北鮮のミサイル試射をめぐる公開情報のまとめ | 日本のお姉さん

北鮮のミサイル試射をめぐる公開情報のまとめ

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軍事情報 第304号 (最新軍事情報)           

●北鮮のミサイル試射をめぐる公開情報のまとめ

【経過】
・五月二十五日:咸鏡南道端川市のミサイル基地から日本海上に短距離ミサイ
 ル1発を発射
・六月七日:黄海上にミサイルを発射
・六月二十七日:日本海上に射程距離100キロほどの短距離ミサイル1発を発射。
・新型ミサイルは「固形燃料」「高性能機動式」「射程特化型(韓国のみを狙っている)」「射程は120~140キロ」とされる。

【詳細】
・発射されたのは、新型の短距離ミサイル。旧型のフロッグミサイル(*1)の代替モデルで、ソ連製スティクスミサイル(*2)を改良したものとの話あり。
(*1)フロッグ; ロシア陸軍、地対地ロケット(SSR)
(*2)スティックス; 旧ソ連海軍/エジプト海軍、艦対艦巡航ミサイル・SS-N-2A/B、全長6.25m、直径75cm、重量1.2t、射程8~43Km、誘導方式=初期・慣性/終末・ARH; エジプト海軍がイスラエル駆逐艦“エイラート”を撃沈して一躍有名になった<海>
【出典:コモ辞書 
http://homepage3.nifty.com/OKOMO/  】

・六月十九日に「三度目の発射は現地時間十九日十五時に行なわれ、発射されたミサイルは弾道ミサイルではなかった」と日本(NHK)で報道されたが、二十一日のノーボスチ通信等によれば、「NHKのネタ元の韓国聯合通信はその後、「十九日に発射は行なわれなかった」とする国軍筋の情報を流している」とのこと。

・韓国政府当局者は六月二十八日時点で、「現在、北鮮人民軍は8月に始まる夏季訓練に先立って判定検閲に備えた訓練を実施しており、今度のミサイル発射もその訓練のひとつとみられる」としている

・ローレス前国防次官(アジア太平洋担当)の六月三十日の発言。
「北鮮の新型短距離ミサイルが世界の武器市場に出回るのは確実。半島と東ア
ジア情勢の不安定要因」と深い懸念を示す。同氏は、ミサイルが可動式である
ことに最も警戒感を示している。

・在韓米軍司令官ベル大将の七月はじめの発言。
「北鮮の核兵器計画は極めて挑発的、脅威であり危険」「地対地ミサイルの試射は五月二十五日から数えて三度目である。北鮮のミサイル開発計画は順調に進んでいる。実戦配備されたらソウル以南も射程に入る。今そこにある危機で無視することはできない」と強い警戒感。

・九日、守屋防衛事務次官が記者会見で北鮮のミサイル開発についてコメント。
「既存のスカッドに加え、新型で固定燃料推進式の短距離弾道ミサイル開発を行っていると認識している。米は阻止したいとの考えをもっている。わが国も同じ」

・十日、小池防衛相の会見での発言
「北朝鮮が既存の短距離弾道ミサイルの「スカッド」に加えて方式が違うというものを出していることについては、(米国と)認識は共有して参りたい」
⇒気になるのは、他国の関係者は誰も「弾道ミサイル」と言っていないのに、わが国関係者のみが「弾道ミサイル」と断言している点です。何となくわかりそうな気はしますけど・・・それはさておき感じることですが、少なくとも現在から近い将来にかけ、北鮮が同胞である韓国にミサイルを発射する可能性は限りなく低いと思われます。わが国を直接狙う射程でもありません。こんな情報を公開することで誰がメリットを受けるのでしょう?それは、北鮮しかありませんよね。この新型ミサイルに関する情報は、IAEA査察を前に北鮮がリークしたものと思われてなりません。北鮮は、報道されることを通じて何らかの状況を作り出そうと意図したのではないでしょうか。北鮮の目的は何だろう?やはり、米との直接交渉だろうな。と思っていたら、

●北鮮軍、米に軍事会談を提案
十三日の金曜日、北鮮軍板門店代表部代表のイ・チャンボク上将が、国連代表部も参加する形での米朝軍事会談開催を提案しました。翌十四日、IAEAが平壌入りしましたが、当日「マコーマック米国務省報道官は声明を発表し、「米国は14日、北朝鮮から寧辺の核施設の稼働を停止したとの通知を受けた」ことを明らかにした。」(時事)ということです。

寧辺の核施設停止も含め、ミサイル試射もすべてが米朝直接対話実現のためのツールなんでしょうね。北鮮は、これからもいろいろ事件を起こすことでしょう
ちなみに、稼動停止・封印作業は来週はじめに始まって、約一ヶ月で完了する見通しです。

そういえば、寧辺の核施設は前にも同じような形で停止されたことがあります。北鮮には、その封印を解き、IAEAを追い出し、稼動を再開したという前科
もあります。⇒わが国は、米との連携をこれまで以上に緊密にするとともに、国内の引き締めを図り、北鮮が行なう「文の戦争」に振り回されないようにしたいものです。
なお、BMD配備は順調に進んでいますが、今後もっとも緊要なのは巡航ミサイルの実戦配備と考えます。そのためにも日米同盟は重要で、これを十二分に活かせるようつねづね心がける必要あり、と考えます。巡航ミサイル配備ができる国に一刻も早く脱皮できるよう、努力してゆきたいものです。ちなみに十三日にはイランでもこんなことがありました。

●IAEA、重水炉査察でイランと合意
IAEA(国際原子力機関)は十三日、イランが建設中の重水炉への査察をはじめることで合意したと発表しています。七月中に査察官が現地入りします。⇒イランと北鮮は緊密に連携していますね

●アルカーイダ、「ムシャラフ政権打倒」を訴え
十二日にアルカーイダのアイマン・ザワヒリは、インターネット上で公開した音声テープの中で、パキスタン政府による「赤いモスク」制圧を「犯罪的な侵略」と非難しました。あわせて、パキスタンのムスリムに対し、ジハードによるムシャラフ政権打倒を呼びかけています。「赤いモスク」の人質事件は、十日夜までに軍が制圧し、その過程で死者が数百名出たとされます。⇒当日中にアフガン国境付近の北西辺境州で二件の自爆テロが起きています。

●三十五年ぶりのリビア大使
十日にブッシュ米大統領が「ぜひ、リビアと関係を強化したい」と書簡を通じ
リビアのカダフィ大佐に呼びかけたことが明らかになりました。翌十一日には、三十五年ぶりとなる駐リビア大使を派遣することが決定し、現在駐イスラエル大使館で主席公使をしているクレッツ氏を指名しました。クレッツ氏は中東畑の外交官で、エジプトやシリアでの勤務経験があります。⇒米は、一九六九年のカダフィ大佐による革命を受け、七二年に大使を引き揚げていました。しかし、9・11テロ発生を受け、関係は急速に好転しています。

●五艦隊、イラン近海に三隻目の空母を派遣
米海軍の五艦隊司令部(バーレーン)は十日、イラン近海に向け、新たに「エンタープライズ」打撃群を派遣したと発表しました。エンタープライズ打撃群は、既に展開しているステニス打撃群、ニミッツ打撃群とともに、五艦隊の作戦地域で展開します。米海軍報道官はAFPに対し、「エンタープライズの展開は増派であり、交代ではない」と述べたそうです。五艦隊司令官のコングリフ海軍中将は、「エンタープライズはイラク・アフンで展開中のわが兵士たちと海兵隊を支援するのみならず、幾つかの国が示している、強硬で破壊を招きかねない高圧的な姿勢に対抗するためのプレゼンスも提供する」と述べています。あわせて「湾岸諸国を挑発するものではない」と付け加えてはいます。湾岸地域では二〇〇三年から米海軍の空母打撃群一個が展開していますが、今年一月に米政府は、湾岸地域に空母打撃群二個を数ヶ月展開させる計画を立てている、と明らかにしています。⇒予備の「エンタープライズ」打撃群が派遣されましたね。事実上、イラン沖で三つの空母打撃群が展開することとなりました。極めて異例の事態と言えます。相前後して、以下のことがありました。

●ブラックリストに追加、財務省に続いて商務省も
アメリカ商務省が十二日木曜日に、イランのエネルギー・工業関連組織五つをブラックリストに載せたと明らかにしています。これにより当該組織はアメリカとビジネスできなくなっています。財務省が最近進めている、世界の金融システムからのイラン銀行の締め出しの一環とされます。

ブラックリスト対象となったのは以下の五つの組織です。

・イラン核燃料庁
・Mesbah Energy Company
・Kala Electric Company
・Shahid Hemmat Industrial Group
・Shahid Bakeri Industrial Group

いずれも、すでに財務省の制裁対象となっています。商務省の発表によれば、「五つのうち三つが核活動に関連している」そうです。

●テロ支援国家
現在米は、「北朝鮮、キューバ、イラン、シリア、スーダン」をテロ支援国家に指定しています。パキスタンのムシャラフ大統領が、素人目に見ても「無理あるよな」と思うほど強硬なやり方で「赤いモスク」事件を迅速に解決したのも、「イランの巻き添えを食ってロ支援国家に指定されたくない」という気持があったせいかもしれません。イラン沖に空母を増派したり、三十二年ぶりのリビア大使派遣を決定、といたことが立て続けに起きたことをあわせ考えると、なんともいえない胸騒ぎがするのを抑えきれません。米の軍事の方向は、一貫して「テロ支援国家の殲滅」に向かっているように思います。一度動き出した大きな歯車は、止めようとしても止められないかもしれません。カダフィ大佐は9・11テロを受け「米にテロ支援国家に指定された国は必ず攻撃される」と判断し、米との関係改善に動いたといわれています。
⇒わが周辺の大国の動きも、その隙に・・・という姿勢がミエミエです。たとえばこんなことがあります。

ロシアが極東地域で軍備を増強
九日にロシア海軍総司令官のソマリン大将が以下の方針を示しました。
・カムチャッカ半島の原潜基地拡充に約九十億ルーブル(約四百四十億円)を投じる
太平洋艦隊基地を新設する
・二〇一五年から新型空母の開発を進める
・二~三十年後には極東地域と北海に、空母を中核とする艦隊を新編する

⇒ちなみに、SLBM搭載型の戦略原潜を極東地域に配備する計画はすでに明らかになっています。

●イワノフ前外相が辞意
インタファクス通信が九日、ロシアのイワノフ安全保障会議書記が辞意を示したと報じています。イワノフ氏は前外相時、イランとの交渉に当たったことで知られています。
●日米豪印四カ国で初の合同演習
十三日の段階で、オーストラリアのネルソン国防相はベンガル湾で行なわれる日米印合同演習に、豪州海軍艦艇を派遣することを明らかにしました。
豪印両政府が、安保分野の情報共有を行なうことに関する合意文書に調印したことを受けて行なわれた会見で述べられたものです。なおこの文書は、二〇〇六年に豪州のハワード首相とインドのシン首相が調印した「軍事協力に関する覚書」に基づくものです。「演習には海軍のフリゲート一隻を派遣する。今後もいろいろな地域で演習に参加するつもりだ。しかし、軍事や安保についての四カ国戦略対話は求めない」としており、日米豪三ヶ国の戦略対話にインドを含めることには否定的な見解を示しています。
●中共海軍、豪・ニュージーランドと共同訓練
中共政府の国防相 曹剛川上将は九日、オーストラリアのネルソン国防相と北京で会談し、両者は、この九月に中共海軍の艦艇が豪州を訪問し、ニュージーランドを含めた三ヶ国で海上共同訓練を実施する方針を確認したそうです。
●核テロ防止条約が発効
国連によれば、テロリストへの核関連物資流出防止を目的とする「核テロ防止国際条約」が、七日、規定された二十二カ国が批准を済ませたことを受け、発効したそうです。核関連物資を所有したり、原発等に損害を与えて放射性物質を漏らす行為を犯罪とし、処罰に必要な法制化を各国に義務付けています。署名したのは百十五カ国ですが、核保有国と潜在的な核保有国のなかで批准しているのはロシアとインドのみです。⇒わが国は衆参両院での承認が終わっています。

●対馬のこと
半島とわが国の間に位置する対馬は国防の要衝です。わが自衛隊は、陸の精鋭部隊、海・空がそれぞれ部隊を置いています。軍民一体となり国防の実を挙げている、国内では珍しい地といわれています。以下の高志さんのコラムにもあるとおり、二度にわたる元寇の役では、壱岐とともに邀撃部隊が玉砕した地でもあります。
この種の地には他国がいろいろ介入の手を伸ばすものですが、こういう行動には「眠たいことをすれば実力を持って排除する」との意思と決意を初動段階で目に見える形で示す必要があります。沈黙はOKの印。これが国際社会の基本ですそれに先立ってわが国朝野に必要なのは、領土領海領空にあるものは、一木一草に至るまで、すべてわが国のものだ、という当たり前の気概です。それすら持たない者に洞察力・視野の広さは望むべくもありません。気概なき妥協は政治ではなく、みじめな奴隷の姿にすぎません。あわせて、対馬の如き軍民一体の拠点を、壱岐・佐渡・"与那国等の南西諸島"に展開する緊要性を改めて思います。他国への示威になると同時に国内への国防啓蒙にもつながります。いまのわが国は「あつものに懲りて膾を吹く」風潮に支配されすぎです。それと、外国人の意見と日本人の意見を厳密に区分して取り扱うことも重要ですね。それにあたって、ネットの各種情報サイトは参考になります。

●韓国情報院「金正日は手術せず」
韓国・聯合ニュースによれば、韓国の情報機関「国家情報院」は十四日時点で「ロシアの故エリツィン前大統領の心臓手術を担当したドイツの医師団七~八人が北朝鮮を訪問したが、金正日総書記は心臓手術を受けなかったようだ」と国会の情報委員会で報告しているそうです。⇒「手術はしなかった」ということですね。

(おき軍事情報部)

◎◎◎ おたより ◎◎◎
■「坂の上の雲ミュージアム」に行きました
松山の「坂の上の雲ミュージアム」に行ってみました。ヒドイものですね、あれは。まるで安っぽい明治風俗展示場でしかありません。
司馬遼太郎氏の「坂の上の雲」を読んでいない若者には何の意味の展示館なのか皆目分からないでしょうし、既に読んだ人には新たに得られる情報が何も無いに等しいのです。漏れ聞くところでは軍事色反対の動きがあってそれに迎合したらしいのですが、秋山好古や真之兄弟を軍事色抜きで展示して一体何の意味があるのでしょう?オマケに館は市営で公務員であるらしい職員の対応は形式的で心がこもっておらず、一般駐車場は今の時代の新設施設なのに皆無。これでは館内に置かれた落書き帳に書かれていた若者達の酷評も頷けます。彼等によれば(ほゞ同時期に開館した同じ松山市内の)「伊丹十三記念館?」の方がはるかにマシだった、とのことでした。折角一泊を費やして行ってみて、損した気分で帰ってきたヨーソロでした。以上、ヨーソロの管見でした。(ヨーソロ)⇒秋山兄弟が泣いているぞなもし。(エンリケ)