小沢一郎路線はマルかバツか それが参院選の争点だ
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小沢一郎路線はマルかバツか それが参院選の争点だ
■■■■■第200号■■平成19年7月12日発行■■■■◆
参院選の争点は何でしょう。
安倍政権ないし自民党政権に対する評価でしょうか。
違いますね。
たとえ「自民党大敗」でも、衆議院で与党が圧倒的多数を占め
ているから民主党政権が誕生することはないし、
安倍晋三首相はそのままで中川秀直幹事長が辞任するだけ、と
いうのが目に見えている。
「安倍おろし」の風は自民党内に吹いていないから。
■ 民主党の世代交代のチャンス ■
ところが、民主党の景色は参院選の結果によってがらりと変わ
ります。
昨今の小沢一郎氏らの言動を総合して考えると、
「与党が過半数確保」となれば、小沢・鳩山・菅の3幹部は次の
世代へバトンタッチします。
おそらく前原誠司(せいじ)氏、野田佳彦(よしひこ)氏らの
「対案で勝負する民主党」路線に回帰するはず。
それでこそ、大多数の国民がイメージする「清新な民主党」で
しょう。
永田寿康(ひさやす)議員が火をつけた「にせ堀江メール」事
件で長期謹慎中の前原誠司、野田佳彦の両氏をリング上に呼び戻
すときに来ています。
逆に「与党が過半数割れ」となれば、
小沢一郎の“抵抗野党”路線が信認されたという整理になるので
しょう。
党の代表が国民の前ではブスッと言葉少なで、ちょろちょろと
地方行脚にばかり精を出すのが、良しとされるわけです。
せっかく民主党に蓄積されてきた官僚出身の若手議員の能力は
活用されず、むしろ社民党・共産党に頬ずりし、
小沢民主党は、衆議院で可決された法案を、参議院でひたすら
否決することにだけ専念する。
■ 衆議院による2度議決が常態化 ■
その小沢民主党の“抵抗野党”路線で、法案審議の結果が変わ
るかというと、じつはあまり変わらないのですね。
限られた会期のうちに衆議院側で同じ法案を2度議決するため
に、性急な審議と強行採決が増えるだけでしょう。
日本国憲法の第59条第2項に
≪衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、
衆議院で出席議員の3分の2以上の多数で再び可決したときは、
法律となる。≫
とありますね。
だから、衆議院で可決された法案を小沢民主党らが参議院で否
決しても、衆議院で急いで再審議・採決・可決ということになる
のですね。
■ ふて寝に備えた条文もある ■
小沢民主党が牛耳る参議院が「ふて寝」を決め込むときは、憲
法第59条第4項にしたがって処理されます。
≪参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会
中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院は、参
議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。≫
参議院の小沢民主党の「ふて寝」が60日間に達したところで、
衆議院による再審議・採決・可決という一連のサイクルの発動で
す。
参議院による否決ないし「ふて寝」に備えて、衆議院の国会運
営は性急かつ殺伐(さつばつ)としたものになるはずです。
■ 麻生太郎首相誕生のケース ■
選挙結果として結構ありうるケースは、
「与党が選挙では過半数割れになったが、
国民新党を自民党に吸収することで与党が参議院での過半数を確
保する」
というもの。
テレビで解説者が
「国民は安倍政権にお灸をすえつつも、バランス感覚を発揮した
と言えましょう」
などと、使い古された常套句で論評しそうなケースですね。
この場合、小沢一郎執行部が残るかどうか。
「結果責任だ」と言いつつ辞めてくれるのでは? と思うのは、
あまりに希望的観測でしょうか。
国民新党の爺さまたちにもメンツがあるから、自民党に戻るに
あたり「人心一新」と称して自民党総裁の交代を求め、
安倍晋三総裁が勇退して麻生太郎総裁に替わり、麻生太郎首相
が誕生する……
……というのが、ありうるパターンでしょう。
麻生太郎首相というのもちょっとだけ見てみたい気はします。
こういう事態に備えて、安倍政権のもと、外相にしては目立っ
た発言をせずに通してきた麻生さんでしたね。
安倍首相をしっかり支持しつつも、「安倍政権色」がからだに
染み着かないような振る舞い。この辺からして老練です。
■ 団塊世代が年金をもらいはじめる前に ■
国民の4割がまだ投票先を決めていない今回の参院選。
マスコミは「自民党大敗」を書き続けてきましたが(だって、
そのほうが売れるからね)、コラム子はそう思わないのですね。
「与党過半数確保」
「野党過半数確保」
「野党過半数だが国民新党が与党入りし、与党が過半数確保」
のケースごとに、今後の6年間の政治がどうなるのか。
これからの選挙戦期間中、その解説をじっくり聞けば、
「あるべき民主党(=清新な政策提案政党)」を本気で支持した
い人こそ自民党に投票すべき選挙であることに、気がつこうとい
うものです。
今回の参院選は、小沢一郎の“抵抗野党”路線にマルバツをつ
ける選挙ですから。
団塊の世代が年金を受領しはじめるまでに日本国を筋肉質に変
えていかねばならない、そんなだいじな6年間のための選挙です。
===
▲ 後記 ▼
久間章生(きゅうま・ふみお)前防衛大臣の原爆投下に関連す
る発言は、ある部分は正しいわけですが、
「原爆投下が終戦の決定を早めたこと」(← これは否定しがたい)
を言いつつ、
「原爆投下地の選択に絶対的誤りがあったこと」を言わなかった
ところに、知性の貧しさを感じてしまうのですねぇ。
つまり、「原爆投下」と「原爆投下地の選択」を分けて考えら
れなかったところに、久間氏の限界があったのでは。
平成14年にコラム子が書いた
「広島・長崎をアメリカ人はどう見ているか」
http://
久間さん、ご参考になさってください。
==
さいきんのブログ書き込みから ――
「I'm NOT a plastic bag のずるさ」
http://
7月14日に銀座、新宿、南青山で限定発売予定の「環境にやさ
しい」セレブ御用達のトートバッグ。
その販売戦略を見るにつけ、なにが<環境にやさしい>だ!と
いう思いが募ります。
「養老孟司さんの文章の厭味」
http://
『バカの壁』で一段と有名になった養老孟司(ようろう・たけ
し)さんのコラムを読んでいると、なぜかいらいらしてくる。
その理由を腑分けしてみた。
「数学の試験に出た古文(台湾の話)」
http://
台湾の大学センター試験の「数学乙」の選択問題に、最大公約
数の求め方を書いた古文が出題されちゃった、という話。
漢文好きのかた、数学好きのかた、よろしければご一読を。
==
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『日本の本領(そこぢから) 国際派商社マンの辛口メモ』
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