「国連での日本の地位、影響力、貢献力にかげりがみえ始めている」と懸念を表明
【ニューヨーク=長戸雅子】8月に離任する大島賢三国連大使は12日、ニューヨーク市内で記者会見、2年半余の任期を終えるにあたって「国連での日本の地位、影響力、貢献力にかげりがみえ始めている」と懸念を表明し、国連外交強化の必要性を強調した。中国が提案している安全保障理事会決議に基づく北朝鮮に対する制裁解除の検討については「初期的な前進はあるけれども、検討する状況には至っていない」と必要はないとの考えを示した。
大島大使は政府開発援助(ODA)予算や国連機関への拠出金などの減少による影響が出はじめていると指摘。「国連の高官ポストへの人材が続かなくなっていることも気になる」と述べ、国連外交を強化するため、長期的・総合的な取り組みが必要と提言した。 一方で、中国や韓国、インドが存在感を強めているとして、とくに「中国のアフリカ外交は大変なもの」と述べ、アフリカへの戦略的な援助が必要との考えを示した。 対北朝鮮制裁の解除については、「決議に書いてあることを実行するのが重要なのであって、制裁を解除することが北の核開発やミサイル計画の停止に資することにはならない」と述べ、中国の提案を一蹴した。 2004年12月の就任時に最重要課題にあげた日本の常任理事国入りを目指す安全保障理事会の改革問題については「大変な外交努力を傾けたが、成果に結びつかず非常に残念だが息の長い取り組みが必要」と振り返り、協議継続への希望を示した。 7月14日8時0分配信 産経新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070714-00000105-san-int |