在任中の記念館計画は性急で臆面(おくめん)がない
国家元首への非礼?
渡部亮次郎
久々に笑ってしまった。2007/05/12の産経新聞に掲載された韓国大統領
広報首席秘書官の勘違いについてである。
支局長黒田勝弘氏は4月28日付のコラムで、韓国で盧武鉉大統領の記念館
建設の話が出ていることを紹介していた。在任中の記念館計画は「性急
で臆面(おくめん)がない」とし、大統領として歴史的人物である大物
の李承晩や朴正熙の記念館さえないのに「2人に比べると小物(?)」
である最近の金大中、盧武鉉大統領にだけ記念館とは不思議だ、と書い
たので溜飲を下げていたのだ。
そうしたら韓国の大統領官邸(尹勝容広報首席秘書官)から抗議の文書
がきた。確定していない記念館事業を根拠に、遺憾というのだそうだ。
http://www.sankei.co.jp/kokusai/korea/070512/kra070512002.htm
<しかし、建設計画の事実関係は、大統領官邸自身が4月17日付公式
ホームページで「今後、具体的に(故郷の大学と)協議していくことに
なった」が、現職大統領の影響力を不当に行使したものでないとし、否
定はしていない。
不満は「臆面ない」と書いたことと、盧武鉉大統領を李承晩、朴正熙に
比べ「小物(?)」と評価したところにあるようで、「韓国の国家元首
に対する侮辱的表現」「失礼な表現」だから今後は「韓国の国家元首に
丁重な表現」を期待するという。
「小物(?)」と疑問符を付けて配慮したつもりだったが、理解してい
ただけなかったようだ。大統領官邸の心情に配慮が足りなかったかもし
れない。今後、気をつけたいと思うが、それでも韓国で大統領記念館な
らまず李承晩、朴正熙だろう」>と黒田さん。
李承晩と朴正熙。この2人の事績がなければ今日の韓国は無い。特に朴大
統領による革命と日韓関係正常化、反共産主義体制強化が無ければ今日
の発展は無い。それに対して金大中と盧武鉉大統領は結局韓国に何をも
たらしたか。反共の褌外しに狂奔しただけだ。
それなのに「在任中の記念館計画は性急で臆面(おくめん)がない」と
思うところは、心ある日本人なら、みなそう思っている筈だ。
秘書官となれば親分の面子は守らなければならない。しかしうちの親分
は小物では無いから以後、気をつけて記事を書けなど、私ですらできな
かった。
まして臆面もないことをおめおめとするところを批判されて反発する事
はむしろ恥ずかしいことで、恐れ入るべきだ。
大統領が大統領だから秘書官も秘書官だ。おそらく大統領の命じた「抗
議」だったと思うと、なおさら笑える。2007・05・12
http://www.max.hi-ho.ne.jp/azur/ryojiro/chomon.htm
非上場という選択肢
平井 修一
三角合併がこの5月から解禁され、海外企業による日本企業の買収がしや
すくなり、このために買収防衛策を講じる上場企業が多くなったという。
戦々恐々としているようだ。それなら上場せずに株を非公開にすればい
い、と素人の小生は思うが、そうはいかないからビジネスエリートは苦
労しているのだろう。
そもそも会社は、株主(資金提供者=投資家)を募り、事業を展開する。
「おいしい果物を実らせて利益を還元します、つきましては苗木の株を
買う資金を提供してください」というのが株式で、これで調達した資金
には金利はつかないし、会社は元本保証の必要もないし、返済義務もな
い。
通常、資金を銀行などの融資でまかなえば、担保や保証人を求められた
り、金利はもちろん元本も返済しなければならないから、株を発行する
ほうが会社にとってはとても有利だ。
手広く株主を募る方法が株式市場への上場(公開=自由売買)だが、大
手企業でも非上場(非公開)の会社は結構あるようだ。
たとえばグループ全体で従業員数2万5000人のJTBは年間取扱高は2兆
円、営業収益2000億円に迫りそうだが、非上場である。決算公告がきち
んとしているのは「上場するかどうかは別にして、上場企業並の決算書
にしておきたいから」と言う。
株を公開すれば、当然ながら誰に買収されるか分からないという買収リ
スクがある。非上場なら株主に「売却するときは事前に協議し合意の上
で」などと条件をつけることもでき、見知らぬ投資家、投資ファンドな
どから敵対的買収を受けたり、役員を送り込まれたりするリスクはまず
ない。
本来、ニッポン放送は持ち株会社が全株を買い取って完全子会社化して
おけば村上ファンドやライブドアに付け込まれることはなかったのに、
無防備にもすけすけの衣装でひらひらしていたからレイプされてしまっ
た。
上場企業の株なら自由に売買できる。株価は上がったり下がったりする
から、1万円で買った株を買い注文を連発して上昇させ、1万3000円で売
れば3000円の儲けになるし、売り注文を大量に出して株価が底を打った
ところで買えば、本来1万円の株を7000円で入手でき、1万円に戻ったと
ころで売れば3000円の儲けになる。
仕手筋、投機筋と言われる投資家のやり口だが、株式投資とは基本的に
そういうマネーゲームの要素があり、当然、損をすることもあるから企
業、株主双方にとり、ハイリスク、ハイリターンだ。
非上場なら、基本的には株主は株を保有し続け、配当だけを受け取るが、
業績が悪ければ配当はないから旨味は少ない。長期保有の安定株主とい
うことになり、ローリスク、ローリターンだ。
究極の買収防衛策は上場を止めることだが、「市場で売買できなくなる
から旨味はない」と株主は一斉に売るから株は暴落してしまう。一旦上
場すれば上場し続けるしかない、リングに上がったら降りることができ
ないのである。
非上場でも「会社の信用はあるのだから増資の引き受け手はいっぱいあ
る」という企業は多いだろう。上場して株価の上下に一喜一憂したり、
敵対的買収や株主対応(IR)に追われたりするのは面倒だ、それなら
上場しないでおこう、というのも企業の選択肢として理解できる。
上場したものの粉飾が発覚し、外資のハゲタカファンドに買い叩かれて
事実上乗っ取られるよりははるかに賢明だ。起業し成功しても上場しな
い企業が増えるのではないかと思っている。
ドイツ・救急ヘリ事情
熊谷 徹(在独ジャーナリスト)
ある夏の夕刻、私は、ミュンヘンとシュトゥットガルトを結ぶ高速道路
(アウトバーン)A8を走っていた。ふと中央分離帯越しに反対車線を見
ると、2台の乗用車が事故を起こして、大破しており、濃緑色の制帽を
かぶった警察官や、オレンジ色の制服を着た救急隊員が忙しそうに動き
回っている。近くの路上に、救急ヘリコプターが着陸しているのに気が
ついた。
日本では、高速道路にヘリが着陸しているのを見ることは滅多にないが、
ドイツでは日常茶飯事である。アウトバーンで渋滞にぶつかると、黄色
い機体の救急ヘリが低空で飛来するのを見かけることが多い。
ドイツの救急ヘリは、ドライバーの互助組織ADAC(全ドイツ自動車クラブ)
が、1970年から運営している。ADACは、路上で車が故障した時に、電話
をすると現場に駆けつけて車の応急修理をするサービスで有名だが、ヘ
リを使った人命救助という重要な役割も果たしている。
ADACは、ドイツ全土の主要病院など、32ヶ所の拠点に、44機の救急
ヘリを配置している。救急ヘリには「クリストフ」という愛称が付けら
れているが、その出動回数は、毎年約3万5000回にのぼる。過去36年
間に、このヘリによって85万人が救助され、その内25万人の重傷者が生
命をとりとめた。
このヘリの最大の特徴は、医師と助手が同乗しており、救急車と同じ治
療設備を持っているために、事故現場で命を救うために必要な、最初の
医療行為を行うことができる点だ。
たとえば昨年9月に、ある国道で2台の車が正面衝突し、ドライバーが
即死し、同乗していた女性が車外に放り出されて、胸や足に重傷を負っ
た。
ヘリで現場に駆けつけた医師は、点滴と薬によって女性の容態を安定さ
せるとともに、麻酔で眠らせる。負傷者を乗せたヘリは、約30キロ離れ
た病院にわずか8分で到着し、女性は一命をとりとめた。
最小限の時間で病院に到着できるように、ADACの救助ヘリの拠点は、全
国くまなく網の目のように設置されている。さらに、ヘリの半数は、連
邦国境警備隊のパイロットが操縦しているが、彼らは高速道路などの難
所にも着陸できるように、特別の訓練を受けている。
ドイツでは、交通事故による死者の数が年々減っているが、その背景に
は、エアバッグなどの車の安全対策の他に、救急ヘリの活躍もあるのだ。
ドイツでは今後も「黄色い天使」と呼ばれるドクターヘリが、高速道路
にふわりと舞い降りる姿が、頻繁に見られるに違いない。
(この原稿は、特定非営利活動法人 救急ヘリ病院ネットワークの広報
誌「HEM-Netグラフ」第7号に掲載されたものの再掲)。
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渡部亮次郎のメイル・マガジン 頂門の一針 第801号
平成19(2007)年05月14日(月)第801号
発行周期 不定期(原則日曜日発行)
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ドイツの救急ヘリは、ぜひ日本もマネをしてもらいたい。
維持費が大変だろうが、それで、人の命を救えるのなら、
導入してもいいのでは?少子化で、困っているんだから、
貴重な働き手を救うことも考えてはどうだろう。