米政府高官は「イランがタリバンに武器支援している」と主張 | 日本のお姉さん

米政府高官は「イランがタリバンに武器支援している」と主張

ようちゃん、お勧め記事。↓

アフガンで米国とイランが(治安悪化で対立)の(毎日 6月23日 朝刊)

を読む.「最新情報」の寸評

▼米「タリバンに武器支援」対してして,イラン「根拠ない」と反発している.「最新情報」

[概要]アフガンの治安悪化に絡み、米政府高官は「イランがタリバンに武器支援している」と主張し、一方、イラン政府は「根拠がない」と反発して「米政府は治安悪化の責任を押しつけようとしている」と非難した。

 バーンズ米国務次官は今月12日「イランの革命防衛隊がタリバンに武器支援している証拠がある」と主張した。ゲーツ国防長官も「大量のイラン製武器がアフガンに流れている」と述べ、イラン政府の関与を示唆した。これに対してイラン外務省のサファリ次官は21日、アフガン南部カンダハルのイラン総領事館が最近タリバンの攻撃を受けたことを挙げ、「むしろ米英が治安確保の義務を怠っている」と反論した。

 イランとタリバンはこれまで敵対し、98年には全面戦争の危機に直面したことがある。01年の同時多発テロ後は、米英軍の対アルカイダ・タリバン戦争をイランが支援し、アフガン新政府の樹立にイランも大きな役割を果たした。

 イランはシーア派の国でタリバンはスンニ派で、両者は敵対し水と油の関係という。最近のタリバンは麻薬ビジネスで軍資金を得ており、イラン東部の国境地帯が麻薬流出経路になり、イラン政府は麻薬マフィアと戦争を続けている。そのためイランがタリバンに武器支援するなら、それは敵に塩を送る行為にほかならない。アフガン政府のワルダク国防相は「イラン製兵器は麻薬マフィアなどのルートから入ってきた」と指摘し、イラン関与説に疑問を呈している。

[コメント]イラン政府がアフガンのタリバンに武器を送ることはなくとも、イランの革命防衛隊ならば「敵に塩」の武器を与えることは考えられる。タリバンと麻薬戦争中のイラン政府と、謀略や秘密工作が主任務のイラン革命防衛隊の動きを同一と見るべきではない。イラン政府で革命防衛隊に指示出来るのは、トップレベルのごくごく一部と推測するのが常識である。

 本日の毎日新聞に「自爆テロの時代 イラン少年義勇兵が影響」という西川恵氏(専門編集委員)のコラムが掲載されている。イラン・イラク戦争(80年~88年)の時、イラン革命防衛隊は農村の小・中学校でバシジ(義勇兵)をあつめ、祖国防衛の国難で、「死ねば神の国に行ける」と殉教を説いたという。少年達は「アラーホ・アクバル(神は偉大なり」」と書いた鉢巻きをつけて地雷原に突入した。当時のイラク軍捕虜は西川氏の取材に「素足の子ども達が倒れても倒れても、その後からわくように向かってきた。恐ろしかった」と話したという。これが最近多発している自爆テロの日常化の始まりだという。

 このように革命防衛隊はことの善悪で行動する組織ではないのである。イスラム教シーア派国家を死守するために、ことの善悪を越えて防衛する組織なのである。多くの軍事思想の中には、確かに善悪を超越したものが少なくない。広島、長崎に原爆を投下し、日本の大都市を空爆で焼き払い、大量の市民を虐殺したことも同類である。朝鮮戦争の時に、北朝鮮軍は非難していた女性や子どもを銃で脅し、米軍陣地前の地雷原を歩かせている。もし立ち止まれば背後から北朝鮮軍の兵士が射殺した。またアメリカ軍は陣地に押し寄せる女性や子どもの避難民を、機関銃や手榴弾でなぎ倒した。そうしなければ地雷原を突破されて、背後の北朝鮮兵に蹂躙(じゅうりん)されるからである。そこにはことの善悪で説明出来ない戦争の現実がある。

 アメリカがイラン革命防衛隊の知略や謀略と戦うには、米軍の正規軍や表の外交交渉とは異次元の力で対抗するしかない。アメリカはイラクの反米武装組織に負けたのではなく、イラクで暗躍するイラン革命防衛隊に敗北したのである。 
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▼日本政府は参院選後に「アフガンに調査団」復興への人的貢献探る(産経 6月22日 朝刊)

[概要]政府は21日、アフガン復興支援の具体策を探るため、今年夏に現地調査団を派遣する方針を固めた。外務、防衛両省の担当者が首都カブールを訪問する。アフガン政府や米軍、NATO軍から治安情勢を聴取し、自衛隊員や文民警察官派遣の可能性を検討する。日本政府はすでに、無償資金協力などを通じて支援を行っているが、人的貢献が不可避と判断した。

 安倍首相は今年1月、NATOがアフガンで実施している地方復興支援チーム(PRT)への支援強化を約束したため、アフガンでは日本の人的貢献に期待が強まっていた。

 ただ自衛隊員派遣に関しては、テロ対策特別措置法がアフガンの米軍やNATO軍の支援を想定しておらず、法改正が必要になる。外務、防衛両省は調査団の報告を待って、人的貢献を慎重に検討する方針だ。

[コメント]この記事に文民警察官をアフガンに派遣する場合もあると書いているが、それは100パーセントない。警察庁は国連のカンボジアPKOで派遣した文民警察官が待ち伏せで銃撃され、死亡したことで、紛争地に警察官を送ることを断念している。

 安倍首相はアフガンのISAF(国際治安支援部隊)のPRTに、国際貢献が本来任務になった陸上自衛隊を派遣したいのである。むろん現行のテロ対策特措法の改正も視野に入っている。またNATO軍と自衛隊が共同して作戦行動が出来るように、正当防衛ではなく集団的自衛権の解釈変更も考えている。早ければ、今年中の自衛隊アフガン派遣もあるし、遅くとも来年前半の派遣となると推測する。その最大の根拠は守屋防衛事務次官の任期(平成15年8月から)である。すでに4年が経とうとし、内外から、あまりに長期過ぎるという批判が起きている。

 そこで7月の参院選挙で自民党が大敗北した場合だが、この影響をどの程度に想定するかよくわからない。安倍首相の辞任でこのアフガン派遣計画は中止されるのか、あるいは次ぎに麻生首相(現外相)が誕生したらどうなるのか。いずれも陸自のアフガン派遣は首相が次期・米大統領に献げる恭順の証である。

 イラクの次はアフガンか。自衛隊の車両に白い塗色に黒字でUN(国連)と書き、ブルーの帽子やヘルメットを被った国連平和維持活動(PKO)が懐かしい。自衛隊の国連PKO派遣では断固支持したが、イラクやアフガン派遣を支持しては自衛隊員に申し訳ないと思う。