日本のイメージを守ろう!
1992年の話になるが、ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国外相のシライジッ
チは、自国内で起こっている紛争を国際問題にして多くの国の同情を得ること
でセルビアとの戦争に勝った。
シライジッチはイスラム教徒で、ボスニアはイスラム教徒が多い国であったが
アメリカ人の感情に訴える作戦によって、アメリカと国際社会はボスミアの側
についた。
最初は、アメリカに助けを求めてやってきたシライジッチを、誰も相手にして
くれなかったのだが、シライジッチがアメリカの広告宣伝企業ルーダー・フィ
ン社と契約し、ジム・ハーフの助けを受けてからは、アメリカの世論はボスニ
アの味方についた。
ルーダー・フィン社は「民族浄化」という言葉を使った。浄化とは清めるとい
う意味の言葉なのに、この使い方の恐ろしいところは、数において優勢な民族
が、数において劣勢な民族を、(ナチスのような意思を持って)水で洗い流すよ
うに相手を消し去るというイメージを与えるところだ。
またルーダー・フィン社は、セルビアが、さもボスニアの捕虜を虐待している
かのようなイメージ写真を撮った。実際にはそこには「強制収容所」のような
施設は無くて、痩せた人を鉄条網ごしに撮った写真だったのだ。
「ボスニア政府も残虐行為を行なっている」「ボスニア側が非難している強制
収容所の存在は確認していない」という、状況をよく知るマッケンジー将軍の
証言も退けられ、逆に将軍は非難された。
コソヴォは、住民の多数派がアルバニア人、少数派がセルビア人であるので、
少数派のセルビア人が多数派のアルバニア人に対して「民族浄化」を
行なったということはできない。それに、セルビア人がアルバニア人を丸ごと
追放したわけではない。
セルビアのミロシェヴィチ政権が激しい「対テロリスト作戦」を行ったことに
対しても「民族浄化」という言葉が使われた。「民族浄化」という言葉によっ
て、セルビアだけが悪者になった。ミロシェヴィチ政権といえども、相手が非
暴力闘争に徹している間はそれほど手荒い措置をとることはしておらず、
アルバニア人の武装闘争派の「コソヴォ解放軍」が増えて問題がおきてから、
激しい「対テロリスト作戦」に転じたのだという事はあまり世の中には知られ
ていない。
ボスニア人も、セルビア人に対して同じように残虐行為を行っていたのだが、
「民族浄化」という言葉の持つイメージに国際社会は影響され、セルビア・ミ
ロシェヴィチ政権は崩壊した。そしてミロシェヴィチは捕らえられ、裁判中に
亡くなった。
セルビアも、アメリカでイメージが悪くなったことに気がついて、アメリカの
広告宣伝企業と契約しようとしたが、すでにイメージの悪くなったセルビアと
契約を結ぶ企業はなかった。今でも、「民族浄化といえばセルビア人」という
イメージができあがっていて、完全には消えていない。
アメリカ政府がイラク侵攻を始める理由をつくりだしたのも、広告宣伝企業で
あるレンドン社の、ジョン・レンドンだという説もある。アメリカでは、開戦
にもっていくため常に世論作りを行ってきたという過去がある。
アメリカは、今のところ世界一の軍事力を誇り、世界の平和を守る警察の
役割を負っていると自負している国です。アメリカは人権問題に敏感であり、
独裁者による弾圧が行われる国に介入することを正しいと考えています。
人権問題以外に攻め込む理由があったのか、アメリカの行動が正しいか
間違いかはともかく、セルビアのミロセビッチやイラクのフセインが倒され、
今はいないのが現実です。
そのアメリカで日本がするべきことは、日本のイメージを高め、いかに日本が
国際社会で役に立っている国であるか、また、人権問題に関心を持って、アメ
リカと共に世界の平和に貢献しようと考えているかをアピールすることです。
また、アメリカで日本に好意を寄せてくれる議員を応援し、日本のロビイスト
を育てて、アメリカのメデイアや議会で反日のチャイナから金をもらっている
記者やロビイストが工作しにくい環境を作り出し、日本の国益にならない状況
を作らないように動くことです。アメリカの世論をリードし、日本のイメージ
を守ることです。
日本はそれができていないし、チャイナのほうが活発に、アメリカのメディア
や、何年もかけて献金して育てたマイク・ホンダ議員などを使って上手く反日
工作を進めているように見えます。
最近、ボスニア・ヘルツェゴビナ共和国外相シライジッチ側についてセルビア
のミロセビッチを一方的悪玉に仕立て上げた広告宣伝企業とチャイナが契約
し「反日キャンペーン」をはらせているという疑惑が浮かんでいます。(参考2)
日本は、チャイナの情報工作によって日本のイメージが決定的に悪くなる前
にアメリカで実力のある広告宣伝企業を使って日本のイメージを守る努力を
する必要があります。
日本は、情報工作に関わるスパイも持たず、これといった手だてもないのだ
から、せめて日本国民の税金を有効に使って、日本のイメージを守る活動を
するべきです。
チャイナは自国民に対する反日教育の手を抜いてはいないし、アメリカで日本
のイメージを落とす工作を続けており、映画などの映像を使って世界中で
日本が悪の国であるというイメージを作り上げようと努力しています。
チャイナという国は、ナンバー3が日本で友好ムードを盛り上げても、裏では
反日工作を続けているのです。
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―― 参考1:高木徹『ドキュメント戦争広告代理店』
―― 参考2:「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」07年5月9日(水曜日)
http://www.melma.com/backnumber_45206_3658524/
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中国が契約した米国広告代理店の正体は、かのミロセビッチを悪役とした
凄腕のプロダクションだった。
ボスニア&ヘルツェゴビナをめぐる民族戦争で、セルビアのミロセビッチを一
方的な悪玉に仕立て上げて、爆弾事件を演出させた疑惑もある米国の
「戦争広告屋」の存在は、識者の間に広く知られる。その広告代理店と
中国の政府機関の代理人が契約し、「反日キャンペーン」をはらせている
疑惑が浮かんだ。
中国は最近、南京に「ラーベ記念館」を開設した。さらに九月頃に南京の抗日
記念館(反日教育のメッカ)を三倍規模に拡充して再開するほか、今度は
「東京裁判」の映画をつくり、またもでっち上げ歴史観を獅子吼して反日キャン
ペーンを拡大持続する方針という。
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宮崎正弘氏が、雑誌「WILL」(26日発売)で、
[戦争広告代理人と中国」という記事を書いてくれているので、「WILL」を
買って読んでくださいね。「WILL」は、表紙に猫のイラストが書いてある
雑誌です。