軍事情報 第303号 (最新軍事情報) 2回目
軍事情報 第303号 (最新軍事情報)
●中東情勢について(ヨーソロ)
詳しくは分かりませんが、米国はイスラエルに、イスラエルは米国に、イラン
の核施設を爆撃させたくて、お互いに内々の押し付け合いをしているのではな
かろうか、と感じています。
でも、どちらがやるにせよ、それをやったら米国はアラブから当分足抜け出来
なくなり、イスラエルは結局亡国の憂き目を再び(いやバビロン幽囚を入れる
と三度目かな)味わうことになりそうな気がします。(ヤマ勘だけですが)
民主党政権下の米国が戦争を起こす、という過去の話もありますがどうでしょ
うか。
同じイスラム教国家のパキスタンの政情不安も心配です。なにしろ既に核保有
国ですしね。北鮮に洩れたパキスタンの核兵器技術が、国境を接する同じムス
リム国のイランに渡らぬ筈がないでしょうね。イランは喉から手が出るほど欲
しい筈ですし、核拡散は避けられないでしょう。
キリスト教世界は旧教と新教の抗争が1648年のウェストファリア条約でやっと
諦観、妥協に辿り着きましたが、六百年以上遅れて出現したイスラム教の世界
では、シーア派とスンニ派の抗争も同じ様に、あとまだ二~三百年もの流血の
抗争を経なければ話し合い段階に到らないのかも知れません。
中東問題は、石油資源や民族問題もいろいろ絡んでいますが、根っ子は宗教問
題ですから、なまじキリスト教世界が膾炙するだけ解決は長引くでしょう。
後世の歴史家は「20~21世紀の中東問題は結局『十字軍戦争』だった」と
総括するに違いない、と私は考えています。
以上、ヨーソロの管見でした。
●コビクタ油田のその後
イギリスBPと露TNKとの合弁会社が保有するロシア・東シベリアのコビクタ油田
(*)権益が国営石油会社「ガスプロム」に買収された、と六月終わりに報じら
れました。
これについて情報筋は、結局、BPは戻るようだとしています。
MoU(予備的合意書。本契約前に交わされる覚書)に明記されていた
「25%+1の買い戻しオプション」を使うようです。
(*)クラスノヤルスク州からイルクーツク州にかけて点在する小油田のひとつ。
バイカル湖に程近い峻険な山々が重なり合う原生林の中にある。コビクタ油田
産の原油運搬ルートの支線に「大慶ルート」があるとされる。
ロシアは現在、東アジア向けの原油パイプラインを建設中。日本向けの「太平
洋ルート」と、シナ向けの「大慶ルート」がある。建設主体は国営パイプライ
ン建設会社「トランスネフチ」。
●お祭りムード
ロシアでは、冬季五輪がソチに決まってお祭りムードだそうです。
その日の国会では、閣僚全員ニッコニコで、誰かが「では今後のスポーツ育成
計画など・・・」と議題を立ち上げたら、フラトコフ首相が「そんないまの明
るい雰囲気に水をさすような話はやめよう! 皆さんにオマカセだよな!」
「賛成、賛成!」ということで、閣議は一時間で終了したそうです(笑)。
今回、プーチン大統領は「ロシア国家のトップセールスマン」としての役割を
120%完璧にやってのけました。
なにしろ、公式の場では珍しく、英語とフランス語でキッチリとプレゼンをし
たそうで、この姿勢は立派だと思います。
一国の元首が、公式の場で「その国のトップセールスマン」としての役割を前
向きに果たす、ということ、簡単そうでなかなか出来ないことです。
(マトリョーシカ)
⇒ソチ五輪のメインスポンサーは、ガスプロムになりそうです。
●中共軍、中将三名を上将に昇進
中共の中央軍事委員会は六日、中将三名の上将昇進発令式を開催しました。
発令されたのは以下の三名です。
副総参謀長 許其亮中将
総後勤部政治委員 孫大発中将
海軍司令員 呉勝利中将
式では、中央軍事委員会主席(党総書記 国家主席)の胡錦涛が、三名に対し
発令書を交付しました。
その他、式に出席したのは以下の七名です。
中央軍事委員会副主席 郭伯雄上将
同 曹剛川上将(国防相)
同 徐才厚上将
中央軍事委員会委員 李継耐上将(総政治部部長)
同 廖錫龍上将(総後勤部部長)
同 喬清震上将(空軍司令員)
同 靖志遠上将(第二砲兵司令員)
委員では、総参謀長の梁光烈上将と、総装備部部長の陳炳徳上将が出席してま
せん。
今回昇進した三名の略歴は以下のとおりです。
○呉勝利上将(Wu Shengli)
1945年生まれ。河北省出身。海軍。
海軍福建基地司令員、東海艦隊副司令員、南海艦隊司令員。
二〇〇四年から副総参謀長を勤め、昨年八月から海軍司令員。
○孫大発上将(Sun Dafa)
1945年生まれ。安徽省出身。元瀋陽軍区政治部主任、元16集団軍政治委員。
○許其亮中将(Xu Qiliang)
1950年3月生まれ。山東省出身。空軍。
元瀋陽軍区空軍司令員。前空軍副政治委員。
⇒ちなみに、同日人民解放軍 4総部では他にも人事発令が行なわれています。
注目は総参謀部総参謀長助理(補佐)に発令された陳小工少将です。
各方面で「異例の人事」といわれています。
未来の総参謀長の呼び声高い副総参謀長・章泌生中将が、今回の異動で広州
軍区司令員に発令されています。今年初めに総参謀長助理から昇格していたこ
とが確認されてましたが、何だか無理な人事で、これにも異例さを感じます。
章中将は、部隊経験がないのが弱点とされていましたので、総参謀長就任への
布石ということでしょうか・・・
ちなみに、後任の副総参謀長は広州軍区司令員です。
で、陳少将ですが、
章中将が担当していたとされる情報・対外工作部門はこの人が引き継ぐようで
す。
同少将は1949年生まれ。山東省出身。
略歴は次のとおりです。
解放軍軍事学院戦略研究所研究員。副所長。1985年、総参謀部情報部第五局副
処長。同処長。同副局長。同局長。在米シナ大使館附武官を経て、前職は中央
外事工作領導小組弁公室副主任。
一貫した経歴から見て少将は、明白に情報将校です。
ちなみに父親は、初代駐日大使・陳楚です。
軍情報部当時の部長は、対日謀略活動で有名な熊光楷上将(退役)でした。
陳少将は、当時から熊上将にずいぶん可愛がられていたそうです。
ちなみに、章中将も熊上将のお気に入りです。
シナの対外情報・謀略活動は、総参謀部情報部が行なっているとされます。
しかし、少将が長く勤めた総参謀部情報部第五局がいかなるものかは不明で
す。「第五列」を担うところなんでしょうかね。(苦笑)
4総部の人事概要はこちらでどうぞ。
⇒ http://okigunnji.com/2007/07/post_215.html
その他中共軍人事メモ
・海軍副政治委員 華揚中将
・空軍副司令員 景文春中将
●台湾国防部副部長の会見
六日、台湾国防部の副部長が日経新聞との間で行なった会見の要旨は以下のと
おり。
・シナは台湾攻撃に不要な空母開発を計画している。これは、シナが軍拡を通じ
て世界規模の覇権国家になる意図を示すものだ。
・東シナ海海域で活動する中共海軍の軍艦・軍用機の数は増える一方である。
・今年に入ってからは、台湾東部海域での活動が目立つ。水温や塩分濃度測定
など、海軍作戦に必要な軍事情報の収集を行なっていると思われる。
・六月に立法院で可決された「P3C」等の購入予算は、シナとの戦力差拡大
に歯止めをかける効果があるので意義あることだ。
・戦闘機「F16C/D」六十六機購入についての同意が得られるよう、米と
接触をはじめた。
・米は、韓国や日本から駐留部隊を減らしているが、それは表面的なことであ
り、非常事態への対処能力は高まっている。最近行なわれた沖縄へのF22の
展開や、与那国島への掃海艇寄航などはその好例である。
・台湾は、米のこういう動きを歓迎している。
⇒「沖縄へのF22展開」といった軍事的なことは、ここでも触れられている
とおり、国際的な視野で捉えなければいけません。視線ベクトルが国内に向い
ている限り、いくら沢山情報を集めても、いくら処理・分析しても何も把握で
きません。
日米同盟は、シナの脅威に直面している国々の国防政策にとても重要な意味を
与えており、日本と米国だけのものではありません。
沖縄でしばらく展開し、その後引き揚げたF22部隊が、米本土から沖縄にフ
ェリーできる能力を示したことは、敵に対してもそうですが味方に対して好影
響を与えています。これはひいてはわが国と諸国との友好関係にもつながりま
す。沖縄常駐が最善なのはもちろんですけどね。
軍事報道に触れる際はこういった視野を常に忘れず、その意味合いを捉える
癖を身につける必要があります。
視野は内側だけでなく外側にもバランスよく振り向けることが大切です。
法律問題にとらわれすぎると、この視野バランスを失う羽目に陥ります。
視線は限りなく外へ。魂は限りなく祖国日本へ。
そんなバランスの取れたサムライが増えるといいですね。
それにしても、台湾をはじめとする東南アジア諸国に軍事協力したいものです。
●ムシャラフ大統領、暗殺未遂
世界で最も危険な男のひとりとされる、パキスタンのムシャラフ大統領ですが、
搭乗した航空機が首都イスラマバード近郊の空軍基地から離陸した際、ロケッ
ト彈と対空砲が機体に向けて発射されたそうです。
結局命中せず、大統領は無事でした。
⇒ご存知のとおり、現在かの地では首都イスラマバードのモスクで、人質とと
もに立てこもったイスラーム原理主義神学生と治安部隊のにらみ合いが続いて
います。発射地から逃げたのは男と女だったそうです。
●ロシアとシナが軍事演習
ロシア連邦軍は三日、上海協力機構(SCO)が八月九日からロシアのウラル
地域で大規模な合同軍事演習を実施すると発表しました。
兵力は六五〇〇で八十機を超える航空戦力を投入する演習だそうです。
「平和の使命2007」と名付けられるこの演習は、ロシアの欧州国境地帯にある
チェリャビンスク州で、十七日まで九日間の日程で実施される予定です。
ロシアが投入するのは兵力四千七百名、「スホイ25」など戦闘機三十六機で
す。シナは兵力千七百名と空軍機四十六機、SCO加盟のカザフスタン、タジ
キスタン、キルギスタン、ウズベキスタンはそれぞれ部隊を参加させます。
●イエメンのテロはアルカーイダ
イエメンのサヌア首相は三日、首都サヌア東方の町マーリブで二日発生した観
光客を狙った自爆テロについて、「犯行はアルカーイダによるものである」
と断定し、「治安当局は事前にテロ準備の情報を得ていたが防げなかった」
とあわせて述べています。
このテロによる死者は現時点でスペイン人七名、イエメン人二名です。
⇒ロンドンのテロとほぼ同時期に発生したこのテロには注目していました。
やっぱりリンクしてたのね、という感じです。
それにしても、中東がらみでのスペイン人死者が近頃目立つと思いませんか?
●イラク駐留米軍、ヒズボラメンバーを拘束
イラク駐留米軍は二日、今年一月にイラク中部カルバラで米兵五名が死亡した
テロに関与したとして、レバノンのシーア派武装勢力「ヒズボラ」メンバーを
拘束したと発表しました。
米軍によれば、
同メンバーはヒズボラ指導者からイランの革命防衛隊司令官に会うよう指示さ
れ、昨年五月にイラン入り。その後イラクに渡ったとのことです。
「カルバラでの攻撃は、革命防衛隊の支援・指示がなければ実行できなかった」
と供述しているそうです。
⇒この人物は、イラン革命防衛隊と緊密な連携を保ち、イラクで米軍に対する
テロを行なう組織を指揮していたと見られています。
イラク駐留米軍報道官は「イランはヒズボラを使ってイラクの民兵組織を支援
している」「イランの指導者たちはこうした活動を知っている」と非難してい
ます。
ちなみにヒズボラのコメントはありません。
●ロンドンで地下鉄脱線
五日午前、ロンドン東部で地下鉄セントラル線の列車が脱線し、数十名が負傷
しました。線路上に障害物があったとのことですが、当局は「テロとの関連は
ない」としています。
⇒バッキンガム宮殿の近くをとおる地下鉄路線ですね。
●チャド大統領の息子、殺される
ダルフール問題の当事者のひとつ、スーダンの隣国チャドで、デビ首相の
息子ブラヒム氏が二日、遺体で発見されました。
「同氏は麻薬・武器取引・売春などに関わっていたとされ、犯罪に絡むトラブ
ルに巻き込まれた模様」とフランスのDPA通信は報じています。
⇒大統領はコメントを出していません。
●総隊司令部、横田移転で合意
わが航空自衛隊の部隊最高位機関「航空総隊司令部」が米軍横田基地に移転す
ることは既に決まっていますが、二日、日米両政府は二〇一〇年度に移転する
ことで正式に合意しました。
⇒両軍の交流を図り、システムを共有し、訓練を積み重ね、国防を実らせて
欲しいと願ってやみません。
●豪州人口にシナ出身者の占める割合が増加
オーストラリア統計局が昨年八月に実施した国勢調査の結果を公表しました。
それによれば、シナ出身者の数は約二十万人になり、外国人の出身国ランキン
グでシナは三位になったそうです。
オーストラリア生まれの人口割合は70.9%で、二〇〇一年調査時の
72.6%から低下していることもわかりました。
⇒全人口は2,085万2,000人です。
オーストラリアは、移民が人口の三割ほどを占めている国です。
そのうち約三分の一はイギリス、アイルランドまたはニュージーランドからの
移住者で、その他、イタリア、旧ユーゴスラビア、ベトナム、ギリシア、シナ、
ドイツの出身者が目立ちます。
歴史的にみるとシナ人のお金持ちは、いつでも国を脱出できるよう準備してい
ると聞きます。中共崩壊とその混乱を見越した富裕層が、オーストラリアへの
脱出を図っている、との見方も成り立ちますね。
シナからの移民者には、富裕層がどの程度いるのでしょう?
興味あります。
(おき軍事情報部)
●中東情勢について(ヨーソロ)
詳しくは分かりませんが、米国はイスラエルに、イスラエルは米国に、イラン
の核施設を爆撃させたくて、お互いに内々の押し付け合いをしているのではな
かろうか、と感じています。
でも、どちらがやるにせよ、それをやったら米国はアラブから当分足抜け出来
なくなり、イスラエルは結局亡国の憂き目を再び(いやバビロン幽囚を入れる
と三度目かな)味わうことになりそうな気がします。(ヤマ勘だけですが)
民主党政権下の米国が戦争を起こす、という過去の話もありますがどうでしょ
うか。
同じイスラム教国家のパキスタンの政情不安も心配です。なにしろ既に核保有
国ですしね。北鮮に洩れたパキスタンの核兵器技術が、国境を接する同じムス
リム国のイランに渡らぬ筈がないでしょうね。イランは喉から手が出るほど欲
しい筈ですし、核拡散は避けられないでしょう。
キリスト教世界は旧教と新教の抗争が1648年のウェストファリア条約でやっと
諦観、妥協に辿り着きましたが、六百年以上遅れて出現したイスラム教の世界
では、シーア派とスンニ派の抗争も同じ様に、あとまだ二~三百年もの流血の
抗争を経なければ話し合い段階に到らないのかも知れません。
中東問題は、石油資源や民族問題もいろいろ絡んでいますが、根っ子は宗教問
題ですから、なまじキリスト教世界が膾炙するだけ解決は長引くでしょう。
後世の歴史家は「20~21世紀の中東問題は結局『十字軍戦争』だった」と
総括するに違いない、と私は考えています。
以上、ヨーソロの管見でした。
●コビクタ油田のその後
イギリスBPと露TNKとの合弁会社が保有するロシア・東シベリアのコビクタ油田
(*)権益が国営石油会社「ガスプロム」に買収された、と六月終わりに報じら
れました。
これについて情報筋は、結局、BPは戻るようだとしています。
MoU(予備的合意書。本契約前に交わされる覚書)に明記されていた
「25%+1の買い戻しオプション」を使うようです。
(*)クラスノヤルスク州からイルクーツク州にかけて点在する小油田のひとつ。
バイカル湖に程近い峻険な山々が重なり合う原生林の中にある。コビクタ油田
産の原油運搬ルートの支線に「大慶ルート」があるとされる。
ロシアは現在、東アジア向けの原油パイプラインを建設中。日本向けの「太平
洋ルート」と、シナ向けの「大慶ルート」がある。建設主体は国営パイプライ
ン建設会社「トランスネフチ」。
●お祭りムード
ロシアでは、冬季五輪がソチに決まってお祭りムードだそうです。
その日の国会では、閣僚全員ニッコニコで、誰かが「では今後のスポーツ育成
計画など・・・」と議題を立ち上げたら、フラトコフ首相が「そんないまの明
るい雰囲気に水をさすような話はやめよう! 皆さんにオマカセだよな!」
「賛成、賛成!」ということで、閣議は一時間で終了したそうです(笑)。
今回、プーチン大統領は「ロシア国家のトップセールスマン」としての役割を
120%完璧にやってのけました。
なにしろ、公式の場では珍しく、英語とフランス語でキッチリとプレゼンをし
たそうで、この姿勢は立派だと思います。
一国の元首が、公式の場で「その国のトップセールスマン」としての役割を前
向きに果たす、ということ、簡単そうでなかなか出来ないことです。
(マトリョーシカ)
⇒ソチ五輪のメインスポンサーは、ガスプロムになりそうです。
●中共軍、中将三名を上将に昇進
中共の中央軍事委員会は六日、中将三名の上将昇進発令式を開催しました。
発令されたのは以下の三名です。
副総参謀長 許其亮中将
総後勤部政治委員 孫大発中将
海軍司令員 呉勝利中将
式では、中央軍事委員会主席(党総書記 国家主席)の胡錦涛が、三名に対し
発令書を交付しました。
その他、式に出席したのは以下の七名です。
中央軍事委員会副主席 郭伯雄上将
同 曹剛川上将(国防相)
同 徐才厚上将
中央軍事委員会委員 李継耐上将(総政治部部長)
同 廖錫龍上将(総後勤部部長)
同 喬清震上将(空軍司令員)
同 靖志遠上将(第二砲兵司令員)
委員では、総参謀長の梁光烈上将と、総装備部部長の陳炳徳上将が出席してま
せん。
今回昇進した三名の略歴は以下のとおりです。
○呉勝利上将(Wu Shengli)
1945年生まれ。河北省出身。海軍。
海軍福建基地司令員、東海艦隊副司令員、南海艦隊司令員。
二〇〇四年から副総参謀長を勤め、昨年八月から海軍司令員。
○孫大発上将(Sun Dafa)
1945年生まれ。安徽省出身。元瀋陽軍区政治部主任、元16集団軍政治委員。
○許其亮中将(Xu Qiliang)
1950年3月生まれ。山東省出身。空軍。
元瀋陽軍区空軍司令員。前空軍副政治委員。
⇒ちなみに、同日人民解放軍 4総部では他にも人事発令が行なわれています。
注目は総参謀部総参謀長助理(補佐)に発令された陳小工少将です。
各方面で「異例の人事」といわれています。
未来の総参謀長の呼び声高い副総参謀長・章泌生中将が、今回の異動で広州
軍区司令員に発令されています。今年初めに総参謀長助理から昇格していたこ
とが確認されてましたが、何だか無理な人事で、これにも異例さを感じます。
章中将は、部隊経験がないのが弱点とされていましたので、総参謀長就任への
布石ということでしょうか・・・
ちなみに、後任の副総参謀長は広州軍区司令員です。
で、陳少将ですが、
章中将が担当していたとされる情報・対外工作部門はこの人が引き継ぐようで
す。
同少将は1949年生まれ。山東省出身。
略歴は次のとおりです。
解放軍軍事学院戦略研究所研究員。副所長。1985年、総参謀部情報部第五局副
処長。同処長。同副局長。同局長。在米シナ大使館附武官を経て、前職は中央
外事工作領導小組弁公室副主任。
一貫した経歴から見て少将は、明白に情報将校です。
ちなみに父親は、初代駐日大使・陳楚です。
軍情報部当時の部長は、対日謀略活動で有名な熊光楷上将(退役)でした。
陳少将は、当時から熊上将にずいぶん可愛がられていたそうです。
ちなみに、章中将も熊上将のお気に入りです。
シナの対外情報・謀略活動は、総参謀部情報部が行なっているとされます。
しかし、少将が長く勤めた総参謀部情報部第五局がいかなるものかは不明で
す。「第五列」を担うところなんでしょうかね。(苦笑)
4総部の人事概要はこちらでどうぞ。
⇒ http://
その他中共軍人事メモ
・海軍副政治委員 華揚中将
・空軍副司令員 景文春中将
●台湾国防部副部長の会見
六日、台湾国防部の副部長が日経新聞との間で行なった会見の要旨は以下のと
おり。
・シナは台湾攻撃に不要な空母開発を計画している。これは、シナが軍拡を通じ
て世界規模の覇権国家になる意図を示すものだ。
・東シナ海海域で活動する中共海軍の軍艦・軍用機の数は増える一方である。
・今年に入ってからは、台湾東部海域での活動が目立つ。水温や塩分濃度測定
など、海軍作戦に必要な軍事情報の収集を行なっていると思われる。
・六月に立法院で可決された「P3C」等の購入予算は、シナとの戦力差拡大
に歯止めをかける効果があるので意義あることだ。
・戦闘機「F16C/D」六十六機購入についての同意が得られるよう、米と
接触をはじめた。
・米は、韓国や日本から駐留部隊を減らしているが、それは表面的なことであ
り、非常事態への対処能力は高まっている。最近行なわれた沖縄へのF22の
展開や、与那国島への掃海艇寄航などはその好例である。
・台湾は、米のこういう動きを歓迎している。
⇒「沖縄へのF22展開」といった軍事的なことは、ここでも触れられている
とおり、国際的な視野で捉えなければいけません。視線ベクトルが国内に向い
ている限り、いくら沢山情報を集めても、いくら処理・分析しても何も把握で
きません。
日米同盟は、シナの脅威に直面している国々の国防政策にとても重要な意味を
与えており、日本と米国だけのものではありません。
沖縄でしばらく展開し、その後引き揚げたF22部隊が、米本土から沖縄にフ
ェリーできる能力を示したことは、敵に対してもそうですが味方に対して好影
響を与えています。これはひいてはわが国と諸国との友好関係にもつながりま
す。沖縄常駐が最善なのはもちろんですけどね。
軍事報道に触れる際はこういった視野を常に忘れず、その意味合いを捉える
癖を身につける必要があります。
視野は内側だけでなく外側にもバランスよく振り向けることが大切です。
法律問題にとらわれすぎると、この視野バランスを失う羽目に陥ります。
視線は限りなく外へ。魂は限りなく祖国日本へ。
そんなバランスの取れたサムライが増えるといいですね。
それにしても、台湾をはじめとする東南アジア諸国に軍事協力したいものです。
●ムシャラフ大統領、暗殺未遂
世界で最も危険な男のひとりとされる、パキスタンのムシャラフ大統領ですが、
搭乗した航空機が首都イスラマバード近郊の空軍基地から離陸した際、ロケッ
ト彈と対空砲が機体に向けて発射されたそうです。
結局命中せず、大統領は無事でした。
⇒ご存知のとおり、現在かの地では首都イスラマバードのモスクで、人質とと
もに立てこもったイスラーム原理主義神学生と治安部隊のにらみ合いが続いて
います。発射地から逃げたのは男と女だったそうです。
●ロシアとシナが軍事演習
ロシア連邦軍は三日、上海協力機構(SCO)が八月九日からロシアのウラル
地域で大規模な合同軍事演習を実施すると発表しました。
兵力は六五〇〇で八十機を超える航空戦力を投入する演習だそうです。
「平和の使命2007」と名付けられるこの演習は、ロシアの欧州国境地帯にある
チェリャビンスク州で、十七日まで九日間の日程で実施される予定です。
ロシアが投入するのは兵力四千七百名、「スホイ25」など戦闘機三十六機で
す。シナは兵力千七百名と空軍機四十六機、SCO加盟のカザフスタン、タジ
キスタン、キルギスタン、ウズベキスタンはそれぞれ部隊を参加させます。
●イエメンのテロはアルカーイダ
イエメンのサヌア首相は三日、首都サヌア東方の町マーリブで二日発生した観
光客を狙った自爆テロについて、「犯行はアルカーイダによるものである」
と断定し、「治安当局は事前にテロ準備の情報を得ていたが防げなかった」
とあわせて述べています。
このテロによる死者は現時点でスペイン人七名、イエメン人二名です。
⇒ロンドンのテロとほぼ同時期に発生したこのテロには注目していました。
やっぱりリンクしてたのね、という感じです。
それにしても、中東がらみでのスペイン人死者が近頃目立つと思いませんか?
●イラク駐留米軍、ヒズボラメンバーを拘束
イラク駐留米軍は二日、今年一月にイラク中部カルバラで米兵五名が死亡した
テロに関与したとして、レバノンのシーア派武装勢力「ヒズボラ」メンバーを
拘束したと発表しました。
米軍によれば、
同メンバーはヒズボラ指導者からイランの革命防衛隊司令官に会うよう指示さ
れ、昨年五月にイラン入り。その後イラクに渡ったとのことです。
「カルバラでの攻撃は、革命防衛隊の支援・指示がなければ実行できなかった」
と供述しているそうです。
⇒この人物は、イラン革命防衛隊と緊密な連携を保ち、イラクで米軍に対する
テロを行なう組織を指揮していたと見られています。
イラク駐留米軍報道官は「イランはヒズボラを使ってイラクの民兵組織を支援
している」「イランの指導者たちはこうした活動を知っている」と非難してい
ます。
ちなみにヒズボラのコメントはありません。
●ロンドンで地下鉄脱線
五日午前、ロンドン東部で地下鉄セントラル線の列車が脱線し、数十名が負傷
しました。線路上に障害物があったとのことですが、当局は「テロとの関連は
ない」としています。
⇒バッキンガム宮殿の近くをとおる地下鉄路線ですね。
●チャド大統領の息子、殺される
ダルフール問題の当事者のひとつ、スーダンの隣国チャドで、デビ首相の
息子ブラヒム氏が二日、遺体で発見されました。
「同氏は麻薬・武器取引・売春などに関わっていたとされ、犯罪に絡むトラブ
ルに巻き込まれた模様」とフランスのDPA通信は報じています。
⇒大統領はコメントを出していません。
●総隊司令部、横田移転で合意
わが航空自衛隊の部隊最高位機関「航空総隊司令部」が米軍横田基地に移転す
ることは既に決まっていますが、二日、日米両政府は二〇一〇年度に移転する
ことで正式に合意しました。
⇒両軍の交流を図り、システムを共有し、訓練を積み重ね、国防を実らせて
欲しいと願ってやみません。
●豪州人口にシナ出身者の占める割合が増加
オーストラリア統計局が昨年八月に実施した国勢調査の結果を公表しました。
それによれば、シナ出身者の数は約二十万人になり、外国人の出身国ランキン
グでシナは三位になったそうです。
オーストラリア生まれの人口割合は70.9%で、二〇〇一年調査時の
72.6%から低下していることもわかりました。
⇒全人口は2,085万2,000人です。
オーストラリアは、移民が人口の三割ほどを占めている国です。
そのうち約三分の一はイギリス、アイルランドまたはニュージーランドからの
移住者で、その他、イタリア、旧ユーゴスラビア、ベトナム、ギリシア、シナ、
ドイツの出身者が目立ちます。
歴史的にみるとシナ人のお金持ちは、いつでも国を脱出できるよう準備してい
ると聞きます。中共崩壊とその混乱を見越した富裕層が、オーストラリアへの
脱出を図っている、との見方も成り立ちますね。
シナからの移民者には、富裕層がどの程度いるのでしょう?
興味あります。
(おき軍事情報部)