最近の中東情勢
こんにちは!!
おき軍事です。
英国のテロをめぐってはいろいろ話が出ているようですが、いま、「ホット」
になっている中東情勢との関連を忘れないようにしたいものです。
勉強の意味で、これまで入手している情報をまとめました。
ご参考になれば幸いです。
◎◎◎ 最近の中東情勢(参考) ◎◎◎
六月に入ってから、おき軍事のアンテナに引っかかっていた中東・アルカーイ
ダがらみの情報を、時系列で紹介いたします。
六月十四日、パレスチナ自治政府のアッバス議長が、ハマス政府を解任しまし
た。
これをうけたハマス軍事部門がガザ地区を武力制圧し、議長は、ヨルダン川西
岸・ガザ地区全域に対する非常事態を宣言しています。
イスラエルはガザ地区の封鎖を決定し、「ガザ地区の原理主義国家化を強く懸
念する」と表明しました。(ちなみに翌十五日のイスラエル紙にはヨルダン川
西岸を「ファタハランド」、ガザ地区を「ハマスタン」と表現するものもあり
ました)
翌十五日には以下の出来事が起きています。
・NATO国防相理事会が、アフガンの治安活動を最優先課題と決定
・インドネシア国家警察が、アルカーイダネットワークの東南アジアのイスラ
ム原理主義過激派「JI」の最高幹部ザルカンを逮捕。
十六日、レバノンのシニオラ内閣は、度重なる与党議員の暗殺のため、補選を
行なった場合政府が分裂する恐れがある、との懸念を持つと明らかにしていま
す。
同日、イギリス政府は「悪魔の詩」の著者ラシュディ氏(*)に対しナイト爵
位を授与しています。
(*)『悪魔の詩』は、アッラーを冒涜する内容として、出版当時イランのホ
メイニ師が著者のラシュディ氏に死刑を宣告しました。それを受け、ヒットマ
ンが世界各地に送り込まれ、わが国でも、同著を邦訳した筑波大学の先生が首
を切られて殺害されています。
ちなみにイギリスの行動に対しては十七日にイランが、十八日にはパキスタン
がそれぞれ公式に反発する意思表示をしています。
さて、ハマスを追放したアッバス議長のパレスチナ自治政府は十七日、非常事
態内閣を発足させ、ガザを武力制圧したハマス軍事部門を非合法化しました。
十八日になってアメリカのライス国務長官は、二〇〇五年四月から停止してい
たパレスチナ自治政府に対する直接援助(財政支援)を再開すると発表し、ハ
マスを排除するとの方針を明確にしました。EUの外相理事会でも同日この方
針が確認されました。
翌十九日、アメリカとイスラエルの首脳が会談、パレスチナ自治政府のアッバ
ス議長率いるファタハ新内閣を本格支援することで一致し、ハマスをいかに押
さえ込むかについての協議が行われました。
二十日、イスラエル外相がパレスチナ新首相と電話協議しました。
同日、イスラエル軍はガザに侵攻、ハマスと戦闘を行っています。アッバス議
長はガザを武力制圧したハマスに対し「反逆者」と非難。異例ともいえる強い
表現でした。
二十一日、三月に国連安保理が採択した対イラン制裁決議の履行状況について、
制裁委員会のベルビク委員長が「制裁履行に必要な法整備を終えた国は、19
2ヶ国中38ヶ国に留まっている」と発表しています。
同日レバノンでは、国防相が北部トリポリ地区のパレスチナキャンプに立てこ
もるイスラーム原理主義過激派勢力「ファタハ・イスラム」の掃討作戦停止を
発表。ただ、完全投降までキャンプ包囲を続けるとあわせて述べました。
二十三日~二十四日にかけてレバノンでは、国軍が北部トリポリで「ファタハ・
イスラム」を攻撃しています。
二十四日、レバノン南部で停戦監視に当たっていたUNIFL(国連レバノン
暫定軍)に爆弾テロが行なわれ、スペイン兵六名が死亡しました。
昨年八月のヒズボラーイスラエル停戦成立以降、UNIFLの死者がでたのは
初めてです。ちなみにUNIFLは、1978年、国連安保理決議425に基
づき立案された平和維持作戦(PKO)で展開している部隊です。
二十五日、エジプトのシャルムエルシェイクで、中東四者会談が行われました。
(エジプト・ヨルダン・イスラエル・パレスチナ)
ここでは、パレスチナ自治政府について「アッバス支持・ハマス排除」で合意
されました。同日アルカーイダのアイマン・ザワヒリは、ネット上で声明を
発表しました。「ハマスを支持する」
そして二十九日から三十日にかけ、イギリスで爆弾テロ未遂事件が発生しまし
た。同時期に、アラビア半島南端にあるイエメンでも爆弾テロが起きています。
本日はパキスタンで数千人規模のイスラーム過激派立てこもり(?)も発生し
ているようです。
七月はじめに行なわれた米露首脳会談でも、当然取り上げられたものと思われ
ます。
レバノン・パレスチナ・イランの動向が、
今回のテロと密接に関連していることは間違いないようです。
なお二十九日、イギリスのブレア前首相は中東特使に任命されてます。
ご参考になれば嬉しい限りです。
おき軍事
以上
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
☆ 配信元:おきらく軍事研究会
☆ 発行責任者:エンリケ航海王子
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おき軍事です。
英国のテロをめぐってはいろいろ話が出ているようですが、いま、「ホット」
になっている中東情勢との関連を忘れないようにしたいものです。
勉強の意味で、これまで入手している情報をまとめました。
ご参考になれば幸いです。
◎◎◎ 最近の中東情勢(参考) ◎◎◎
六月に入ってから、おき軍事のアンテナに引っかかっていた中東・アルカーイ
ダがらみの情報を、時系列で紹介いたします。
六月十四日、パレスチナ自治政府のアッバス議長が、ハマス政府を解任しまし
た。
これをうけたハマス軍事部門がガザ地区を武力制圧し、議長は、ヨルダン川西
岸・ガザ地区全域に対する非常事態を宣言しています。
イスラエルはガザ地区の封鎖を決定し、「ガザ地区の原理主義国家化を強く懸
念する」と表明しました。(ちなみに翌十五日のイスラエル紙にはヨルダン川
西岸を「ファタハランド」、ガザ地区を「ハマスタン」と表現するものもあり
ました)
翌十五日には以下の出来事が起きています。
・NATO国防相理事会が、アフガンの治安活動を最優先課題と決定
・インドネシア国家警察が、アルカーイダネットワークの東南アジアのイスラ
ム原理主義過激派「JI」の最高幹部ザルカンを逮捕。
十六日、レバノンのシニオラ内閣は、度重なる与党議員の暗殺のため、補選を
行なった場合政府が分裂する恐れがある、との懸念を持つと明らかにしていま
す。
同日、イギリス政府は「悪魔の詩」の著者ラシュディ氏(*)に対しナイト爵
位を授与しています。
(*)『悪魔の詩』は、アッラーを冒涜する内容として、出版当時イランのホ
メイニ師が著者のラシュディ氏に死刑を宣告しました。それを受け、ヒットマ
ンが世界各地に送り込まれ、わが国でも、同著を邦訳した筑波大学の先生が首
を切られて殺害されています。
ちなみにイギリスの行動に対しては十七日にイランが、十八日にはパキスタン
がそれぞれ公式に反発する意思表示をしています。
さて、ハマスを追放したアッバス議長のパレスチナ自治政府は十七日、非常事
態内閣を発足させ、ガザを武力制圧したハマス軍事部門を非合法化しました。
十八日になってアメリカのライス国務長官は、二〇〇五年四月から停止してい
たパレスチナ自治政府に対する直接援助(財政支援)を再開すると発表し、ハ
マスを排除するとの方針を明確にしました。EUの外相理事会でも同日この方
針が確認されました。
翌十九日、アメリカとイスラエルの首脳が会談、パレスチナ自治政府のアッバ
ス議長率いるファタハ新内閣を本格支援することで一致し、ハマスをいかに押
さえ込むかについての協議が行われました。
二十日、イスラエル外相がパレスチナ新首相と電話協議しました。
同日、イスラエル軍はガザに侵攻、ハマスと戦闘を行っています。アッバス議
長はガザを武力制圧したハマスに対し「反逆者」と非難。異例ともいえる強い
表現でした。
二十一日、三月に国連安保理が採択した対イラン制裁決議の履行状況について、
制裁委員会のベルビク委員長が「制裁履行に必要な法整備を終えた国は、19
2ヶ国中38ヶ国に留まっている」と発表しています。
同日レバノンでは、国防相が北部トリポリ地区のパレスチナキャンプに立てこ
もるイスラーム原理主義過激派勢力「ファタハ・イスラム」の掃討作戦停止を
発表。ただ、完全投降までキャンプ包囲を続けるとあわせて述べました。
二十三日~二十四日にかけてレバノンでは、国軍が北部トリポリで「ファタハ・
イスラム」を攻撃しています。
二十四日、レバノン南部で停戦監視に当たっていたUNIFL(国連レバノン
暫定軍)に爆弾テロが行なわれ、スペイン兵六名が死亡しました。
昨年八月のヒズボラーイスラエル停戦成立以降、UNIFLの死者がでたのは
初めてです。ちなみにUNIFLは、1978年、国連安保理決議425に基
づき立案された平和維持作戦(PKO)で展開している部隊です。
二十五日、エジプトのシャルムエルシェイクで、中東四者会談が行われました。
(エジプト・ヨルダン・イスラエル・パレスチナ)
ここでは、パレスチナ自治政府について「アッバス支持・ハマス排除」で合意
されました。同日アルカーイダのアイマン・ザワヒリは、ネット上で声明を
発表しました。「ハマスを支持する」
そして二十九日から三十日にかけ、イギリスで爆弾テロ未遂事件が発生しまし
た。同時期に、アラビア半島南端にあるイエメンでも爆弾テロが起きています。
本日はパキスタンで数千人規模のイスラーム過激派立てこもり(?)も発生し
ているようです。
七月はじめに行なわれた米露首脳会談でも、当然取り上げられたものと思われ
ます。
レバノン・パレスチナ・イランの動向が、
今回のテロと密接に関連していることは間違いないようです。
なお二十九日、イギリスのブレア前首相は中東特使に任命されてます。
ご参考になれば嬉しい限りです。
おき軍事
以上
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
☆ 配信元:おきらく軍事研究会
☆ 発行責任者:エンリケ航海王子
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