ピンクのスーツでサクセス
ようちゃんのお勧め記事。↓
米国で女性向けビジネス誌が好調、日本進出も視野(村上 富美 )
「働く女性はこれまで男性の働き方を真似してきたけれど、もっと自然体でいいんじゃない?」―― 米国で新しいキャリアウーマン像を提唱する女性向けビジネス誌「PINK」が部数を伸ばしている。タイトル名の「PINK」には、「職場ではダークスーツを着るような、男性のスタイルにとらわれず、自分が着たいピンクのスーツを着ては?」という呼びかけが込められている。 誌面には女性経営者や政治家へのインタビューのほか、仕事と家庭のバランス、経営に関する情報、健康やお金の問題など、働く女性に必要な記事を幅広く掲載しているのが特徴。発行は隔月だが、2005年の創刊から2年で、全米に40万人の読者を抱えるに至った
創刊したのは2人の女性。それぞれテレビキャスターと実業家という経歴を持っている。その1人で、これまで多くの報道番組でキャスターを務めたシンシア・グッド編集長は「フォーブス、フォーチュンのように、米国にはビジネス誌がたくさんあるけれど、すべてが男性向けに書かれているので、私だけでなく周りの女性は皆、不満だった」と創刊の理由を語る。 「男性が職場に向かう時には、頭の中は仕事でいっぱいかもしれないけれど、女性は違う。仕事はもちろんだが、子どもや家族のことや近所づき合いのこと、洋服の組み合わせからその日の夕飯のことまで、生活のすべてを考えている。男性と女性は考え方も働き方も違うのだから、女性のためのビジネス誌が必要だと思っていた」(グッドさん)
働く女性が不幸になる構造
もう1人の創業者で現在、発行人を務めるジュヌヴィエーヴ・ボスさんは「アジアも同じだと思うけれど、米国でも女性は長年、男性の真似をして男性のように働いてきた。けれどその結果、女性が幸せになったかと言うと、そうとは言えない。だから私たちは雑誌名を、『PINK』にした。自然体で働ける方が、女性は楽だし、それが実は企業の成功にもつながる」と語る。
働く女性にとって実際に役立つ情報を提供するために、まずは豊富な事例がなくてはならない。そこで「PINK」は創刊に合わせて、全米5都市でそれぞれ数百人の働く女性を集め、女性のための会議を開催した。成功を収めた女性たちをスピーカーに招き、成功のカギはどこにあったか、キャリア上の最大の失敗は何で、どうやって再起を図ったかといったテーマを具体的に話し合い、具体的な経験を掘り起こす作業に力を入れた。
その結果、分かったのは、成功した女性に共通するのは、自分の情熱を傾けられる仕事をしたということだった。そんな仕事をするために、どうすればいいか、「PINK」は会議で語られたノウハウを働く女性のためのソリューションとして自社のウェブサイトで紹介し、大きな反響を得た。
ボスさんは、「非営利団体のカタリストの調査では、米国の主要企業を集めたフォーチュン500社を分析すると、女性幹部が多い企業は、そうでない企業に比べてROE(株主資本利益率)が35%も高いという結果が出ている。また消費者はダイバーシティー(多様な人材の活用)が進んだ企業の製品を選ぶ傾向にある。企業側には女性を活用したいという思いはあったが、女性が活躍するための情報がこれまで少なかった」と分析する。
大手企業経営者を味方につける
2人は女性向けビジネス誌という新規事業に、家族の支援も受けながら5万ドルを投じた。ボスさんはビジネスでの人脈を活用してコカ・コーラやホーム・デポなど大手企業経営者を訪ねて自分たちのプランを説明した。すると女性活用に迫られていた経営者たちから「絶対に有益な事業になる」と応援された。創刊号の10万部を製作するのに必要な資金も集めることに成功した。
女性経営者団体や女性起業家団体などを中心に読者を広げ、さらに大手企業にも売り込み、「初年度から黒字となった」(グッドさん)という。現在ではKPMG、UPSなどの大手企業が、自社の女性社員のキャリア形成の一助として配布するために、数千部単位で契約購読している。
読者の平均年齢は39歳。自営業者やコンサルタントのほか、企業の中間管理職から役員クラスが中心だ。「企業の男性役員からも、女性の考え方を学ぶのに役立ったという感謝の手紙が届くこともある」(ボスさん)という。
雑誌づくりにはデザイナーや編集スタッフなど人手がかかるが、まずは契約社員の形で人材を確保する一方、グッドさんのキャスターとしての人脈も生かして、ニューヨーク・タイムズやフォーチュンなど大手メディアの女性記者にも原稿を依頼している。
「彼女たちは、女性のための雑誌なら自分の書きたい視点で書けるうえ、『PINK』に書くことで、社会を変えていけるのがうれしいからと言って仕事を引き受けてくれる人が多い」とグッドさんは言う。
次のターゲットは日本
「PINK」の次の狙いは日本。ボスさんは仕事で日本に滞在したこともある。大手企業で女性役員が誕生したというだけで話題になる日本で、「自然体で働くことで女性はもっと幸せになれる」という「PINK」の哲学のもと、イベントやコンサルティングなどのビジネス展開を考え、市場調査を始めた。
「女性が17年にわたって大統領を務めたアイスランドでは、少年たちが大統領に向かって、『男でも将来、大統領になることができますか?』って尋ねることがあったんですって。日本でも女性が大企業の経営者になって、その人が私生活では幸せな家庭を築いていたり、自分の生きたいように生きているというケースが増えれば、それが当たり前になるんじゃないかしら」(ボスさん)
米国で長年、人事コンサルティング事業に携わり、現在は日本でコンサルティング会社「イマジナ」を開業する奥山由実子さんは、「米国でも中小企業などでは、女性が働き続けるための環境が必ずしも整っていない。しかし、女性たちは企業の枠を超えてノウハウを共用して乗り越えようと連携する傾向がある。また個人レベルでも、挑戦しようとするマインドは日本よりも強い。こうした雑誌が求められるのもうなずける」と語る。
自分の理想を実現しようとする米国女性の姿勢は、日本の働く女性にも参考になりそうだ。
「働く女性はこれまで男性の働き方を真似してきたけれど、もっと自然体でいいんじゃない?」―― 米国で新しいキャリアウーマン像を提唱する女性向けビジネス誌「PINK」が部数を伸ばしている。タイトル名の「PINK」には、「職場ではダークスーツを着るような、男性のスタイルにとらわれず、自分が着たいピンクのスーツを着ては?」という呼びかけが込められている。 誌面には女性経営者や政治家へのインタビューのほか、仕事と家庭のバランス、経営に関する情報、健康やお金の問題など、働く女性に必要な記事を幅広く掲載しているのが特徴。発行は隔月だが、2005年の創刊から2年で、全米に40万人の読者を抱えるに至った
創刊したのは2人の女性。それぞれテレビキャスターと実業家という経歴を持っている。その1人で、これまで多くの報道番組でキャスターを務めたシンシア・グッド編集長は「フォーブス、フォーチュンのように、米国にはビジネス誌がたくさんあるけれど、すべてが男性向けに書かれているので、私だけでなく周りの女性は皆、不満だった」と創刊の理由を語る。 「男性が職場に向かう時には、頭の中は仕事でいっぱいかもしれないけれど、女性は違う。仕事はもちろんだが、子どもや家族のことや近所づき合いのこと、洋服の組み合わせからその日の夕飯のことまで、生活のすべてを考えている。男性と女性は考え方も働き方も違うのだから、女性のためのビジネス誌が必要だと思っていた」(グッドさん)
働く女性が不幸になる構造
もう1人の創業者で現在、発行人を務めるジュヌヴィエーヴ・ボスさんは「アジアも同じだと思うけれど、米国でも女性は長年、男性の真似をして男性のように働いてきた。けれどその結果、女性が幸せになったかと言うと、そうとは言えない。だから私たちは雑誌名を、『PINK』にした。自然体で働ける方が、女性は楽だし、それが実は企業の成功にもつながる」と語る。
働く女性にとって実際に役立つ情報を提供するために、まずは豊富な事例がなくてはならない。そこで「PINK」は創刊に合わせて、全米5都市でそれぞれ数百人の働く女性を集め、女性のための会議を開催した。成功を収めた女性たちをスピーカーに招き、成功のカギはどこにあったか、キャリア上の最大の失敗は何で、どうやって再起を図ったかといったテーマを具体的に話し合い、具体的な経験を掘り起こす作業に力を入れた。
その結果、分かったのは、成功した女性に共通するのは、自分の情熱を傾けられる仕事をしたということだった。そんな仕事をするために、どうすればいいか、「PINK」は会議で語られたノウハウを働く女性のためのソリューションとして自社のウェブサイトで紹介し、大きな反響を得た。
ボスさんは、「非営利団体のカタリストの調査では、米国の主要企業を集めたフォーチュン500社を分析すると、女性幹部が多い企業は、そうでない企業に比べてROE(株主資本利益率)が35%も高いという結果が出ている。また消費者はダイバーシティー(多様な人材の活用)が進んだ企業の製品を選ぶ傾向にある。企業側には女性を活用したいという思いはあったが、女性が活躍するための情報がこれまで少なかった」と分析する。
大手企業経営者を味方につける
2人は女性向けビジネス誌という新規事業に、家族の支援も受けながら5万ドルを投じた。ボスさんはビジネスでの人脈を活用してコカ・コーラやホーム・デポなど大手企業経営者を訪ねて自分たちのプランを説明した。すると女性活用に迫られていた経営者たちから「絶対に有益な事業になる」と応援された。創刊号の10万部を製作するのに必要な資金も集めることに成功した。
女性経営者団体や女性起業家団体などを中心に読者を広げ、さらに大手企業にも売り込み、「初年度から黒字となった」(グッドさん)という。現在ではKPMG、UPSなどの大手企業が、自社の女性社員のキャリア形成の一助として配布するために、数千部単位で契約購読している。
読者の平均年齢は39歳。自営業者やコンサルタントのほか、企業の中間管理職から役員クラスが中心だ。「企業の男性役員からも、女性の考え方を学ぶのに役立ったという感謝の手紙が届くこともある」(ボスさん)という。
雑誌づくりにはデザイナーや編集スタッフなど人手がかかるが、まずは契約社員の形で人材を確保する一方、グッドさんのキャスターとしての人脈も生かして、ニューヨーク・タイムズやフォーチュンなど大手メディアの女性記者にも原稿を依頼している。
「彼女たちは、女性のための雑誌なら自分の書きたい視点で書けるうえ、『PINK』に書くことで、社会を変えていけるのがうれしいからと言って仕事を引き受けてくれる人が多い」とグッドさんは言う。
次のターゲットは日本
「PINK」の次の狙いは日本。ボスさんは仕事で日本に滞在したこともある。大手企業で女性役員が誕生したというだけで話題になる日本で、「自然体で働くことで女性はもっと幸せになれる」という「PINK」の哲学のもと、イベントやコンサルティングなどのビジネス展開を考え、市場調査を始めた。
「女性が17年にわたって大統領を務めたアイスランドでは、少年たちが大統領に向かって、『男でも将来、大統領になることができますか?』って尋ねることがあったんですって。日本でも女性が大企業の経営者になって、その人が私生活では幸せな家庭を築いていたり、自分の生きたいように生きているというケースが増えれば、それが当たり前になるんじゃないかしら」(ボスさん)
米国で長年、人事コンサルティング事業に携わり、現在は日本でコンサルティング会社「イマジナ」を開業する奥山由実子さんは、「米国でも中小企業などでは、女性が働き続けるための環境が必ずしも整っていない。しかし、女性たちは企業の枠を超えてノウハウを共用して乗り越えようと連携する傾向がある。また個人レベルでも、挑戦しようとするマインドは日本よりも強い。こうした雑誌が求められるのもうなずける」と語る。
自分の理想を実現しようとする米国女性の姿勢は、日本の働く女性にも参考になりそうだ。