中国政府が約3630億円を米投資会社最大手のブラックストーン・グループに出資
中国政府が30億ドル(約3630億円)を米投資会社最大手のブラックストーン・グループに出資する。この投資会社が20日に発表した。中国側の出資比率は10%未満となる見通し。中国は約1兆2000億ドルに上る外貨準備を安全な米国債を中心に運用しているが、リスク性資産への積極投資に道を開くことになる。
米中両国は22、23両日に、両国の経済問題を包括的に話し合う戦略経済対話を控えており、対中貿易赤字の拡大や人民元改革に対する批判を、対米大型投資でかわす狙いもあるとみられる。
中国が取得するのは議決権のない株式で、中国政府が近く設立する投資会社を通じて出資する。4年間は売却しない契約で、その後は1年で10億ドルずつ売却できる。
ブラックストーンはニューヨーク株式市場で40億ドル規模の株式公開を予定しており、中国の投資会社は公開後、売り出し価格の95.5%に当たる金額で取得する見通し。
合意について、ブラックストーンのシュワルツマン最高経営責任者(CEO==Chief Executive Officer)は「米中の資本移動拡大に向けた重要な第一歩になる」と述べた。
ブラックストーンは自動車大手ダイムラークライスラーの北米部門クライスラー・グループの買収に名乗りを上げたほか、アジアでの企業の合併・買収(M&A=Mergers and Acquisitions)にも力を入れている。中国は外貨準備が世界最大規模に膨らみ、運用の多様化が課題となっていた。(ワシントン 渡辺浩生)
ブラックストーン・グループ 英語でBlackstone Group。 世界最大級の投資会社。1985年にシュワルツマン最高経営責任者(CEO=Chief Executive Officer)とピーターソン元米商務長官らが設立。今年3月にニューヨーク証券取引所への上場を申請した。不動産投資信託からロンドンのろう人形館まで、幅広い分野での買収戦略を展開。機関投資家や富裕層から集めた資金を企業買収を中心に投資、リストラなどで企業価値を高め、売却することで利益を上げる。上場後は資金調達が容易になるが、情報開示を厳しく求められるため、機動性が損なわれる懸念もある。(ニューヨーク 共同)
(えとき)
上海のホテルで人民元を差し出す両替担当者。経済発展の結果、中国には外貨が流れ込み、外貨準備は世界最大規模に膨らんだ(AP)