馬尿漬けシシカバブ」「腐敗再製ソーセージ」「汚染水養殖ウナギ」「ミョウバン卵」「毛髪醤油」「ツバ汁」etc・・連日報道されている「中国毒食品」に関して、「中国ウォッチャー・宮崎正弘」氏として、詳しくレポートされた4ページの特集。
これを読んだだけで気持ちが悪くなります。
それにしてもお出かけ前に随分お仕事しておられたのですね。
     (FF生、小平)



(宮崎正弘のコメント) 出発前に突如、特集をする旨の通知をうけ、大急ぎで仕上げて最終ゲラのチェックは、成田空港で出発前に電話で、となりました。 それでも安心できずキルギスから編集部に電話をしようとしても、繋がらない(苦笑)。
 結局、活字になっての最終稿を読んだのは、帰国後でした。
帰国直後に成田空港で入手した週刊現代は、もうその次の号(8月11日号)でした。週刊誌のサイクルは実に早いですね。

 というわけでカザフスタンとキルギスの取材から戻りました。
一言でいうと、キルギスは美しい景色、澄み切った空気と草花の匂う遊牧民の暮らす山岳国家で、悠然としているところが良い。
日本人に最も酷似した顔つき、それにしても日本から最も遠い異郷。空路の利便性がないという意味ですが。
カザフスタンは急速な資源リッチによる繁栄で制度も音楽文化などは西側に寄りつつも、ソ連時代の権威主義的な文化が色濃く残る実験国家の様相です。町を走るクルマの三割が日本製で、どうやって持ち込んだのか、首を傾げるほどいろんな不思議なことも起きていました。

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(サイト情報) (A) 米国国家情報局は「米国本土へのテロの脅威報告」を大統領と議会に提出した。国際テロ組織アルカイダが対米攻撃の脅威を高めていると警告し、対米攻撃にはイラクで活動しているアルカイダ系組織も加わる可能性を指摘。
(1) 国家情報評価(NIE): 米国本土へのテロの脅威
National Intelligence Estimate: The Terrorist Threat to the US Homeland 、Office of the Director of National Intelligence, July 2007 、(PDF 7p. 171 kb)
http://www.dni.gov/press_releases/20070717_release.pdf
(2)ホワイトハウスのファクトシート。
Fact Sheet: The Terrorist Threat to the U.S. Homeland 、White House. July 17, 2007
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2007/07/20070717-2.html
    
(B) バーナンキFRB議長は7月18日、米議会下院の金融サービス委員会の公聴会で証言し、半年に一度の金融政策報告書を提出した。
(1)米議会下院金融サービス委員会公聴会
Monetary Policy and the State of the Economy、House Committee on Financial Services, July 17, 2007
http://www.house.gov/apps/list/hearing/financialsvcs_dem/ht071807.shtml
(2)金融政策報告書 Monetary Policy Report to the Congress、Federal Reserve Board, July 18, 2007
http://www.federalreserve.gov/boarddocs/hh/2007/july/fullreport.htm

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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
 『世界新資源戦争』(阪急コミュニケーションズ刊)。
 『2008 世界大動乱の予兆』 (並木書房、1680円)
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
 『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
 『拉致』(徳間文庫)