在米のラオス人社会は分裂
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成19年(2007年) 6月15日(金曜日) 貳
通巻第1837号
在米のラオス人社会は分裂、モン族は新たに15000人の移住枠
ラオス政府転覆計画、その後の波紋
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前号に続けてモン族の話。
今朝のIHT(07年6月15日付け)に、モン族の指導者バン・パオ逮捕と
その後の在米モン族コミュニティに拡がった波紋と分裂状態に関しての
記事がある。
バン・パオは米国で発行されているラオス語新聞では祖国復帰、平
和統一、民主化を呼びかける指導者であり、集会に現れると聴衆は
立ち上がって拍手したほどの有名人でもあった。
しかし亡命から32年、アメリカで産まれた二世三世には、ラオスへ
の望郷の念はなく、ましてアメリカ人として、アメリカに溶け込む努力を
してきた。戦前の日系アメリカ人のように。
したがって二世以下の若いモン族は、バン・パオの行為に批判的、
或いは無関心。
コミュニティ全体は軍事クーデター計画を正面から批判しないまでも、
満腔の賛意を差し控えているという。
裁判はカリフォルニア州の州都サクラメントで開始され、十人が起訴
されている。
武器発見による逮捕の切っ掛けは、かれらが購入した武器店が、じつは
監査当局のエージェントでもあったからだという。
○◎み◎や○◎ざ◎き◎○ま◎さ◎◎ひ◎ろ○
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(読者の声1)貴誌1831号に ”ブッシュ大統領、プラハでウィグルの人権活動家と面談、北京は「犯罪者と会って内政干渉」と強い非難をブッシュに浴びせた”という記事が掲載されていました。
北京の中国外交部は「犯罪者と面会し、中国の内政に干渉した」と語気を荒らげ、強く米国ブッシュ政権を非難する談話を発表した由ですが、戦闘的なウイグル民族の独立運動には日本にも共鳴し支持をしている篤志家がおります。
一方、ウイグルと違って、おとなしい民族もいます。
それを知ったのは去る6月3日に魏京生氏が登壇する予定だった都内の講演会へ出掛けた時です。魏氏は成田の入管で足止めされて入国できず、会場に姿を現すことはありませんでした。
当日予定されていた通訳も 魏氏の緊急事態打開のために成田に向かったのか不在で、 替わりに通訳を務めたのが、内モンゴル出身の大学の先生で、魏京生氏の不在で空いた時間、モンゴル民族の悲哀を語ってくれました。
モンゴル人は、清朝の三百年の支配下では自治を認められ平穏な暮らしが出来ていました。
康熙帝をはじめ、清の皇帝はモンゴルに行幸すると、モンゴル語で演説したそうです。
日中戦争時は日本軍の支援で蒙古連合自治政府をつくり、中国共産党の下で1947年、内モンゴル自治区人民政府が成立。
1949年中華人民共和国成立後初の自治区(内蒙古自治区)に編入されました。
中国支配が開始されて半世紀以上、その間虐殺・破壊・同化政策・漢民族移民政策により、少なくとも70万のモンゴル人が殺害され、迫害を受けました。 学生や平和運動家による活動は阻止され、長期間刑務所に送られるなどの弾圧を受けました。
現在、南モンゴルでは漢民族が80%以上を占め、モンゴル民族は消滅の危機を迎えています。中国は千万人の漢人をモンゴルの地に送り込み、民族浄化を行ったのです。
1950年中国がチベットを侵略したときに、モンゴル人も軍を出すように要請され、断った役人は皆職を解かれ、路頭に迷ったのです。
1968年60万人を逮捕・拘禁し、6万人を殺害しました。これが内モンゴル人民革命党虐殺事件です。
トウ小平がどんな人物かは、経歴を見てその残虐性を理解したのです。
彼は人殺しをし続けてきた人間なのです。自分に反対する人間を言葉ではなく、命を奪い倒してきた、暴力的な人間なのです。
共産革命は暴力革命なのです。
魏京生氏は7日ようやく入国できたわけですが、同氏の講演会での不在は、中国のモンゴルへの弾圧を参加者に訴える貴重な時間を与えてくれました。
(有楽生)
(宮崎正弘のコメント) 日本はかの地の幾つかの地域で親日派政権を樹立しました。そのひとつがカラチン府。内蒙古省の赤蜂からタクシーを飛ばして二時間半。カラチン府記念館には日本人教師だった河原操子の写真がちゃんと飾られていました。
あの頃の日本人は他国民の幸せのために熱情的に献身的に行動した。
それを「侵略」などと北京の歴史教科書の附録のようなことを書いた左翼学者と、それで教えられてきた戦後日本の若者が使命感を喪い、人生を明るく前向きに見なくなったのも、自虐史観の洗脳によるもの。
団塊世代の多くが使命感よりも目先の年金のことしか頭にない。
理想と使命意識と責任感がなくなって亡国へ突き進む日本の現状です。
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(資料)
ついに掲載されました“ワシントンポストに「意見広告」”
(「花岡信昭メールマガジン」(2007年6月15日)より)
。
「ワシントンポスト14日付についに出た。慰安婦問題に関する日本側の意見広告である。
日本時間で14日夜、「ちゃんと出てますよ」と連絡を受けて、なんともいえない感慨に襲われた。実は、作曲家のすぎやまこういちさんの「こころいき」に共鳴して、米紙に意見広告を出すためのお手伝いをしてきた。
最初は「南京事件」の意見広告を出そうとしたのだが、ニューヨークタイムズにもワシントンポストにも断られた。「慰安婦」に切り替え、評論家・西村幸祐さんの協力も得て広告原案を作成、向こう側とかなりのやりとりの末、ようやく実現した。
マイク・ホンダ議員が提案した「慰安婦対日非難決議」が米下院で採択されるのかどうか、まだはっきりしないが、それより前に出したかった。
慰安婦問題では「20世紀最大の人身売買事件」などと勝手放題を言われているが、意見広告では「事実をきちんと見つめてください」という冷静なスタンスで臨んだ。すぎやまさんの考えによる。
「THE FACTS」という大見出し。絞りに絞って、5つの「事実」を提示した。これは西村さんの発案だ。
1:軍による組織的な慰安婦の強制連行という事実は存在しない。(「募集に当たっては軍部の名を利用してはならない」という通達を提示)
2:悪徳業者は処罰された。(東亜日報の当時の記事を提示)
3:インドネシア・スマランで起きたオランダ人女性連行は軍末端組織の暴走によるもので、責任者は処罰された。
4:元慰安婦の証言は対日非難キャンペーンの高まりと呼応して変化していった。
5:当時の公娼制度のもとで、佐官級の収入を得ていた例も少なくない。
おおよそ、以上の5点を中心に「事実」を提起した。
さらに、「あの悲惨な戦争の時代に、多くの女性たちが過酷な境遇におかれたことに対しては深甚な思いをはせたい」「しかし、官憲による“慰安婦狩り”の事実はなかった」と締めくくった。櫻井よしこさん、屋山太郎さんがこの趣旨に賛同、われわれ3人を加えた「5人委員会」がこの意見広告を出すかたちにした。さらに、国会議員、識者ら賛同者の名前をつらねた。
とにかく、この問題に関しては、「無知」がまかり通っている現状をなんとかしたかった。「慰安婦は兵士からカネを取っていたのですよ」と説明すると「ええっ!ホントですか」という反応が返ってくるのが実態なのだ。
古森義久氏が再三、指摘しているように、アメリカでの慰安婦非難キャンペーンには、中国や韓国のプロパガンダ団体が深くかかわっている。これに対して、日本側の発信機能はきわめてお粗末だ。
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下記は、日本の意見広告を大書して報道した韓国の新聞
(資料として)
慰安婦問題「政府・軍の強制は無かった。慰安婦は売春婦で、将官より高収入」…日本議員らが米WP紙に全面広告 @聯合ニュース(韓国語)
■日本の議員ら、「慰安婦強制は無かった」とWP紙に全面広告
日帝従軍慰安婦問題に対する日本政府の謝罪を求める決議案が米下院で審議中のなか、日本の議員約40人が14日、ワシントンポスト紙に全面広告を出し、慰安婦動員における日本政府や軍隊の強制は無かったと主張した。
自民党・民主党及び無所属の議員45人は、教授・政治評論家・ジャーナリストらと共同で出した「事実(THE FACTS)」というタイトルの広告の中で、日帝当時に日本政府や軍が慰安部動員に介入したという文書は見つかっておらず、「日本軍が若い女性たちを性奴隷になるよう強いた」というマイク・ホンダ議員の決議案の内容は歴史的事実と異なる、と反駁した。
日本政府と軍は当時むしろ、女性を拉致して慰安婦にしてはいけないという命令を下しており、女性を慰安婦にしたブローカーらが警察に摘発されて処罰されたという韓国メディアの報道まである、と広告は指摘した。
それでも一部の軍人が規律を破って女性たちを捕らえて売春行為を強要したケースがあり、インドネシアでオランダ人女性らが連行されて慰安婦にされたのはその代表的な事例だが、関連者は後で全員重罰に処せられた、としている。
日帝慰安婦は通常「性奴隷」と描写されているが、実際は許可を受けて売春行為をした人々で、大多数の収入は日本軍将校や、場合によっては将官よりも多かった、と広告は強調した。
また、このような売春行為は当時全世界的に普遍的なことであり、米軍も1945年の日本占領以後米兵による強姦を防ぐため衛生的で安全な「慰安所」の設置を日本政府に要請した、と付け加えた。
米議会に提出された決議案など慰安婦問題に関する主張の大部分は生存者の証言に基づくものだが、慰安婦のお婆さんらは当初は「ブローカーに連れて行かれた」と言っていたのに後になってから「『警察のように見える制服』を着た人によって拉致された」と主張するなど、証言に一貫性が無い、と広告は述べた。
したがって、今年4月末にワシントンポスト紙に掲載された「慰安婦に関する真実」という広告は決して事実ではない、と広告は主張した。
そして末尾に、「 悲しいことに第二次大戦中に多くの女性が極度の苦難に遭ったことは極めて遺憾」ではあるが、「同時に、若い女性を性奴隷にしたという20世紀最大の人身売買事件の一つを日本軍がやらかしたという下院決議案は、重大で故意的な事実歪曲である」と強調した。
また、「実際に起こったことに対する批判は謙虚に受け入れるべきだが、根拠の無い中傷や名誉毀損に対して謝罪を行えば、大衆に歴史的事実についての誤った印象を与えるのみならず、日米親善関係にも悪影響を及ぼすおそれがある」と強弁している。
日本の議員や教授らによるこのような広告は、米下院で審議中の慰安婦決議案の通過を阻止するための多角的な努力の一環と見られる。しかし、日本議員らのこのような広告内容は、アメリカ国内の歴史教科書を初めとする各種の慰安婦関連記述に反するのみならず、太平洋戦争当時の従軍慰安婦動員の過程で日本軍と官吏が関与したことを認めて謝罪した1993年の「河野談話」を受け継ぐとしている日本政府の公式立場にも反することから、論難が予想される。<後略>
(宮崎正弘のコメント)韓国の、この報道は比較的に冷静です。
またすぎやま氏が提唱して実現したWPへの意見広告には小生も連
署しております。
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