トノサマガエル絶滅の危機 県東部、生息地失う
初夏の水田にカエルの鳴き声が響く中、富山県内でトノサマガエルが絶
滅の危機にさらされている。圃場整備など水田を取り巻く環境が変わり、
生息地が失われたのが原因で、!)カエルの合唱!)の主役はアマガエルに
代わってしまった。専門家からは「県東部の平野部はほぼ絶滅状態」と
の声も聞かれ、生態系への影響が懸念されている。
トノサマガエルは水田に産卵し、産卵後も田んぼ周辺で過ごす。繁殖期
には夕方になると、雄が雌を誘うため「ゲロゲロ」と鳴き、初夏の夜の
風物詩となっている。
元富山大教授の長井真隆さんは平成8年度から県内の水生生物の生態系
を調べており、これまでに常願寺川、庄川、黒部川の各扇状地の調査を
終えた。トノサマガエルは庄川では広く分布していたが、黒部川で確認
できたのは192地点のうち2地点、常願寺川は80地点中、3地点だった。
長井さんは「県東部で見つけることは困難。庄川も群れは確認できず、
危機的な状況に変わりはない」との見方を示す。
水田から姿を消した理由は、昭和30年代半ばから進められた圃場整備。
水田は機械が使えるように整形され、素掘りの水路はコンクリート化さ
れた。
富山市科学文化センターの南部久男主幹学芸員は「周辺の整備で、水が
たまる場所や天敵から隠れる草むらも減った。コンクリート製の水路は
一度落ちると、はい上がれない」と説明する。
農作業のサイクルの変化も追い打ちを掛けた。水田の水を抜く中干しの
時期が昭和40年ごろを境に7月中旬から6月初旬に早まったため、えら
呼吸のオタマジャクシがカエルに変態できなくなったという。
一方、同じ水田が産卵場所のアマガエルは健在。長井さんは「変態の時
期がトノサマガエルより1カ月ほど早く、指に吸盤があるため、コンク
リート製の水路の影響も受けにくかった」と話す。
トノサマガエルは、富山県の絶滅の恐れのある野生生物をまとめた「レッ
ドデータブックとやま」に登録されていないが、長井さんは「将来の絶
滅予備軍。アマガエルとは体の大きさが異なり、餌となる昆虫も違う。
多様な生物で成り立つ生態系への影響が心配だ」と警鐘を鳴らしている。
北日本新聞 2007年05月20日
~~~~~~~~~~~~~~~
「コンクリート製の水路は
一度落ちると、はい上がれない」
トノサマガエルは、絶滅してしまうのかな、、、、。
どんどん、日本の変化と共に、いろんな生き物が
いなくなっていく。