「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
「60年ぶりに兄の冥福を祈ることが出来た。靖国神社に感謝したい」
李登輝前総統が実直に心境を語った
7日夕刻から、今度は虎ノ門のオークラホテルが異様な熱気に包まれていた。
開場の一時間以上も前から広いロビィを人々が埋め尽くしていた。
参回目の来日で念願の「奥の細道」を辿られて、秋田では講演もこなされて6日に一度、帰京。
6月7日の朝、靖国神社の参拝をすまされ、そのあと、台湾と縁の深い拓殖大学を訪問、大学幹部と昼飯をご一緒された。
そして休む閑もなく、会場に駆けつけられた。
靖国参拝について李登輝前総統は、
「わたしの兄(李登欽)は、昭和二十年に、フィリピンで戦死したが、
父は兄の死を信じていなかった。
父は十二年前に96歳で天寿をまっとうしたが、最後まで兄が戦死したと
信じておらず、したがってわが家には位牌もなければお墓もなかった。
父がそういう立場である以上、わたしは兄に対してなにも出来なかった。
でも靖国神社には合祀していただいており、わたしは人間として、弟として、
やっと冥福を祈ることが出来た。
私自身はクリスチャンであり、今度の参拝はマスコミの方にも申し上げた
ように、わが家の家庭の事情によるもの。
政治的歴史的な解釈はしないで頂きたい」
と述べられた。
こうして60年ぶりに念願を果たした李登輝博士ご夫妻を歓迎する宴にはぎっしりと1400名。これにマスコミ人が100名以上。オークラの平安の間が立錐の余地がないほどに、参加者の列が続いた。
国会議員も数多く、著名人もたくさん来会された。
歓迎パーティの前に一時間半の講演があった。 (講演要旨は次号で)。
中嶋嶺雄学長の司会、質問は渡部利夫(拓殖大学学長)と評論家の櫻井よし子さんに振られた。
講演後、ご夫妻に大宅映子さんと日下公人氏から花束の贈呈。歓迎の宴は塩川正十郎氏の乾杯の音頭で開始され、懇談に移った。
余談ながら小生が会場で立ち話が出来たのは平沼赳夫、小田村四郎、黄文雄、黄昭堂、許世楷、古屋圭司、沢英武、加瀬英明、田久保忠衛、村松英子、藤井厳喜の各氏らだった。
ほかにも多くの知己がいたが、満員の会場。次の予定のため、八時過ぎには会場を出た。
○◎み◎や○○ざ◎き◎◎ま◎さ◎◎ひ◎ろ○◎
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<< テレビニュース 寸評 >>
李登輝氏の靖国参拝を「訪問」と第一報を流し、その後「参拝」に修正報道した朝日新聞だが。
同日のテレビは?
NHKは朝十一時のニュースでトップ扱い。社務所へ入る場面を上空のヘリコプター画像とともに映しだしたが、民衆の歓迎風景をほとんどカット。日の丸の小旗は画面の片隅に一秒ていどだけ。「中国政府の反応はいまのところありません」と余計な一言。
日本テレビは十一時半のニュースで二番目に報道した。
日の丸と台湾の旗をふって歓迎する民衆で境内がこみあう風景もちゃんと映し出していた。
フジテレビも参番目あたりで報道、ひどいのはTBSで、交通事故、コムソンのあとに報道したうえ、「中国外務省の強い抗議をまねこう」などと勝手な思いこみの観測記事をまぜた。
しかし、無視するより大きく扱った、今回の日本のマスコミの対応は、国民の歓迎ムードという環境の変化に敵対する記事を書けなかった証拠でもあろう。
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(読者の声1) 『TIME』誌アジア版(6月11日号)の28ページに驚くべき記事がでています。
「In the Shadow of 1967」と題する昭和42年にあったイスラエル対エジプト、シリア、ヨルダン連合軍の六日間戦争とその現在における痕跡に関する記事です。
オマールという当時9歳であったパレチスナ人の人生を語りながら、パレスチナの現状を描くと言う趣向です。
パレスチナ人を暗示的にあからさまにもあしざまに書く『TIME』誌の通例と異なり、この記事ではオマールしが驚くほど好意的に描かれています。最近の中国のスーダンでの活動に対する非難等、米国の世論を動かしているものたちの風向きが少し変わってきたようにも感じます。
(ST生、神奈川)
(宮崎正弘のコメント)『TIME』が牢固なる保守から、ややリベラル混じりの、グローバルな保守の論調に変わっているのは事実ですが、反日の基調は昔の基本路線をまだ踏襲している気配が濃厚です。
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(読者の声2) 昨日の李登輝先生の講演を拝聴しながら、何度も何度も頷きつつ、いやはや、これは宮崎先生の世界情勢分析とほぼ同じパラダイムで、情勢を把握されていると思いました。
イラクの泥沼における米国の後退とイランの台頭、その間隙をぬっての中国とロシアの復活という分析など、宮崎さんの『2008 世界大動乱の予兆』に書かれている予測と、まったく同じではありませんか?
という文脈で、二重に感動しながら李総統の講話を拝聴しておりました。
(YT生、世田谷)
(宮崎正弘のコメント) 小生は前列参番目で聞いておりました。お隣りが稲田朋美、古屋圭司両代議士、うしろに櫻井よし子さんと渡部利夫学長がおられました。
李さんの講話は、次号に記録を出しますが、小生自身の世界情勢分析を確認しつつ、ひとつだけ不満だったのは、中国の金融危機に関して米国との危機対応への連携におふれにならなかった。
そこで質問をしようと思いましたが、御覧のように中嶋嶺雄先生は、渡部さんと櫻井さんに質問者を限定されましたので、果たせませんでした。
月末に台湾でお目にかかる予定ですので、そのときに改めて伺おうと考えております。
もうひとつ、蛇足ながら驚いたのは李総統の講演の中に、石平氏の著作からの引用があったことで、日本の論壇の動きにかくも敏感で、旺盛な読書欲にも感動させられました。
いずれにしてもご指摘ありがとうございます。
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((( サイト情報 )))
ブッシュ大統領と安倍首相に報告される「日米投資イニシアティブ報告書」。
(1)日米それぞれの外国からの直接投資の現状、日米間の討議内容や合意点などについて書かれている。米国国務省の報道発表 (Media Note)
http://www.state.gov/r/pa/prs/ps/2007/jun/86096.htm
(2)「成長のための日米経済パートナーシップ」- 2007年日米投資イニシアティブ報告書。U.S.-Japan Economic Partnership for Growth: United States-Japan Investment Initiative 2007 Report、Released by the Bureau of East Asian and Pacific Affairs, U.S. Department of State、June 2007
http://www.state.gov/p/eap/rls/rpt/2007/86082.htm
(3)「成長のための日米経済パートナーシップ」(日本語訳)
http://www.meti.go.jp/press/20070607001/070606_houkokusho_kariyaku.pdf
(編集部より) 「宮崎正弘のホームページ」は全面的に更新中です!
http://miyazaki.xii.jp/kiezai-yosoku/index.html
<< 宮崎正弘の近刊予告 >>
『世界新資源戦争――中国、ロシアが狙う新・覇権』
世界の新しい資源地図を精密な地図を附録に、資源戦争の実態を網羅。
(30日に全国主要書店、一斉発売、定価1680円。阪急コミュニケーションズ刊)。
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<< 宮崎正弘のロングセラーズ >>
『2008 世界大動乱の予兆』 (並木書房、1680円)
『中国から日本企業は撤退せよ!』(阪急コミュニケーションズ刊)
『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店刊)
『出身地でわかる中国人』(PHP新書)
『中国よ、反日ありがとう』(清流出版)
『朝鮮半島、台湾海峡のいま、三年後、五年後、十年後』(並木書房)
『拉致』(徳間文庫)
平成19年(2007年) 6月8日(金曜日)
通巻第1827号
宮崎正弘の新ホームページ http://miyazaki.xii.jp/
以前の場所から移動しております。ご注意ください!
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李登輝前総統は、クリスチャンだけど、家の事情で
お兄さんのお墓はないので、靖国神社に行ってお兄さんを
しのんできたのだと思う。それを訪問というのか参拝というのかは、
分かりませんが、政治的歴史的な解釈はしないでほしいと
言っておられるので、そっとしておいてあげてほしい。
ニュースのたびに、「チュウゴクの反発は必須」だとか、
「チュウゴク外務省の強い抗議をまねこう」などと、いちいちチュゴクの
ことを言うなよと思う。日本は、独立国でチュウゴクの属国でも
なんでもないんだからね。
いつも宮崎氏のメルマガにコメントをよせる(ST生、神奈川)は、
キリスト教やユダヤ人を嫌っている人のようだ。
普段からパレスチナ人を暗示的にあからさまにもあしざまに書く
『TIME』誌を嫌っているらしい。この人は、以前、キリシタン大名や
ポルトガル・スペインの宣教師のことを、あしざまに書いていた。
キリシタン大名だって、日本人なんだし、商人に火薬と交換するために
奴隷を売ったのは、宣教師ではなくて、日本人の大名なんだから、やたらと
宣教師を憎むのはどうかと思う。宣教師コエリヨも、秀吉に、
「奴隷を売る大名を厳しく取り締まってください。
売る人がいるから、買う人が出てくるのですから。」と言ったのだが、
その答え方が、秀吉の怒りをさらに増したそうだ。
言っていることは正しいのだけど、秀吉は外国人の商人をまとめようと
しない宣教師を憎んだわけだ。奴隷売買を止めさせろと、秀吉が言った
時に、「はい。」と言っておけばよかったのだが、外国人らしい答え方が
いけなかった。コエリヨは、あんまり日本人を理解していなかったようだ。
宣教師たちは、宣教の妨げになるので、商人たちに奴隷の売買を止め
させて欲しいという手紙を書いているのだが、宣教師たちは、
あくまでも宣教の仕事がメインで、奴隷を売りたい日本の大名や、
火薬を売る商人たちを規制する力は無かったのだろう。
九州の大名たちも、戦国時代だったから火薬は喉から手が出るほど
欲しかっただろうし、戦いで負かした相手の領地の住民を奴隷として
売るのは、別段抵抗はなかったのだろう。宣教師たちは、日本の大名が
奴隷を売りたがる様子に驚いているが、当時の西洋人は、奴隷売買を
普通に行っていたので、それが悪いことだという意識は薄かったのだと思う。
秀吉は、同胞を外国に売るのは悪いことだと、ちゃんと分かっていたので
コエリヨに会った時に文句を言ったのだが、コエリヨは、秀吉を怒らせて
しまった。秀吉はコエリヨに会った後、直ぐにキリシタンの排斥を始めた。
当時は「西洋人と言えばキリシタン」だったので西洋人と、仏教徒ではない
日本人を全部排除したかったのだろう。現代の日本人も、西洋人と言えば
キリスト教だと思っているようだ。アメリカに行った友達によると、
一般のアメリカ人は「何を信じていますか?」と聞くと「キリスト教」だと
言うが、ちゃんと話を聞くと、ゼンゼン教会にも行っていないし、個人的に
イエス・キリストを信じているわけでもないそうだ。
子供の時に、親に連れられて教会に行ったというだけで、自分は
キリスト教だと言っているだけで、本当に信じてはいなくて、進化論を
信じていたりする。本当に信じている人は、日曜日に教会に礼拝に行く。
アメリカのクリスチャンを日本人はキリスト教原理主義と呼ぶそうだが、
カトリックの迫害から逃れて新大陸に渡ったピューリタン(清教徒)の
子孫がアメリカ人になったのだから、アメリカにはヨーロッパのカトリック
よりは、ずっと聖書的な教会が多い。しかし、宗教の自由があるので、
変な異端やオカルトもたくさんある。州全体がモルモン教というところも
ある。自由がありすぎるのも、大変なことで、アラブ人のテロリストも自由に
大型の飛行機の操縦を学んだりしていたし、アルカイダのテロリスト
キャンプのあったアフガニスタンへの出入りを繰り返していたそうだから、
ちょっとぐらいは規制があったほうが、安全な国になるのだと思う。
怪しいアラブ人を監視するのは、正しいことだと思う。
自衛隊が、自衛隊の活動を積極的にジャマする個人や団体を
監視するのも、法律に照らし合わせても正しいことなのだ。
日本は、自由すぎたアメリカをマネする必要は無い。安全な国である方が、
自由で危険だらけな国になるよりいい。チュウゴク人研修生の半分が
日本で行方をくらませているのだから、チュウゴク人研修生を入れるのは
止めてほしいと思う。また、人身売買で売られたと自ら言うチュゴク人女性を
調べもしないで、日本のビザを出すのも止めてほしい。