小池防衛大臣就任会見概要
軍事情報 (小池防衛大臣就任会見概要) 8,547部
平成19年(2007年)7月5日
☆【小池大臣就任会見概要】 平成19年7月4日 (18時42分~19時33分)
☆発行:おきらく軍事研究会
こんにちは!!
おき軍事です。
七月三日、久間防衛大臣が辞任し、後任には安全保障担当首相補佐官
小池百合子氏の就任が決まりました。
久間氏の辞任・小池氏の就任についてはさまざまな意見が出ています。
当日もさまざまメールが届きました。
事態を冷静によ~く見ると、
ヨーソロさまからいただいたこの↓ご高見が、なにやら一番しっくりする気がし
ます。
「私自身の印象としては、彼は以前に正直な発言をしたばかりに対米関係で
舌を噛んだことから、今度は対米顧慮が出過ぎて別の舌を噛んだものだろう
と、同情しています。
二度も防衛担当大臣を中途退場とは、昔々の増原恵吉長官と並んで不運な
人ですね。
今度の小池百合子氏就任は、私は好意的に見ています。
彼女は下手な官僚出身代議士や党人派議員よりも、国際感覚にも安全保障
への造詣にも光るものがあるように感じています。
クールビズを定着させた実行力も買っていますし、東京10区へ刺客として
出馬した度胸も大したものです。
彼女は扇千景議員のように意外な大物に成長するかも知れませんよ。」
(ヨーソロ)
小池大臣就任会見概要
平成19年7月4日 (18時42分~19時33分)
1 発表事項
この度、防衛大臣を拝命致しました小池百合子でございます。国民の安心と
安全を確保するための組織としての防衛省・自衛隊、マネージメントの部分と
政策の部分の両面で、これまでの私の経験などを活かしながら、大臣としてし
っかり尽くして参りたいと思っております。どうぞ、よろしくお願いいたしま
す。
2 質疑応答
Q: 突然の就任で、初めての女性の防衛大臣という事で注目されていると思
いますけれども、改めて、感想と意気込みをお願いします。
A: 突然ではございましたけれども、安倍政権発足以来、国家安全保障問題
の補佐官という形で努めて参りましたので、日々の国際的な安全保障に
関する動きなどもウォッチし、各方面からの情報なども得て、
必要な助言を総理に対して行ってきたという事から申しますと、
今度の防衛大臣というのは、それを更に防衛の部分に特化して深めていく
という役割だろうというように、段々とその様に気持ちが整理出来るように
なりました。はっきり申し上げて、昨日は
考えれば考えるほど重責であるという事で、なかなか眠れない夜でございまし
た。今の社保庁の年金の話にしても、国民の皆様は安心安全を何よりも求めて
いるのだろうと、そして拠り所となる政府・行政の機関に対して、信頼感とい
うものを求めているのだろうと思っております。安全保障はnational security
という言葉を使いますけれども、年金や医療等は介護なども含めて、social
securityという社会保障になります。同じsecurityなのです。総合的に見て、
国家としての安全保障という形になろうかと思いますが、生命と安全、財産に
もかかわってくる、国家の文字通りの安全保障の一番の根幹の部分
を担う、この防衛省・自衛隊。省としてこれからしっかりやっていきたいと
いう重責感と共に、チャレンジしてみたいと思います。
また、今もありましたように、初めての女性大臣という事でございますので、
これまでになかったようなオンリーワン大臣を目指したいと思います。
Q: 防衛大臣になられて、最優先事項として取り組みたいことはありますか。
A: 今日の訓示の際にもいくつか申し上げさせて頂きました。これまで築か
れてきた実績を引き継いで行くわけでありますけれども、今日申し上げた
課題は、第一に今まで以上に国民の期待と信頼に応えていかなければ
いけない、そういった政策官庁を目指すと言ったことが第一点。
二点目に日米安全保障体制を基調として、アメリカとの緊密な関係を
築きたい。今日は、米国の独立記念日ということで、早速シーファー大使
にもお会いして参りました。
そして先だってシャングリラダイアローグという前任の久間大臣もご出席
された、シンガポールでの会議に出席して、その際ゲーツ長官ともお話し
をさせていただいているところでございます。
そういった関係を緊密化させるという点と、在日米軍の再編を進めると
いう具体的な課題があります。この点については、沖縄北
方担当大臣も努めさせて頂いた時に、沖縄には知己もたくさんおられます。
ポイントになる方々ばかりでありますけれども、こういったこれまでの緊密な
関係をよりスムーズなコミュニケーションを通じながら、日米の両政府で合意
しております、普天間飛行場の移設、在沖の海兵隊の移転をはじめとした
再編計画について、一日も早く実現していきたいということが第二点です。
三点目として、まさに危機管理官庁ですから、緊急事態への対応に万全を
期して参り、それがまた信頼を生んでいくという事ですから、信頼の好循環を
作りたいと考えます。
四点目が国際社会の一員として、国際平和協力活動に主体的かつ積極
的に取り組んでいくという事から、今後、防衛省としての国際貢献のあり方に
ついて検討して行くというのが第四点です。
最後に、これは昨今問題となっておりますし、また日本のこれからの大きな
課題であると思いますけれども、情報の保全態勢の強化であります。
国の防衛を司る組織として、厳格な情報管理
が必要であることは誰もが認める所でありますし、情報という非常にセンシテ
ィブな部分であります。
それをどう取り扱うかによって、情報量が変わってく
るし、その質も変わってくるという大変機微な部分があるわけです。
国の防衛を全うしていくためにも、同盟国の信頼を確保していくという事が、
情報保全態勢の強化を進めることになります。
その五点について、今日訓示で申し上げたのが、まさに具体的に取り組み
たい課題であります。
Q: その中で、沖縄担当大臣もされていて精通していると思いますが、普天
間飛行場の移設問題が、今年1月以降、協議会も開催されておらず、
膠着状態になっているのですが、何か、妙案はありますでしょうか。
A: 妙案といいましょうか、やはりお互いの信頼感という事が必要になって
くると思います。その意味で、これまでの人間関係と申しましょうか、そうい
う事も上手く潤滑油のような役割が出来るようにしたいと思っておりますし、
何よりもその普天間飛行場の移設、全面返還は既に10年も掛かっているとい
う事ですので、早期に動かしていくというのは、沖縄にとってこれまでの負担
の軽減という意味でも、大きなチャンスでもあるわけで、それを進めていくこ
と。「2+2」で決められました再編案を着実に実施するという事は、既に日
米間で再確認されているところでありますので、多方面の意見を聞きながら、
そしてまた地元の方々の関係者の理解を求めていきたいと思っております。
Q: 先程、シーファー大使とお会いになられたという事ですけれども、どの
ようなやり取りがあったのでしょうか。
A: 今日は、独立記念日のお祝いの席でありましたので、深い話はしており
ませんけれども、アメリカ大使館の中でアメリカ大使をはじめとして各国から
の武官の方々も揃っておられましたので、そこで皆さんからのお祝いの言葉を
頂戴しました。また私として、良い挨拶の場ともさせて頂いたという事です。
また、シーファー大使とは、これからも緊密な連絡を取り合う、そういう形に
なると思います。
Q: 久間大臣の発言がきっかけになって、辞めるという事態になったのです
が、久間大臣の発言がいろいろな所で波紋を呼んでおりまして、まず大臣にお
聞きしたいのは、米国の原爆使用の歴史的評価について大臣のお考えをお聞き
したい。久間大臣がソ連の侵攻がないままに戦争が終結した。結果論として原
爆が投下された後にその様な結果になったということをおっしゃっていますが、
そういう歴史の評価について大臣のお考えをお願いします。
A: 歴史の評価については、歴史家に任せたいと思っておりますが、現実の
問題としてそこで多くの方々が亡くなられて、今も多くの方が後遺症に悩み苦
しんでおられる事実を直視すべきだと思いますし、私は国家安全保障問題の
補佐官を務めている間も、核拡散という課題がいかに世界を取り巻く状況
として、各国がそれをなさせないためのエネルギーと、それを進めようとする
方面の様々なお互いのせめぎ合いがあるわけです。
こういった状況に於いて、我が国としては歴史的評価というのは、核使用は
人類にとっての全く挑戦的なことと申しましょうか、人道的には認められない
事は明らかですので、それを踏まえた上で我が国の立場というのは、
やはり核廃絶という事に世界のリーダーシップ
をとっていく、逆に言えばそれ以外の国の何処がとるのですかと言いたくなる
のです。ですから、我が国は唯一の被爆国としてこの原爆投下という事は認め
られないという事は事実だと思っております。
Q: アメリカ政府のロバート・ジョセフ核不拡散問題特使が、広島・長崎へ
の原爆投下が、無責任な軍事技術の使用ではなかったかという問に対して、
原爆の使用が終戦をもたらし、万単位の人命だけではなく、何百万人もの
日本人の命を救ったという点では、殆どの歴史家の論点から一致するという
事を言っているのですけれども、どうお考えですか。
A: ジョセフさんは前からその点をおっしゃっているのではないかと思いま
すので、特に目新しいとは思いません。
Q: 大臣のこの発言に対する見解は。
A: ですから、先ほどお答えしたとおりです。
Q: 歴史の問題だけではなくて、現実にこういう認識を持つ方々がアメリカ
のトップの近くにいらっしゃるという、場合によっては核の使用もあり得ると、
例えば犠牲者の数を比較して、使用はあり得るというような立場を示し、しか
も担当の特使ですのでという意味合いもあり得ると思うのですが、その点に関
してはアメリカと認識を合わせるというような必要性はないのでしょうか。
A: アメリカも核問題については、例えばイラン問題についても、非常に厳
しい態度に出ているわけでありまして、核の拡散がどのような脅威をもたらす
かというのを最も承知している国の一つではないかというように思っておりま
す。ですから、ジョセフさんの見解については承知しておりますけれども、い
ずれにしてもわが国の見解とは異なるということです。
Q: この点に関して、特に向こうに照会したり、認識を合わせようとする努
力というのは特になさらないと。
A: それは外交当局との関係もあるでしょうし、考えてみます。
Q: 具体的に何か・・。
A: オプションですか。今のところはありませんけれども、情報収集すると
いうのは一つ価値があることかもしれません。
Q: 人道上許されないということをおっしゃいましたけれども、核の傘とい
う日本の安全保障上の現実もあって、核兵器を使用するかしないかということ
を言わないことによって成立しているというのが政府の公式見解だと思うので
すが、これを是認しているとすれば非核三原則等との関係等見解をお願いしま
す。要するに今、核の傘にあるという現実と、それから日本の国是である非核
三原則の関係について大臣はどのようにお考えでしょうか。
A: わが国は日米安保条約の下において、アメリカとの関係を引き続き堅持
し、その抑止力の下で核兵器によるものを含むあらゆる事態に対応できるとい
う隙のない防衛体制を構築していくということで、これまでやってきているし、
またそういった面での現実的な意味での抑止力というのは確保している
というように思っております。
Q: 今まで補佐官をされてきたと思いますが、今回補佐官をお辞めになって
大臣になられる。後任はおかれないということになる。一方で、他にも中山さ
んが補佐官から出られる、世耕さんは選挙に出られるということで、補佐官制
度が形骸化、空白化しているのではないかという意見もありますが、その点に
ついてはどのようにお考えでしょうか。
A: 今の時点でそういう状況がありますが、これは参院選という予定された
選挙でありますし、私が今回こういう形で防衛大臣に座ったこと、これからN
SCの課題も出てきますし、ましてや法案として提出しているところでありま
すから、今後そういったこととの総合的な判断でどう活用するかというのは、
まさに総理がお決めになることだと思います。そしてまた、官邸の機能強化と
いうのは、これはNSCもそうですけれども、どのようにして情報を
上手く一元化していって、それを政府としてどう共有していくか、そ
れによって総合力を出していく、機動力を出していくということが、今、日本
のみならず世界各国にも求められている。
こういった中で、その時の総理がどの人材をどう活用するかという一つの
ポストとして、十分活用できるものではないかというように思っております。
権限がないとか、助言・進言しかできないだろうと色々言われますけれども、
私は補佐官というキャパシティーの中ではありますけれども、そこで
自分ができること、そしてそれを更に拡大する形で、総理という政策を
推進するリーダーに直接伝えるということで、これまでアドバイスさせて
いただいた件が、かなり実現しておりますので、そういう意味で私は
補佐官制度というのは機能していると思います。
また、バッジを付けてやるのはどうかという意見がありますが、ある意味で
はバッジを付けていることで、議員として権限もあるわけですから、
そちらとの両方の相乗効果というのも使えるわけです。
それは補佐官を活用する人と実際に補佐官になる人との関係で、かける
何倍という両方の変数で変わってくると思います。ですから、補佐官制度
は全く機能しないということなどは、私は経験上無いと思います。
Q: 普天間問題ですが、大臣は沖縄北方担当大臣時代に地元の立場に
なって防衛省と戦ってきたと言うと変ですが、地元の意見に立った行動を
されてきたと思いますが、今の普天間移設問題について、沖縄県・名護市
は政府案の修正を求めていますけれども、防衛省がそれはできないという
姿勢で対立の構図になっているのですが、それに関してはどのように
お考えでしょうか。
A: 日米合意が既にできているということは、重々名護市の方もご存じです。
そしてまた、この点について、防衛省として理解を更に深めていくということ
が必要なのだろうと思います。そのスタンスに立って、私も名護市の方とも話
をしていきたいと思っておりますし、沖縄県のことを知った上で防衛大臣を務
めるというのは、これまでの知見を活用できるということで、私の大きな役割
があると思っております。
Q: 政府案の修正というのは、やはり考えられないということでしょうか。
A: それをまた始めますと、時間との関係もございますので、普天間の移設
を例えば沖縄知事も3年以内ということをおっしゃっています。ですからそれ
を早く実現するためには、どういう形が良いのかということで理解を深めてい
きたいと考えております。
Q: 先ほどの原爆投下に関して、人類への挑戦だと強く抗議されましたけれ
ども、それをアメリカ側に直接伝える考えはあるのでしょうか。
A: 日本の立場については、アメリカは重々承知の上で、そしてまた、アメ
リカとしての戦略・戦術という観点から、色々な分析が行われているものだと
いうように思っております。ただ、アメリカのみならず、原爆の悲惨さなどに
ついてはこれまでも日本は色々な団体、勿論政府としても様々なオケージョン
を活用して十分アピールをし、私は中東の世界に一時身を置いておりましたけ
れども、この広島・長崎というのはそれだけですぐ日本のどういう問題
であるかというのはアラブの人たちはすぐに理解をするということで、
よく広まっているところであります。
今アラブの例を申し上げましたけれども、世界において知られている事実
ではないかと思いますし、また新しい世代にもアピールを
するという色々な方法でこれまでもやってきたし、今後ともそのことについて
日本が伝えていく。そういうことを積み重ねることが日本のリーダーシップに
も繋がっていくというように思っております。
Q: 国際平和協力活動についてですが、今のイラク、アフガンへの支援につ
いて、現状で良いと思われるか、何か改善する点があるかどうかというのが一
つと、あとアメリカからアフガンに関して人的貢献等、別の形の貢献を求める
声が出ているようですがどのようにお考えですか。
A: イラクにしましても、またアフガニスタンにしましても、状況は刻一刻
変化をするわけでありまして、またそれによってニーズも変わってくる。また、
わが国としてできる部分とかなわない部分色々とあろうかと思います。そうい
った中において、日本としてできることを協力していくというのは当然の事だ
と思います。これから何をするかということについては、そういった状況にも
鑑みて行っていくというのは当然の事だと思っております。アフガニスタンへ
の人的な貢献ということについては、今申し上げたようにこれからの状況も見
ながら進めていく。イラクの場合は多国籍軍でもばらつきがありましたけれど
も、アフガニスタンについては、世界の注目度というか、世界でやりましょう
という一致団結度はより強いというように理解しておりますので、そういう中
で日本は何ができるのかということをこれからも見守りながら決めていくこと
になろうかと思っております。
Q: 臨時国会で提出されるテロ対策特別措置法の改正に関して、新たな任務、
例えば復興支援ですとか、そういった任務を付け加えることもあり得るという
ことでしょうか。
A: 先ほども申し上げましたように、アフガニスタンの状況等も変わってき
ているわけですので、今後どうするかについては検討の対象というように今の
段階でお答えせざるを得ないと思います。
Q: 沖縄の関連ですが、先ほどの普天間問題の件で3年以内という話があっ
たのですが、仲井真知事が普天間飛行場の3年以内の閉鎖状態を求めているの
ですが、これの実現性に関してご見解をお願いします。
A: その件については、仲井真知事の応援に何度も参りまして、何度も本人
からも聞いておりますし、何よりもこれまで10年という年月が経っている
中で3年以内という思いが出てきたということはよく分かるわけです。
それだけに、お互いに理解を深めていくということが必要なのだろうと
思っています。
ようやく知事が退院されたと伺っておりますので、また機会を見ながら沖縄の
関係者ともそういう機会を持っていくことになろうかと思っております。
早速、島袋市長からも大臣になったととたんに、私の携帯にお祝い電話を頂き、
3番目ぐらいに早かったですね。
Q: アフガンの話について確認したいのですが、検討中というのは前向きに
検討していくということでしょうか。
A: 前向きかどうかも含めて検討の対象ということです。
Q: 今、アメリカは輸送ヘリを日本に出すように求めていますが、なかなか
治安状況が微妙な段階の中で、イラク以外にアフガンに出す可能性も
含めて検討中ということでしょうか。
A: それについては、輸送ヘリの派遣の検討そのもの、それ自体はござ
いません。
また既に、これまでもアフガニスタンについては、日本として総額12
億ドル以上のODAを進めていますね。確か、カンダハルとへラートの間の道
路の修復ということの、環状線を作っているのが少し遅れがちであるとかです
ね。そこを何とか早くならないか。スピードアップにならないかといったよう
な事については聞いておりますが、もっともその地域が1番厳しいところでも
あるので、なかなかうまく進まないということもあります。
Q: 自衛隊の人的貢献については如何ですか。
A: ですから、今後の検討ということになるかと思います。
Q: 今後の参院選を迎えて、大臣ご自身講演など演説する機会が増えると思
うのですけれども、対する民主党の小沢さんなのですが、安倍政権の防衛問題
や政策についてかなり批判的な態度を取っていると思うのですが、これに対し
てどのようにお考えですか。
A: 私は、小沢さんの防衛対策、政策についてむしろ一番よく知っている一
人だと思います。
ただ、民主党の場合は党としての政策はどうなのかと言った
ときに、非常に分かれるところです。
ですから政権を担うとか、大きな責任と
いうのは、やはり安全保障を一枚岩になって進めていくということなので、
私はその意味でも、まずなさるべきことは、民主党内の安全保障の政策を
明確にされることではないか、
理念ではなくて現実問題として
明確にされるということが必要なのではないかと思います。
はっきり言って、過去の自由党とか新進党とかの流れを
私はよく存じ上げている訳で、
結局はその辺がいつも党のきしみにつながって割れていったということ
なのですね。ですから、1つの、ブティック政党なら別ですけれども、
総合的な政党という物のやはり大きな柱というのは、安全保障の政策
ではないかとかねがね思っております。
ですから、小沢党首の安全保障うんぬんについての話ですけれども、
残念ながらそっくりそのままお返ししなければならないと思っています。
Q: 先程の会見の中では、原爆投下についての認識ですとか、米軍
再編の案の修正のお話などございましたけれども、前任の久間大臣とは
違う、特に米国との関係について、どこが一番の違いかというようなところ
を、教えて頂けないでしょうか。
A: 私と久間大臣との違いですか。政府内閣の一員としてやってこら
れた久間大臣、そして今回それをバトンタッチいたしました私ということ
で言うならば、基本的な政策的には変わらないと思います。
世代的なもの、ニュアンスというようなものは、当然違いはあろうかとおも
いますけれども、我が国の安全保障政策を担っていくという観点では、
基本的なズレは何もないと思います。
ただ今回の原爆投下の問題についてはやはり先程から申し上げている
ように、核廃絶の旗振りをし、そして核不拡散の動きに対して、しっかりと
リード役を努めるという点、そういったことをする上では、しょうがないと
言ってしまったらそこで終わってしまうのではないかと、私は個人的には、
最近の報道があったときに瞬間的に思ったものです。
基本的には変わりませんけれども、そういうニュアンスの部分、それから
これは様々なニュアンスでそこのところが増幅されますと、全然違う
ように見えるかもしれないですけれども、久間先生は
政策審議の過程でよくご一緒させて頂いたことがあって、極めて実務的で
かつ法的な整理も明確にされる方だと思っておりますので、今回はむしろ
私もびっくりした部分はございます。
ですから、そういう実務面などでは、これまで安全保障の分野においても
大きな貢献をされてきた方だと思っております。
違いと言えばその辺かもしれません。
Q: 11月にテロ特措法の期限が切れるのですけれども、その前に中東の専
門家の大臣に聞きたいのですが、インド洋の派遣以外の意味も含めて何か
やっていくというような考えがありますか。
A: じっくり考えていきたいと思っております。防衛省の大臣という明確な
ミッションを頂戴したわけですから、安全保障担当補佐官でやってきた部分を、
またそれをギュッとスクイーズして、そしてその上で何をするかということ、
またどうあるべきか、ということを私なりに見ていきたいと思います。これま
でも自衛隊のイラクへの派遣などについても、防衛省の皆さんに「私はこうい
うふうにした方がいいと思いますよ。」といったようなことでお伝えをしてき
たこともあります。また現地の方々の、思考ですね。彼らがこういうことを望
んでいるという、またニーズの観点から申し上げると、最初サマーワでの水の
問題から、電気・電力などについても、地域によって違いますけれども、大き
な問題がいまだに続いている。今日、防衛大臣に就任を致しまして、今度はそ
の役割の中で何ができるか、何をしなければならないのか、そしてまた何をど
のようにしてやっていけばいいのかなどについては、また防衛大臣として考え
ていきたいと思っております。
Q: 先程、アメリカとの関係について触れられたのですけれども、先の大臣
の久間さんが、アメリカとの関係にギクシャク感があるというふうにも指摘が
あったのですけれども、例えば今後、対米関係を再構築する上で、近く訪米さ
れるとか対談されるとか、そういったご予定も含めて改めて教えて頂けますか。
A: 先ほど就任したばかりなのでスケジュールが決まっておりませんが、各
国とのコミュニケーション、特にアメリカとの連携ということについては、こ
れは不可欠だと思っておりますので、今後のスケジュールについては検討して
いきたいと思っております。
Q: 先程、着任式の訓辞で、当初の草案といいますかペーパーがある中で、
女性初の防衛大臣としてという下りがあったのですけれども、それをあえてス
キップされたというかカットされたというのは、それは何か意味があってのこ
となのでしょうか。
A: どう見ても私は女性なので、こちらから女性を強調しても意味がないの
ではないかと思います。国民からすれば男性であれ、女性であれ、
「防衛大臣は国をしっかり守ってよ」、という気持ちが先に来るのでは
ないかと思っておりますので、
私はむしろその辺りは、皆さんはそうやって注目されるかもしれ
ませんし、実際そうやっておられると思いますけれども、あまりその辺のとこ
ろを自分から言うこともないなと思って、あえてその部分はスキップしました。
Q: 久間発言を受けて、ジョセフさんのような発言が出てきて、ジョセフさ
んのような発言は日本人の感情からすると、やはり受け入れがたいものがある
と思うのです。日米関係の感情的な対立に、いわば火を付けた側面があると思
うのですが、大臣はそういうところについてはどうお考えでしょうか。
A: そうですね、感情的な側面というのは、また煽られるのではないのです
か。私はやはり核の問題は、過去の歴史の問題と
未来の核拡散の問題と
分けて考えるべきではないかと思っております。
そしてまた核という、この核兵器が
2度と使われないためのどのような努力がなされるのかということを、
これからも訴求していきたいし、またそれが日本の役割であるということは、
再三再四申し上げているとおりであります。
Q: 大臣は拉致議連の活動ですとか、これまで朝鮮半島問題についていろい
ろと活動をして来られたそうですが、今の北朝鮮情勢、六カ国協議のこれから
の動き等、当面の見通しを、防衛省の動きも含めてお願いします。
A: 北朝鮮は、ご承知のようにミサイルの発射、核の開発などをこれまでも
進めてきたわけでありますけれども、ミサイルは6分~7分で着弾するという
ことは、これはもう文字通り日本の安全保障に直結する課題であり、今の
北朝鮮のこの動きというのは六カ国協議も含めて非常に注視していく課題
だと思っております。
何よりも今の動きというのは伝えられている部分がどこまでなの
かというのが、昨日今日というのはこういう状況ですので、最新の部分は
分かりませんけれども、今何をすべきかというのは北朝鮮の番でありま
して、初期段階の措置ということを一刻も早く完全に実施するということが
北朝鮮にあるわけですね。
またそこを、やれ重油が先に来ないとか、「鶏か卵か」みたいな
話になっているのは、非常に北朝鮮のこれまでの手法と変わりがないの
ではないかというように思います。
この北朝鮮問題については、アメリカとの連携で、
また、関係する国々と連携していくことが必要ですし、
また防衛省としては自衛隊の態勢の構築に努めるということ、日米安全
保障条約の実効性を更に高めていくという努力をすべきであると思います。
私は日米間の緊密な連携ということは一番重要なことだと思って
おります。
先程スケジュール云々の話をされ
ましたけれども、その考えの下で、何時、何をどうするかということをこれか
らしっかり考えていきたいと思っております。
Q: 先程、普天間飛行場のV字型滑走路の沖合移動を地元が求めていること
について、「理解を深める」という表現をされたのですが、これは日米で合意
した案について地元に理解してもらうという意味なのか、大臣が地元の声を十
分に考えていくという意味なのか、どういう趣旨なのでしょうか。
A: そうですね、私が沖縄担当大臣を辞めてから大分時間も経っております
し、また最近の名護市、そして沖縄県の気持ちがどうなのかというところを私
が直接はオフィシャルには聞いていないわけですから、そこを確認し、基本的
には日米合意案に基づいた形で理解を求めていくということになるかと思って
おります。
Q: 柔らかい話になるのですけれども、朝の会見では「何を着るか困った。」
とおっしゃっていましたが、実際に栄誉礼を受けられて率直な感想というか
・・・。
A: 今の時点で一番戸惑う部分が儀式といいましょうか、非常にそこの部分
が防衛省・自衛隊というのはきちっとしているわけですよね。そしてまた、礼
などについても一つの決まり事で、きちっとやっていく、ちょっとそのテンポ
に慣れるのに若干時間がかかるのかなあと思ったのがまず一点です。
それから
栄誉礼は実は二回目でして、前に環境大臣で防衛省に講演に伺いました
時に、国務大臣ということで、栄誉礼でお迎えいただくという大変配慮して
いただいたことがあって、その時に思いましたのが、私は歩くのがそれなり
に速いのですが、いつものようにスタスタスタと歩くのではなく、
こういう時はゆっくり歩かなければと。
ですから今日は、栄誉礼でぐるっと回る時に、できるだけゆっくり堂々と
歩こうと思ったのですが、どうでしたでしょうか。意外とそうやって歩くのって
難しいものですね。ですから、洋服はご覧の通りでしたし。
男性の場合はいろいろと例があるのですが、女性の場合は例がないので、今後
の女性防衛大臣のためにも良い例を作っておこうと思っています。
Q: 先程もありましたが、沖縄県と名護市の理解を深めていきたいとのこと
なのですが、沖縄担当大臣の時には何度も沖縄にいらしたことがあると思いま
すが、防衛大臣として今後沖縄に行かれる予定はございますか。
A: それも先程のアメリカとの関係とか、今後のスケジュールということで
すけれども、この会見が終わりましてから初めて業務についてのブリーフィン
グを受けることになっております。これまで久間大臣が積み残されておられる
ような課題とかも含めて今後判断していきたいと思っております。
Q: 核兵器の使用というのは国際法上違法だと思われますか。
A: 人道上の観点から申し上げまして、これは問題があるというように思っ
ております。これまでもいろいろな裁判所などの意見もありますけれども、基
本はやっぱり人道的に考えてその精神には合致しないという考えをベースにし
てなすべき事を進めていかなければならないと思っています。
Q: 日本ははっきり国際法上の違反であると言わずに、「精神に合致しない」
という言い方をしているのですけれども、これはアメリカの核の傘に依存して
いるという関係上からそういうスタイルというか、発言なのでしょうか。
A: どうなのでしょうか。その辺のところは私ももっと法律的なこと、それ
から、これまでの国際的な推移などを研究したいと思います。
Q: ちょっと柔らかい話で、今日は後ろに世界地図かありますが、これまで
この会見場にはなかったものなのですが、何か・・・。
A: このカーテンがちょっとくすんで見えて。テレビ出身なもので、すみま
せん。でも、やっぱり、世界の中の日本、日本の安心安全を国民に
対して伝える上でですね、こうやって世界をバックにしながら
伝えるというのも一つのメッセージになるのではないかと思って
おります。ちょっと今後また工夫して行きたいと思っておりますので。
Q: いわゆる女性の観点という意味で大臣が何かやろうとしている事はあり
ますでしょうか。
A: そうですね。今日も色々と事務方が配慮してくださったように、女性職
員の方々がですね、今全体の5%だということなのですけれども、やっぱり
彼女らも働きやすい職場。そして、先日私がクウェートに参りました時に、
これは総理同行の時と、その前の時でしたけれども、C-130のパイロットが
女性で頑張っておられました。
それから、イラクに女性の自衛官がいらっしゃる時は、
何枚か、アバーヤの黒いのを持たせてあげたことがあります。
どのように使われたかは分かりませんけれども。
女性の自衛官も、女性の職員も大変大きなワークフォース(労働力)で
ありますので、彼女らの意見等もくみ上げて、そして働きやすい職場に
していくということが、防衛省・自衛隊全体としての、それこそ士気の
高揚につながっていくのではないかな、と期待したいと思います
し、また、その他託児所であるとか、そういう働きやすさの確保というのを考
えていってあげたいと思っております。そういう労働環境がどうなのかなど
も、見させていただきたいと思っています。
Q: 女性自衛官に関連してなのですけれども、現在の自衛隊は戦闘機の
パイロットですとか、潜水艦とか戦車とか、戦闘職種への女性自衛官の
配置を除外しているのですが、これは体力的な問題とか母性の保護とか
言われておりますが、それは大臣としては同意されますか。
A: どうですかね。もう少し詳しく聞いてからお答えできるようにしたいと
思います。ただ、確か潜水艦はどの国も女性は入っていないんじゃない
ですか。
そういうそれぞれのカテゴリーに分けるとかですね、あるのではないかという
ように思いますね。これからの課題とさせてください。では、これからもよろ
しくお願いいたします。
以上
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
☆ 配信元:おきらく軍事研究会
☆ 発行責任者:エンリケ航海王子
転送はご自由にどうぞ。どしどし転送してください。
引用・転載にあたっては出所を必ず明記してくださいね。
◎軍事情報 のバックナンバーはこちら
⇒ http://blog.mag2.com/m/log/0000049253/