保険金不払いはなぜ起こる? | 日本のお姉さん

保険金不払いはなぜ起こる?

ようちゃんが、おもしろい記事を教えてくれました。

ニュースで「保険金不払い」が問題にされているが、どうして

そういうことになっているのか、さっぱり分からなかった。

ようちゃんのお勧めの記事でやっと理解できました。↓

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日経会員誌「保険金不払いはなぜ起きる?」

保険は加入することが目的ではなく、「支払われるべき時」にキチンと「支払われること」が目的で、私たちはそのために保険料を払っています。このことは簡単なようでいて、顧客・保険会社双方にとって難しいことが、多くの不払いや請求漏れの存在により明らかになりました。 まず、生命保険契約に関する保険会社側の問題点、顧客側の問題点を整理してみましょう。

【保険会社側の問題点】
(1)不安をあおり、安心のイメージだけで販売する
(2)契約内容の説明不足
(3)契約上のルール遵守が周知徹底されない
(4)請求漏れ・支払い漏れを防ぐシステムが構築されていない

【顧客側の問題点】
(1)曖昧な不安から、安心のイメージだけで安易に購入する
(2)契約内容の理解不足
(3)契約であることの重要性を認識しない
(4)「入っていれば安心」と請求時のことを考えない

このように整理してみますと、顧客・保険会社双方の問題点は、裏表の関係にあることが分かります。ただし、保険会社が商品の開発をし、保険金支払いの可否を決めるわけですから、情報の非対称性から言っても、顧客よりも大きな責任があることはもちろんです。実際にどのようなトラブルが発生しているか、具体例を挙げてみます。 「医師の診査が不要だから給付金は無条件で払われる」はウソ
例1 「医師の診査も告知も不要」ということは給付金も無条件で支払われると思った これはメリットばかりを強調し、デメリットをきちんと説明しないことによるトラブルです。給付金が支払われない「免責事由」は、顧客に交付される約款に記載されていますが、細かい字で読みづらく、専門用語が多く分かりづらいといった問題点があります。 ただし、給付金等の請求に対して、保険会社は何でも支払えばよいというものではありません。「支払い事由を満たしているか」と「ルールに則って正当に契約されているか(告知義務違反はないか等)」を審査し、支払いの可否を判断します。

保険はたくさんの契約者が保険料を出し合って支える「助け合い」の仕組みです。契約者間の公平性を保つためにも、保険金や給付金支払い時の審査は不可欠です。そして、適切に保険金支払いの可否を判断することが各保険会社のノウハウなのです。 保険会社は加入のメリットだけではなく、保険の仕組みや意義、契約上のルールなどを正しく伝える責務があると言えます。 告知義務違反をすると払った保険料は一切戻らない

例2 過去の病歴を告知書に書く必要がないと言われたが、告知義務違反を問われた
前述の通り、保険は助け合いの仕組みです。契約者間の公平性を確保するためには、助け合いの輪の中に入る人の危険度合いを一定範囲内に収めなくてはなりません。職業や健康状態の告知は、そのための判断材料となる重要なものです。

営業の人に話したことで告知したつもりになる方が多いのですが、本人自ら告知書に記入をしなくては告知をしたことにはなりません。 告知義務違反をした場合、保険会社は一方的に契約を解除することができます。解除になれば、それまでに支払った保険料は戻ってきませんし、保険金等の支払い事由が発生していても受け取れない可能性があります。

ただし、契約が2年間有効に継続した後は解除することができません(解除権の消滅)。この解除権の消滅を拡大解釈して、告知義務違反をしても2年経てば何でも保障されると思い込んでいる方がいます。

それを根拠に、営業の人が告知をしないように勧めることもあります。しかし、2年以内に入院などの給付金支払い事由が発生していると、2年経過後であっても解除できるといった例外規定が設けられているケースがほとんどです。 保険は契約であることを十分認識し、ルールを守って加入をしないと、支払われない保険金のために保険料を払い続けることになるかもしれません。

例3 保険金が支払われると思っていたのに払われなかった

 どんな時に保険金・給付金が支払われるかは、その保険の商品性そのものです。しかし、理解しているのは死亡保険金の支払い要件である「死亡した時」くらいで、生前に給付が受けられる商品の支払い要件については、ほとんどの人が知らないまま契約しているのが現状ではないでしょうか。

 生保会社で多くの不払いが判明した「3大疾病保障保険」はその代表的なものです(第1回参照)。

 3大疾病保障保険から保険金が支払われると、契約は終了します。今まで引き落とされていた保険料が落ちなくなるため(特約の場合は保険料が減額)、通帳を確認すれば本人に分かってしまいます。

 ガンになって支払い事由を満たし、家族が請求できることを知っていながら、本人にガン告知をしていないため、知られるのが怖くて請求できないというケースもありそうです。

 死亡保障市場が飽和状態であることから、3大疾病保障以外にも、「疾病障害保障」「介護保障」などの生前給付型保障目的での加入が広がっていますが、それぞれ支払い要件が定められており、それを満たさなければいくら医療費がかかろうが、介護費用がかかろうが給付は受けられません。そして、その支払い要件は細かく複雑です。

 「入っていれば安心」と思考停止するのではなく、「実際に請求できるかどうか」を具体的に考えることにより、「どういう時に請求できるか」、すなわち保険の商品性を吟味することにつながります。


通院特約は不要な特約だった

 トラブルではありませんが、不払い・請求漏れの中で最も件数が多いものが通院特約から支払われる通院給付金です。

 入院給付金を受け取れる入院をした後の通院を保障するもの(入院前の通院を保障するタイプもある)ですが、入院給付金のみを受け取って、通院給付金を請求していないケースが大量にあるようです

 そもそも忘れるような保障は必要なかったということです。ある保険会社が、入院給付金請求のあった人に、通院給付金の請求漏れがないかを調査したところ、通院はしたけれど手続きが面倒なのでいらないという人が思いのほか多かったそうです。

 通院1日につき3000円程度で、いちいち請求手続きをすることも煩わしいということでしょう。保険料というコストをかけてまで準備したいリスクかどうかを見極めることが重要です。


請求漏れになりがちなケース

 通院特約の請求漏れは、入院給付金の請求があったために表面化しましたが、全く請求手続きを取っていない場合は、給付金支払い事由が起こっていることすら分かりません。

 先述の3大疾病保障保険などの生前給付型以外にも、請求漏れになりがちなケースに手術給付金と保険料免除があります。

 生命保険に付いている入院保障の特約に、5日以上の継続入院を保障するタイプのものがあります。入院日数が4日以内であれば入院給付金は受け取れません。

 しかし、その間に、手術給付金の支払い対象となる手術をした場合、入院給付金は受け取れなくても手術給付金は受け取れます。

 入院をしても4日間は免責ということは結構周知されているようで、「4日以内だから受け取れない」と思って、最初から請求しない方も多いようです。

 その中に、実は手術給付金だけ受け取れるケースがあると思われます。ただし、簡易保険は入院給付金を受け取れる入院中の手術であることが条件です。

 また、生命保険や医療保険など、大半の保険には「保険料払い込み免除」の制度があります。被保険者が保障開始後に不慮の事故に遭い、約款所定の身体障害状態になった時、将来の保険料支払いを免除するというものです。このような制度があることを知らずに、保険料を払い続けている人もいるのではないでしょうか。

 保険は困った時に保険金や給付金を支払ってくれる打ち出の小槌ではありません。また、保険金や給付金が支払われる状況になっても、保険会社が探し出してお知らせしてくれるものではありません。

 契約であることの重みを、営業する側も顧客側もしっかりと理解しなくては、「不払い」「請求漏れ」は後を絶たないでしょう。