2007年版「日本の防衛」(防衛白書) | 日本のお姉さん

2007年版「日本の防衛」(防衛白書)


 政府は6日午前の閣議で、2007年版「日本の防衛」(防衛白書)を了承した。

中国の軍事力近代化への警戒感を強め、台湾との軍事バランスについて「中国側に有利な状態へ向かって変化しつつある」と初めて明記した。

 また、昨年の北朝鮮の弾道ミサイル発射や核実験を「国際社会の平和と安定に対する重要な脅威」と非難し、日米間の情報共有体制の確立を含め、ミサイル防衛システムの早期構築の必要性を強調した。

 中国軍の近代化については「面の目標は台湾問題」とした上で、「台湾問題への対応を超えるものではないかとの議論も惹起(じゃっき)されるなど、懸念が高まっている」と指摘。06年版白書の「中国の防衛に必要な範囲を超えるものではないか慎重に判断されるべきであり、今後も注目をしていく必要がある」との記述から、さらに踏み込んだ。

7月6日11時7分配信 読売新聞

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 政府は6日午前の閣議で、2007年版防衛白書を了承した。急速な軍事力近代化を進める中国と台湾の軍事バランスについて、今回初めて「中国側に有利な状態へ向かって変化しつつある」と明記。また、北朝鮮が新たに中型弾道ミサイルの開発を進めており、動向を注視する必要があるとした。
 白書は中国の軍近代化について「当面の目標は台湾問題」とした上で、「台湾問題への対応を超えるものではないかとの議論が惹起(じゃっき)され、懸念が高まっている」と指摘。中国が公表する国防費は19年連続で2ケタの伸びを示しており、「国防政策や軍事力の透明性向上がますます重要」としている。
 北朝鮮問題では、昨年10月の核実験によって「核兵器計画をさらに進展させた可能性が十分あり、核兵器の小型化・弾頭化を含め動向を注目する必要がある」と強調。弾道ミサイルについては、固体燃料推進方式の短距離ミサイルも新たに開発していると明記した。
7月6日11時2分配信 時事通信
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 政府は6日午前の閣議で、07年版「防衛白書」を了承した。軍事力の拡充・近代化を進める中国について「各国がその動向に注目する存在」と警戒感を示し、台湾との軍事バランスについて今回初めて「中国側に有利な状態に向かって変化しつつある」と明記した。北朝鮮の核・ミサイル問題については「より深刻なものになっている」と指摘し、「わが国のみならず国際社会の平和と安全に対する重大な脅威」と強い懸念を示した。
 白書は、中国(含む台湾)や朝鮮半島情勢に関する記述を増やした。特に中国が公表する国防費について「過去19年間で名目上16倍の規模(約5兆2085億円)」まで増額したと分析する一方、「実際に軍事目的に支出する額の一部にすぎない」と透明性向上を促した。さらに「台湾問題への対応を超えるものではないかとの議論が惹起(じゃっき)され、懸念が高まっている」と中台軍事バランスの変化に言及。「近い将来にも台湾の質的優位に大きな変化を生じさせる可能性もある」との見通しを示した。今年1月の人工衛星破壊実験についても「各国の懸念を惹起した」と記した。
 北朝鮮の核問題に関しては、昨年10月の核実験によって「核兵器計画をさらに進展させた可能性が十分あり、核兵器の小型化・弾道化を含め動向に注目する必要がある」と強調。弾道ミサイルの長射程化だけでなく、短時間の発射を可能にする固体燃料化について、研究開発の進展に言及した。
 海上自衛隊のイージス艦情報漏えい事件などで深刻化する情報保全対策や、相次ぐ自衛隊員による薬物事件の再発防止策に言及、組織体制の再構築の必要性を指摘した。【田所柳子】
 ◇水面下での日中間のさや当て激化
 07年版「防衛白書」は、軍事力増強を進める中国の「脅威」に強い懸念を示す内容となった。昨年9月の安倍政権発足後、日中関係は「雪解け」ムードだが、日本周辺で中国海軍、空軍が情報収集活動を活発化させるなど、水面下での日中間のさや当てはむしろ激化している。こうした状況を念頭にけん制したわけだが、軍事力の透明化に向け国際圧力をどう、強めていけるかが課題となる。
 白書では、中国に関する分析記述は前年比4ページ増の計15ページを割き、北朝鮮関係の8ページを大幅に上回った。戦力に関する説明はより詳細になり、弾道ミサイル技術を応用した「人工衛星破壊実験」などを新たに解説。中台の近代的(第4世代)戦闘機数や短距離弾道ミサイル数の推移を示すグラフも初めて掲載した。
 政府見解によると、「『脅威』とは侵略しうる『能力』と『意図』が結びついて顕在化する。中国が日本侵略の『意図』を持っているとは考えていない」とされる。ただ、19年連続で2ケタの伸び率を示した中国の国防費による軍事力近代化を指して中台軍事バランスの変化への言及など従来より踏み込んだ表現が増えた。
 米国は、中国が自国の「軍事的優位を崩しかねない」とみて、米中間の軍事交流など相互理解に努めている。一方、日中防衛交流は途絶えがちで中国国防相が9月にようやく訪日する見通しだが、信頼醸成をはぐくむ機運は乏しい。周辺諸国との連携を軸に外交・安全保障両面から働きかけを継続することが軍事力の実態把握に向け不可欠であると同時に、海上自衛隊員のイージス艦情報漏えい事件などで問題化した組織の規律維持が問われることは言うまでもない。【中澤雄大】

7月6日12時3分配信 毎日新聞