そうした不当な批判こそが、日中関係に「悪い影響」を及ぼすと知るべきである。
産経新聞の社説がいい内容です!読んでね。↓
【主張】李氏靖国参拝 日本文化表敬とも映った
2007年6月8日産経新聞 社説
訪日中の台湾の前総統、李登輝氏が靖国神社を参拝した。先の大戦で日本兵として戦死し、靖国神社に祭られている亡兄をしのぶためで、「政治的、歴史的には考えないで」と語った。
靖国神社をめぐっては、中国、韓国が首相参拝を政治問題化し、台湾にも靖国神社=悪として批判する勢力がある。来春の台湾総統選挙も控え、李氏には政治的リスクもあった。
それでもあえて参拝に踏み切ったのは、まずは李登輝氏が記者会見で語ったように、亡兄への肉親の情からだろう。李氏夫妻が会見の中で見せた涙がそれを物語ってもいた。
靖国神社には約250万人の軍人、軍属が祭られ、そのうち約2万8000人が台湾出身者という。李氏の胸のうちには、台湾同胞への追悼の気持ちもあったにちがいない。
台湾は当時、日本であり、台湾出身者は日本国民として犠牲になったのだから、靖国神社は当然のこととして慰霊、感謝の対象としたのである。
台湾には台湾出身者の靖国神社合祀(ごうし)に反対して訴訟まで起こしているグループがある。しかし、靖国神社を参拝する台湾人の方がむしろ多い。李登輝氏と同じ心情からであろう。
多くの日本人にとって、靖国神社は国のために犠牲になってくれた人々に対する追悼と感謝の場であり、日本人の伝統的な心、日本文化に根ざした大切な場所である。
その靖国神社に李氏が困難を押して参拝してくれたことに、多くの人が素直に感謝の気持ちを抱いたのではないか。李氏の靖国参拝は、日本文化への表敬とも映ったのである。
この李氏の靖国参拝に対し、中国は早速、「日本は李の目的が何かを知っているはずだ。中日関係に(悪い)影響を及ぼさないように望む」(外務省)と批判した。
しかし、そうした不当な批判こそが、日中関係に「悪い影響」を及ぼすと
知るべきである。
「奥の細道」をたどった今回の訪日で、李氏は3回の講演を行い、日本文化の大切さ、日本の国際社会での役割などを語った。学術、文化的に価値の高い内容であった。
李氏の比較的自由な訪日が実現したのは、関係者の努力に加え、安倍晋三内閣の良識にもよる。評価したい。
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李登輝先生講演「2007年とその後の世界情勢」聴講メモ
萩原功
2007年6月7日 ホテルオークラにおいて、李登輝先生のご講演が「2007年とその後の世界情勢」というタイトルで行われました.
いずれ、主催者などから正確な講演録が発表されるとおもますが、聴講する機会を得ましたので、聴講メモを報告させていただきます
聞取り能力や理解力の不足のため、内容に誤りもあるかもしれませんが、お役にたてば幸いです。
1.ご講演内容のメモ
世界情勢の基調は米国がイラクとイランで身動きがとれなくなる中、中国と露西亜が台
頭してきている。
東アジアは選挙の年をむかえ、内政に目が行き、2007年は比較的安定した時期にあ
たるだろう。
この中で日本は今までの特殊な国から普通の国になっていくだろう
台湾の国会議員選挙と総統選において、中国は従来のように国民党のみに影響力に浸透しようとするのではなく、民進党にも影響力を組み込もうとするだろう。
米国と中国は太平洋の制海権をかけ宿命的に対立する構造にあるが、2007年の段階
においては、中国は米国との直接対決を避け、東アジアにおける支配権を拡充する行動をとる。
米国は、ブッシュ大統領がイラクとイランに深入りしたことにより、国際政治における
影響を減退させるサイクルに入っており、新大統領がこのサイクルを脱するまで東アジアにおいても影響力が限定される局面が続く
このため、東アジアでは日本と中国の主導権を争うことにある。
本日、李登輝先生の靖国神社参拝が実現したように、安倍首相のスタンスは一見靖国参拝で中国に譲歩したようにも見えるものの、その実は中国の干渉を排除するものである。一方、日本の防衛省大臣よる米国のイラク政策への批判も公表されている。日本は変わりつつある。普通の国になる事で中国との主導権争いに勝利すべきである
中国の経済は日本のバブルや台湾やアジアをおそった通貨危機と同じ経済危機直前の様
相を呈している。
2.質疑応答のメモ
Q 渡辺利夫先生
中国の経済危機に際して農民と農村の疲弊については
A 李登輝先生
農民の所得の問題と地域間の格差の2つの大きな問題が存在する。
農民の所得の問題に際しては、中国共産党政権は土地の私有を認め始めている
地域間の格差については、有効な対策がとられていない
Q 櫻井よしこ先生
靖国問題や歴史認識にみるように中国は度々、前言を身勝手に翻し、約束を一方的にねじ曲げるが、私たちはこのような中国をどう理解しどうつきあえばよいのか
A 李登輝先生
中国の歴史は一進一退の循環的停滞を繰り返し、中国人は自らを世界の中心=中華と称し、中国人と見なした王朝が過去に支配したエリアを固有の領土と称する。このような拡張主義的な固有の領土という発想は中華民国憲法にもみられるし中国人は子供のころから、そのような発想を教育され刷込まれている。
(このため、対等で、約束を守るべき相手として他者をみることができない、という主旨だと思います)このため、中国では道義が廃れるが、石平先生が中国で見失われた孔子の教えが日本に息づいていると感嘆したように、日本には道義が息づいている。その日本の常識では中国を理解できないし、中国に対応してはいけない。中国人を理解できるのは中国人である。
この一進一退の循環的な停滞を脱するためには、精神の根本から変えることが必要であり、中華民国総統として私は民主化を進めた。(中華民国国民という意味での)中国人にも民主主義は運営できたのである。中国人にも民主主義は運営できる。中国が他者を対等な存在とみとめ約束をまもるようになるには、精神の根本からかえる必要がある。
→李登輝先生の発言を敷衍すると中国人が約束を守り信頼されるようになるのは、中国の民主化が必要となるのかもしれません
Q 中島学長
本日、念願の靖国神社参拝をなさった訳ですが。
A 李登輝先生
私の父は12年前98歳で亡くなりました。兄を愛するあまり、父は生涯、兄の死を信じませんでした。父が兄の死を受入れない以上、私の家には、位牌も遺物もありません。
本日は兄が合祀されている靖国神社を参拝することができ、積年の思いを遂げることができました。
記者会見でも申し上げましたが、靖国神社参拝は私の個人として兄に対する思いによるものであり、政治的なものでもなく、歴史認識に関わるものでもないのです。
(このあと激しい拍手がつづきました)
中島学長:我が国は李登輝先生に何度でもおこしいただける国でありたいと思います。本日は大変すばらしいご講演をいただき、まことのありがとうございした
中島学長による謝辞とともに、李登輝先生に評論家の大宅映子さんから花束が贈呈され、奥様に日下公人先生から花束が贈呈され、講演が終了しました。
聴衆の皆さんは講演に大変感銘をうけ、李登輝先生がお兄様の眠る靖国神社に参拝できたことを喜び盛大な拍手を贈っていました。
『台湾の声』 http://www.emaga.com/info/3407.html
『日本之声』 http://groups.yahoo.com/group/nihonnokoe
(Big5漢文)