宮崎正弘氏の今週の書棚 | 日本のお姉さん

宮崎正弘氏の今週の書棚

黄文雄『日本を呪縛する“反日”歴史認識の大嘘』(徳間書店)
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 もっかの話題は「従軍慰安婦」と「強制連行」。
 最初から日本人がふたたび精神的に立ち上がれないように仕組まれて洗脳謀略の一環だが、こともあろうに中国、韓国、米国の情報戦争の片棒を担いでいる輩の多くが日本人である。
 反日の源泉は反日日本人から発せられている。
 本書を通読すると、反日一派の暗躍、その地下水のごとくひろがる全体の謀略構造がみえてくる。
 中国は自らの虐殺を隠蔽するために新しい出鱈目な宣伝と嘘放送を日々繰り返し、スパイや、買収済みの外国人特派員らを駆使して、プロパガンダに訴えた。謝罪が必要なのは日本ではなく、じつは中国のほうだが、なぜか理由もなく謝罪してまわって、逆に笑われているのが日本だ。
 日本を戦争に引きずり込んだのは中国共産党の謀略であったことは、いまや世界の常識だが、日本の教科書はあたかも北京の指令でもあったのか自虐史観で貫かれ、反省ばかりの売国路線が前面にでている。
 本書を読むと、なぁんだ、こんな単純な手口に戦後日本はひっかかってきたのか、と慄然とせざるを得ない。
 米国で日本批判決議案を持ち歩くマイク・ホンダなる下院議員のバックにいるのは左翼集団と、三度の飯よりも謀略のすきな連中だ。
かれらが煽動した結果、反日映画は今年、とうとう12本も作られ、最後は「東京裁判」の嘘がハリウッドでフィルムになる。合計三億ドル(360億円)が映画製作に投じられる。
 日本は湾岸戦争でアメリカにねだられて支払ったカネが、135億ドル(いまのレートで一兆六千億円)。十分の一の投資でも良いから、日本の立場をちゃんと説明する映画をハリウッドを動員して作るべきではありませんか?



日本経済新聞社編『中国大国の虚実』(日経ビジネス文庫)
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 またいつものように中国賛美の本だろう、と軽く手にとったのだが、オヤ、いつもの日経路線とは違う。
 新聞の行間に、日経の場合、たくみに中国批判が挿入されており、そのコツを習得しておかないと日経の読み方はわからない。
 日経は朝日新聞以上に中国礼賛派かと誤解することもある。
日経が中国の繁栄する光の部分ばかりを書いているのではなく、記事中に、ほんの一、二行、なにかを暗示している文章がさらりと挿入されている場合が多い。
 本書は日経本誌には顕現されていなかった、その闇の部分を集中的に照射していて、つまりは中国の経済の「不安要因」を、しかもそのことを表には謳わないで、巧みな配列で要領よく並べているのである。
 この本、意外と参考になった。

        ◎○◎宮○◎崎◎○◎○正◎○◎○弘◎○◎