食の安全学(ぺきんこねたブログ)より | 日本のお姉さん

食の安全学(ぺきんこねたブログ)より

ようちゃん、お勧め、北京趣聞博客(ぺきんこねたブログ)より
■すこしまえ、北京市朝陽区の住宅の水道から、糸くずのような虫が出た、という事件が話題になった。千匹くらい水といっしょにどどっとでたみたいだ。写真をみたところ線虫みたいだ。ねずみの糞などに寄生しているヤツだ。線虫だったら、まちがって飲むと髄膜炎などになって大事であるが。


■正直いって、中国では驚くほどのことではない。北京では二年前も同様の事件があった。私自身、98年に上海復旦大学に留学中、学生寮の水道水から、全長2㌢の糸くずのような虫がいっぱい出てびっくりしたことがある。最初、洗濯物の糸くずかな、と思って気にせずつかっていたら、その糸くず、生きている!ボウフラのように浮いたり沈んだりして動いているではないか。学校側に文句をいったら、次の日給水タンクを掃除していた。給水タンクの継ぎ目などから、ガガンボ(蚊のでかいやつ)が入って卵をうみ、それがタンク内でどんどん繁殖してしまったのだと。中国ではよくあるはなしとはいえ、タンク内の様子を想像して、とりはだがたった。


■北京(だけではないが)で水道水は煮沸しないと飲めない、というのは常識であり、水槽タンクに線虫やボーフラ(特大)が繁殖したとて、まあ、気持ちわるい、ですむが、こういった虫が、水産品やつけものに含まれているとしたら、これはただごとではない。今回のエントリーは、食品の寄生虫汚染をテーマとする。


■なあに、かえって免疫力がつく?まさか!
160人以上の被害をだした北京のタニシ線虫
肺吸虫病、肝吸虫病は全国にそれぞれ1200万人

グルメブームで増大する食品寄生虫汚染の危機



■昨年夏、北京市の蜀国演義酒楼というレストランで出された福寿螺(スクミリンゴガイ、ジャンボタニシ)を使った前菜を食べた人がつぎつぎ髄膜脳炎を起こした。原因は、福寿螺に寄生していた「広州管圓線虫(広東住血線虫)」。貝料理は火を通すと硬くなってまずいので、火加減が大事なのだが、しっかり過熱されずに寄生虫が生き残っていたのだな。


■この線虫は、ドブネズミなどの体内に寄生する成虫にして2㌢ていどの虫で、その幼虫はねずみの糞にまじって外にでる。福寿螺などの貝が、このねずみの糞をたべ、中間宿主になり、この貝などを人がたべたとき、その幼虫は、胃や腸の壁をつきやぶり、血液やリンパ液の流れにのって身体中をめぐり、中枢神経部分にあつまる。で髄液をつたって頭蓋に侵入して、脳みそを食べる?そうだ。このとき、ものすごい頭痛に、発熱、顔面マヒ、痙攣、昏睡などの症状がでて、ときには死んでしまう。こ、こわい!!


■この寄生虫病の集団発生は北京ではじめてといわれ、当時、私をふくめ、タニシ好きには衝撃がはしった。福寿螺の唐辛子炒めは数年前から、北京っ子の間で大流行している南方料理のひとつで、私も大好物。8月18日、北京市衛生当局は市内で福寿螺料理をたべて線虫病にかかった23人が入院中、と発表し、最近、福寿螺をたべて皮膚がむずむずする、くびが肩こりみたいに硬くなる、など自覚症状がある人はすぐさま病院へGO!と警告を発した。虫が血管などを通ってからだを異動するのでむずむずするし、それが最終的には髄液をつたって首をとおるから、首が凝るそうだ。


■この発表のとき、私は10日くらい前に福寿螺料理を食べたばかりだったので青くなった。線虫病もこわいが、病原菌と誤診の巣窟、北京の病院にいくのも別の意味で恐い。潜伏期間の10日がすぎても、なにも変化がなかったからよかったけれど、中国では日常生活の中にこんな風に危機が潜んでいる。


■2006年9月29日の北京市衛生当局の発表によると、この北京タニシ線虫病集団発生は、最終的に感染者160人、25人が重症、53人が中等症。幸い死者はなかった。29日段階で全員が退院している。貝も虫も本来北京のような北方に生息するものではないから、寄生虫病の大流行の心配はない、と衛生当局は力説していたが、本当かなあ。


■レストランによれば、この福寿螺、ちゃんと食品としての「合格証」がついていた。しかし、その後の調査発表で、福寿螺1匹に3000から6000の線虫の幼虫が寄生していたことが判明。あれいらい、タニシブームはすっかり火がきえている。このレストランは被害者118人から慰謝料を請求され、すでに計300万元を支払っている。


■ちなみに、原因食材の福寿螺、もとは80年代に南米からきた外来生物で、中国人にとっては農作物を食い荒らす敵だった。で一生懸命、退治したが、捨てるのはもったいないと、たべてみると意外においしい。で、中華料理として定着。外来の有害生物も中国人にかかれば、ひとたまりもないな、とおもっていたが、さすが生命力、繁殖力が群をぬいてたくましいジャンボタニシ、だまって食われてはいなかったわけだ。


■中国の寄生虫汚染は、タニシだけではない。高級食材の上海がには肺吸虫汚染の危険がある。上海ガニは蒸して食べるのが一般的だが、ツウは「酔蟹」(生の上海がにの紹興酒づけ)がたまらないという。本来、上海がにの産地・江蘇省や上海あたりの金持ちらの特権的な食べ方だが、最近の全国的な三流グルメ指向により、この料理は全国の上海料理店、江南料理店でけっこうやすくで食べられるようになった。その結果、広東や上海など水産物の生食の習慣がある一部地域に流行していた肺吸虫病(肺ジストマ症)が全国区の病気になっている。


■2007年1月27日の新華社(電子版)によれば、寄生虫感染被害がもっともひどいのは、肺吸虫感染で、全国で発症例は1200万人にのぼると、中華医学会寄生虫分化会の余新炳・副主任は指摘している。


■肺吸虫とは、成虫1㌢前後のレモン型の虫で、中間宿主はカニやえび、魚などの水産物。食べると、肺に移動し寄生、血痰など結核に似た症状がでて、結核に間違われる場合も多い。ひどくなると胸水がたまったりするし、ときには血液の流れにのって脳にはいって髄膜炎もおこすのであなどれない。



■つけもの類も要注意だ。2005年秋、韓国の検疫当局が中国産キムチから生きた寄生虫の卵が検出し回収さわぎがあったのも記憶に新しいが、ハルビン市では「蘸醤菜」とよばれる野菜の醤油漬けによる、嚢虫感染が急増している。


■2007年1月、ハルビン市の九三学社(中国特有のなんちゃって野党みたいな政治連盟)が発表した調査報告では、ハルビン医大第二付属病院に毎年収容される寄生虫病は2000~3000人だが、そのうち90%が脳嚢虫症で、原因は不潔な蘸醤菜だというケースが近年急増しているという。


■脳嚢虫症とは、嚢虫(有鉤条虫の幼虫)が、血液をとおって脳にいき、脳腫瘍みたいな塊になる病気。有鉤条虫は豚などに寄生しているが、その糞とともに卵が外にでて、土壌を汚染したり野菜についたりする。中国の農村では豚を飼っているところが多いから、野菜への汚染も結構おおいのだ。


■同病院の脳外科医、葉偉教授の説明によると、昔みたいに病死の豚を食べて嚢虫に感染するケースは、衛生意識の高まりで減ったが、食品の「純天然」の間違った概念追求が、逆に嚢虫感染のきっかけになっているという。つまり、化学肥料でなく、家畜の糞尿を肥料にした「純天然」「緑色」野菜なら、生食OKみたいな誤解があるわけだ。確かに、残留農薬や化学肥料で、舌がぴりぴりするような野菜は、生食や漬け物にむかないけれど、家畜の糞尿肥料を利用するなら、よっぽど、きちんと洗わないと。


■こんなふうに、寄生虫問題は、中国人にとってきわめて日常的、身近な食品リスクなのだ。そして、信じられないことだが、中国の食品の寄生虫汚染は、90年代にくらべると、経済も衛生観念も発達したはずの今の方がいっそうひどくなっている。中国医学論壇報(2006年9月18日付)がつぎのように報じている。


■中国衛生省が2001年6月から2004年末までに全国31省・自治区・直轄市で展開した「人体重要寄生虫病現状調査」によると、寄生虫病は肝吸虫(肝ジストマ症)、肺吸虫(肺ジストマ症)、嚢虫病、旋毛虫病、弓形虫病などが食源性が大多数をしめていた。1990年の一回目の同様の調査と比較すると、肺吸虫の感染率は75%上昇し、条虫感染率は52・47%上昇している。


■北京熱帯病研究所の寄生虫病専門家の甘紹伯教授は、「寄生虫病の流行は昔は農村だけだったが今は都市部に徐々に移行している。2005年にもっとも肺吸虫の感染率が高かったのは上海市と重慶市」と指摘。また本来、南方の病気だった寄生虫病が北部に移行する傾向も目立ち、患者も昔のような貧困者だけではなく、金持ちに増える傾向があるという。


■つまり、これは生食など海外の影響をうけた新しい食習慣が都市の金持ちの間に流行したこと、飲食上の新しい試みの追求に、食品検疫作業や寄生虫対策がおいついていない、状況が背景にある。
(以上)

■広東人には生魚を食べる習慣があり、雲南人は、生豚肉を食べる習慣があるが、中国のほとんどの地域では魚も肉も野菜も生食の習慣はなかった。みんな、熱々の油でよ~く加熱してたべる。しかし、経済が発展して金持ちが増え、情報網が発達し、日本食のすし・さしみブーム、生野菜のサラダブーム、韓国料理のユッケなど、都市部に、先端のグルメ文化が開花した。「酔蟹」に、福寿螺、南方の一部の人しか食べなかったものが、今は全国で食べられている。野菜の生食は、化学肥料や農薬の多用から、糞尿堆肥中心の栽培による「純天然」「緑色」野菜ブームを起こした。だが、そのグルメブームの急激な広がりに、品質管理が追いついていない。


■日本人はけっこう昔から全国的にすしや刺身、つけものを食べてきたが、それは圧倒的に生活習慣が清潔で、衛生観念が発達した、きれい好きな民族であったから問題なかったのだ。食というのは文化だから、その国の国民性にあった料理というものが発達してきた。衛生観念の基準が全く違うのに、料理法だけまねするのは、やはりダメなのね。


■13億人口のうち、三流グルメの金持ちが1~2割だとしても、日本人口よりははるかに多い。上海ガニ含む、えび、かになど高級魚介類市場を満足させるだけの供給量は、かなり無茶な過密な養殖法でないと間に合わない。こういう状況だと寄生虫汚染が広がりやすいのだが、これが危険だ!とさわぐと、こんどは抗生物質や殺虫剤をがんがん使う傾向になる。食品の高級志向と残留抗生物質問題と寄生虫問題は、かなり密接な関係がありそうだ。


■最近の食の安全問題は、貧しいものたちにしわ寄せがいく食の格差問題も引きおこす傾向にあるが、寄生虫問題は、比較的豊かなの三流グルメたちも直撃する。ちなみにわざわざ「三流」をつけたのは、中国のスーパーリッチは、日本風のさしみを食べるにも仙台産のあわびや、下関のふぐなど、世界でもっとも安全で高級な天然食材をおとりよせするから、寄生虫や抗生物質汚染とは無縁なのだ。危険にさらされているのは、あくまでちょっと金持ち、一億総勢中流の日本人レベルの金持ちである。


■さて、日本に輸入される水産物や野菜が、寄生虫に汚染されているはずはないと、私は信じている。だが、中国の寄生虫汚染の背景にある、三流グルメブームの問題は日本人も考える必要があるのではないだろうか。おいしいものを毎日たべたい、他国の料理文化を堪能したい、というあくなき欲望そのものに、食の安全を脅かすさまざまな要因が入り込むすきがある気がする。


■最後に、参考までに中国のハイリスク寄生虫を列挙。中国にあそびにくるときは、あまりへんな食べ物にチャレンジしないでね。それとよく火のよく通っていないものは食べない方が懸命だと思う。


①広東住血線虫。タニシ類に多い。酔螺(タニシの紹興酒づけ)などあぶない。ただし摂氏70度以上 5分の加熱で無害化できる。

②肝吸虫。淡水魚の生食は要注意。北京郊外に、紅鱒魚をいけすからあげて、目の前で刺身にしてくれる店が多いが、あんまりおすすめしない。さしみは、海鮮にかぎる。それも日本人が経営管理している日本食レストランを選んだ方がベター。肝吸虫は慢性胆嚢炎、肝炎をひきおこし、ひどいときは肝硬変に。2005年の衛生省発表の喫緊の調査結果では肝吸虫病発症者は1249万人。

③肺吸虫など。淡水甲殻類(上海がになど)に多い。上海がに、北京の鬼街で人気のザリガニ料理など、要注意。火をよく通せば大丈夫なのだけど、ときどきザリガニ料理は火がとおっていないこともある。肺に入り込むと肺結核風の症状がでるが、肝臓、腹腔、中枢神経、皮膚などにも入り込んで、いろいろな症状をおこす。上海市では酔蟹による肺吸虫病患者が1997年以来1000人をこえている。

④嚢虫(有鉤条虫)。豚などに寄生する。豚肉の生やけに注意。あと家畜の糞などから野菜に卵がついていることも。で、キムチなど漬け物が嚢虫の卵に汚染されるケースもある。身体中のどこでも寄生する。脳に寄生されると、脳腫瘍ににた症状がでて死ぬことも。目に寄生されると失明する。皮膚下に寄生されたばあい、こぶ状になってうごめくのがわかる。いや~ん。零下12度以下で12時間以上冷凍すると無害化できるので、私は豚肉を買うときは冷凍ものを買っている。


⑤弓形虫(トキソプラズマ) 豚など家畜に寄生して、その肉の生焼けから感染することが多いが、最近は都市部のペットブームで、ペットから感染する例もある。妊婦さんが感染すると、胎児の奇形や早産など異常出産をひきおこす。ペットにやるエサもきちんと加熱しよう。


⑥姜片虫(肥大吸虫) 豚と人の腸に寄生する。人にはなぜか水性植物の「菱(中国語で菱角)」や「れんこん」などで感染する。あと地方の生水も注意。菱の実のゆでたのが、街角でうられているが、それを食べるときは、よくあらい、皮はきれいにむいてたべよう。虫は大きくなると7㌢くらいになり、腹痛、下痢などの症状をおこし、ひどい場合は潰瘍になる。


⑦旋毛虫。豚肉の生焼け、半生加工肉に注意。筋肉痛みたいな傷み、まぶたのはれ、脱力感などの症状がでる。ひどいときには、心不全なども併発するそうだ。中国では1964~2005年までに、571回の旋毛虫病の流行があり、24936人が発症、238人が死亡している。

⑧マンソン裂頭条虫。幼虫がカエル、ヘビなどの血液に寄生。だから、広東料理でヘビの生き血や胆汁を白酒でわって飲むのは、ほんとうにあぶないです。本気でおなかにサナダムシ飼うつもりなら別だが、すすめられてもことわろう。カエル、ヘビによるマンソン裂頭条虫の感染例は昨年末の新聞報道によれば、23省で632例報告されている。寄生されても多くが無症状だからもっといるような気がする。皮下に寄生されると腫瘍状に、脳に寄生されると脳腫瘍状態、目に寄生されると失明だ。


気持ち悪い写真、みたいならクリック↓
http://gd.news.sina.com.cn/local/2005-12-28/2038432.html
http://news.sina.com.cn/c/2006-08-29/09039876978s.shtml

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ようちゃんの意見↓
★こんな野蛮な未開国でオリンピック開催など悪い冗談です!

日本のお姉さんの意見↓

チャイナだけではなく、アジアでの川魚の生食、エビ、カニ類の

生焼けの料理は、寄生虫に注意しないと危ないのです。

寄生虫に関する本を読んだことがあるけど、

海外で生焼けのものを食べて日本に帰ってから

原因不明の病で死ぬ人がいるけど、大抵寄生虫にやられて

いるんですよ。イギリスはチャイナの大気汚染が恐いから

オリンピックのときは、ぎりぎりまで大阪に待機して、

3日前に北京に入るそうだ。日本のオリンピック選手もそうしたら?