ちょっと古いニュースです。
産経新聞
中国支援に携わってきた厚生労働省OBらの一団が上海にやってきたこ
とがある。民間中小企業が多い浙江省で機械作業中に指切断など労災事
故が絶えず、特殊な手袋の提供方法などを検討するための視察という話
だった。その歓迎会でたまたま隣に座った案内役の中国人が「実は…」
とちょっと意表を突くような話を始めた。
「いま、中国で操業中の炭鉱は2万5000あるはず。だが、まともな安全
管理、環境整備ができる認可炭鉱は3000ぐらい。しかも未認可の違法炭
鉱は中小が多く、手で堀ったような細い坑道が縦横に走り、劣悪条件の
中で年に1万人も死んでしまうんです」
この人はかつて中国政府で労働安全管理を担当したことがあり、職務で
ときおり訪れる炭鉱の町で、気の荒い炭鉱夫らから狭い坑道に一緒に入
るよう強要されるなど鉄火場のような雰囲気を熱心に話した。
中国はいま、前代未聞の石炭ブームになっている。改革開放が加速する
とともに深刻な電力不足に見舞われ、各地方政府はこぞって発電所建設
に乗り出した。その結果、石炭大量消費時代が始まったからだ。
世界最大の産出国なのにオーストラリアなどから輸入しなければならな
いのは供給が間に合わないためで、先ほどの元労働安全管理担当者によ
れば、農民が隠し持ったダイナマイトを使って露天の採掘に精を出すほ
どだそうだ。
同様のことが何と発電所建設でも起きている。
採炭地に近い内モンゴル自治区で約29億元(約435億円)をかけて建設中
だった新豊発電所で2005年7月、巨大なタービンが倒壊して作業員6人
が死亡する大事故が起きたが、事故調査に乗り出した結果、実は建設そ
のものが違法ということがわかったのである。
米紙ウォールストリート・ジャーナル・アジア版(昨年12月28日)によ
ると、新豊発電所のように中央政府の承認を得ずに地方政府が建設を見
切り発車するケースは年々、増えており、いまでは中国の全発電所の5
分の1が違法操業だそうだ。この違法発電所だけですでに英国全土を明
るくするのに十分な電力をまかなえる。
違法炭坑に違法発電。日本ではちょっと考えられないような中国の石炭
事情だが、その違法性に今度は強請たかりのニセ記者さえ群がってくる。
先月末に始まった「蘭成長殺害事件」公判で、地元紙「中国貿易報」記
者を鉄棒で殴り殺した違法炭鉱オーナーの侯振潤や炭鉱夫たちは実はニ
セ記者に脅されていた“被害者”でもあったことが明らかになりつつあ
る。
殺された蘭成長は35歳。小卒後、さまざまな職を転々とし中国貿易報の
調査員として雇われるまで違法炭鉱の貯蔵庫番で生計を立てていた。
調査員というのは、広告取りや部数拡張を主な仕事にしており、給与は
月1000元(約1万5000円)。今時の農民工でさえ文句を言いそうな薄給
だが、広告取りや拡張という“脅し”で年30万元(約450万円)もの収入
があったそうだ。
蘭成長は殺される直前、「ちょっと行けばすぐ1000元」とうそぶいてい
たと同僚が証言していたのである。
こうした混沌の中で今年に入って中国では大規模事故が増えている。
上海証券報によれば、4月までの4カ月間に事故死者は3万753人に
のぼり、うち30人以上死亡という重大な炭鉱事故は昨年比9割増という
驚異的な数字が明らかになっている。
改革開放で解き放たれた中国の爆発的エネルギーは収拾がつかない
ほど混とんとしているような気がする。(【千変上海】前田徹)
(Sankei Web 2007/05/15 07:54)
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慰安婦「契約の下で雇用」
米陸軍報告書、大戦時に作成
【ワシントン=古森義久】日本軍の慰安婦に関して戦時中に調査に当た
った米国陸軍の報告書に女性たちは民間業者に「一定の契約条件の
下に雇用されていた」と明記されていることが判明した。
同報告書は「日本軍による女性の組織的な強制徴用」という現在の
米側一部の非難とはまったく異なる当時の認識を明示した。
「前線地区での日本軍売春宿」と題された同報告書は米陸軍戦争
情報局心理戦争班により第二次大戦中の1944(昭和19)年9月に
作成され、米軍の「南東アジア翻訳尋問センター」の同年11月付の
尋問報告に盛りこまれていた。
73(昭和48)年に解禁され、近年も日米の一部研究者の間で知られて
きた。
当時の朝鮮のソウルで金銭と引き換えに徴募され、ビルマ北部の
ミッチナ(当時の日本側呼称ミイトキーナ)地区の「キョウエイ」という
名の慰安所で日本軍将兵に性を提供していた朝鮮人女性20人と同
慰安所経営者の41歳の日本人男性が米軍の捕虜となった。
同報告書はこの男性の尋問を主に作成されたという。同報告書は「すべ
ての『慰安婦』は以下のような契約条件の下に雇用されていた」と明記
し、女性たちが基本的には商業ベースで「契約」に基づき、「雇われて」
いたという認識を示している。
同報告書はその契約条件について次のように記していた。
「個々の慰安婦はその総売り上げの50%を受け取り、無料の移動、
食糧、医療を与えられた。移動と医療は軍から供与され、食糧は
慰安所経営者が軍の支援を得て、購入していた」
「経営者たちは衣類、日常必需品、さらにはぜいたく品を法外な値段で
慰安婦たちに売りつけ、利益をあげていた」
「慰安婦の女性がその家族に支払われた金額を利子付きで返済でき
るようになれば、朝鮮への無料の帰還の便宜を与えられ、自由の身に
なったとみなされることになっていた。だが戦争の状況のために、この
グループの女性はだれも帰国を許されなかった」
「この日本人が経営した慰安所では女性1人の2カ月の総売り上げは
最大1500円、最小300円程度だった。個々の女性は経営者に毎月、
最低150円は払わねばならなかった」
以上のように、この報告書は慰安婦の「雇用」や「契約条件」を明記す
るとともに、慰安婦だった女性は一定の借金を返せば、自由の身になれ
るという仕組みも存在したことを記し、「軍の強制徴用」とか「性的奴
隷化」とは異なる認識を当時の米軍当局が有していたことを証している。
(Sankei Web 2007/05/18 03:34)