ベネズエラは南米で最多の潜水艦保有国になる。
【モスクワ=遠藤良介】ロシアの有力経済紙コメルサントは14日、ロシアが反米姿勢を強めるベネズエラに新鋭潜水艦5~9隻を売却する交渉を進めていると報じた。29日に予定されるチャベス・ベネズエラ大統領の訪露時に契約が締結されるとみられており、米露関係の悪化に拍車をかける要因ともなりそうだ。
同紙によると、売却交渉が進められているのはロシアのキロ級潜水艦5隻とアムール級潜水艦4隻。アムール級の4隻はロシア海軍にも未配備の最新鋭艦であるために供与を見合わせる可能性もあるが、9隻すべての売却が決まれば20億ドル(2460億円)規模の契約となるという。 ベネズエラ指導部は海軍を増強する理由について、「米国による(大陸棚)油田の海上封鎖や米国との直接的な軍事対決に備えるため」(ロハス大統領補佐官)などと説明してきており、ロシアからの潜水艦購入も米国を強く意識した行動とみられる。 ロシアのプーチン大統領は7月1~2日の日程で訪米し、米露間の懸案である東欧へのミサイル防衛(MD)システム配備計画についてブッシュ米大統領と議論する予定だ。その間際に主要反米国のベネズエラと大型の軍事契約を結べば、米国を刺激するのは避けられそうにない。 ロシアは反米政権に的を絞って武器輸出を拡大する戦略をとっており、ベネズエラはアルジェリアに次いで輸出額第2位の相手国だ。ベネズエラは2005~06年の軍事費43億ドルのうち34億ドルを最新鋭戦闘機や対空防衛システム、カラシニコフ自動小銃などロシア製武器の入手にあてた。 今回の潜水艦交渉が成立すれば、ベネズエラは南米で最多の潜水艦保有国となる。 |